古き良き時代のパリの下町に生きる人々-“幸せはシャンソニア劇場から”を観る
映画“幸せではシャンソニア劇場から”(“Faubourg 36”)を観てきました。監督・脚本はクリストフ・バラティエ(Christophe Barratier)、音楽はラインハルト・ワーグナー(Reinhardt Wagner)、作詞はフランク・トマ(Frank Thomas)。主なキャストは、ピゴワルにジェラール・ジュニョ(Gerard Jugnot)、ミルーにクロヴィス・コルニアック(Clovis Cornillac)、ジャッキーにカド・メラッド(Kad Merad)、ドゥースにノラ・アルネゼデール(Nora Arnezeder)、ラジオ男にピエール・リシャール(Piere Richard)、ギャラピアにベルナール-ピエール・ドナデュー(Bernard-Pierre Donnadieu)、ジョジョにマクサンス・ペラン(Maxence Perrin)、でした。
1936年のパリの下町。シャンソンにまだエイトビートのリズムも入らず、時間が現代よりもゆったりと流れていた時代の人情に満ちた物語です。貧しさゆえに離れ離れになってしまった父子の情愛、男と女の愛、そして周囲の人たちの優しさ、人情。それやこれやが観るものの心にしみいってくるような映画でした。
ブロードウェイのミュージカル、というか、ハリウッドの黄金時代のミュージカル映画を思い出させるようなシーンもあり、また、かつての“パリ祭”などの名画の雰囲気を味あわせてくれるようなカット割りもあり、素敵なミュージカル映画(ミュージカルと呼んでよいと思いますが)です。
資金難で閉鎖された劇場を、元妻に預けられている息子を引き取りたい一心で再興しようとするピゴワル。劇場で働いきつつ、労働運動に熱心なミリューと売れないボードビリアンのジャッキーが中心となり仲間が彼の劇場再興を助けていきます。この中で、色々なドラマが描かれるのですが、特に、母親のもとに身を寄せていた息子、ジョジョが帰ってくるシーン(ある夜、ピゴワルが一人寂しく住んでいるアパルトマンの窓辺にジョジョが良く弾いていたアコーデオンの音色が流れてきます。ピゴワルが窓の外をのぞいてみると、ミリューとジャッキーがジョジョのテーマソングとも言うべき歌を歌っている。それを見ていると、暗がりからアコーデオンを弾きながらジョジョが出てくるのです。ピゴワルは急いで階段を下りて外に出て、ジョジョと再会を果たします。そして、彼は、ミリューとジャッキーと三人でジョジョのアコーデオンに合わせて大声で歌うのです。)や再興なったシャンソニア劇場のステージでジョジョのアコーデオンと共演するピゴワルのシーンは胸が熱くなりました。
大掛かりな宣伝もなく、いささか地味な扱いではありますが、粋で、心がほのぼのとし、そして少し切なくなる名画です。フランス映画好きだけでなく、シャンソンやミュージカルを好きな方にはお勧めしたい作品です。
☆ この映画をまだ観ぬ人へ…
1936年、パリの下町。小さな劇場であるシャンソニア劇場は、資金難のために町の不動産屋、ギャラピアのために閉鎖されてしまいます。劇場で働いていたピゴワル、ミリュー、ジャッキーらは皆、失業してしまいます。ピゴワルの息子ジョジョは、20年間も自宅を出ないラジオ男にアコーデオンを習うのが楽しみ。父親を少しでも助けようとアコーデオンを街で弾いて稼ぎますが、やがて、警察に補導されてしまいます。そして、父親に定職がないため、父親のもとを去った母親に引き取られることになってしまいました。
息子を呼び戻すためにも何とかして定職につこうとするピゴワルは、ジャッキーが閉鎖された劇場を自分で開けて、近所の人を相手にショウをやろうとしているところを見て、シャンソニア劇場を再興しようと考えます。奮闘するピゴワルに仲間達も集まってきます。
ピゴワルはギャラピアと交渉して、1ヶ月間、試験的に劇場を開けることができるようになります。早速、オーディションを行います。応募者の中には、ギャラピアが推薦するデゥースも。デゥースに思いを寄せるギャラピア。しかし、デゥースとミリューは、段々とお互いに魅かれていきます。
シャンソニア劇場は無事に再興されるのか?息子ジョジョはピゴワルの元に戻れるのか?そして、デゥースとミリュー、ギャラピアの関係は…?そんな思いを抱かせながら、映画は進んでいきます。
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