ミュージカル

2009年11月 7日 (土)

新妻聖子さんのエポニーヌ

Pb030010 3日に“レ・ミゼラブル”を観ました。主なキャストは、ジャンバルジャンに橋本さとしさん、エポニーヌに新妻聖子さん、ジャベールに今拓哉さん、ファンティーヌにシルビア・グラブさん、マリウスに小西遼生さん、コゼットに辛島小恵さん、テナルディエに安崎求さん、マダム・テナルディエに田中利花さん、アンジョルラスに松原剛志さん、でした。

4日が新妻聖子さんとシルビア・グラブさんの千秋楽だったのですPb030014 が、これは平日のマチネだったので、お二人の千秋楽の一日前のこの日に観劇しました。

何度も書きましたが、新妻さんのエポニーヌは本当に素晴らしいと思います。彼女の豊かな表現力はエポニーヌをとてもリアルにしています。新妻聖子という女優がエポニーヌを演じているのではなく、エポニーヌという幸薄い、しかし、ピュアな少女が新妻聖子という女優の体を借りて舞台の上でPb010005 生きている…そんな思いさえ抱かせます。彼女の歌う“On My Own”はとても感動的ですが、僕は、この歌の最後で「幸せの世界に縁などない」と歌った後、「愛してる」と始まるまでの数秒間、帝劇全体を支配する圧倒的な静寂が大好きです。エポニーヌ魅せられた観客達が、彼女の愛と人生を象徴するこの歌にぐいぐい引き込まれていき、最後のフレーズを息をつめて待つ、あの濃密な静寂の中に我が身をおくことは、CDでもDVDでも味わうことのできない、まさにライブの醍醐味なのではないでしょうか?今回のシーズンでは、もう新妻聖子さんのエポニーヌを観ることはできませんが、また次の公演で、もっと素晴らしい彼女のエポニーヌに出会えるのではないかと期待しています。

シルビアさんのファンティーヌも素晴らしかったと思います。彼女は歌がとてもPb010002 良いですね。豊かな声量があるからこそ、静かに歌う(ピアノやピアニッシモ)部分がとても良くなるのではないかと思います。彼女が歌う“I Dreamed a Dream”は何度聞いても聞きほれてしまいます。今回の公演では、橋本さとしさんの“家に帰して”もとても良かったです。

今回は、終演後、ファン感謝イベントということで、今さんが司会で、新妻さん、シルビアさん、小西さんというメンバーでトークショウが開かれました。なんとなく緩いというか、まったりとした雰囲気のトークショウでこれはこれで、なかなか良かったのですが、凄く面白かったPb030009 のは、小西さんがギターの弾き語りで“On My Own”を歌ったことです。これがとても素敵なのです!直ぐ前で聞いていた新妻さんが「CD化したら」と言ったほど。この歌、女性の歌と思っていましたが、男性が歌うとまた雰囲気が変わって、とても素敵な歌になりました。大発見です。(ちなみに、イギリスの男優さんでジャン・バルジャン、ファントム、オールド・デュトロノミー等の大役を演じたDave Willettsが歌う“I Dreamed a Dream”のCDを持っていますが、これも素敵です。)

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2009年11月 3日 (火)

新妻エポニーヌとシルビア・ファンティーヌの共演に酔う

Pb010001 “レ・ミゼラブル”を観ました。今回の主なキャストは、ジャン・バルジャンに別所哲也さん、エポニーヌに新妻聖子さん、ジャベールに今拓哉さん、ファンティーヌにシルビア・グラブさん、マリウスに藤岡正明さん、コゼットに辛島小恵さん、テナルディエに駒田一さん、マダム・テナルディエに田中利花さん、アンジョルラスに原田優一さん、です。

僕の大好きな新妻聖子さんのエポニーヌとシルビア・グラブさんのファンティーPb010004 ヌのコンビです。シルビアさんのファンティーヌは前回以上に素晴らしかったです。迫真の演技でした。“I Dreamed a Dream(夢やぶれて)”から始まって、“ファンティーヌの逮捕”のシーン、“ファンティーヌの死”のシーンと涙腺が緩みっぱなしでした。エピローグでも、新妻さんのエポニーヌとともに美しいハーモニーを聞かせてくれました。

そして、何よりも新妻聖子さんのエポニーヌは素晴らしい!前回も書きましたが、とても表情が豊かです。見えないところや隠れたところでの細部の演技が細やかで、それが積み重なってとてもエポニーヌという存在がリアルに迫ってくるのではないかと思います。彼女の“On My Own”は本当に感動的です。もち論、彼女の声の素晴らしさということもありますが、やはり彼女の豊かな表現力によるのではないでしょうか。彼女のこの歌を聞くと、薄幸の少女エポニーヌの悲しみが胸の奥底にしみわたるような思いを抱くのは僕だけではないと思います。

今回、コゼットは辛島小恵。とても歌の上手い女優さんです。声にも清潔感があって、コゼットにピッタリです。藤岡正明さんのマリウス。相変わらずやんちゃ坊主の雰囲気が漂うマリウスでした。この人は、何を演じてもやんちゃな雰囲気がして、それがまたこの俳優さんの魅力でもあるような気がします。

新妻さんのエポニーヌとシルビアさんのファンティーヌのコンビでのレ・ミゼラブルをもう一度観て、今回の僕のレミゼ・シーズンを終えることにします。

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再び、革命の世界へ!

“レ・ミゼラブル”2回目の観劇です。今回の主なキャストは、ジャン・バルジャンに別所哲也さん、エポニーヌに坂本真綾さん、ジャベールに岡幸二郎さん、ファンティーヌにシルビア・グラブさん、マリウスに山崎育三郎さん、コゼットに菊地美香さん、テナルディエに駒田一さん、マダム・テナルディエに田中利花さん、アンジョルラスに松原剛志さん、でした。

この日は僕が最も好きなジャン・バルジャンとジャベールのコンビです。何と言っても、岡幸二郎さんのジャベールは素晴らしい。岡さんは,歌がうまいのはもちろんですが,姿が美しい(と,男の僕が言うのも変かな?)ので,酷薄さがとても出ているように思います。だから一層,自殺のシーンは,凄惨な顔になって迫力があります。そして,彼の“星よ(STARS)”は何度聞いても聞きほれてしまいます。前にも書いたかもしれませんが,僕は,基本的には男優さんに興味がなくて,どの演目でも注目することは少ないのですが,岡さんが舞台に出てくると,つい注目してしまいます。別所さんのジャン・バルジャンも僕は好きです。高い声が出るので、僕のバルジャンのイメージにピッタリです。2003年に初めて観て以来、少しずつ演技が変わってきているように思いますが、いつも楽しみです。

そして、シルビアさんのファンティーヌ。こちらも素晴らしかったと思います。歌にも迫力があって、“I Dreamed a Dream(夢やぶれて)”では、幸せだった日々が過ぎ今は不幸の中に生きなければならない薄幸の女性の嘆きが、“ファンティーヌの死”のシーンでは遠く離れたわが子を思う母の悲しみが、迫ってきて、思わず涙が出てしまいました。坂本真綾さんのエポニーヌも、柔らかな声で歌う“On My Own”が大好きです。菊地美香さんのコゼットは、いつも声もきれいで、とても可愛いコゼットです。山崎育三郎さんのマリウスは、ベガーズのシーンで、髪を触るエポニーヌを怒らない、優しいマリウスです。日本では少ないタイプだと思いますが、僕は、このシーン、怒らないマリウスが好きなのです。

作品自体も何度観ても飽きない名作、レ・ミゼラブル。日本では色々な組合せで変化を楽しめるのも良いところ。次はどんな出会いとなるでしょうか…

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2009年10月24日 (土)

またあの感動が…“レ・ミゼラブル”を観る

Pa170176 “レ・ミゼラブル”の第1回目の観劇に行ってきました。主なキャストは、ジャン・バルジャンに今井清隆さん、エポニーヌに新妻聖子さん、ジャベールに石川禅さん、ファンティーヌに山崎直子さん、マリウスに小西遼西さん、コゼットに神田沙也加さん、テナルディエに安崎求さん、マダム・テナルディエに田中利花さん、アンジョルラスに坂元健児さん、でした。

僕にとって、レ・ミゼラブルは、ザ・ミュージカルというべき作品。僕にミュージカルの魅力を教えてくれた大切な作品なのです。

今回も、新妻聖子さんのエポニーヌが本当に素晴らしかった!これまでも素敵なPa170180 エポニーヌでしたが、また一段と進化したように思います。全体を通じて表情というか、感情表現が、さらに豊かになっています。彼女が絡むシーンは、一段と舞台がキリッと引き締まるように感じました。(別に、他のシーンが引き締まっていないということではありませんから、念のため。)そして、彼女の“On My Own”。一層パワーアップした彼女のこの歌は、以前にも増して哀しく、切なく、そして、だからこそ美しい…前回のエポニーヌ以来、舞台、映画、TV、コンサート等を経て積んできた経験が花開いているのだな、と思います。新妻さんのエポニーヌの素晴らしさは、決して、ファンのひいき目ではありません。

Pa170175 山崎直子さんのファンティーヌは、2007年の公演の時よりもぐっと良くなっていたように思います。歌もとても良かったですし、表現も深まった感じで、“Dream I Dreamed ”やファンティーヌの死の場面では、思わず涙してしまいました。今井清隆さんはいつものことながら重厚なジャン・バルジャン。そして、ますます油が乗って、弾けてきた感じの安崎求さんのテナルディエも楽しかったのです。

ところで、ロンドン公演では、エポニーヌが死んでバリケードの学生達に運ばれていく時に、肩の高さまで掲げられて運ばれていくのですが、バリケードの上にいてその様子を見下ろしている一人の女性が、エポニーヌの死体の上に、小さな赤い布(多分、旗です)をすっと落とす場面があって、それがとても良かったのです。学生達が、エポニーヌを自分達の仲間として受け入れている、という気持ちが良く伝わってきました。日本の公演では、僕はこの演出を観たことがありませんが、日本ではやらないのでしょうか…

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2009年10月12日 (月)

アナテフカ村で父親の情愛に涙する-“屋根の上のヴァイオリン弾き”を観る

Pa100171 “屋根の上のヴァイオリン弾き”を日生劇場で観ました。主なキャストは、テヴィエに市村正親さん、ゴールデに鳳蘭さん、ツァイテルに貴城けいさん、ホーデルに笹本玲奈さん、チャヴァに平田愛咲さん、モーテルに植本潤さん、パーチクに良知真次さん、フョートカに中山卓也さん、Pa100170 ラザールに鶴田忍さん、アブラムに石鍋多加史さん、ラビに青山達三さん、巡査部長に廣田高志さん、イエンテに荒井洸子さん、シュロイムに真島茂樹さん、フルマ・セーラに園山晴子さん、ツァイテル婆さんに高塚いおりさん、でした。

考えてみると、僕が初めて舞台でミュージカルを観たのがこの作品でした。劇場は帝国劇場で、森繁久彌さんのテヴィエでした。その時は、特に今のようにミュージカルにはまっていませんでしたので、それ以降、あまりこの作品に縁がなく、今日まできてしまいました。今回は、劇場もキャストも、もちろん前回の観劇の時とは違っていますが、なんとなく懐かしい思いを持ちながらの観劇となりました。

この作品は、長い間迫害され続けてきたユダヤ民族の悲しみを縦糸に、テヴィエの父親としての娘への愛情を横糸にして紡ぎだされる、笑いとペーソスに満ちた物語です。

Pa100169 この作品の見所は、何と言っても、テヴィエの三人の娘に対する情愛ではないでしょうか。結婚相手は親が決めるもの、そんなしきたりを守って生きてきたテヴィエ。ところが長女のツァイテルは幼なじみである貧乏な仕立て屋のモーテルと結婚したいと言ってくる。次女のホーデルは革命に情熱をかける貧乏な学生と恋に落ち、三女のチャヴァはあろうことかユダヤ人と対立するロシア人の若者と恋に落ちてしまう…テヴィエは、その度に、とまどい、怒り、悲しみ、しかし、結局、娘への愛情を最優先させていきます。そのテヴィエの姿がとても良いのです。森繁テヴィエもとても味のある演技ではありましたが、市村さんのテヴィエは、森繁テヴィエとはまた一味もふた味も違った父親テヴィエを演じていました。特に、ホーデルがパーチクを追って、アナテフカの村を去っていく時のテヴィエとのやり取りは、本当に涙を誘います。ユーモアがあって、少し頑固で、とても愛情深いテヴィエを好演されていました。

この作品で、好きな場面は、ツァイテルとモーテルとの結婚式の場面です。おめでたい席でありながら、この場面は、この先のアナテフカ村の住民の運命を予感するような哀愁を帯びた“サンライズ・サンセット”で始まります。列席者全員がロウソクを手に持ち、この歌を歌うシーンは涙が出るほど美しいのです。そして、その場面が終わると、やがて、華やかなボトルダンスのシーン、楽しい宴が続きますが、しかし、その喜びも長くは続かないのですが…

このお祝いの場面の歌には手拍子が入ります。この手拍子は、独特な形で、手を前に押し出すようにして手拍子をします。これ、かつて倍賞千恵子さんが出演していたときにインタビューで「私たちの幸せをお客様に差し上げると言う思いを込めて、手を前に押し出すように拍手しているんです。」と話していたのを今も覚えています。その当時と変わらぬ拍手でした。

この舞台、市村さんはやはり素晴らしい。頑固で、けれども愛情深い父親像をとても活き活きと描き出していました。そして肝っ玉お母さんともいうべき鳳蘭さん、このお二人のコンビはとても素敵です。また、三姉妹もとても良かったように思います。長女の貴城けいさんはとてもきれいでしたし、笹本玲奈さんは相変わらず達者な演技でした。そして、平田愛咲さん。とても今回がミュージカル初出演とは思えない演技、これからが楽しみな女優さんです。また、高塚いおりさんのツァイテル婆さんは、とても可愛い、チャーミングなお婆ちゃんでした。高塚さんは今回の公演で、この作品に400回連続出演を達成するとのこと。おめでとうございます!15年の間、同じ作品に出演し続けると言うことはとても凄いことだと思います。こういう俳優さんの存在があるからこそ、長く作品が続くのですね。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

1905年、帝政時代のロシアの寒村、アナテフカ村。その村に住むテヴィエは、酪農を営みながら、25年連れ添った妻、ゴールデと5人の娘と暮らしています。この村は、ユダヤ人が穏やかに暮らしている村ですが、ロシアではユダヤ人迫害が頻繁に行われており、近くの町にまでそれは及んできていました。しかし、今はまだ平穏なアナテフカ村。

ここで、テヴィエ達村人が長い間暮らしてくることができたのは、彼らが“しきたり”を守ってきたからこそ、とテヴィエは考えています。全てに、“しきたり”、“しきたり”!これがあるからこそ、屋根の上のヴァイオリン弾きのように危なっかしい場所でバランスをとって暮らしていけるのだと。

テヴィエには三人の年頃の娘がいます。“しきたり”では、結婚は仲人が仲立ちをして、父親が許すもの。しかし、ツァイテルは幼なじみのモーテルという恋人がいて、次女のホーデルは革命に情熱を傾ける学生と、三女のチャヴァは敵であるはずのロシア人の若者と、それぞれ恋に落ちてしまいます。“しきたり”と娘への愛情に苦悩するテヴィエ。この三人の娘の愛の行方は…??そして、アナテフカ村の住民の運命は…?

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2009年9月27日 (日)

金志賢さんのミセス・ジョンストン-“ブラッド・ブラザーズ”を再び観る

  P9260167 “ブラッド・ブラザーズ”を観ました。金志賢さんのミセス・ジョンストンを観たかったので、彼女の千秋楽に行ってきました。主なキャストは金さん以外は前回と同じで、ミッキーに藤岡正明さん、エディに田代万里生さん、リンダに鈴木亜美さん、ミセス・ジョンストンに金志賢さん、ミセス・ライオンズに久世星佳さん、ミスター・ライオンズに金澤博さん、サミーに伊藤明賢さん、ナレーターに下村尊則さん、でした。

金さんのミセス・ジョンストンはとても素敵でした。カーテン・コールでの舞台挨拶で金さんご自身が「日本語のセリフに苦労した。」と話していましたが、セリフで不自然に感じたところはほとんどありませんでした。そして、何より歌がとても良かったように思います。もちろんこの作品はミッキーとエディが主人公のお話ですが、実は、ミセス・ジョンストンとナレーターがとても重要な役割を果たします。ですから、ミセス・ジョンストンはとても良い歌をたくさん歌います。金さんが歌う“Tell Me It’s Not True”はとても素晴らしかったと思います。

藤岡さんの腕白坊やぶりは、さらに磨きがかかっていました。跳ねたり飛んだりP9050160_5 、笑ったりすねたりと、とてもリアルな腕白坊やでした。また、双子の秘密を守り通そうとし、その秘密にとらわれることによって、やがて狂気に取り付かれていってしまう女を久世星佳さんが好演していました。ナレーターの下村さんも前回同様、素晴らしかったと思います。初日から二ヶ月弱が経ち、千秋楽を翌日に控えて、俳優さん達もノリにノッているという雰囲気が観客席にも伝わってきて、とても気持ちの良い観劇となりました。

それにしてもこの作品、舞台の傾斜がとてもきついので、俳優さん達が腰を痛めないのかな、と要らぬ心配をしてしまいます。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ

96日の記事をご覧ください。

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2009年9月21日 (月)

ブロンテの純愛の世界ふたたび-“ジェーン・エア”再見

P9190165 日生劇場で“ジェーン・エア”を再び観ました。主なキャストはこの間と同じで(子役は変わっていたようですが)、ジェーン・エアに松たか子さん、エドワード・フェアファックス・ロチェスターに橋本さとしさん、ブランチ・イングラムに幸田浩子さん、フェアファックス夫人に寿ひずるさん、スキャチャード先生/バーサ・メイスン/デント夫人に旺なつきさん、リード夫人/レディ・イングラムに伊東弘美さん、ジェーンの母/ローウッド学院教師/ソフィに山崎直子さん、ジェーンの父/イングラム卿/シンジュン・リバースに小西遼西さん、リチャード・メイスンに福井貴一さん、ブロクルハースト氏/デント大佐/牧師に壌晴彦さん、です。

前回、ステージ上の下手後方から観劇したのですが、とても良かったので、もう一度、普通の席で観たかったのです。今回は、前から3列目のセンターという絶好の席からの観劇となりました。

今回は前回以上に感動的な舞台でした。ジェーンが行き倒れるシーンや、リード夫人の死のシーンでは涙が出てきてしまいました。音楽も、再度聴きましたが、美しいメロディをもつ歌がたくさんありました。

主役の松たか子さんと橋本さとしさんが素晴らしいのはもちろんですが、脇を固P9050163 める俳優さんたちがとても上手いのです。先ず、子役さんたちがとても上手い。特に、子供のジェーンをやった子役さんは、この間も今回も、大人顔負けの演技でした、歌も上手かったし。また、寿ひずるさん、旺なつきさん、伊東弘美さん、福井貴一さんがとても良かった。こういう芸達者がしっかりと支えている舞台はとても充実します。特に、旺なつきさんの狂った女の演技は真に迫っていました。旺さんのような美しい人が狂気にとりつかれた女を演ずると凄みがでてきます。また、舞台のラストシーンで、ジェーンとエドワードを見つめる彼女の微笑が慈愛に満ちた優しさで、狂ったときとの差が大きく、これはこれでまた良かったように思います。なんとなく、レ・ミゼラブル、エピローグのファンティーヌの姿を思い出してしまいました。また、アンサンブルも少人数でありながら、美しいハーモニーを響かせていました。特に、さとう未知子さん、安室夏さん、谷口ゆうなさんが、より輝いているように僕には思えました。

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2009年9月13日 (日)

19世紀、ヴィクトリア朝に咲いた一輪の愛-“ジェーン・エア”を観る

P9050161 日生劇場で“ジェーン・エア”を観ました。主なキャストは、ジェーン・エアに松たか子さん、エドワード・フェアファックス・ロチェスターに橋本さとしさん、ブランチ・イングラムに幸田浩子さん、フェアファックス夫人に寿ひずるさん、スキャチャード先生/バーサ・メイスン/デント夫人に旺なつきさん、リード夫人/レディ・イングラムに伊東弘美さん、ジェーンの母/ローウッド学院教師/ソフィに山崎直子さん、ジェーンの父/イングラム卿/シンジュン・リバースに小西遼西さん、リチャード・メイスンに福井貴一さん、ブロクルハースト氏/デント大佐/牧師に壌晴彦さん、です。

ジョン・ケアード氏が脚本・演出を手がけたブロードウェイ・ミュージカルの日本初演の舞台です。今回は、舞台上の下手奥に設けられた席で斜め後方からお芝居を観るという珍しい体験をしました。観客席を視界に入れながらの観劇でした。「俳優さん達にはこういう風に見えているんだな」と言うことがわかり、興味深かったです。ただ、演出は後方の観客も十分意識したもので、ジョン・ケアード氏の演出の巧みさを感じました。

このミュージカル、知人に誘われたもので、正直なところあまり期待していなかP9050163 ったのですが、実際に観てみると、とても素敵なミュージカルでした。音楽が、美しい楽曲がたくさんあります。それに、シャーロット・ブロンテの原作をとても手際よくまとめているように思いました。

松たか子さんは、やっぱり素晴らしい。正直言って、歌から入ってきた俳優さん達と比べると歌だけについて言えばもっと上手い人たちがたくさんいるとは思いますが、彼女の演技力はそれを補ってあまりあるものがあるのだと思います。橋本さとしさんの今回のロチェスター卿もとても良かったと思います。屈折した思いを秘めた貴族の思いが伝わってきました。また、僕は、旺なつきさんの舞台を観るのは初めてでしたが、館の屋根裏部屋に住むバーサ・メイスンの狂気がこちらにも伝わってくる、そんな演技でした。

もう一度、正面から観てみたい…そんな気持ちになりました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

19世紀のイギリス、ヨークシャー。幼くして父母を失ったジェーン・エアは、母の兄の妻、リード夫人に育てられます。リード夫人とその息子に苛められて、ジェーン・エアはつらい幼少期を過ごします。やがて、厄介払いのように、厳格で質素な教育方針をとるローウッド学院の寄宿舎に預けられることになりました。この学院も劣悪な環境で、ジェーン・エアは辛い日々を過ごすことになりますが、ここで、ヘレン・バーンズという初めての友を得ます。彼女を通じて、神を信じ、神に感謝して生きる生き方があることを学びます。しかし、そんなヘレンもチフスで死んでしまいます。

やがて、時が過ぎ、成長したジェーン・エアは、一人で生きていく決心を固め、学院を去り、ソーンフィールドの館に家庭教師として住み込むことにしました。その館に住むアデールという少女を教えながら、フェアファックス夫人や使用人たちとの生活を楽しんでいました。そんなある日、散歩をしていた彼女の目の前で一人の紳士が落馬して怪我をしてしまいます。彼こそが、ソーンフィールドの館の主、ロチェスター卿だったのです。心に鬱屈を秘めているかのようなロチェスター卿。ジェーン・エアは彼とも真摯に向き合おうとします。やがて、ロチェスター卿の心にもジェーン・エアの姿が常に宿るようになってきます。しかし、ロチェスター卿とソーンフィールドの館にはある秘密があったのです。ジェーン・エアとロチェスター卿の運命は…そして、ロチェスター卿の秘密とは?

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2009年9月 6日 (日)

血の繋がりと運命が生んだ悲劇-“ブラッド・ブラザーズ”を観る

P9050164 “ブラッド・ブラザーズ”を観ました。主なキャストは、双子の兄弟、ミッキーに藤岡正明さん、エディに田代万里生さん、リンダに鈴木亜美さん、ミセス・ジョンストンにTSUKASAさん、ミセス・ライオンズに久世星佳さん、ミスター・ライオンズに金澤博さん、サミーに伊藤明賢さん、そしてナレーターに下村尊則さん、でした。

ロンドン観て以来ですから、5~6年ぶりにこの作品に再会した、ということになります。この作品は、血が繋がっていながらも別々に育った双子が運命に翻弄され、最後は悲劇を迎えてしまうのですが、その悲しみが心に染み入るように観る者に伝わってくると言うような作品です。今回の舞台は、藤岡さんのやんちゃ坊主ぶりが何とも板についていて、とても面白かったです。この俳優さんは、他の役でも、なんとなくやんちゃな感じがする演技をするように思いますが、今回は、主人公の子供時代を本当にいきいきと演じていました。P9050160 本当に素敵でした。そして特筆すべきは下村尊則さん。四季を退団されて、久しぶりの舞台だと思うのですが、四季在団の最後の時期に比べるとスマートになっていました。歌は四季の時同様、素晴らしい。そして、なによりセリフや歌詞が明瞭です。これは大切なことだと思います。この点については、なんだかんだ言ってもやっぱり四季は素晴らしいと再認識しました。ただ、今回、ミセス・ジョンストンの声があまり出ずに伴奏に負けてしまうところがあり、それが、少し残念なところでした。

       このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

場所はイギリスのリバプール。庶民の階級のミセス・ジョンストンに双子が生まれようとしています。彼女がハウスキーパーとして働く家のミセス・ライオンズは子供の誕生を願いながらも、子供がいません。ある日、ミセス・ジョンストンは、ミセス・ライオンズに頼まれて、双子が生まれたら、その一人を彼女にあげる約束をしてしまいます。やがて、双子が誕生。ミセス・ジョンストンはその約束を後悔しながらも、約束に従います。血が繋がっていながらも別々に育てられる、ミッキーとエディ。二人を会わせたくないミセス・ライオンズとミセス・ジョンストンの願いも虚しく、運命は二人常に絡み合うことになります。境遇の全く異なる二人の運命はどのようになっていくのでしょうか…

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2009年8月30日 (日)

華やかな舞台と作る者達の物語-“A CORUS LINE”を観る

P8290156_01 渋谷で“A CHORUS LINE”を観ました。“RENT”に引き続き、ブロードウェイのジャパンツアーです。主なキャストは、ザックにMichael Gruber、ディアナにRebecca Riker、キャシーにRobyn Hurder、マイクにClyde Aives、ボビーにIan Liberto、リP8290157 ッチーにAnthony Wayne、ヴァルにMindy Dougherty、ジュディにBethany Moore、シーラにEmily Fletcher、ビビにDena DiGiacinto、マギーにHollie Howard、クリスティンにJessica Latshaw、アルにColt Prattes、コニーにLiza B. Domingo、ラリーにBrandon Tyler、でした。

僕の大好きなミュージカルのひとつです。コーラスラインに一列に並んだ俳優達が、それぞれの人生を語る…そんなミュージカルです。それぞれの俳優が、今、この舞台に立つまでに、様々な人生を送っています。それは全てが幸せな人生だけではなく、ある者は容姿についてのコンプレックスに悩み、またある者はゲイであることに悩み、ある者は両親の不和に苦しむ。しかし、ここに集まった者は全て、舞台に情熱をそそぎ、自分の人生をかけているのです。

P8290146_01 僕のツボの一つは、ポールの独白シーンです。自分がゲイであることに悩み、周囲との疎外感に苦しむ自分を、ついに父親が息子として受け入れてくれたときの喜びを語るポールの姿に涙を止めることができませんでした。そして、“What I Did for Love”…この名曲を聴くたびに深い感動を覚えます。特に今回のディアナ役のRebecca Rikerは、透明感があって、しかし、力強い歌声で、とても素敵でした。また、キャシーがザックに語りかけるシーン、“The Music and the Mirror”でのキャシー役のRobyn Hurderの歌とダンスに圧倒されました。

最後の“One”のシーP8290153_01 ンはとても華やかで、楽しそうなシーンです。しかし、この華やかな舞台の裏側には、俳優達のそれぞれの人生があり、舞台への情熱があり、そして厳しいオーディションや訓練があるのだ、とそんな思いを抱きました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

ブロードウェイのプロデューサーであるザックはコーラスのオーディションを行っている。しかし、それは一風変わったものとなりました。ザックは、俳優達に自分自身を語るように要求します。俳優達は、とまどいながらも自分の人生を語り始めます。子供のときに姉の代わりにダンス教室に行ってダンスの魅力に取り付かれた者、母のかなえられなかったダンサーへの夢を託され踊り始め、両親の不和のため不孝な環境の中でダンスの中にだけ喜びを見出してきた者、ゲイに悩む者などなど…そして、その集団の中には、かつてのザックの恋人、キャシーがいたのです。そんなオーディションの最中に、ひとりの俳優が怪我をしてしまいます。ザックは残った俳優に問いかけます。「もし、踊れなくなったら、君たちはどうするのか?」と。俳優達の回答は、果たして…

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525,600分=31,536,000秒をどう生きるのか-ミュージカル“RENT”を観る

P8220143 赤坂ACTシアターで“RENT”を観ました。ブロードウェイのジャパンツアーです。キャストは、主演のRogerAdam PascalMarkAnthony RappMimiLexi LawsonCollinsMichael McElroyAngelJustin JohnstonMaureenNicolette HartJoanneHaneefah WoodBennyJacques C. SmithAlexiに高良結香さん、“Seasons of Love”ソリストにGwen Stewart、でした。

オペラ、ラ・ボエームを下敷きにしたこのミュージカルは、観る者に生きることの意味や愛することの意味を問いかけてきます。エイズ、麻薬、そして貧困。そのP8220141 中でも、人間は愛して、生きて、そして死んでいく…特に、このドラマが生まれた時代には、エイズは、現在以上に深刻な病であったはずで、エイズ=死を意味していたはず。そんな、ぎりぎりの極限の状況のドラマであるからこそ、この問いかけが重みを持ってくるのではないでしょうか?

このミュージカルには美しい楽曲もたくさんあるのですが、特に今回は、Mimiが歌う“Without You”は秀逸でした。エイズで死んでいく彼女が恋人に対する愛を歌うこの歌は、その哀しみが聞く者の心を打ちます。しかし、最も良かったのは、“Seasons of Love”です。第二幕冒頭で歌われるこの歌は、素晴らしく、とても感動しました。Gwen Stewartのソロがとても良かったです。のびのある、迫力のある歌声は賞賛に値します。

Adam PascalAnthony Rappはオリジナル・キャストですから、もうベテランの域といっても良いと思うのですが、年齢を感じさせない素晴らしい演技でした。

そして、唯一の日本人キャストである高良結香さん。このブログでも何度か紹介していますが、単身アメリカに渡り、レッスンを重ねながらオーディションを受けて、チャンスを掴んできた女優さんです。とても素敵な女優さんでした。

今回は、久しぶりに楽屋口で出待ちをしました。役者さん達は親切にサインをしてくれ、言葉を交わし、久しぶりにロンドンでの日々を思い出しました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

ニューヨークのイーストヴィレッジ。ここは若いアーチスト達が集まる場所です。そんなイーストヴィレッジにあるロフトがこの物語の舞台となります。映像作家のマークとミュージシャンのロジャーはロフトの一室に共に住んでいます。マークはバイセクシャルなパフォーマンスアーティストのモリーンに振られたばかり。二人は、家賃の支払いもままならない生活を送っています。

クリスマスイヴの夜。下の階に住むミミがロジャーの部屋に火を借りに来ます。麻薬常習者で、SMクラブのダンサーであるミミにロジャーは魅かれていきますが、HIVに罹っている彼はミミに対しても、素直に自分の気持ちに従うことができません。一方、マークとロジャーの親友のコリンズは、路上で強盗に遭いますが、ストリートドラマーでドラッグクイーンのエンジェルに介抱され、やがて二人は恋に落ちます。

大家のベニーは家賃の払えないロジャー達に立ち退きを迫ります。

やがて時が経ち、その時間はそれぞれの人たちの上にも通り過ぎていきます。それぞれの人生はどう変わっていくのでしょうか…

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2009年8月23日 (日)

時差ぼけの中、劇城へ-ヴァンパイア再び

P8160125 時差ぼけの中で、“ダンス・オブ・ヴァンパイア”を観ました。Wキャストのサラが知念里奈さんだった以外は、前回と同じキャストで、クロロック伯爵に山口祐一郎さん,アルフレートには浦井健治さん、シャガールに安崎求さん、レベッカに阿知波悟美さん、マグダにシルビア・グラフさん、ヘルベルトに吉野圭吾さん、クコP8160128 ールに駒田一さん、アプロンシウス教授に石川禅さん、ヴァンパイア・ダンサーに森山開次さん,でした。そして、河合篤子さんもアンサンブルの一員として出演していました。

帝劇のロビーは、ヴァンパイアたちに写真も新たに掲示されてにぎやかになっていP8160127 ました。河合篤子さんのヴァンパイア姿も…

今回は、入浴中のサラが後ろに投げたスポンジが、バスルームと同じレベルの床ではなく、その下に転がってしまうというハプニングが起きました。誰がどうするのだろうと思って観ていたら、浦井さんが何気なく下に飛び降りて拾って芝居に戻していました。とても自然な動きで、さすがでしたが、帝劇のお客さんもリピーターが多いのか、たくさんの人が気がついて、笑ったり拍手をしていました。

さて、この作品が「理屈抜きに楽しめる」ことは以前にも書きました。しかし、単にドタバタのコメディということではありません。ヴァンパイアが異界に住むが故の悲しみや孤独がしっかりと描かれているために、楽しいシーンがより活きるのではないかと思います。特に、山口さんのヴァンパイアがその象徴です。特に、第二幕の終盤でクロロック伯爵が歌う“抑えがたい欲望”にその孤独と悲しみがよく表れているように思います。

「抑えがたい欲望」

P8160134 月は隠れた 光なき夜が来た

この静寂 見えるものは

独り 私の苦悩 影だけ

きらめく空を見ていた 遠い夏

あれは確か 1617年 一人の娘を愛した

温かい頬に触れた 輝く髪にくちづけた

その時 悲劇は起きた この手の中

何も知らぬ娘は 微笑んでいた

なのになぜか その命 奪っていた

求めすぎるのか 奪っては失う

何ひとつ残らないまま

今日も得られぬ何かを求め続けてる

永遠の幸福など この世にはない

永遠に充たされない苦悩しかない

いつの日か 世界が終わるその時

残るのは尽きることのない 欲望の海

虚しく 果てしない 欲望の闇

1730年         牧師の娘に会った

白い肌に 詩を書いた 赤いその血で

1813年は ナポレオンの供の者

次から次 求めて また失う

世界中のすべてを 理解しても

この私が わからない 自分でさえ

自由にもなれず 燃え尽きることもできず

天使でも悪魔でもない

なのに ひたすら 愛する者たち引き裂く

虚しい存在

苦しみに耐えるための 希望すらなく

渇き切った胸は 飢え続ける

ある者は 人間や愛を信じる

金や名誉 芸術 勇気を 信じる

そして神を信じるのだ

ただ素朴に 奇跡や罪や罰を信じる

だが違う 真実はひとつだ

そう 卑しく恥ずべき 欲望こそが 我らの支配者

今こそ ここで 予言をしよう

尽きない欲望こそが

この世界で 最後の神になるのだ

(帝国劇場“ダンス・オブ・ヴァンパイア”200975日~826日公演プログラムより)

P8160126 この日は、ファン感謝イベントということでトークショウがありました。司会は駒田一さん、安崎求さん、知念里奈さん、浦井健P8160139 治さん、石川禅さんが出演して、これまでの感想、失敗や裏話、今後の抱負等をテーマにした30分ほどのトークショウでした。舞台の上とは違う出演者の一面が見えて、なかなか楽しいものでした。

P8160137

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2009年7月13日 (月)

夏に向かう帝劇が極寒のトランシルヴァニアに…-“ダンス・オブ・ヴァンパイア”を観る

P7111230 国劇場で“ダンス・オブ・ヴァンパイア”を観てきました。主なキャストは、クロロック伯爵に山口祐一郎さん、サラに大塚ちひろさん、アルフレートに浦井健治さん、シャガールに安崎求さん、レベッカに阿知波悟美さん、マグダにシルビア・グラブさん、ヘルベルトに吉野圭吾さん、クコールに駒田一さん、アプロシウス教授に石川禅さん、ヴァンパイア・ダンサーに森山開次さん、でした。

僕は、2006年に日本で初演されたときには観なかったので、今回が初めての観劇でした。いやぁ、これは理屈なく楽しめるミュージカルですね。ストーリーをよくよく考えると、かなり怖いストーリーなのですが、それがちっとも怖くない。見事なコメディになっています。笑ったり、美しいメロディにうっとりしたり、舞台のダンスを楽しんだりしているうちに時間が過ぎていきました。劇場全体が一つになって、ヴァンパイアの世界に浸ったと言えばよいでしょうか。

山口祐一郎さん、まさにこの役にピッタリとはまっているように思います。なんP7111234_3 とも妖しげで、なんとも美しく、でも、どこかおかしい。僕は、この役の山口さんが一番好きです。歌も素晴らしい。そして、ヘルベルトの吉野圭吾さん。ゲイでファザコンのヴァンパイア役を好演です。石川禅さんもエキセントリックな教授ぶりで笑えます。浦井健治さんは、少し気弱で繊細な男の子の雰囲気がよく出ていたように思います。皆さん、いつもよりもはじけている感じで、観ている方もとても楽しかったのです。(僕は、基本的には女優さんにしか関心がないのですが、今回は男優さんの方に目がいきました。)シルビア・グラブさんもとてもセクシーでコミカP7111240 ルで、今までの舞台で観てきた姿とはガラリと違った魅力を発見した思いです。

今回は、この間のライブ以来注目している河合篤子さんもアンサンブルで出演していました。村人のときの妊婦姿は本当の妊婦さんのようにリアルでしたし(詳しくご覧になりたいお客様は東宝の“ダンス・オブ・ヴァンパイア”のHPのブログのキャスト紹介の女性アンサンブル紹その2をぜひご覧ください。とてもチャーミングな妊婦さんの河合さんを見ることができます。)、先祖役で出てきた河合さんはとてもきれいでした。

なんだか、もう一回観たくなるような楽しいミュージカルです。

☆このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

P7111241 今回は、あえてあらすじめいたものは書かないことにします。このミュージカルは、観る人達に、先ずは、感じて、楽しんでほしいと思いますので…さあ、劇場に行って、ENJOY THE SHOW

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2009年7月 5日 (日)

また酷寒のシベリアで深い感動を-ミュージカル“異国の丘”

P7031216 四季劇場[]で、“異国の丘”を観てきました。キャストは、宋愛玲に木村花代さん、九重秀隆に荒川務さん、宋子明に日下武史さん、李花蓮に団こと葉さん、宋美齢に中野今日子さん、劉玄に青山祐士さん、アグネス・フォーゲル夫人に西田有希さん、クリストファー・ワトソンに志村要さん、ナターシャに西村麗子さん、吉田に中嶋徹さん、神田に武藤寛さん、西沢に深水正博さん、大森に田中廣臣さん、杉浦に香川大輔さん、平井に維田修二さん、蒋賢忠に中村伝さん、九重菊麿さんに岡本隆生さん、メイ総領事に高橋征郎さん、でした。

この作品は大好きな作品です。ストーリーもしっかりしていて、感動的で、そして、タイトルから連想されるかもしれない「ただ暗いだけ」というイメージではなく、華やかな美しいシーンもたくさんある作品です。今回は、佐渡寧子さんの出演もなく、アンサンブルながら僕の好きな須田綾乃さんのダンスも見られなかったのですが、それでも、この作品の素晴らしさを再び感じました。今回はいつもよりツボにはまってしまい、涙が止まりませんでした。ニューヨークでの秀隆と愛玲の別れのシーン、異国の丘の合唱シーン、遺言のシーン、愛玲の死のシーン、そしてラストシーンと、どれも感動的なシーンです。また、ダンスシーンも華やかですし、“名も知らぬ人”のバッグのダンスシーンや秀隆と愛玲が上海で再会し愛を確かめ合うシーンはとても優美です。

僕が一番好きなシーンの一つは、平井が帰国する仲間達に遺言を託し、仲間達がそP7031220 れを覚えようとするところです。(ちなみにこれは実話をもとにしています。)遺言の内容も現在の日本人が言い残せるか、と思わせるほど立派な内容ですが、遺言を伝え終わった平井が、仲間達全員に「お願いします」と頭を下げるシーンにいつも涙を誘われます。

今回は、短期間の公演ということもあってか、僕にとっては初めて観るというキャストもあり、興味深く見ました。先ずは、宋子明の日下武さん。出番は少ないですが、さすがの存在感です。次に神田の武藤寛さん。彼のダンスもとても素敵ですが、今回の神田、無骨さは少ないものの、無骨一辺倒ではなく、デリケートさを内包した新しい神田を演じていたように思います。そして、西村さんのナターシャ。とてもきれいなナターシャです。キャッツでの彼女のボンバルリーナもとても美しいのですが、こちらも負けず劣らず…彼女のナターシャを初めて観ましたが、期待にたがわずとても美しいロシア兵士で、それだけに監視役の厳しさが出ていたように思います。

今回は、とても短い公演期間で残念ですが、DVDも発売されていますし、再演を期待したいと思います。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

この物語は、第二次世界大戦前夜、日華事変が始まりきな臭い空気が世界を覆い始めた頃と、酷寒のシベリアで日本の捕虜たちが重労働を強いられた戦後の時期とを行きつ戻りつしながら進んでいきます。

1937年のニューヨーク。フォーゲル夫人主催のパーティで、プリンストン大学に留学していた九重秀隆とジュリアード音楽院に留学していた宋愛玲は、お互いの国籍も名前も知らないままに出会い、たちまちのうちに恋に落ちます。しかし、この出会いは日中和平工作を画策する諜報員であるフォーゲル夫人とワトソン教授によって図られたものでした。愛玲は愛し始めた九重が祖国を蹂躙する日本の人間だと知り、祖国への愛と九重との愛との間でとても苦しみます。しかし、彼への愛は何物にも換えがたいものであることを知るのです。しかし、歴史は二人がともに愛を育むことを許してはくれません。日本軍が上海へ進軍し、中国での戦闘が拡大し、愛玲は上海へ、九重は日本に帰らなくてはならなくなります。一時的に離れ離れのいなりますが、やがて二人は、日中和平のために再開することになります。二人のその後の運命は…

一方、戦後の酷寒のシベリアの地。九重秀隆も招集された後、捕虜となりシベリアに抑留されています。彼は、重労働を強いられながら、何度も何度も過酷な尋問を受け、ソ連の協力者になるよう強要されます。これを拒み続ける九重。抑留者の中には、ソ連に寝返り仲間達を密告する者、帰国を早めるためにソ連に迎合する者たちが数多くいました。そのような中でも、日本人の誇りを保とうと努力する人々もいたのです。抑留者の中の一部が帰国する時に、仲間らに遺言を託そうとする平井もそのような人々の一人でした。彼は、紙に書けば没収されるおそれがあるからと、遺言を覚えて帰って、家族に伝えてほしいと、仲間達に懇請します。彼を囲む仲間達は、その気持ちに応えようと暗誦を開始します。彼の遺言は、年老いた母には親孝行ができなくなった無念さと母への愛が、妻へは愛と感謝を、子供達へは厳しく深い愛と父親としての精一杯の気持ちが語られます。

厳しい自然、不十分な装備と重労働に厳しい尋問。過酷な状況の中で、九重は、果たして無事に日本の地を踏むことができるのでしょうか?

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2009年6月20日 (土)

誰もが通ってきたみち-“春のめざめ”を観る

P6131182 自由劇場で、劇団四季の“春のめざめ”を観てきました。キャストは、ベンドラに林香純さん、メルヒオールに柿澤勇人さん,マルタに撫佐仁美さん、モリッツに三雲肇さん、テーアに浦壁多恵さん、ハンシェンに一和洋輔さん、アンナに松田祐子さん、エルンストに竹内一樹さん、イルゼに石塚智子さん、ゲオルグに白瀬英典さん、オットーに玉井晴章さん、大人の女性に都築香弥子さん、大人の男性に志村要さん、女性アンサンブルに岸本美香さん、有村弥希子さん、男性アンサンブルに加藤迪さん、南晶人さん、でした。

誰もが経験するであろう思春期のあのもやもやとした思い。自分でコントロールしきれないほど体の奥底から湧き上がってくるマグマのようなエネルギー。成長と幼さのアンバランス…そしてかつて同じような思いを経験してきたであろうにもかかわらず、すっかりそれを忘れてしまい、既成の秩序やルールを押し付けようとする大人たち。その大人たちに対する怒り、あきらめ。思春期の様々な問題が大人たちの無理解によってさらに大きな悲劇が生まれていく。時代と国・人種を超えた共通した永遠のテーマをこのミュージカルは取り上げています。

先ず、このミュージカルは音楽が素晴らしい。音楽を担当したダンカン・シーP6131184 ク(Duncan Sheik)はこの作品でトニー賞の最優秀オーケストレーション・最優秀スコア賞を獲得していますが、ロック調の音楽がこの作品の雰囲気にぴったりです。“からだの声(The Word of Body)”とか“きっと愛が(I Believe)”、“青い風(Blue Wind)”や“明日へ(The Song of Purple Summer)”が好きです。

P6131181 ストーリーは、SEX、妊娠、世代対立、退学、自殺、性的虐待、同性愛等の問題が、次々と発生して、めまぐるしいストーリー展開はひところの民放某局の昼帯メロドラマをちょっぴり思い起こしたりしないではありませんが、何より嬉しかったのは、劇団四季の若手俳優さんたちが大健闘していたことです。最近、看板・中堅の俳優さんの退団が続いているようですが、若い芽もしっかりと育っているのだな、と思いました。

このミュージカルは、ステージ・シートがあります。これも楽しそうです。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

時は19世紀末、場所はドイツ。思春期の子供達は、教師達から画一的な価値観をおしつけられるような学校生活を送りつつ、閉塞間の中で、自分の体や気持ちに対する戸惑いを感じながら暮らしていました。

ベンドラもそのような子供達の一人。次第に成長していく自分の体に戸惑いを隠せません。お姉さんに二人目の子供が生まれたと聞いて、母親に子供はどうして生まれてくるのか聞きますが、母親ははぐらかして教えてくれません。

メルヒオールは教師の話したこと、教科書に書いてあることをただ覚えるように要求されるような学校の授業に疑問を持っています。ある日、学校でこのことを教師に話して、体罰を受けます。

ベンドラとメルヒオールは幼なじみです。ある日、偶然に森で出会った二人は話すうちにお互いに淡い気持ちを持ち合うようになります。

モリッツは性的な悪夢に悩まされていて勉強に集中できません。成績も落下の一方。ついに学校の教師から、学校の評判を落とすと言う名目で退学を言い渡されてしまいます。

父親による虐待に悩むマルタ。そして同性の友人オットーを愛してしまうハンシェン…

これらの若者の群像を中心に様々な問題が展開していきます。

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2009年5月31日 (日)

日比谷の「森」を再びおとなう-“この森で、天使はバスを降りた”を観る

P5301178 千秋楽前にもう一度観たくて行ってきました、シアタークリエ。“この森で、天使はバスを降りた”です。キャストは前回と変わりなく、パーシーに大塚ちひろさん、ハンナに剣幸さん、シェルビーに土居裕子さん、ジョーに藤岡正明さん、エフィーに田中利花さん、ケイレブに宮川浩さん、訪問者に草野徹さん、です。

前回観たときよりもさらに感動しました。皆さん、熱演でしたが、特に、土居裕子P5171175 さんが歌う“Wild Bird”はとても良かったと思います。土井さんの清澄な歌声がこの歌にぴったりです。剣幸さんが歌う“日が暮れたよ”も子を思う母親の気持ちが表れていて前回同様、感動しました。

人はそれぞれが心に傷を抱えながら、懸命に生きている。けれど、その深い傷も周囲の人々や自然によってやがて癒され、また希望をもつことができるのだ-そんな思いが舞台から観客にさぁっと行き渡っていくような、そんな作品です。この舞台のテーマは、パーシーが山の上で朝の光を浴びながら歌う“ひかりよ照らして-Shine On Me-”によく表われているように思います。

光 あふれ

森が輝く

夢見た 世界 ずっと

抱えてる 心の闇

底なしの 谷に似ている

わかってる あたしの罪は 償えない

消せはしない

今 広がる 朝の光

染めて 世界を金色に

どうか今

こんなあたしでも 生きてていいと

信じさせて

光よ 照らして

ねぇ 生きてていいと 信じさせて

昔から ひとりだったよ

いいことなんて 何もなかった

誰ひとり 信じられずに

諦めてた どんな明日も

今 心に届く光

染めて 世界を金色に

どうか今

こんなあたしでも 生きてていいと

信じさせて

お願い照らして

ねぇ 生きてていいと 信じさせて

光よ 照らしてShine

あたしを 照らしてShine

光よ 照らしてShine

心を 照らしてShine

Shine! Shine! Shine!

この世界に生まれた日の

心のまま 生きたい ずっと

(シアタークリエ“この森で、天使はバスを降りた-THE SPITFIRE GRILL-”プログラムより抜粋)

今日が千秋楽。この素晴らしい作品が近いうちに再演されることを願って止みません。CDDVDも発売されないかな。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

517日の記事をご覧ください。

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2009年5月17日 (日)

日比谷の街で“生き直す”-“この森で、天使はバスを降りた”を観る

P5171173 “この森で、天使はバスを降りた”を観てきました。音楽・脚本はジャイムズ・ヴァルク(James Valcq)、作詞・脚本はフレッド・アレイ(Fred Alley)、演出は藤井清美さん。キャストは、パーシーに大塚ちひろさん、ハンナに剣幸さん、シェルビーに土井裕子さん、ジョーに藤岡正明さん、エフィーに田中利花さん、ケイレブに宮川浩さん、訪問者に草野徹さん、です。

癒しと救い、そして再生のドラマ-このミュージカルを一言で表現するならば、こういう言葉になるでしょうか。それぞれに過去に傷を負い、その傷を今に引きずっているパーシーとハンナ。そして、夫に隷属して、自分を殺し、いつも何かに怯えるように暮らしているシェルビー。こんな三人も、心に悩みを抱えながらも日々の暮らしを送っていかなければならない。劇中のパーシーの「深い傷を負ったら、それが治るときは、その傷を負った時と同じくらいの痛みを感じる」という言葉通りの人生です。しかし、そんな人生でも、懸命に生きていくことによって、人は、皆救われて、再生していくのだ…そんな思いを抱かせてくれるミュージカルです。派手さはないけれど、とても感動的な作品だと思います。歌も素敵な歌がたくさんありました。過去を告白し、悲しみを新たにするパーシーを励ます際にシェルビーが歌う“ワイルド・バード(Wild Bird)”は、土居さんの素晴らしい歌声にあいまって、とても感動的です。また、剣さんの“日が暮れたよ(Way Back Home)”は、子供を思う母親の気持ちが切々と伝わってきます。そして、ラストで大塚さんによって歌われる“ひかりよ照らして(Shine On Me)”は救いと希望に満ちていて、このドラマのフィナーレにまさにふさわしい歌といえるのではないでしょうか。

今回は、出演した全ての役者さんが良かったと思います。シェルビーの土居さP5171175 んは、演技はもちろんですが、たくさんのナンバーを美しく、時に、感動的に歌っていました。最初の夫の顔色をうかがって、おどおどしたシェルビーが、やがて、明るく活き活きと生きていく姿をとても素直に表現されていたように思います。剣幸さんは、少し頑固で、でも、とても愛情深い食堂(レストランというよりは、食堂という言葉がぴったり)の女主人をとてもリアルに演じていました。大塚さんはこの二人に同等に渡り合っていたように思います。宮川さんは、自分がかくありたいという男になろうと努力しているのになれない、というコンプレックスを持った“マッチョな”(肉体的にではなく)男を好演です。藤岡さんは、やっぱり“少しやんちゃな”保安官。(と言ったら、彼のファンに怒られるかな?)そして、田中利花さん。彼女は、レ・ミゼラブルのマダム・ティナルディしか知りませんでしたが、とても歌も演技も上手い女優さんですね。今回も、噂好きで、善意ではあるのだけれど時に人を傷つけてしまう無神経さを持っているおばさんを演じたのですが、とてもリアルティがありました。

このミュージカル、とても良い作品です。僕は東宝から何かをもらっているわけではありませんが、より多くの人にこの作品を味わってほしいと思います。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

美しい森のある、けれど何もない小さな小さな田舎町、ギリアド。この町に、最終バスでやってきたのはパーシー、彼女はある罪を犯し、服役を終えたばかり。服役中に見たこの町の森の紅葉の美しさに魅かれて、この町で新しい人生をやり直そうとやって来たのです。彼女を迎えたのは、保安官のジョー。彼は、彼女の働き先として、この町にただ一軒の食堂、“The Spitfire Grill”を紹介します。この食堂のオーナーがハンナ、頑固なところはあるけれど愛情深い女性です。しかし、彼女は心に深い傷を負い、その苦しみを内に秘めながら生きているのです。そんなハンナの食堂の常連の一人はケイレブ。彼はハンナの甥。彼は、一見“強い男”ではありますが、彼も心のうちに強いコンプレックスを持っていました。そして、もう一人の噂好きのエフィー。彼女は、気が良くて、そして、好奇心一杯で毎日動き回りますが、それが時として人を傷つけます。ケイレブとエフィはよそ者であるパーシーを敵視します。

ある日、ハンナが足を骨折して動けなくなります。ハンナが動けない間、食堂の切り盛りを任さられるパーシー。彼女の手伝いにやってきたのがケイレブの妻のシェルビーです。シェルビーは強権的な夫に隷属していて、常に自分を押し殺し夫の顔色を窺い、何かに怯えたようにおどおどして生きています。パーシー、シェルビー、ハンナは、食堂を切り盛りしていく間にいつの間にか気持ちを通わせるようになります。ハンナの食堂を手放したいという気持ちを知ったパーシーは、一口100ドルで、食堂についてのエッセイコンテストを行い、最優秀者に食堂を譲ることを提案し、このコンテストが実施されることになります。

やがて、季節はめぐり、ハンナの食堂に全米各地からエッセイが舞い込むようになります。そのエッセイにもその作者の様々な人生が描かれているのです。そして、パーシー、ハンナにも、深い心の傷がある。それぞれにその心の闇を告白する時がやってきます。

それぞれの心の傷とは何なのか…パーシー、ハンナ、シェルビーはそれぞれの新しい人生を歩み始めることができるのでしょうか…?

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2009年5月10日 (日)

中世の男の美学に酔う-ミュージカル“シラノ”を観る

P5091166 ミュージカル“シラノ”を観ました。世界初演、エドモン・ロスタンの名作“シラノ・ド・ベルジュラック”のミュージカル版です。作曲は“ジキル&ハイド”や“ルドルフ-ザ・ラスト・キッス”のフランク・ワイルドホーン(Frank Wildhorn)、台本・作詞は、“ジキル&ハイド”でワイルドホーンとコンビを組んだレスリー・ブリッカス(Leslie Bricusse)、日本版の演出は山田和也さんです。主なP5091164 キャストは、シラノ・ド・ベルジュラックに鹿賀丈史さん、ロクサーヌに朝海ひかるさん、クリスチャン・ド・ヌーヴィレットに中河内雅貴さん、ル・ブレに戸井勝海さん、ラグノーに光枝明彦さん、ド・ギッシュ伯爵に鈴木綜馬さん、です。

愛を語るということが美しい言葉を紡ぐということだった時代に生きたシラノといP5091163 う誇り高き男がつらぬいた一人の女への愛を描いたミュージカルです。まさにダンディズム、やせ我慢の美学といでもいえるようなシラノの生き方を鹿賀丈史さんが好演していました。鹿賀丈史さんは、誰を演じても「鹿賀丈史の」という言葉がついてしまうように思いますが、今回はピタリと嵌まっているように思います。どんなに愛の言葉を紡いでも、その対象であるロクサーヌは、その言葉をクリスチャンの言葉と考えて、クリスチャンへの愛を深めていきます。そのことを知りながら自らの愛をつらぬき、ロクサーヌへの愛を語るシラノの姿はとても格好いいのですが、同時に、時に涙も誘います。しかし、もっとも悲しい姿はクリスチャンなのかもしれません。ロクサーヌがいかに自分を愛しても、本当に彼女が愛しているのは自分の口を借りて愛を語るシラノなのだという思いに直面せざるを得ないのですから…

シラノという男の美学に酔える舞台です。音楽も美しいメロディの曲が多く、楽しめました。また、鈴木綜馬さんも印象に残る演技でした。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

時は17世紀、愛を語ることが美しい言葉を紡ぐ時代であった頃、文武ともに秀でた才人であったシラノ・ド・ベルジュラックはいとこのロクサーヌを愛していました。しかし、シラノは、自分の醜く大きい鼻を恥じて、ロクサーヌにその愛を告げられません。一方、ロクサーヌはシラノと同じ中隊に勤務するクリスチャンに恋をして、シラノに取次ぎを頼みます。涙を呑んでその言葉をクリスチャンに伝えるシラノ。しかし、外見は美しいものの口下手のクリスチャンは、ロクサーヌに愛を語ることができません。そこで、クリスチャンはシラノの言葉を借りて、ロクサーヌへ愛を語りかけます。やがて二人は恋に落ちていくのです。

やがて、シラノの中隊は戦地に赴くことになります。その直前に、ロクサーヌはクリスチャンと結婚します。

激しい戦闘が行われる戦場でもシラノはロクサーヌへの愛を綴った手紙を出し続けます。しかし、クリスチャンの名前で。いよいよ戦闘は激化していきます。シラノとクリスチャンの生死は?そして、シラノの愛の行方は…??

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2009年4月26日 (日)

僕のミュージカル観劇の原点の一つ-“マイ・フェア・レディ”を観る

P4251143 久しぶりに帝国劇場に行ってきました。“マイ・フェア・レディ”を観てきました。主な出演者は、イライザに大地真央さん、ヒギンズ教授に石井一孝さん、ピカリング大佐に羽場裕一さん、ドゥーリトルにモト冬樹さん、フレディに姜暢雄さん、ヒギンズ夫人に草村礼子さん、ゾルタン・カーパシーに藤木孝さん、ピアス夫人に春風ひとみさん、ハリィに治田敦さん、ジェミィに渡辺隆さん、アインスフォードヒル夫人/トランシルバニア女王にちあきしんさん、です。

この作品は、ロンドンに住んでいた頃、“レ・ミゼラブル”とならんで僕を励ましてくれ、同時に、ミュージカルの魅力を教えてくれた、とても思い入れのある作品です。ロンドンで観た、あの洗練された、そして、タップダンスがたっぷりの迫力ある舞台は、あのTheatre Royal Drury Laneの歴史ある重厚な雰囲気ともに、今でも、しっかりとこの胸に蘇ってきます。ですから、どうしても、その舞台と比較してしまいます。

P4251137 この作品のテーマは、言葉とそれに密接に結びついたイギリス社会の階級です。ですから、これを英語以外で演じるとことは、単純に翻訳の問題だけでない困難がつきまとうことと思います。たとえば、コベントガーデンのシーンでイライザと彼女の仲間達が歌う“ラブリー”も言葉も文法も不正確で、まさに教育を受けていない人達の英語です。イライザがその仲間達と実に楽しそうに歌いあげます。そして、この歌は、イライザが舞踏会で成功を収めた後にヒギンズ教授の家を飛び出してやってきたコベントガーデンで仲間達にも気づかれず、もはや自分のいる場所でないことを悟ったイライザによって、その一節が歌われます。ただ、この時に歌うイライザの英語は、正確な美しい英語になっています。言葉によっても、イライザが以前暮らした世界に戻れないことを示しているのです。ちなみに、東宝のプログラムにはこの歌のタイトルを“ラブリー(It Wouldn’t Be Lovely)”としていますが、これは、“ラヴァリー(It Wouldn’t Be Loverly)”とすべきではないでしょうか。もちろん、loverlyという言葉はありません。正確にはlovelyです。しかし、先にも書いたようにこの歌は、教育のない人たちが自分達の言葉で歌う歌です。イライザも“lovely”(=素敵な)というつもりで、“loverly”と歌うのです。ロンドンで買った譜面集にもloverlyとなっています。せめてタイトルは正確に表記すべきだと思います。

今回の出演者の中では、モト冬樹さんのモト冬樹さんのドゥーリトルはとても素敵でした。ただ面白いだけの人物でもなく、破天荒なだけの人物でもない、なんとも味のあるドゥーリトルがそこにいました。案外、モト冬樹さんのハマリ役になるのではないでしょうか。

この作品は、とても洗練された素晴らしい作品だと思います。これからも、ずっと上演されていきますように…

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

舞台は、ロンドンのコベントガーデンにあるオペラハウス。舞台がはねて、外に出てきた着飾った観客達は突然の雨に右往左往しています。その中を、花売り娘のイライザは花を売っています。コベントガーデンの市場で下町英語の訛りを研究していたヒギンズ教授は、インドの言語を研究しているピカリング大佐と出会います。二人は初対面ではありましたが、お互いの研究成果を通じて良く知る仲。すぐに意気投合して、ピカリング大佐はホテルを引き払い、ヒギンズ教授の自宅に行くことになります。そこで、イライザのひどい訛りを聞いたヒギンズ教授は、「彼女でさえ、きれいで正確な英語を話せるようになれば、きちんとした花屋で花を売ることができるようになるのだ。」と言います。その言葉を聞いたイライザは、翌朝、ヒギンズ教授を訪ねて、英語を教えて欲しいと頼みます。ヒギンズ教授は、イライザを6ヶ月で貴婦人のようにできるかどうかを、ピカリング大佐と賭けをすることになります。その日から、ヒギンズ教授の特訓が始まります。ヒギンズ教授の厳しい指導。これに時に反発し、時にくじけそうになるイライザ。彼女を優しく励ますピカリング大佐。果たして、イライザは美しく、正しい英語を身につけ、貴婦人となることができるのでしょうか…

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2009年4月19日 (日)

この世の中で、“邪悪なもの”とは…-ミュージカル“ウィキッド”を観る

P4181134 劇団四季の“ウィキッド”を観てきました。主なキャストは、エルファバに濱田めぐみさん、グリンダに沼尾みゆきさん、ネッサローズに山本貴永さん、マダム・モリブルに八重沢真美さん、フィエロに李涛さん、ボックに金田暢彦さん、ディラモンド教授に前田貞一郎さん、オズの魔法使いに飯野おさみさん、でした。エルファバ、グリンダ、ネッサローズ、フィエロにボックは、CD録音にも参加しているオリジナルキャストという布陣でした。

それにしても、濱田さんの歌はすごい!とてもパワフルな歌で圧倒されました。特P4181133 に、第一幕の最後の“自由を求めて”は本当に素晴らしかったと思います。また、ネッサローズ役の山本貴永さんの歌も印象的でした。

“ウィキッド”(WICKED)とは、「邪悪な」とか「悪い」「不正な」「不道徳な」という意味です。この物語の中で、一体誰が邪悪なのか?ということを考えずにはいられません。善の象徴とされるグリンダも、初めはエルファバをいじめる側にいました。また、彼女の言動の端々に小ずるさが見え隠れします。P4181136 一方で、正義のために戦うエルファバは、時の権力者によって邪悪な魔女に仕立て上げられてしまいます。時の権力者やマスコミの声(=宣伝?)を無批判にそのまま受け入れて、エルファバを追い詰めていく民衆。人間の社会が抱える根の深い問題を目の前に突きつけられているように思います。それにしても、このお話の中で、もっとも不幸で、孤独なのはグリンダなのかもしれません。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

オズの国のシズ大学にグリンダとエルファバ、そして、足の不自由な彼女の妹のネッサローズが入学してきます。緑色の肌をしたエルファバをグリンダをはじめとする周囲の人たちは好奇の目で見て、仲間はずれにします。一方、美人で要領のよいグリンダは皆の人気者。ひょんなことから二人はルームメイトになってしまいます。人気者のグリンダではありますが、一つかなわぬ願いが。それは、魔法を習うこと。学長のマダム・モリブルは、エルファバこそ魔法の才能があるのだと、彼女しか教えなかったからです。やがて、シズ大学にウィンキー国の王子、フィエロが転校してきます。少々軽いところはあるもののハンサムな彼を自分に振り向かそうとグリンダは一生懸命です。

こうして彼らが学生生活を送っている間に、世の中では少しずつ変化してきます。これまで仲良く共存してきた動物達が、人間の言葉を話すことを禁じられてしまったのです。そして、エルファバが慕っていた歴史の先生である山羊のディラモンド教授も大学を追われ、囚われてしまいます。何か得体の知れぬ変化を感じ始めたエルファバのもとに、オズの魔法使いから、エルファバに会うという知らせが届きます。この名誉に驚喜するエルファバ。エルファバは、オズの魔法使いにあったら、今のこの状況を伝えて、ディラモンド教授達を助けてもらおうと、グリンダとともにオズの魔法使いが住むエメラルドシティに向かいます。しかし、このエメラルドシティでの出来事が、エルファバとグリンダの運命を大きく変えていきます。

果たして、オズの魔法使いは、エルファバの願いを聞きとげてくれるのでしょうか…

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2009年4月 5日 (日)

少し早いですが、僕にとっての千秋楽

P4041124_01 “キャッツ”を観てきました。キャストは、グリザベラに木村智秋さん、オールドデュトロノミーにチェ・ソンジェさん、ジェリーロラム=グリドルボーンに秋夢子さん、バストファジョーンズ、アスパラガス=グロールタイガーに寺田真美さん、ジェニエニドツに小松陽子さん、マンカストラップに西門宇翔さん、ランペルティーザにチェ・ウンヘさん、ラム・タム・タガーに荒川務さん、ディミータに有永美奈子さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェリーに川東優希さん、シラバブに五所真理子さん、スキンブルシャンクスに劉昌明さん、タントミールに八鳥仁美さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに王堃さん、ランバスキャットにユ・ホンチョルさん、ヴィクトリアに千堂百慧さん、カーバケッティに齊藤太一さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに金久烈さん、タンブルブルータスに川野翔さん、でした。

キャストもずい分と変わり、グリザベラをはじめとして新しい人達が増えていまP4041126 した。正直言って、少し、「あれあれ…」と思わずにはいられないところもありましたが、やはり、キャッツは面白い。荒川務さんのラム・タム・タガーはますますパワーアップしいましたし、秋夢子さんは相変わらず美しく、声のとてもきれいなジェリーロラム=グリドルボーンでした。前にも書いたように、僕の最も好きな場面は、劇場ネコのガスとグロールタイガーの場面ですので、ジェリーロラム=グリドルボーンも注目の役です。そして、大好きな西村麗子さんのボンバルリーナ!彼女のボンバルリーナはセクシーで妖艶で(同じ意味か…)、ダンスも上手く、いつ観ても素敵です。今回、彼女のボンバルリーナを観ることができてラッキーでした。

キャッツの衣装は一部の例外を除いて、俳優さんたちの体の線をごまかせない衣装です。俳優さんたちの鍛えられた体の線がくっきりと出てしまうという意味では、俳優さんたちもとても厳しい衣装ではないでしょうか。そんな衣装に身を包んで鍛えられたダンスを観ることもキャッツの間隙の楽しみの一つではないでしょうか。

P4041127 延長公演のチケットは予約できず、千秋楽までチケットは完売とのことですので、今回が僕の最後の“キャッツ”(多分)ということになります。佐渡寧子さんがグリザベラで出演していたこともあって、この10ヶ月ほど、集中して観にいきましたが、いつもネコ社会の中に入り込み、楽しむことができました。そんな時間をくれたキャストとスタッフの皆さんにありがとうと伝えたいと思います。

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2009年3月22日 (日)

またも一途な愛を観る-“マルグリット”を観て

P3221118 日生劇場で、“マルグリット”を観てきました。アラン・ブーブリル、クロード=ミッシェル・シェーンベルグ、ジョナサン・ケントの脚本で、音楽はミッシェル・ルグラン、そして、演出はジョナサン・ケントという作品です。キャストは、主役のマルグリットに春野寿美礼さん、アルマンに田代万里生さん、オットーに寺脇康文さん、ピエロに山崎裕太さん、ルシアンにtekkanさん、アネットに飯野めぐみさん、ジョルジュに横内正さん、です。

全編に、ミッシェル・ルグランの美しいメロディが流れます。美しく、そして、P3221117 哀しいメロディが多く、デュマ・フィスの名作“椿姫”を下地にした悲しいストーリーに良く似合っています。ただ、劇場の音響のせいでしょうか?この作品に限らないことですが、この劇場では、歌詞が良く聞き取れないことが度々あります。特に、第一幕の最後のマルグリット、アルマン、ルシアン、アネットによるクヮルテットの“どうか無事で”は、ほとんど歌詞を聞き取れずに残念でした。

この作品は、ブーブリルとシェーンベルグのコンビの作品ということで、過大な期待を抱いていたのかもしれません。作品自体は決して悪くないのに、どうしても、“レ・ミゼラブル”や“ミス・サイゴン”の二作品と同等の作品を期待してしまいます。これらのお化け作品と匹敵するような作品はそうそう生まれないということでしょうか…

P3221116 春野寿美礼さんは、今回初めて観ましたが、とても美しい人です。歌も上手いです。そして“宝塚”の空気を十分に残している女優さんですね。でも今回の役はまさにはまり役。妖艶でありながら、心の奥底に純粋さを持つマルグリットを好演しています。田代万里生さんも歌のとても上手い俳優さんです。これからが楽しみな男優さんだと思います。それから、飯野めぐみさん。演技も歌も素敵でした。彼女のソロの“どうか無事で”は胸に迫ってきました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

時は第二次世界大戦、所はナチス占領下のパリです。かつて絶大な人気を誇った歌姫マルグリットは今はドイツ軍の将軍であるオットーの愛人となっています。何不自由無い生活で、多くの取り巻きに囲まれながら、しかし、愛の無い虚ろな毎日を送っています。彼女が40歳の誕生日の夜。取り巻きの人々が集まり、誕生日のパーティが開かれています。そこに呼ばれたバンドのピアニストとしてやってきたアルマン。彼は、歌姫であった当時のマルグリットに憧れを抱いていたのです。その夜、イギリス軍の空襲がパリの街を襲います。防空壕に入るのを嫌ったマルグリットはアルマンと二人で客間で空襲が止むのを待ちます。そんな中で、自分の気持ちを訴えるアルマン。そして、若いアルマンの一途な気持ちに最初はためらいながらも、遂に受け入れる決意をするマルグリット。これをきっかけとして、マルグリットとアルマン、そして、彼らの周囲の人々の運命の歯車が大きく動き始めます。マルグリットとアルマンは二人の愛を実らせることができるのでしょうか?そして、アルマンの姉のアネットとその恋人ルシアンの愛も実る日が来るのでしょうか?

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2009年3月 8日 (日)

華麗なショウに時間を忘れ-“ソング&ダンス 55ステップス”を観る

P3071112 劇団四季の“ソング&ダンス 55ステップス”を観てきました。ヴォーカルパートは、福井晶一さん、芝清道さん、李涛さん、井上智恵さん、早水小夜子さん、花田えりかさん。ダンスパートは、岩崎晋也さん、大塚俊さん、朱涛さん、西尾健治さん、萩原隆匡さん、厂原時也さん、斎藤洋一郎さん、徳永義満さん、神谷凌さん、坂田加奈子さん、高倉恵美さん、泉春花さん、加藤久美子さん、須田綾乃さん、恒川愛さん、駅田郁美さん、今彩乃さん、織田なつ美さん、柴田厚子さん、でした。

劇団四季のレパートリーのエッセンスを集めたステージ。華麗な、そして、楽しいショウでした。オリジナルの舞台とは、衣装も舞台の背景も演出も違ってはいますが、かえってそれが、オリジナルの舞台とはまた異なる魅力がありました。

P3071114_2 ライオンキングの“シャドーランド”のダンスはとても印象的でしたし、マンマ ・ミーア!の“手をすり抜けて”の早水さんと花田さんのデュエットは、しみじみとしていて、特に、ドナの娘を思う気持ちがこちらにも伝わってきました。また、井上智恵さんがマリア役となったサウンド・オブ・ミュージックの“ドレミの歌”では、観客もステージに上げて、とても楽しいワン・シーンとなりました。サウンド・オブ・ミュージックも、現在、ロンドンでアンドリュー・ロイド・ウェバーのプロデュースで上演されていますから、また、劇団四季のレパートリーになるのかもしれません。キャッツの“メモリー”は早水さんがグリザベラ役、花田さんがシラバブ役でしたが、これもとても感動的でした。

この種の作品は、歌がどんなに上手くても、ダンスが良くないとしまらなくなってしまうのではないでしょうか。今回は、ダンスもとても迫力がありました。特に、今回のステージで僕が注目していたのは、須田綾乃さんのダンスです。須田さんは、異国の丘の公演の際のアレキサンダーズ・ラグタイムバンドでの彼女のダンスを見て以来、注目しています。踊りがダイナミックで美しいし、笑顔がとても素敵な女優さんです。今回も随所に素敵なダンスを披露してくれていました。プログラムの経歴をみると2005年に研究所入所とのことですから、まだまだ、これからの女優さんのようですが、とても楽しみな女優さんです。

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2009年2月25日 (水)

もう一度…佐渡さんのグリザベラ

21日に“キャッツ”を観てきました。キャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールドデュトロノミーにチェ・ソンジェさん、ジェリーロラム=グリドルボーンに木村花代さん,バストファージョーンズとアスパラガス=グロールタイガーに田島亨祐さん、ジェニエニドッツに小松陽子さん、マンカストラップに荒川務さん、ランペルティーザに石栗絵理さん、ラム・タム・タガーに武藤寛さん、ディミータに団こと葉さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに増本藍さん、マンゴジェリーに百々義則さん、シラバブに谷口あかりさん、スキンブルシャンクスに嶋崎孔明さん、タントミールに大橋里砂さん、コリコバットに入江航平さん、ジェミマに王堃さん、ランバスキャットにユ・ホンチェルさん、ヴィクトリアに石川縁さん、カーバケッティに花沢翼さん、蒼井蘭さん、ギルバートに瀧澤虎太郎さん、マキャヴィティに片山崇志さん、タンブルブルータスに大森瑞樹さん,でした。

今月初めから佐渡寧子さんが出演していたため、何とか観に行きたいと思っていたのですが、千秋楽を4月に控えてプラチナチケットと化しているキャッツのチケット。なかなか入手できず、半ば諦めていたところ、キャッツ大好きの知人が行けなくなったからとチケットを回してくれました。いやぁ、祈れば通じるものです。

P9130902 佐渡さんのグリザベラはやはりとてもとても素敵でした。歌がうまいし、年老いてうらぶれていても、どこか気品のあるグリザベラです。彼女のメモリーは、少なくとも僕が知る限りでは、他の追随を許さないものがあるように思います。何度聞いても感動するメモリーです。今回の席は、前から5列目の下手寄り端の席でしたので、グリザベラの立ち位置に近く、佐渡さんのグリザベラを堪能しました。

…と毎度同じことを書いていても「またか!」と思われますね。でも、ファンなんだからしょうがないですよね。ところで、今回は、初めて木村花代さんのジェリーロラム=グリドルボーンを観ました。木村花代さんは佐渡さんと同じ役のことが多いので、二人を同じステージで見ることは少ないのではないかと思います。木村さんは、どんな役をやっても軽やかな雰囲気になるような気がします。今回の役柄も他の女優さんとはどこか少し違った-でも、とても素敵な-ジェリーロラムでした。また、増本藍さんのボンバルリーナもきれいだったと思います。僕は、西村麗子さんのボンバルリーナが大好きなのですが、増本さんもとてもきれいでした。

ところで、今回初めて知ったのですが、ネコ社会では、グリドルボーンって、小悪党の扱いなのですね。マキャヴィティの歌で、ボンバルリーナとディミータが“今まで この世に 悪人がいたが どうでしょうマンゴジェリー どうでしょうグリドルボーン こんな奴らはみんな小物 マキャヴィティこそはナポレオン・オブ・クライム”と歌っています。グロールタイガーの純情を弄んだからでしょうか?ただ、僕には、彼女が悪党(たとえ小粒であっても)とはとても思えないのですが…

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2009年1月25日 (日)

ミュージカル好きの熱い思いに共感-“ドロウジー・シャペロン”を観る

P1241060 “ドロウジー・シャペロン”を観ました。宮本亜門さんの演出で、主なキャストは、ナレーターに小堺一機さん、ブロードウェイのスターで花嫁ジャネットに藤原紀香さん、花嫁介添人ドロウジーに木の実ナナさん、トッテンデール夫人に中村メイコさん、執事アンダーリングに小松政夫さん、ジャネットの花婿ロバートになだぎ武さん、花婿介添人に川平慈英さん、ラテン系のジゴロ、アルドルフォに梅垣義明さん、プロデューサー、フェルドジーグに尾藤イサオさん、その愛人キティに瀬戸カトリーヌさん、飛行士アビアトリックスに浦嶋りんこさん、ギャングコンビにテツandトモさん、でした。

このミュージカルが、同名の劇中劇が演じられるわけですが、この劇中劇がとてもP1241070 面白いのです。いわゆる“Boy meets Girl”の典型的なミュージカルの典型的な要素をふんだんに盛り込んだパロディであるわけで、ミュージカル好きの人は「うん、うん」とうなずきながら笑ってしまうのではないでしょうか。

藤原紀香さんは歌も(本職の歌手に比べると…というような部分もあるにはありましたが)なかなか素晴らしいものでした。僕は彼女をテレビでしか見たことがありませんでしたが、彼女は、スタイルも抜群で、舞台映えのする美しい女優さんですね。瀬戸カトリーヌさんがとても良かったように思います。少し軽めの、売れない女優でプロデューサーの愛人という役をとても活き活きと演じていました。ダンスもなかなかで、彼女、光っていました。そして、木の実ナナさん。歌も演技も貫禄を感じさせます。この人がいたので、ステージがぐっと引き締まっていたのではないか、と思います。

P1241062 しかし、このミュージカルの主役は、何と言っても小堺一機さんなのではないでしょうか。少しかすれた低音で語るミュージカル“ドロウジー・シャペロン”への熱い思い。ミュージカルに対する強い愛情が伝わってきて、同じミュージカルを愛する人間として共感を感じました。最後に彼が演じるナレーターの言葉を。(記憶に頼っているので正確でないかもしれませんが…)

「ミュージカルに大切なことは、僕達を別の世界に連れて行ってくれること。楽しいお話とほんの少し耳に残る音楽でブルーな気持ちを楽しい気分にさせてくれること。それだけでいい。」

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

場所はニューヨークのとあるアパートの一室。ミュージカル・オタクの男の部屋です。この男は、自分が愛する古きよき時代のミュージカル“ドロウジー・シャペロン”のレコードに針を置き、このミュージカルについて語り始めます。すると、この部屋が“ドロウジー・シャペロン”の舞台に変わってしまいます。

ブロードウェイのスター、ジャネットは、避暑地でロバートと出会い、恋に落ちます。ジャネットはロバートとの結婚のために引退を決意。花婿介添人のジョージは上手くできるか、大騒ぎ。花嫁介添人のドロウジーはカクテルを片手にどっしりと構えています。ドル箱女優のジャネットの結婚・引退を阻止しようとするプロデューサーはラテン系のジゴロを彼女の寝室に送り込みます。一方、花嫁と花婿は結婚式まで顔を合わせてはいけないというしきたりに則り、花婿ロバートは目隠しをします。これが、また騒動を引き起こし…

こんな、古き良き時代のミュージカルの典型のミュージカルについて語るナレーターですが、途中で電話、レコードの針飛び、停電、来客などの現実世界が進入して、そのつど、彼の思いは中断してしまいます。果たして、彼は、彼の思いの全てを語り終えることができるのでしょうか?

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2009年1月 3日 (土)

今年最初の観劇は…

明けましておめでとうございます。今年もこつこつと書いていきたいと思いますので、ごひいきのほど、よろしくお願いいたします。

P1021051_2 さて、今年初めての観劇は、キャッツ・シアターでの“キャッツ”でした。キャストは、グリザベラに織笠里佳子さん、オールドデュトロノミーに種井静夫さん、ジェリーロラム=グリドルボーンに金平真弥さん、バストファージョーンズ、アスパラガス=グロールタイガーに飯田洋輔さん、ジェニエニドッツに鈴木由佳乃さん、マンカストラップに荒川務さん、ランベルティーザに柏円さん、ラム・タム・タガーに福井晶一さん、ディミータに原田麦子さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェリーに武藤寛さん、シラバブにP1021058 谷口あかりさん、スキンブルシャンクスに岸佳宏さん、タントミールに大橋里砂さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに撫佐仁美さん、ランバスキャットに高城将一さん、ヴィクトリアに千堂百慧さん、カーバケッティに齊藤太一さん、カッサンドラに大口朋子さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに金久烈さん、タンブルブルータスに松永隆志さん、でした。

劇団四季は、年末年始も休まずに公演しているので、New Year観劇には最適です。先行予約の際に入手したチケットでの観劇でした。今日も満員のキャッツ・シアター。ただ、佐渡寧子さんのグリザベラを観ることができなかったことは、僕にとっては、寂しいところでした。織笠里佳子さんのグリザベラを観るのは初めてP1021054 でしたが、僕の中でのグリザベラ像は佐渡寧子さんの演じるグリザベラですので、どうしても比べてしまいます…今回は、ボンバルリーナに西村麗子さんが復帰していました。彼女のボンバルリーナは、とても美しくて妖艶で大好きです。

Pc201031 さて、何度か書いてきましたが、僕の好きなシーンは、老俳優猫のアスパラガスの場面です。ジェリーロラムの歌で紹介される老いさらばえた俳優猫のガスことアスパラガスは、自分の華やかなりし時代をしみじみと振り返ります。そんなガスにジェリーロラムはいたわるように寄り添い、その述懐を静かに聴きます。この場面がPc201030 しみじみとしていて、実にいいのです。これから劇場に足を運ばれる方は、ぜひ、この場面でガスを見上げるジェリーロラムの表情に注目してください。実に可愛らしい表情です。僕は、谷内愛さん、秋夢子さん、金平真弥さんと三人のジェリーロラムを観ていますが、どの女優さんもこの場面は優しさに満ちたとても素敵な表情をしています。そして、ガスの一世一代の大芝居であったグロールタイガーの場面に急転します。ここは京劇を思わせるような殺陣も見ものですが、グロールタイガーとグリドルボーンの掛け合いが大好きです。この老海賊がめぐり会った美しい雌猫のグリドルボーンへの老いらくの恋。グPc201024 ロールタイガーは、きっと全てを捨てても良い、とグリドルボーンへの愛に全てを注ぎ込んだに違いありません。しかし、グリドルボーンにはグロールタイガーのような一途な思いはありません。グロールタイガーの強さにあこがれたのか、財力にか。それとも、稀代の海賊の恋人という名声が欲しかったのか…それが証拠にグロールタイガーが宿敵シャムネコ軍団に囲まれると、さっさと逃げてしPc201026 まいます。それでもグロールタイガーは、グリドルボーンが安全に逃げ延びたであろうかと心配して…まさに男の純情という感じです。こうして激しい殺陣の場面が終わると、舞台は暗転。舞台の中央にはガスの姿が…彼のつぶやきのような歌でこの場面が終わります。

この場面に限らず、様々な猫の姿を描いた群像劇であるこのミュージカルは、この場面だけでなく、名場面が目白押しです。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

ある満月の夜、ネコ達が街の片隅に集まってきます。年に一日だけ開かれる舞踏会に出席するためです。そして、そこでは、毎年一匹だけ、天上に昇り、再生し、新たな人生を生きることのできるネコが選ばれるのです。様々なネコが集まってきます。いつも寝てばかりいる気のいいおばさんネコ、つっぱりネコ、長老ネコ、泥棒ネコ、名士のネコ、老役者のネコ、鉄道ネコに犯罪王、手品師、などなど、人間の世界に負けず劣らずの多種多様のネコ達が集まってきます。そして、忘れてはならない、老いさらばえた娼婦のネコ、グリザベラ。一体、天上に昇ることが許されるのは、誰なのでしょうか…

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2008年12月27日 (土)

油の乗った名優の共演に酔う-“ラ・カージュ・オ・フォール”を観る

Pc231036 “ラ・カージュ・オ・フォール”を観てきました。キャストはジョルジュに鹿賀丈史さん、ザザことアルバンに市村正親さん、アンヌに島谷ひとみさん、ジャン・ミッシェルに山崎育三郎さん、ジャックリーヌに香寿たつきさん、シャンタルに新納慎也さん、ハンナに真島茂樹さん、ダンドン議員に今井清隆さん、ダンドン夫人に森公美子さん、ジャコブに花井京乃助さん、ルノーに林アキラさん、ルノー夫人に園山晴子さん、フランシスに日比野啓一さん、です。

とても面白かった!良い作品だと思います。まずは、ジェリー・ハーマンの音楽がPc231049 とても美しいと思います。“ありのままの私”、“砂に刻む歌”、“今この時”、“見てごらん”など美しい曲が揃っています。特に、「過去は消えてしまった。明日のことは誰も分からない。だから、今を大事に生きていこう、人を愛していこう。」という内容の“今この時”が好きになりました。

しかし、何と言ってもこの舞台の魅力は、鹿賀さんと市村さんという二人の名優のPc231043 掛け合いです。(この二人の共演(競演?)を観るのは“ペテン師と詐欺師”以来二作目です。)特に第一幕のラスト、母親のように愛情をもって育ててきたジャン・ミッシェルが、自分のフィアンセの両親との顔みせに出席してほしくない、ということをジョルジュから聞いたアルバンが歌う“ありのままの私”は迫力があって、感動的です。愛してきた人間に裏切られた、怒り、哀しみ、やるせなさが伝わります。また、これを歌う直前に、ジョルジュとアルバンが見つめあう、その瞬間の沈黙がとても深く、その緊迫感はすごいものがありました。

このミュージカルはゲイ・クラブが舞台になっています。(鹿賀さん演じるジョルジュも市村さん演じるアルバンもゲイです。)ですから、ショウの場面が出てくるのですが、これがまた圧巻です。この舞台のかなりの時間を占めるのですが、全く飽きません。しかし、ジャン・ミッシェルのフィアンセの両親の役の今井清隆さんと森公美子さんは第二幕のみの出番で、歌も少なく、随分贅沢な使い方をしています。しかし、しっかりと脇を固めてこのミュージカルの魅力を高めていました。

家族愛にあふれたミュージカルです。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

舞台は、南フランスのリゾート地、サントロペにあるゲイ・クラブ“ラ・カージュ・オ・フォール”。そのオーナーのジョルジュと花形スターのザザことアルバンは20年間連れ添ってきた夫婦(というのでしょうか?)です。ジョルジュが20年前にたった一晩の過ちで生まれたジャン・ミッシェルを、ジョルジュは父親として、アルバンは母親として、育ててきました。そのジャン・ミッシェルが今度結婚することに。ただ、そのフィアンセ、アンヌの父親は、コチコチの保守で道徳家で、「ゲイなどとんでもない」と考えるダンドン議員。そのダンドン議員夫妻がジャン・ミッシェルの両親に会いたいと、ジョルジュとアルバンが暮らす家にやってくることに。ジャン・ミッシェルは、ダンドン議員夫妻が着ている間はゲイの夫婦でなく普通の家族としてふるまってほしい、とジョルジュに頼みます。そのためには、アルバンに出席してもらうわけには行きません。ジョルジュはアルバンにそのことをなかなか切り出せません。しかし、ついにそれを告げる時が…

はたして、ダンドン議員夫妻との対面はうまくいくのでしょうか…

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2008年12月21日 (日)

またもや“メモリー”に聞きほれる

Pc201019 “キャッツ”を観てきました。たまたまチケットを入手できたので、急遽行くことにしました。キャストは、グリザベラはもちろん佐渡寧子さん、オールドデュトロノミーに種井静夫さん、ジェリーロラ=グリドルボーンに秋夢子さん、バストファジョーンズとアスパラガス=グロールタイガーに飯田洋輔さん、ジェニエニドッツPc201029_2 に鈴木由佳乃さん、マンカストラップに荒川務さん、ランペルティーザに石栗絵理さん、ラム・タム・タガーに福井晶一さん、ディミータに有永美奈子さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに岡本結花さん、マンゴジェリーに武藤寛さん、シラバブに南めぐみさん、スキンブルシャンクスに岸佳宏さん、タントミールに大橋里砂さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに王堃さん、ランバスキャットに高城将一さん、ヴィクトリアに石川縁さん、カーバケッティに齊藤太一さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに金久烈さん、タンブルブルータスに川野翔さん、でした。

Pc201025 今回の佐渡さんのグリザベラもとても素敵でした。そして、メモリーも…彼女がこれを歌うと、歌声が聞く人の胸にしみこんでいくというか、舞台から大きな手が伸びてきて、胸をわしづかみにされて舞台に引き戻されるような、そんな風に感じてしまいます。あの“メモリー”の世界に思わず引き込まれてしまいます。彼女の出演した作品は、“オペラ座の怪人”、“アイーダ”、“異国Pc201028_3 の丘”“キャッツ”と観てきました。僕の想像ですが、彼女はあまり器用な役者さんというわけではないのかもしれません。しかし、それだけに真摯に役に向かい合い、悩みながら役を作っていっている のではないでしょうか。そのために、舞台にあがったときにその人物(猫?)にも他の俳優さんにはない独特の深みが出てくるのではないかと思います。今回の“メモリー”もしっかりと僕の胸に届きました。

Pc201023 今回は、南さんのシラバブ、鈴木さんのジェニエニドッツ、秋さんのジェリーロラム=グリドルボーンの、石栗さんのランペルティーザが印象に残りました。

今回は、クリスマス特別カーテンコールがありました。クリスマスの赤い三角帽の三匹のねずみが舞台をはい回り、それをラム・タム・タガーがチーズでおびき寄せながら、追いかけて結局逃げらPc201031 れるというコミカルなシーンから始まります。そして、グリザベラをはじめとするキャストたちの“Silent Night”等のクリスマスソングが歌われ、客席は色とりどりの発光体が揺れ、ステージと客席が一体となりとても素敵なカPc201030 ーテンコールでした。

劇場のホールの壁にかけてある猫たちも、尻尾にもクリスマスの飾りつけが…今回の写真はクリスマスバージョンの猫たちとカーテンコールの時に使った発光体です。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…Pc211035_2        

このミュージカルのストーリーは7月27日の記事をご覧ください。

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2008年12月 7日 (日)

ミュージカル“エリザベート”を観る

Pc061007 “エリザベート”を観てきました。主なキャストは、エリザベートに涼風真世さん、死の帝王トートに武田真治さん、エリザベートの夫フランツ・ヨーゼフに石川禅さん、皇后の暗殺者ルイジ・ジキーニに高嶋政宏さん、エリザベートの父マックスに村井国夫さん、フランツの母親ゾフィーに寿ひずるさん、エリザベートの母親ルドヴィカに春風ひとみさん、でした。

正直に言って、このミュージカルの物語にはうまく入っていけませんでした。自Pc060999_3 由気ままな少女時代を過ごしたシシィことエリザベートがオーストリア皇帝フランツに見初められて皇室に入ったところ、そこは自由のない世界だった。そこで、彼女は自由を求めて戦う…といったストーリーだと思うのですが、どうもピンとこないままに終わってしまいました。ただ、やはりミヒャエル・クンツェとシルベスター・リバーイの紡ぎだす世界は美しいと思います。涼風さんの“私だけに”には思わず引き込まれていまいました。また、石川禅さんもなかなか良かったと思います。

Pc061004 “エリザベート”は、今回初めて観たのですが、いわゆる狂言回し的な役回りが複数いて“マリー・アントワネット”と似ているように思いました。トートの役割は“マリー・アントワネット”のカリオストロ、ルイジ・ジキーニの役割は“マリー・アントワネット”ではボーマルシェが、それぞれ担っていますよね。クンツェ・リーヴァイのコンビはこういう構成が好きなのかなぁ、と思いつつ観ていました。それにしても、この二人の作品は何となく共通した雰囲気があるように思います。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

シシィという愛称をもつエリザベートは自由にのびのびと育てられました。ある日、エリザベートは木から落ちて死のふちをさまよいますが、この時に現われた死の帝王トートは、エリザベート愛してしまうのです。やがて、エリザベートはオーストリア皇帝のフランツに見初められて、彼と結婚します。その婚礼の舞踏会の席にトートが現われて、エリザベートにダンスを求めます。やがて、「お前が最後に選ぶのは私だ」という言葉を残して姿を消してしまいます。

エリザベートが入ったオーストリアの王室は、まだフランツの母ゾフィーが実権を握っており、エリザベートの自由は認められません。せっかく生まれた愛しい我が子もゾフィーに取り上げられて自分で育てることさえできません。そこで、彼女の自由を求める戦いが始まります。果たして、自分の自由を求める戦いがエリザベートの人生と精神に何をもたらしていくのでしょうか…

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2008年11月30日 (日)

二度目の体験

Pb290996 宝塚・宙組公演“Paradise Prince~パラダイス・プリンス~”と“ダンシング・フォー・ユー”を観てきました。“Paradise Prince”の主なキャストは、スチュアート・グリーン・メンフィールドに大和悠河さん、キャサリン・ホワイトに陽月華さん、アンソニー・ブラウンに蘭寿とむさん、ラルフ・ブラウンさんに北翔海莉さん、ハワード・ゴールドウィンに一樹千尋さん、ローズマリー・メンフィールドに美穂圭子さん、です。

二度目の宝塚観劇となりました。知人にお願いしてチケットを手配してもらったため、初めてファンクラブを通じてチケットを購入したのですが、なにせ勝手が分からず、どうやって受け取っていいものやら…少し、ドキドキしてしまいましPb290995 た。“Paradise Prince”は、前向きなストーリー、きっと、これが宝塚の世界なのでしょうね。そして、グランド・レビュー!これぞ宝塚という華やかな世界を堪能してきました。前回の観劇は“Me and My Girl”で、グランド・レビューは初めての体験でしたが、「これが宝塚かぁ~」という思いで観ていました。

Pb290997 宝塚歌劇は男役の俳優さんが中心なのだと思いますが、宝塚で演じられる“男”は、一般的な意味での“男”ではなくて、女性の目から見た男なんですね。それも女性が“こうあってほしいと思う男性”が演じられているような気がします。それが宝塚のユニークな世界を作っているのかな…という感慨を持ちながら観ていました。楽しいひと時でした。でも、まだ、舞台の俳優さんたちの顔の区別がつきません…

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2008年11月24日 (月)

復活!佐渡グリザベラ

Pb220977 “キャッツ”を観てきました。佐渡寧子さんがグリザベラに復帰したので、佐渡さんの演じる美しい娼婦ネコとの再会を果たしてきました。キャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールドデュトロノミーにチェソンジェさん、ジェリーロラム=グリドルボーンに金平真弥さん、バストファージョーンズ、アスパラガス=グロールタイガーに寺田真実さん、ジェニエニドッツに小松陽子さん、マンカストラップに野中万寿夫さん、ランベルティーザに石栗絵理さん、ラム・タム・タガーに武藤寛さん、ディミータに有永美奈子さん、ミストフェリーズに金子信弥さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェリーに川東優希さん、シラバブに南めぐみさん、スキンブルシャンクスに嶋崎孔明さん、タントミールに原田真由子さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに王堃さん、ランバスキャットに高城将一さん、ヴィクトリアに千堂百慧さん、カーバケッティに齊藤太一さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに金久烈さん、タンブルブルータスに松永隆志さん、でした。

Pb220983 今回は、本当に上手よりの端の席ではありましたが、初めて回転席を取ることができたので、舞台を本当に間近に観ることでき、迫力を感じました。

さて、佐渡さんのグリザベラ。相変わらず、美しい娼婦ネコでした。美しく、そして切なく、哀しく歌い上げるメモリーにまたまた感動してしまいました。いつまでも、いつまでも聞いていたい、そんな思いを抱かせるのは、僕が彼女のファンだからという理由だけではないように思います。

僕が大好きなシーンは、アスパラガスとジェリーロラムが老俳優の過去を振り返るシーンです。しみじみとして、少し物悲しさが漂って…素敵なシーンですし、その後のグロールタイガーの動のシーンとまさに好対照をなしています。今回の寺田真実さんと金平真弥さんも素敵なコンビでした。また、今回は舞台に近い席だったので、俳優さんたちの表情もよく見えたのですが、西村さんのボンバルリーナがとてもセクシーで、きれいでした。

それにしても、俳優さんたちは、絶対に観客の視線が自分に向かないだろうな、と思われるようなシーンや位置でも、ネコになりきって演技しているのですね。改めて感心しました。

Pb220976 千秋楽も発表されて、名残惜しいような気持ちを既に感じていますが、これから千秋楽に向かって、充実の舞台が続くのでしょうね。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

このミュージカルのストーリーは727日の記事をご覧ください。

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2008年10月 5日 (日)

純粋なキムがそこにいた-ソニンさんのキムを観る

Pa040926 帝国劇場で“ミス・サイゴン”を観てきました。今シーズンの“ミス・サイゴン”は新妻聖子さんのキムと橋本さとしさんのコンビしか観ていませんでしたので、違うコンビでの舞台を観てみたいと思っていました。

今回のキャストは、キムにソニンさん、エンジニアに別所哲也さん、クリスに原田Pa040941 優一さん、エレンにシルビア・グラブさん、ジョンに坂元健児さん、トゥイに石井一彰さん、ジジに菅谷真理恵さん、です。

Pa040938 俳優さんが変わると同じ役でも随分雰囲気が変わるものだなぁ、と改めて思った舞台でした。ソニンさんは本当に渾身の演技でした。彼女のこの役にかける情熱のようなものが伝わってくるようです。新妻聖子さんのキムとは全く違うキムが舞台にいました。新妻聖子さんのキムは、心の中に、深く、激しい愛情を秘めていて、その情熱が彼女を一途な人生に向かわせているという思いPa040939 を抱かせるようなキムでしたが、ソニンさんのキムはただただ純粋で、それゆえにひたすら愛情を一途にクリスとタムに注いでいるという感じです。

103 そして、エレン。シルビアさんのエレンには前回の舞台同様に感動しました。“I Still Believe”では、夫の愛情をいま一つ自信を持って信じることのできない不安な気持ちと夫への愛情がとてもよく表現されていましたし、“Now That I Have Seen Her”では、夫の過去をついに知ってしまった哀しみとこれからの人生対する決意を歌い、思わず涙が出てきました。シルビアさんは芯の強い女性を演じると、本当に上手いですねぇ。

Pa040937_2 別所さんのエンジニアは、別所さんの生真面目さが出ていたエンジニアであったよPa040944 うに思います。僕のイメージのエンジニアは子悪党的なエンジニアなのですが、これはこれで一つのエンジニア像なのだろうな、と思います。

Pa040940 また、今回のジジ役の菅谷さんもとても良かったと思います。“The Movie in My Mind”はジジ役の女優さんが良くないと心に迫ってこない歌ですが、今回は、しっかりと心に届きました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ

ストーリーは8月3日の記事をご覧ください。

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2008年9月21日 (日)

深く激しい愛を持つ女性がまさにそこに生きている

105 帝国劇場で“ミス・サイゴン”を観てきました。主なキャストは、キムに新妻聖子さん、エンジニアには橋本さとしさん、クリスに藤岡正明さん、エレンにシルビア・グラブさん、ジョンに岸祐二P9200918_01 さん、トゥイに神田恭兵さん、ジジに池谷祐子さん、でした。

今回も、新妻さんのキムは、前回に負けず劣らず、とても素晴らしかった。クリスとの愛と喜びを歌った“Sun and Moon”や“The Last Night of the World”はとても美しく、そして、アメリカに行ってしまったクリスを信じ、愛する思いを歌い上げる“I Still Believe”は本当に切なくひたひたと客席にその思いがしみわたっていきます。そして、やはり、極めつけは、第一幕最後に歌われる“I’d Give My Life for You”。新妻さんは、キムのわが子タムへの激しく深い愛を見事に歌い上げていました。キムという愛情の深い、そして、激しい一人の女性が、帝劇の舞台の上で、生き生きと躍動していました。

103 今回は、新妻さんのキムはもちろんですが、シルビアさんのエレンも楽しみの一つでした。シルビアさんには、レベッカ以来、注目している女優さんです。期待は裏切られませんでした。“I Still Believe”では、愛する夫を思いやりながらも、自分の知らない部分P9200920_2 が夫にあることの不安がとても良く表現されていたように思いますし、また、“Now That I’ve Seen Her”もエレンの哀しみと強さがとてもよく表現されていたように思います。

P9200919_01 今回、橋本さんのエンジニアは、“小悪党”的ないやらしさが出てきた、とても良くなってきたように思います。また、藤岡さんのクリスは“やんちゃ坊主”の雰囲気で、なかなか面白かったです。

公演後に、トークショウがありました。橋本さん、新妻さん、岸さん、藤岡さんの4人が、橋本さんの司会で、このミュージカルへの思いとか博多公演での楽しみなどをテーマにとても面白いトークが展開され、ともて楽しめました。最後は、新妻P9200922 さんが、お茶会でも歌った、幻のナンバー“Too Much for One Heart”を音楽監督の山口琇也さんの伴奏で、彼女が訳した詞で歌って締めてくれました。

今回は、帝劇のロビーに飾られている出演者のサイン入り色紙の写真を掲載してみました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ

ストーリーは8月3日の記事をご覧ください。

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2008年9月14日 (日)

進化し、そして、深化する、佐渡グリザベラ

P9130907_2 佐渡寧子さんのグリザベラを観てきました。キャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールドデュトロノミにチェソンジェさん、ジェリーロラム=グリルドボーンに金平真弥さん、バストファージョンズ、アスパラガス=グロールタイガーに飯田洋輔さん、ジェニエニドッツに石倉康子さん、マンカストラップに西門宇翔さん、ランペルティーザに石栗絵理さん、ラム・タム・タガーに福井晶一さん、ディミータに団こと葉さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェリーに川東優希さん、シラバブに久保田彩佳さん、スキンブルシャP9130903_2 ンクスに嶋崎孔明さん、タントミールに原田真由子さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに増 田朱紀さん、ランパスキャットに高城将一さん、ヴィクトリアに千堂百慧さん、カーバケッティに松永隆志さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、ギルバートに瀧澤虎太郎さん、マキャヴィティに赤瀬賢二さん、タンブルブルータスに川野翔さん、です。

P9130909 五反田のキャッツ・シアターは25周年記念の装飾でとても華やかです。ロビーの天井にはこれまで上演された劇場を示すフラッグがさがり、この25年間の長い積み重ねを静かに観客に語りかけているようです。そして、25周年のケーキ。これから11月に向か って、さらに盛り上がるのでしょうね。

さて、肝心の舞台ですが…やはり佐渡さんのグリザベラは美しかった。老いて落魄P9130902_2 した娼婦ネコではありますが、やはり年老いてなお美しい娼婦ネコです。若かった時は、本当に凄い高級娼婦だったのだろうな…という思いにとらわれます。そして、彼女のメモリー。聞くたびに深く、美しくなっていきます。特に、第二幕の最後のメモリーは深く心に染み入る歌声で、涙が出てきてしまいました。観るたびに深まってくるように思える佐渡寧子さんのグリザベラ。次の観劇の機会が今から楽しみです。

今回は、石倉康子さんの歌を久しぶりに聞くことができました。ジェニエニドッツの役でしたが、“アイーダ”のネヘブカを観て以来、注目している女優さんです。今回は、やさしい、やさしい雰囲気が伝わってくるジェニエニドッツでした。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ

このミュージカルのストーリーは、7月27日の記事をご覧ください。

P9130904

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2008年8月17日 (日)

再び、メモリーに聞きほれる

P8140873 “キャッツ”を観て来ました。キャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールドデュトロノミーに種井静夫さん、ジェリーロラム=グリドルボーンは秋夢子さん、バストファージョンズ・アスパラガス=グロールタイガに飯田洋輔さん、ジェニエニドッツに高島田薫さん、マンカストラップに西門宇翔さん、ランペルティーザに上條奈々さん、ラム・タム・タガーに金田俊英さん、ディミータに坂田加奈子さん、ミストフェリーズに岩崎晋也さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェ リーに武藤寛さん、シラバブに久保田彩佳さん、スキンブルシャンクスに嶋崎孔明P8140877_2 さん、タントミールに高倉恵美さん、コリコパットに花沢翼さん、ジェミマに増田朱紀さん、ランバスキャットに高城将一さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、カーバケッティに松永隆志さん、ヴィクトP8140876 リアに斉藤美絵子さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに赤瀬賢二さん、タンブルブルータスに川野翔さん、でした。

佐渡寧子さんのグリザベラは、昔は美しく華やかであったが今は老いさらばえてしまった娼婦ネコ…そんな感じが良く出ています。佐渡さんのグリザベラは二度目ですが(というより、佐渡さんのグリザベラを再び観たくて行ったのですが)、少し力が抜けた感じで、とても素敵でした。そして、メモリー!美しく、感動的です。聞いているとガーと気持ちが歌に入っていきました。

ところで、このメモリーですが、僕は、歌の最中はこちらの気持ちが入っているので、歌が終わってもしばしその余韻にうっとりとひたります。そのせいか、-舞台では、その間に次の動きに入っていくので-聞き終わった後の拍手ができません。他のお客さんもそういう人が多いのかどうか分かりませんが、第二幕終盤のメモリーが終わってグリザベラが舞台を去っていく間、拍手がありません。僕は、キャッツはあまり沢山見ているわけではないので他の女優さんのグリザベラのときはどうなのでしょうか?やはり、あの場面では拍手はないのでしょうか?どなたか教えてください。僕自身は、歌が終わったときには、その歌が良いものであればあるほど、しばしの静寂を楽しみたい方なので、歌が終わるか終わらないかで拍手が起きるのはあまり好きではありませんが…

前回にも書きましたが、高倉恵美さんのタントミールも好きなネコです。気位の高いシャムネコという雰囲気がとてもよく出ていて、前回同様、どうしても目が行ってしまいます。

僕の大好きなシーンは、老俳優ネコのガスとジェリーロラムがデュエットするシーンです。今は老いてしまった老俳優が昔を偲ぶところは、しみじみとしていて良いですよね。

☆このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

この作品のストーリーは7月27日の項をご覧ください。

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2008年8月 3日 (日)

キムの強く激しい愛に泣く-“ミス・サイゴン”を観る

P8020860 昨日、帝国劇場で“ミス・サイゴン”を観て来ました。主なキャストは、キムに新妻聖子さん、エンジニアに橋本さとしさん、クリスに井上芳雄さん、エレンに鈴木ほのかさん、ジョンに岸祐二さん、トゥイに神田恭平さん、ジジに菅谷真理恵さん、です。

今回のステージは新妻聖子さんに尽きる、と言っても過言ではないのではないかと105 思います。もちろん、他の俳優さんたちも素晴らしい演技でしたが(このようなスケールの大きなお芝居は一人の俳優さんの力だけではどうにもならないことは、もちろんです。)、今回のステージに限っては、新妻さんの演技が突出していたように思います。新妻さん自身も自分のブログで「異常な程の集中力で挑めた公演」と書いていますが、本当に素晴らしい演技でした。(別に彼女のファンだから、ただ褒めているわけではありませんよ。)特に、鈴木ほのかさんとのデュエットである“今も信じているわ”は、キムとエレンのクリスに対するそれぞれの愛と不安が良く伝わってきて、とても感動しました。また、わが子タムを守るためにトゥイを殺してしまった後にキムが歌う“命をあげよう”も圧倒的で、聞いていて涙が止まりませんでした。ラストにタムに別れを告げる“私の小さな神”も秀逸でした。まさに、キムという深く、そして、激しい愛に生きていく女性が女優新妻聖子と一体となった舞台であったように思います。それにしても、彼女、本当に高音がきれいになりました。

新妻さん以外では、エレン役の鈴木ほのかさんが良かったと思います。“今も信じているわ”では、愛する夫、クリスが、何か重要なことを隠しているのではないかという不安に怯えつつも、クリスを信じて愛していこうとする気持ちが心を打ちます。また、“今、彼女に会った”では、クリスを今も愛し信じているキムを目の当たりにして、悩み、悲しみながらも、クリスを愛している自分を確認し、クリスの本当の気持ちを知りたいという女心が客席にも伝わってきました。

102 この作品を観て思うことは、キムとエレンという二人の女性が-そのタイプは違いますが-それぞれ、毅然とした強い生き方をしているのに、クリスがどっちつかずで実に頼りなく感じます。まあ、男として、「このような立場になったら、しょうがないかな」という気がしないではありませんが(笑)、もう少し、どちらにも好かれようとせずに、毅然としていたら、どのような形にせよ、キムもエレンもあのように苦しまなかったのではないかと思えてなりません。もっとも、それでは、お話がつまらなくなって、ミュージカルとしては成り立たないかもしれませんね。

この作品をまだ観ぬ人へ…

時は1975年、ベトナム戦争の末期、陥落直前のサイゴンは退廃的な空気に満ちていました。この街のキャバレーで働き始めたキムは、生まれ育った村を焼かれ、両親を殺されて、一人サイゴンに出てきました。生きていくためには我が身を売るしかない、という悲壮な決意で働き始めます。そこで最初に出会った客がGIのクリス。クリスもまた、ベトナム戦争で必死に戦ったものの、帰国すればしたで、反戦運動の中で歓迎されていない自分を感じ、鬱屈した思いでサイゴンに戻ってきたのです。そんな二人はたちまちのうちに恋に落ち、ベトナム式の結婚式をあげることになります。しかし、情勢は二人が幸福に長く浸っていることを許しません。ベトコンがサイゴンに迫り、アメリカ人であるクリスは、戦友のジョンに引きずられるようにサイゴン脱出のための最後のヘリコプターに乗ってしまいます。キムも彼の妻としてビザを発行してもらいましたが、最後の混乱でクリスに会えず、サイゴンに取り残されてしまいます。しかし、キムは、いつかクリスが自分を迎えに来てくれる日を信じて混乱のサイゴンで生きていきます。そして、3年後…。アメリカでは、クリスが毎夜ベトナムの夢にうなされています。その傍らには帰国後に結婚したエレンが、夫の気持ちをいまひとつ知ることができないながらも、寄り添っています。一方、サイゴンでは、キムの目の前に、幼い頃、親同士の約束で許婚となったトゥイがベトコンの幹部として現われます。彼は、キムに、結婚して一緒に暮らそうと迫りますが、クリスへの愛に生きるキムは決然とその誘いを断ります。キムには、クリスとの間に生まれた子供タムがいたのです。それを知り逆上してタムを殺そうとするトゥイからタムを守ろうと、キムはトゥイを殺してしまいます。キムはタムと共に、クリストと出会った店のマネジャーであり、いつの日かアメリカに行くことを夢見ているエンジニアに助けを求め、三人はバンコクに逃れていくのです。

バンコクで、生活のためにキムはまたキャバレーで働き、エンジニアはその店の呼び込みをしています。クリスの戦友のジョンは、戦争中にアメリカ兵とベトナム人女性との間に生まれた子供たちの父親を探す運動を行っています。そんなジョンのもとにキムの消息が流れてきます。ジョンはその情報をクリスに知らせます。キムとタムの運命は…キムは幸福とクリスの愛を掴むことができるのでしょうか?

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2008年7月27日 (日)

美しい娼婦ネコ-メモリーに聞き入る

097 キャッツ・シアターに行ってきました。本日の“キャッツ”のキャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールド・デュトロノミーに青井緑平さん、ジェリーロラム、グリルド・ボーンに谷内愛さん、バストファージョーンズ、アスパラガス、グロールタイガーに飯田洋輔さん、ジャニエニドッツに高島田薫さん、マンカストラップに西門宇翔さん、ランペルティーザに上條奈々さん、ラム・タグ・タガーに荒川務さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、シラハブに久保田彩佳さん、マンゴジェリーに武藤寛さん、タントミールに高倉恵美さ099 ん、スキンブルシャンクスに嶋崎孔明さん、ジェミマに王堃さん、コリコバットに花沢翼さん、ヴィクトリアに原田真由子さん、ランバスキャットに高城将一さん、カッサンドラに大口朋子さん、カーバケッティに松永隆志さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに赤瀬賢二さん、タンブルブルータスに川野翔さん、です。

佐渡寧子さんのグリザベラはとても美しいグリザベラでした。美しい人はどんなメーキャップをしてもやっぱり美しいんですね。彼女のメモリーは想像以上に素晴らしく、彼女が歌いだすと、客席全体がぐぐっと惹きこまれていくのが良く分かります。美しくて、哀しいメモリーでした。思わず聞きほれてしまいました。

098 この作品を久しぶりに観ましたが、やはりロングランを続けている作品だけあって、非常に力を持った作品だと思います。ネコ達が舞台と観客席を行き来し、ステージと客席が一体となり盛り上がっていきます。僕は、落ちぶれ果てた老役者のガスのシーン(もちろん、その後のグロールタイガーの場面も)が一番好きです。今回の出演者の中では、高倉恵美さんのタントミールに最もネコを感じました。

☆このミュージカルをまだ観ぬ人達へ…

ある満月の夜、ネコ達が街の片隅に集まってきます。年に一日だけ開かれる舞踏会に出席するためです。そして、そこでは、毎年一匹だけ、天上に上り、再生し、新たな人生を生きることのできるネコが選ばれるのです。様々なネコが集まってきます。いつも寝てばかりいる気のいいおばさんネコ、つっぱりネコ、長老ネコ、泥棒ネコ、名士のネコ、老役者のネコ、鉄道ネコに犯罪王、手品師、などなど、人間の世界に負けず劣らずの多種多様のネコ達が集まってきます。そして、忘れてはならない、老いさらばえた娼婦のネコ、グリザベラ。一体、天上に上ることが許されるのは、誰なのでしょうか…

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2008年7月21日 (月)

南国の満天の空-“ミュージカル南十字星”を観る

094 “ミュージカル南十字星”を観ました。主人公の保科勲に阿久津陽一郎さん、その恋人、リナ・ニングラットに樋口麻美さん、岡野教授に維田修二さん、島村中将に田代隆秀さん、原田大尉に鈴木周さん、ニングラット博士に武見龍麿さん、ルアット・ニングラットに内田圭さん、ニルワンに藤川和彦さん、キキに山中由貴さん、オットー・ウィンクラーに古賀陶馬ワイスさん、原田春子(保科勲の姉で原田大尉の妻)に都築香弥子さん、が主なキャストです。

冒頭は、静寂の中をジャワの農民が音もなく登場してくるシーンがとても印象的で095 す。そして、インドネシアの伝統の楽器が奏でる音楽の中を影絵や舞踊等が披露され、異国情緒たっぷりのステージでした。インドネシアの風景や衣装、そしてステージのバックに煌く満天の星と南十字星。南国の色彩豊かさも楽しめました。特に、今までシベリアの色彩の無い場面を多く観てきた僕にとっては、ガラリと雰囲気が変わった舞台でした。そんな南国の空気が流れる中で観る樋口さんのリナはとても美しかった。また、阿久津さんは保科勲のように真面目で、誠実な青年をやらせたら、抜群ですね。

このお芝居では、原田大尉が重要な役回りを担います。日本軍がインドネシアに進駐して軍政を布いているときには、インドネシアの人々を尊重せず、むしろ日本の軍部の方針に従わせるべく弾圧しようとしていたにもかかわらず、日本が戦争に敗れたとなると、あたかも自分がずっとインドネシアの独立のことを考えていたかのように振る舞い、インドネシア義勇軍の軍事顧問として生きていく。この変節…ひょっとしたら、彼自身もこの「変節」を変節と意識せず、自分の情熱のままに突っ走っているだけなのかもしれませんが。考えてみると、世の中には、このようなタイプの人間は沢山いる様な気がします。その時その時の流れに-意識してか、せずか-上手く身を任せていく、ひょっとしたら、それが自分の信念だと心から思っているのかもしれない、しかし、それは一歩退いて見てみると「変節」以外の何物でもない、こんなタイプの人達が。もっとも、このような人が、案外、上手く世の中を立ち回っていくのかもしれません。しかし、人間には、時の流れと共に変えて良いことと、どんなに苦しくても変えてはいけないことがあるのではないでしょうか。それは、その人の生き方、信念又は哲学と呼ぶようなものかもしれません。原田大尉は、結局、インドネシア独立戦争の最中に戦死してしまいます。表の歴史では、インドネシアの独立を助けた戦士として名前が残るのかもしれませんが、彼が、自分の「変節」の道連れに一人の人間の運命を変えたことを、また、忘れてはならないと思います。

それにしても、劇中に、四季の俳優さん達がインドネシアの舞踊や楽器の演奏を行うのですが、これが全く不自然ではありません。相当、稽古をつまれたのでしょうね。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ・・・

日本が日中戦争に苦慮している頃、保科勲は京都大学で学ぶ学生であり、兄ルアットの日本留学についてきたインドネシア人のリナ・ニングラットと互いに愛し合うようになっていました。インドネシアでは民族独立運動が火急を告げ、ルアットとリナは運動のリーダーである父親を助けるため、急遽帰国することになります。別離を前に再会を誓い合う勲とリナ。そんな二人の思い出の歌が、別れの前に二人で歌った“ブンガワン・ソロ”でした。やがて太平洋戦争も始まり、勲も招集されて、義理の兄原田大尉と同じ部隊に所属し、南方戦線に送られます。インドネシアでオランダ軍と交戦中、ふとした偶然から、オランダ軍に捕虜となっていたルアットを助けたことからニナと再会を果たします。

やがて、オランダ軍は退却し、日本軍がインドネシアに軍政を布きます。軍司令官である島村中将はインドネシア人を可能な限り尊重した施政を行います。勲もその方針に基づき、インドネシア人にもオランダ人捕虜にも、親切に、丁寧に接していますが、そのようなやり方に不満を持つ者も日本軍内部に多く、その急先鋒が原田大尉でした。勲は捕虜の虐待等を見つけると、それを止めさせて保護するようにしていましたが、様々な不運や誤解が重なり、彼自身が捕虜の反感を買うことになってしまいます。

そして、終戦。この敗戦は、それぞれの人生を大きく変えて生きます。島村中将、原田大尉、保科勲、それぞれの運命は…?保科とリナとの愛は幸せなものになるのでしょうか??

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2008年7月13日 (日)

小粋で洒落たミュージカル-“デュエット”を観る

ミュージカル“デュエット”を観て来ました。主演は、売れない作詞家ソニア・ワリスクに保坂千知寿さん、売れっ子の作曲家のヴァーノン・ガーシュに石井一孝さん、シンガーズのボーイズに結樺健さん、大嶋吾郎さん、KOHJIROさん、ガールズには久保田陽子さん、白神直子さん、中山眞美さん、でした。

093 ニール・サイモンの作によるミュージカルで原題は“They’re Playing Our Song”です。率直な感想は、「日本人でもこういうお芝居ができるんだなぁ」という嬉しい感慨です。ニール・サイモンらしいというか、売れない作詞家と売れっ子の作曲家が紡ぎだすなんともオシャレな、都会的なラブ・コメディです。こういう軽妙洒脱なコメディは、ブロードウェイとウエスト・エンドでは、微妙に雰囲気が異なるでしょうから、見比べてみたい衝動に駆られます。そんなセンスの良い―それだけに、演ずるにはきっと、とても難しい-芝居を、劇団四季を離れて初めての舞台の保坂知寿さんと石井一孝さんが熱演しています。特に、保坂さんは、少し(否、かなり?)身勝手な、しかし、なんとも可愛い女性の作詞家を好演しています。(この舞台を見ながら、彼女の“マンマ・ミア!”のドナを観たかったな、という思いにとらわれました。)石井一孝さんも、そんな保坂さんをがっちりと受け止めています。石井さんの軽妙な感じもなかなか捨てがたいものがあります。でも、もう少し、洒脱な感じがあれば、もっともっとこのミュージカルが活きたのに、と少し思わないでもありません。もっとも、このミュージカルをもっと粋に、洒脱にできる男優さんが今の日本にいるだろうか、と思うと、「????」であります。例えば、堺正章さんがもっと若ければ、この役をやるところ観てみたかった、と思います。いずれにしても、このミュージカル、保坂・石井のコンビで、軽妙で、粋で、洒落た、素敵なミュージカルになっています。

このミュージカルをまだ観ぬ人達へ

所はニューヨーク。売れっ子作曲家のヴァーノンは、自ら売り込んできた作詞家のソニアと一緒に仕事をすることになります。自分は売れない作詞家でありながら、物怖じすることなく自分を主張するソフィア。そして、なんとも風変わりなところがある女性です。けれども、ヴァーノンは次第に彼女に魅かれていく…ソフィアも同じ気持ちを抱くようになってきます。しかし、彼女には、レオンという同棲中の恋人がいました。彼との愛は終わっており、もう別れようと思っていたソフィアでしたが、ソニアを依存しきっていて自立できないレオンを切り捨てることができません。ヴァーノンと旅行に行った旅先にも、一緒に住んだアパートにも、レオンは電話をかけてきます。それをむげにできないソフィア。そんなソフィアにいら立つヴァーノン。二人の未来は一体…?

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2008年7月 1日 (火)

遂に千秋楽!-ミュージカル異国の丘

一昨日、“ミュージカル異国の丘”の千秋楽に行ってきました。「千秋楽」にふさわしい素晴らしい舞台でした。キャストは前回の観劇のときと変わりなく、九重文隆に荒川務さん、宋愛玲に木村花代さん、神田に深水彰彦さん、吉田に中嶋徹さん、平井に維田修二さん、宋美齢に中野今日子さん、李花蓮に岡本結花さん、劉玄に青山祐士さん、アグネス・フォーゲル夫人に武木綿子さん、クリストファー・ワトソンに志村要さん、です。

今回は、千秋楽ということもあってか、俳優さん達の演技もこれまで以上にみごたえがありました。荒川務さんもこの1ヶ月の集大成!という雰囲気が伝わってきましたし、木村花代さんも前回の観劇時よりもぐっと乗っている感じがしました。また、最初と最後のシーンの中嶋徹さんには、一言ごとの言葉に力が宿っている、そんな思いを持ちました。そして、維田修二さん演じる平井の遺言の場面。またまた涙してしまいました。この場面は、何度観ても感動し、同じ思いにとらわれます。「自分が死ぬときにも、愛する人たちにこのような言葉を遺せるだろうか」と。また、アンサンブルのメンバーによるダンスでは、前回書いたとおり、男優陣では武藤寛さんが、女優陣では須田彩乃さん(前回書いた“白いブラウスにグリーンのスカートの女優さん”の名前が判明しました!)が、特に輝いていました。

今回は、客席にもほどよい緊張感が漂っていて、それが舞台にも伝わり、また舞台の熱意も客席に伝わってきて、相乗的に劇場全体の空気が高まっていくのが良くわかりました。「お客様の雰囲気や拍手等で、舞台の上の役者の気持ちが非常に“のる”こともあるし、また、その逆もあります。」とある俳優さんが話しているのを聞いたことがありますが、この日にそれを実感しました。舞台の上の俳優さん達も力の入った演技であったし、また、観客席の我々もそれに引き込まれ、また、拍手等も賞讃と熱のこもったもので…まさに舞台と客席が一体となった、そんなひと時であったと思います。このような思いを感じながら観劇したのは久しぶりで-久しぶりに短期間に何度もお付き合いした作品だから、なお、強く思ったのかもしれません-、観劇後は満足感とともに快い疲労感さえ感じ、それがまた、心地よい、という何とも幸せな気持ちを感じることができました。

唯一つ残念なことは…やはり最後は佐渡寧子さんの愛玲が観たかった!!

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2008年6月26日 (木)

今月は充実の1ヶ月-三度、 “異国の丘”を…

先日、またまたミュージカル異国の丘を観てきました。このミュージカルの話を聞いた友人が観たいというので、案内役として行って来ました。今度の宋愛玲は木村花代さん。その他のキャストは前回と変わりなく、九重秀隆を荒川務さん、神田に深水彰彦さん、吉田に中嶋徹さん、平井に維田修二さん、宋美齢に中野今日子さん、李花蓮に岡本結花さん、劉玄に青山祐士さん、アグネス・フォーゲル夫人に武木綿子さん、クリストファー・ワトソンに志村要さんでした。

佐渡さんが出演していないのは残念でしたが、佐渡さんの愛玲を「美」とするならば、木村さんの愛玲は「可憐」とでも表現すればよいのでしょうか。軽やかに愛玲を演じているような印象を受けました。やはり、同じ役でも違った俳優さんが演じると、その俳優さんの個性が出て雰囲気が変わるので、面白いですね。自分の好きな俳優さんを観る、また、自分の好きな役を違った俳優さんで見比べてみる、ということもお芝居を観るときの大きな楽しみの一つであると思うのですけれど。(劇団四季はなかなかこの楽しみを認めてくれませんが…)

前にも書いたように、このミュージカルでは第一幕に、きれいで華やかなダンスシーンが出てきて、僕の好きなシーンでもあります。秀隆と愛玲の出会いとなるパーティでの学生達の群舞はとても華やかで、楽しいシーンです。特に、男性では武藤寛さんのダンスが、女性では出会いのシーンで白いブラウスにグリーンのスカートの(ワシントンスクエアのシーンではグリーンのパンツをはいている)女優さん(名前を知りません。どなたかご存知の方がいらしたら、教えてください。)のダンスが、それぞれ際立っていたように思います。

1ヶ月続いた異国の丘も、今週末が千秋楽。実は、千秋楽のチケットも購入済みなのです。(今回は佐渡寧子さんがずっと出演すると踏んでいたのですが…)今回は、1ヶ月に異国の丘を4回観ることになってしまいました。加えて、ソングセミナー。短期間にこんなに一つのミュージカルにどっぷりと浸かったのは、ロンドンで“マイ・フェア・レディ”や“レ・ミゼラブル”に嵌まって以来の体験です。

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2008年6月22日 (日)

初めての体験!

091 先週、日比谷の東京宝塚劇場で宝塚歌劇 月組公演“ME AND MY GIRL”を観て来ました。

主なキャストは、ビルに瀬名じゅんさん、サリーに彩乃かなみさん、ジョン・トレイメン卿に霧矢大夢さん、ディーン・マリア公爵夫人に出雲綾さん、セドリック・パーチェスターに未沙のえるさん、ジャックリーンに城咲あいさん、ジェラルドに遼河はるひさん、執事のチャールズに越乃リュウさん、ランベス・キングに桐生園加さん、ボブ・パーキングに青樹泉さん、です。

092 僕の観劇のお師匠さんのぴょん太さんのお誘いで、生まれて初めて、東京宝塚劇場に足を踏み入れました。劇場に入るだけで、何だか、緊張してしまいました。中央の階段をのぼり、ぴょん太さんの案内で先ずは劇場の最上階の一番上へ。劇場の大きさに先ず、びっくり!その大きな劇場の客席がどんどんお客さんで埋まっていきます。女性のお客さんの多いことにまたびっくり!!まあ、これは当090 然と言えば当然かもしれませんが。でも、最も驚いたのは、出てくる俳優さんの数の多さ!広いステージが本当に狭く思えるほど、たくさんの俳優さんが出てきます。(ついでに、予断ですが、男子トイレが劇場の規模に比べると狭いですね。)

…と、驚いたことはこのくらいにして、肝心なお芝居の方の話を…とても楽しめました。正直言って、初めのうちは、女性が男性の格好をしてひげまで付けて、と言う点に違和感を感じないわけではありませんでしたが、しばらくするとその違和感もなくなりました。もともと、“ME AND MY GIRL”は僕の好きな作品のひとつだからか、作品の中にすぐに入りこむことができました。さすがに歌もダンスも巧みな俳優さんが多く(皆さん同じようなメーキャップなので僕のような初心者には、誰が誰なのか、なかなか区別がつきません。)、想像していたよりも違和感なく、“ミー・マイ”の世界を堪能してきました。特に、人数が多いので、タップダンスの群舞も迫力があってなかなかのものでした。また、ミュージカルの後のラインダンス等のショウも華やかで楽しいものでした。これは、ファンの人たちにはきっとたまらないのでしょうね。僕は、今回が初めてなので、もちろん、誰のファンと言うわけではないのですが、ジャックリーン役の城咲あいさんが素敵でした。今まで観てきたミュージカルとは、一味違う楽しい時間でした。

089_2 このミュージカルをまだ観ぬ人達へ

イギリスの貴族、へアフォード伯爵家では当主が最近亡くなったばかり。遺言で、跡継ぎには行方不明になっている伯爵の落とし胤をあてるとされていて、その跡継ぎ、ビルがついに見つかり、伯爵家にやって来るところから物語が始まります。ビルは、貴族とは程遠い生活を送っている若者。自分がそのような運命にあるとは知らずに、ヘアフォード家にやってきます。ヘアフォード伯爵家を切り盛りしている亡くなった当主の妹、マリア公爵夫人は、遺言に「跡継ぎが貴族にふさわしい人間性を備えていなければ、隠居させて年金生活をさせるように」とあったため、幼馴染のジョン卿と協力して貴族らしくさせようとします。また、伯爵家の財産を狙う公爵夫人の姪のジャックリーンはジェラルドとの婚約を解消し、ビルの歓心を買おうとします。しかし、ビルには愛するサリーと言う恋人がいたのです。サリーは、初めはビルの近くで彼の貴族教育が終わるのをまっていますが、次第に貴族としての教育を施されていくビルを見て、彼のこれからの幸せのために自ら身を引くことを決めて、ビルの元を去り、生まれ育ったロンドンの下町、ランベスに帰っていきます。彼女を追いかけていくビル。そんな二人を見かねたジョン卿は二人の将来のために一計を案じます。果たして、二人の未来は…また、ジャックリーンとジェラルドは…

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2008年6月16日 (月)

ふたたび、佐渡寧子さんの宋愛玲

087 異国の丘を観ました。今回は2度目の観劇です。佐渡寧子さんの宋愛玲を、どうしてももう一度観たくて、四季劇場に行って来ました。主なキャストは前回と同じです。宋愛玲に佐渡寧子さん、九重秀隆に荒川務さん、神田に深水彰彦さん、吉田に中嶋徹さん、平井に維田修二さん、宋美齢に中野今日子さん、李花蓮に岡本結花さん、劉玄に青山祐士さん、アグネス・フォーゲル夫人に武木綿子さん、クリストファー・ワトソンに志村要さん、です。

前回同様、充実した舞台でした。このミュージカルは、題名やテーマから重く暗い086_2 イメージを持つ人も多いと思いますが(確かに作品自体は派手さの少ないとは思います)、決してそれだけではありません。特に、第一幕の九重秀隆のアメリカ留学時代の前半は、彼の青春を象徴するかのように華やかで楽しいダンス シーンが続きます。前にも書いたように、僕はこのダンスシーンが大好きです。きれいで、華やかで、洗練されていて…そして、二人が出会った後にお互いを想って歌う“名も知らぬ人”のシーン。九重秀隆と宋愛玲がお互いを想って歌うロマンチックなシーンですが、舞台後方では、二人の心象を表すように通行人の男女二人がダンスをするのですが、これがまた切なく、美しいのです。まさに秀隆と愛玲の青春がクライマックスに達する場面です。

このようなシーンがあるので、シベリアのシーンが活きてきます。時に、客席にまでシベリアの寒風が吹き荒ぶような思いに囚われます。遺言のシーンは何度観ても感動するシーンですが、維田さんの平井は、母親と妻への遺言のときは、優しげな、どこか夢見るような表情であるのに対し、子供たちへの遺言のときはどこか毅然とした表情を見せます。また、遺言を語り終えた後に、その遺言を記憶し、家族に持ち帰ってくれるであろう抑留仲間たちに「どうかお願いします」と言うように頭を下げるのを、九重達がそっと支えて立ち上がらせるところもしみじみとした感動が続くシーンではないでしょうか。この遺言、作り話ではありません。実際の遺言はもう少し長いのですが、シベリアの地で命を落とし、祖国の地を踏むことができなかった仲間のために、多くの抑留者が手分けをして彼の遺言を記憶して、ご遺族にそれぞれが届けたのです。(詳しくは、“収容所から来た遺書”(辺見じゅん著、文春文庫)をご覧ください。)この遺言は、ご家族への遺言であることはもちろんですが、特に子供達への遺言は、子供達だけでなく、現代を生きる我々日本人に対する遺言なのではないか、とも思います。

088 それにしても、佐渡寧子さんの愛玲は美しい。歌も“名も知らぬ人”“哀しみの祖国”“引き裂かれた心”など、心に迫る歌でしたし、“愛の夜”でちらりと見せてくれるダンスも、とても印象的でした。

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2008年6月 9日 (月)

異国の丘の舞台に立つ

083 劇団四季の“ミュージカル異国の丘 ソングセミナー”に参加してきました。とても楽しく、感激したひと時でした。練習した曲は、この作品の最初と最後に歌われる“明日への祈り”というとても感動的な歌です。講師役の俳優さんたちは、順不同で、武木綿子さん、井上隆司さん、武藤寛さん、川原信弘さん、村澤智弘さん、奈良坂潤紀さん、でした。(特に劇団からキャスト表のようなものを配られたわけではないので、違っていたらすみません。お気づきの方は教えてください。)参加者は、メロディ・パート、高音パート、低音パートに別れて練習をしました。僕は、メロディ・パート084 を選んだのですが、メロディ・パート以外の人たちはリハーサル室や稽古場で練習だったのですが、僕達メロディ・パートは客席で練習。「他のパートの人たちはいいなあ」と思いながら練習しました。ただ、一度練習に入るとそんなことはすっとんでしまい、武さんの指導に集中して、練習が進みます。テクニック的なことよりも、一つ一つの言葉を大切に、ということと、歌詞のイメージをしっかりと持って、それを思い浮かべながら歌う、ということが強調されて指導していただいたように思います。その後、全体で合わせて、グループ分けをして、なんと、本番どおりのセットの舞台にあがって、歌いました。こんな経験は初めてでしたので(当たり前!)、とても感激しました。また、その後の講師役の俳優さんたちとのQ&Aでは、色々なお話を伺いましたが、俳優さんたちが、皆さん、この作品を大切に思085 い、戦争を知らない世代に伝えていこうという熱い思いを持ちながら演じておられることが伝わってきました。

この“ミュージカル異国の丘”は劇団四季の昭和三部作の中では僕の一番好きな作品ではありますが、ますます好きになったように思います。ミュージカル好きにはとても貴重な時間でした。

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2008年6月 1日 (日)

佐渡寧子さんの宋愛玲

079 劇団四季の“ミュージカル異国の丘”を観てきました。

主要なキャストは、中華民国の司法大臣の娘で愛する九重秀隆とともに日中和平のために奔走する宋愛玲に佐渡康子さん、その恋人で大日本帝国総理大臣の息子、九重秀隆に荒川務さん、彼の親友、神田に深水彰彦さん、抑留された兵士であり作曲家の吉田に中嶋徹さん、同じく抑留者の仲間で帰国する仲間に遺言を家族に伝えてくれるように願う平井に維田修二さ080 ん、宋愛玲の叔母、蒋介石の妻、宋美齢に中野今日子さん、宋愛玲の親友、李花蓮に岡本結花さん、その恋人劉玄に青山祐士さん、日中の和平のために愛玲と九重秀隆の出会いを画策したアグネス・フォーゲル夫人に武木綿子さん、同じクリストファー・ワトソンに志村要さん、といったところです。

終戦直前に日ソ中立条約を破ってソ連が国境を越えて進軍してきます。そして、ソ連国境や満州にいた兵士や民間人をシベリアへ送り込み、飢えと酷寒の劣悪な環境の中で重労働を強いました。このミュージカルはこのシベリア抑留をテーマにしています。この舞台は、第二次世界大戦前夜、日華事変が始まりきな臭い空気が世界を覆い始めた頃と、酷寒のシベリアで日本の捕虜たちが重労働を強いられた戦後の時期とを行きつ戻りつしながら進んでいきます。1937年のニューヨーク。フォーゲル夫人主催のパーティで、プリンストン大学に留学していた九重秀隆とジュリアード音楽院に留学していた宋愛玲は、お互いの国籍も名前も知らないままに出会い、たちまちのうちに恋に落ちます。しかし、この出会いは日中和平を画策するフォーゲル夫人とワトソンによって図られたものでした。愛玲は愛する九重が祖国を蹂躙する日本の人間だと知り、祖国愛と九重の愛との間でとても苦しみます。しかし、彼への愛は何物にも変えがたいものであることを知ります。しかし、歴史は二人が一緒にいて愛を育むことを許しません。日本軍が上海へ進軍したため、愛玲は上海へ、九重は日本に帰らなくてはならなくなります。一時的に離れ離れにはなりますが、やがて二人は日中和平のために再会することになります。二人のその後は…

一方、戦後の酷寒のシベリアの地。九重秀隆も抑留され、重労働を強いられながら、何度も何度も尋問を受け、ソ連の協力者になるように強要されます。これを拒み続ける九重。抑留者の中にはソ連に寝返り仲間たちを密告をする者、帰国を早めるためにソ連に迎合する者、そのような過酷の状況の中でも日本人の誇りを保とうと努力する者など様々な人たちがいるのです。抑留者の中の一部が帰国する時に、平井は彼らに自分の遺言を託します。紙に書けば没収されるおそれがあるので、抑留者全員でその遺言を覚えようとします。平井は、年老いた母へ親孝行ができなくなった無念さと母への愛を、妻へは愛と感謝を、子供たちへは父親としての精一杯の愛を語ります。果たして、九重は無事、日本に帰国することができるのか?

…といった内容のミュージカルです。佐渡寧子さんの宋愛玲は初めて観ましたが、とても美しい愛玲でした。外見はもちろんですが、様々な場面での所作も美しいと思いました。九重と一緒にダンスをするシーン(あまり長くはないけれど)などとても美しいと思います。僕は、佐渡さんにはあまり“ダンス”というイメージを持っていなかっただけに、新しい発見をした思いでした。もちろん、歌も美しく、久しぶりに彼女の世界に酔いました。“名も知らぬ人”“哀しみの祖国”“許されぬ恋”“あなたを求めて”などなど、ソロも九重等とのデュエットもとても美しく、時代に翻弄される愛玲の哀しみが出ていたように思います。また、荒川さんは、今回が初めての九重秀隆だったわけですが、嫌味の無いスマートな九重秀隆でなかなか素敵な演技でした。また、このミュージカル、僕にとっては、けっこうツボにはまってしまうところがあるのですが、やはり遺言のシーンは、涙がポロポロ流れてきます。前述したように、自分の健康状態から日本に帰国することをあきらめた平井が先に帰国が決まった仲間たちに自分の家族への遺言を語る場面です。セリフも大体頭に入っていて、来るぞ来るぞと思っていても、あの場面を見ると、彼の祖国日本と家族への心情を思い、涙を止めることができません。

このミュージカル、派手さや華やかさはあまりありませんが(もっともダンスシーンはなかなか素敵です)、日本の近代の歴史を知る上ではとても価値のあるミュージカルだと思います。その意味では、昭和三部作を上演し続ける劇団四季の姿勢には敬意を表するべきものと思います。これを読んでいただいた皆さんのより多くの人が劇場に足を運んでくださることを願わざるをえません。(って、劇団四季の宣伝をしているわけではありませんが…)

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2008年5月22日 (木)

ルドルフ-男としてみてみると…

077 帝国劇場で“ルドルフ-ザ・ラスト・キッス”を観てきました。今回の公演が日本初演です。音楽は、“ジキル&ハイド”のフランク・ワイルドホーン、脚本・歌詞がジャック・マーフィ(追加歌詞ナン・ナイトナン)、演出が宮本亜門さんという作品です。配役は、オーストリア皇太子ルドルフには井上芳雄さん、その恋人の男爵令嬢マリーヴェツェラに笹本玲奈さん、ルドルフの妻スティファニーには知念里奈さん、マリーの親友ラリッシュには香寿たつきさん、マジシャン(チラシ等には人形師となっていますがリハーサルの段階でマジシャンに変更されたとファン感謝デーのトーショウで聞きました。)ヨハン・ファイファに浦井健治さん、プロシア皇帝ウィルヘルムに岸祐二さん、英国皇太子エドワードに新納慎也さん、ルドルフとマリーを理解し、彼らのために色々と心を砕く御者ブラット・フィッシュに三谷六九、オーストリア首相ターフェに岡幸二郎さん、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフに壤晴彦さんといったところが主なキャストです。

オーストリア皇太子のルドルフ。彼は父、フランツ・ヨーゼルとの親子関係に悩み、政治的な方向性が異なるため苦悩しています。加えて、オーストリア皇太子妃078_2 としてのプライドの高い妻スティファニーに攻められる毎日を過ごしています。そんななかで出会った男爵令嬢のマリーに彼は恋に落ちてしまいます。彼の政治的信条にすがりハンガリーの独立をめざす勢力がルドルフに接近します。自分の良心と自分の国の体制との狭間でルドルフの気持ちは揺れ動きます。それに加えて彼の恋心。彼の気持ちは安らぎの元であるマリーのもとへ。しかし、彼の立場はオーストリアの皇太子。現に皇太子妃のステファニーがいるのです。そして、彼女は彼女に愛情を注がないルドルフを責めたてるのです。ルドルフとマリーの恋の行方は?ルドルフの人生は…??

…というお話ですが、とても美しいナンバーがたくさんあって(似たような曲調の 歌が複数あるのが少し気になりましたが)、ルドルフとマリーの悲しい恋をさらに美しく歌い上げます。でも、一男性の目から見ると、「おい、ルドルフ、いい加減にしろよな」と言いたくなる面がたくさんあります。人にはそれぞれに立場と事情があるのではないでしょうか?その立場ゆえに、できることもあれば、捨てなければならないこともあるのです。その辺の覚悟もしないで生きていくから、マリーも不幸にして、ひいてはスティファニーも不幸にしてしまう。正直な感想として「おいおい…」と思ってしまいます。でも、考えてみると、“ミス・サイゴン”のクリスにしても、“レ・ミゼラブル”のマリウスにしても同じような面があるわけで、やっぱり、こういうある種の優柔不断な男がいないとミュージカルに合うストーリーは成立しないのかもしれません。

とはいえ、なかなか、優柔不断なルドルフの存在ゆえにこのミュージカルの魅力が増していることには違いありません。ただひとつ残念なのは、岡さんの歌う場面が少なかったこと。もう少し、岡さんの歌を聞きたかったなぁ、というのが正直なところです。

今回は、ファン感謝デーということで、トークショウがありました。新納さんの司会で、新納さん、井上さん、岡さん、浦井さん、岸さんのトークショウでした。色々な裏話が聞けて、なかなか面白いイベントでした。ルドルフに対する思いも皆で語っていましたが、僕と同じ思いの役者さんもいて、「そうかぁ」という思いもあり、とても興味深いひと時でありました。

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2008年5月11日 (日)

再び、ダンヴァース夫人!

076昨日、先週に引き続きシアタークリエに行ってきました。ミュージカル“レベッカ”を、再度、観劇です。キャストは前回と同じです。“わたし”に大塚ちひろさん、その夫、マキシム・ド・ウィンターに山口祐一郎さん、家のメイド頭のダンヴァース夫人にシルビア・グラブさん、マキシムの親友でマキシムの邸宅マンダレイの管理を任されているフランク・クロウリーに石川禅さん、マキシムの今は亡き妻であるレベッカのいとこ、ジャック・ファヴェルに吉野圭吾さん、マキシムの姉ベアトリスに伊東弘美さん、“わたし”の雇い主のヴァン・ホッパー夫人に寿ひずるさん、知恵遅れの男ベンに治田敦さん、マキシムの友人で判事のジュリアン大佐に阿部裕さんです。

どうしても、シルビアさんのダンヴァース夫人をもう一度観たくて、当日券を買い、補助席で観てきました。シルビアのダンヴァース夫人はやっぱりすごい!黒一色のドレスを身にまとい、虚空を見つめながら(と、僕には見えるのですが)亡き主人への思いを切々と謳いあげる姿には、凄みと、そして、そこはかとなく漂うような悲しみが感じられます。思わず舞台に引き込まれてしまいます。もちろん、他の俳優さんたちも熱演(特に、寿ひずるさんのヴァン・ホッパー夫人も大好きです。)で、だからこそ、このミュージカルの価値が高まっているわけですが、僕にとっては、何と言っても、シルビアさんのダンヴァース夫人がこのミュージカルの最大の楽しみです。

ウィーンの劇場でのライブ版CDも購入して聞いていますが、また、観てみたいという気持ちが段々と高まってきてしまいます。

今回の写真は、雨のシアタークリエとなってしまいました。

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2008年5月 6日 (火)

シルビア・グラブさんに圧倒される-ミュージカル“レベッカ”

072 ミュージカル“レベッカ”を観てきました。主なキャスティングは、“わたし”に大塚ちひろさん、その夫、マキシム・ド・ウィンターに山口祐一郎さん、ド・ウィンター家のメイド頭のダンヴァース夫人にシルビア・グラブさん、マキシムの親友でマキシムの邸宅マンダレイの管理を任されているフランク・クロウリーに石川禅さん、マキシムの今は亡き妻であるレベッカのいとこ、ジャック・ファヴェルに吉野圭吾さん、マキシムの姉ベアトリスに伊東弘美さん、“わたし”の雇い主のヴァン・ホッパー夫人に寿ひずるさん、知恵遅れの男ベンに治田敦さん、マキシムの友人で判事のジュリアン大佐に阿部裕さんです。

身寄りのない“わたし”は、アメリカ人の富豪のヴァン・ホッパー夫人の付き人と073してモンテカルロのホテルに滞在しています。そこでマキシムと出会い、二人は恋に落ち、結婚することに。二人はハネムーンの後、英国のコーンウォールにあるマキシムの邸宅マンダレイにやってきます。そこには、一年前に事故でなくなったマキシムの妻、レベッカの影が色濃く残っていたのです。“わたし”は、フランクやベアトリスには温かく迎えられるものの、特にレベッカを崇拝するダンヴァース夫人との確執は日を追うごとに強くなっていきます。そんなある日、ヨットの事故でなくなったはずのレベッカの死の原因にも疑惑がわきあがって…

このお話はすでにヒッチコックによって映画化もされていますが、既に死んで姿の見えないレベッカに段々と精神的に追い込まれていく“わたし”がこのミュージカルの見所のひとつです。しかし、なんといっても脚本・作詞のミヒャエル・クンツェと作曲のシルヴェスター・リーヴァイが紡ぎだす音楽の世界がこのミュージカルの最大の魅力ではないでしょうか。リーヴァイの音楽の美しいメロディにオープニングから引き込まれてしまいました。プロローグからエピローグまでクンツェ、リーヴァイの世界を堪能しました。

大塚ちひろさんは初めて観ましたが、とても清潔な声で熱演していました。ただ、 今回の舞台では、なんといってもシルビア・グラブさんが群を抜いて光っているように思います。レベッカを完璧な女性として崇拝し、“わたし”を精神的に追い込んでいく、ダンヴァース夫人を演じる彼女には凄みさえ感じさせられました。彼女の演技に圧倒された思いで劇場を後にしました。

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2008年4月16日 (水)

1,100回の一つ一つを積み重ねた舞台を観る

今日の新聞やテレビで、“ラ・マンチャの男”の昨日の415日の公演で松本幸四郎丈が1,100回の出演を果たしたと報道されていました。

064 僕も、先日(15日の記念すべき日ではありませんが)、帝劇で“ミュージカル ラ・マンチャの男”(Man of La Mancha)を観ました。主な出演者は、主演のセルバンテス/ドン・キホーテに松本幸四郎丈、サンチョに佐藤輝さん、アルドンサには松たか子さん、アントニアには月影瞳さん、神父に石鍋多加史さん、家政婦に荒井洸子さん、カラスコ博士に福井貴一さん、牢名主/宿屋の主人に瑳川哲朗さん、床屋に駒田一さん、ペドロに大塚雅夫さん、といったところです。

このミュージカルは僕にとって今回が初観劇でした。全ての悪を滅ぼそうとサンチ066_2  ョを従えて旅に出た遍歴の騎士、ドン・キホーテ。風車を巨人マタゴヘールと見て突っ込んでいくドン・キホーテは周囲からは狂気にかられた人間に見えても、彼の精神は崇高で気高い。そんな精神をもって見ると、どん底の世界に生きる女、アルドンサも麗しき姫君、ドルシネアなのです。そんな気高き心を持ったドン・キホーテを松本幸四郎丈が風格のある演技で丁寧に演じます。“見果てぬ夢”を聞いたときには思わず涙が出てきました。僕はこの歌の歌詞もとても好きです。

見果てぬ夢(The Impossible Dream

夢は稔り難く 敵は数多なりとも

胸に悲しみを秘めて 我は勇みて行かん

道は極め難く 腕は疲れ果つとも

遠き星をめざして 我は歩み続けん

これこそ我が運命

汚れ果てし この世から

正しきを救うために

如何に望み薄く 遥かなりとも

やがて いつの日にか光満ちて

永遠の眠りに就くその時まで

たとえ傷つくとも

力ふり絞りて

我は歩み続けん

あの星の下へ

(東宝“ミュージカル ラ・マンチャの男”公演プログラムより)

松たか子さんのアルドンサもさすがの演技です。彼女の前には経験豊富な女優さんが演じ続けてきた難しいこの役を、十分に演じていました。彼女の演技も初めて見ましたが、また見たい女優さんです。また、芸達者たちがたくさん出ています。荒井洸子さんのコミカルな感じはとてもよかったですし、佐藤輝さんもドン・キホーテになりきっているキハーナを愛し、慕うパンチョを好演していたと思います。

「人が生きていく上では色々なことがあるけれど、胸を張って生きていこう」という気分になれる作品です。

今回は、本作品の世界初演時に演出を担当したアルバート・マーリ氏と初演時にアントニアを演じたミミ・タークさんが観劇されていたという事で、アンコールに松本幸四郎さんが英語で見果てぬ夢を歌ってくれ、特別に舞台挨拶がありました。とても得をした感じになれました。

また、今回は、この作品に出演中のある俳優さんにお招きいただいて、終演後に、帝劇の楽屋に初めて行ってきました。これも、素敵な経験でした。

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2008年4月13日 (日)

不幸な日中関係を舞台に-ミュージカル李香蘭

070_3 劇団四季の“ミュージカル李香蘭”を観てきました。2005年の晩夏に観て以来、2回目の観劇です。主要なキャストは前回と同じで主演の李香蘭(山口淑子)には野村玲子さん、川島芳子に濱田めぐみさん、李香蘭が兄と慕う杉本に芝清道さん、李香蘭の親友、李愛蓮には五東由衣さん、李愛蓮の恋人、王玉林には芹沢秀明さんです。

劇団四季のオリジナルミュージカルの昭和三部作の第一弾です。当時、満州映画協会の大スターであった李香蘭(山口淑子)の半生を描きつつ、軍部が中国大陸にお068_2 いて戦争へとひたすら突き進むさまを描いています。浅利慶太さんの「戦争の歴史を若い世代に伝えるのだ」という信念(執念?)が観る側にもヒシヒシと伝わってくる作品です。満州事変の前あたりから終戦までの歴史の事実を追うことに力点が置かれているので(これはこれで、この作品の重要なテーマであり、というか、そもそもこれがこの作品が作られ上演される目的なのでしょうが)、それぞれの人物の関係や心の動きが少し見えないきらいはありますが(例えば、李香蘭と杉本との関係とか)、日中戦争の頃の出来事がわかりやすく伝わってきます。特に僕は、日本軍に抵抗するために王玉林とともに義勇軍に加わった愛蓮が、仲間とともに“松花江上”を仲間達と歌い、その歌を聞きながら日本軍との戦いで傷ついた仲間の一人が死んでいく場面が、とても美しく感じられ、好きです。この“松花江上”という歌は、満州事変で故郷を追われた中国の若者たちが日本への激しい憤りを抱きながら、強い望郷の念を歌い上げる歌です。また、多くの名も無い若き兵士達がステージ上に立って、死に直面した自分の思いを語っていく“若き戦士の辞世”のシーンも、「来るぞ来るぞ」とわかっていても涙が出てきてしまいます。どちらかといえば、昭和三部作の中では“異国の丘”が僕の最も好きな作品ですが、不幸な日中時代の歴史を知るという意味では、とても良心的な作品だと思います。

069_2 このミュージカルで主役と呼ぶべき役はタイトルロールである李香蘭なのでしょう が、僕には川島芳子がとても良い(おいしい?)役に思えてなりません。狂言回しといった役どころですが、このお芝居全体を仕切っているように見えます。この役を濱田めぐみさんが力強い歌声で歌い演じます。濱田さんの声はとても力強くて魅力があります。川島芳子の“男装の麗人”というイメージ(僕が勝手にそういうイメージを持っているだけかもしれませんが)にピッタリです。

5月末から“ミュージカル異国の丘”も始まります。

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2008年3月15日 (土)

赤毛のアンの物語

056 自由劇場で、“ミュージカル赤毛のアン”を観てきました。主な配役は、アン・シャーリーに吉沢梨絵さん、アンを育てる兄妹のマシュー・カスバートに日下武史さん、マリラ・カスバートに木村不時子さん、アンの“腹心”の友ダイアナ・バリーに真家瑠美子さん、アンのライバルにして気にかかる男の子、ギルバート・プライスに望月龍平さん、彼に恋するジョシー・パイに長谷川ゆうりさん、子供たちを温かく見守るステイシー先生に江寿田知恵さん、プリシーと店員ルシラに久居史子さん、マリラの友達のレイチェル・リンド夫人には都築香弥子さん、といったところです。

想像以上に良くできて作品でした。まさに珠玉の作品です。歌も美しいメロディの055 もの、楽しくうきうきしたもの、良い歌がたくさんありますし、ダンスも洗練されています。特に、ピクニックのシーン、スプーンレースはとても楽しいシーンです。また、アンとマリラやマシューの心のふれあいも見所の一つです。朴訥なマシューと生真面目なマリラ。その二人の静かな生活の中に飛び込んできたアン。二人は驚き、ためらいながらも、やがてこの若さと元気と想像力に溢れた女の子を受け入れ、愛するようになります。周囲の愛情と友情に包まれて成長するアンの姿を丁寧に、楽しく描かれている作品です。

吉沢梨絵さんが、明るく真っ直ぐに生きるアンを好演していました。また、日下武史さんのマシューもさすがです。日下さんが歌う場面もありますが、なんとも言えない味がありました。また、木村不時子さんの生真面目な、しかし、優しいマリラもとても印象的でした。そして、久居史子さん。僕は、彼女をエビータのミストレスと壁抜け男の共産主義者で観ていますが、脇役が多いのですが、歌も上手く印象に残る演技が多く、気になる女優さんです。

これもファミリーミュージカルの範疇に入るのでしょうが、劇団四季のファミリーミュージカルは、侮れません。

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2008年2月11日 (月)

人は生きているのではなく、生かされているのだという喜び

劇団四季の“ユタと不思議な仲間たち”を観てきました。昨年の4月に続いて2回目の観劇です。配役は、ユタに藤原大輔さん、ペドロに芝清道さん、ダンジャに丸山れいさん、ゴンゾに深見正博さん、モンゼに田村圭さん、ヒノデロに道口瑞之さん、小夜子に樋口茜さん、寅吉に吉谷昭雄さん、ユタの母に菅本烈子さん、クルミ先生に丹靖子さん、大作に菊池正さん、一郎に遊佐真一さん、でした。

父親が亡くなったために、東京から母親の実家の東北の湯の花村に転向してきた勇太。彼は、周囲からユタと呼ばれ、同級生から苛められています。周りからも苛められ、田舎の生活にも馴染めずユタは自殺も考えています。そんなときに出会ったのが座敷わらしのペドロ一家。彼らは、飢えや間引きによって命を奪われ、人の世にも住めず、幽霊にもなれない座敷わらしなのです。そんな彼らが生きていくことの素晴らしさ、大切さをユタに教えます。ペドロはユタに言います。「馬鹿野郎!もっと生きてるってことを大事にするんだよ。いいか、生きるということは、それはそれだけで、たいしたいいものなんだぞ!」と。そして、こうも…「せっかくもらった生命は、自分で磨きをかけなければ石ころと同じだ。本当に生きていることにはならねえ!」なんと、厳しい、しかし、愛に満ちた言葉なんでしょうか。このようなペドロ一家に励まされ、鍛えられ、やがてユタは、独り立ちして、苛められたクラスメートの中に飛び込んでいきます。そんな独り立ちしたユタを見届けて、座敷わらしたちはこの地を去っていくのです。

このミュージカルは、プログラムの中で池田雅之氏が書いておられるように、「生かされて生きる喜び」が底に脈々と流れており、「人を思いやる心」「信じあう喜び」「命の大切さ」をテーマとしたミュージカルです。自分が生きているのは自分ひとりの力で生きているのではなく、もっと大きなものに見守られ、まさに生かされているのだということ、そして、その素晴らしさを、高らかに、そして、簡潔に謳いあげているのがこのミュージカルです。それが難しい理屈でなく、簡潔に(誤解を恐れずに言えば、単純に)訴えてくるので、観るものにより強く訴えてくるのではないでしょうか。

このミュージカルの魅力を増しているもうひとつのものは、登場人物(特に座敷わらしたち)が使う南部弁です。とてもやわらかく温かみを感じます。(でも、南部弁を始めとして東北弁は口をあまりあけず、母音をはっきり発音しない方だと思うのですが、これと四季の発声方法とは矛盾しないのでしょうか?)

また、クルミ先生の青空教室のシーンはコミカルではありますが、現在の教育に対する批判が込められているように思います。写生の時間に、「夕焼けが大好きで、夕焼け空の方が青空よりもきれいだから」と自分の絵の空を夕焼け色にしている女生徒や、「花が大好きでそれを大きく描いたら隣の水車は小さくしか描けなかった」という小夜子を否定して、目の前のものを正確に描くように“指導”するクルミ先生の姿に現在の画一的な教育がいかに個性を殺しているのかということを感ずるのは僕だけでしょうか?

今回、田村圭さんのモンゼがとても可愛らしくて素敵でした。彼女はエクウスでジル役をとても上手く演じていましたが、モンゼも全く違和感無く演じていました。いつも思うことではありますが、俳優さんって本当に凄い!ヒノデロの道口瑞之さんの女形ぶりもとても良かったように思います。芝さんのペドロはもう貫禄の演技と言う感じです。特に、最後に、小夜子に別れを告げて去っていく姿は、「よっ!大統領!!」と掛け声をかけたくなるような格好良さでした。

最後に、昨年の4月のブログにも書きましたが、小夜子の言葉をもう一度引用します。