ミュージカル

2009年11月 7日 (土)

新妻聖子さんのエポニーヌ

Pb030010 3日に“レ・ミゼラブル”を観ました。主なキャストは、ジャンバルジャンに橋本さとしさん、エポニーヌに新妻聖子さん、ジャベールに今拓哉さん、ファンティーヌにシルビア・グラブさん、マリウスに小西遼生さん、コゼットに辛島小恵さん、テナルディエに安崎求さん、マダム・テナルディエに田中利花さん、アンジョルラスに松原剛志さん、でした。

4日が新妻聖子さんとシルビア・グラブさんの千秋楽だったのですPb030014 が、これは平日のマチネだったので、お二人の千秋楽の一日前のこの日に観劇しました。

何度も書きましたが、新妻さんのエポニーヌは本当に素晴らしいと思います。彼女の豊かな表現力はエポニーヌをとてもリアルにしています。新妻聖子という女優がエポニーヌを演じているのではなく、エポニーヌという幸薄い、しかし、ピュアな少女が新妻聖子という女優の体を借りて舞台の上でPb010005 生きている…そんな思いさえ抱かせます。彼女の歌う“On My Own”はとても感動的ですが、僕は、この歌の最後で「幸せの世界に縁などない」と歌った後、「愛してる」と始まるまでの数秒間、帝劇全体を支配する圧倒的な静寂が大好きです。エポニーヌ魅せられた観客達が、彼女の愛と人生を象徴するこの歌にぐいぐい引き込まれていき、最後のフレーズを息をつめて待つ、あの濃密な静寂の中に我が身をおくことは、CDでもDVDでも味わうことのできない、まさにライブの醍醐味なのではないでしょうか?今回のシーズンでは、もう新妻聖子さんのエポニーヌを観ることはできませんが、また次の公演で、もっと素晴らしい彼女のエポニーヌに出会えるのではないかと期待しています。

シルビアさんのファンティーヌも素晴らしかったと思います。彼女は歌がとてもPb010002 良いですね。豊かな声量があるからこそ、静かに歌う(ピアノやピアニッシモ)部分がとても良くなるのではないかと思います。彼女が歌う“I Dreamed a Dream”は何度聞いても聞きほれてしまいます。今回の公演では、橋本さとしさんの“家に帰して”もとても良かったです。

今回は、終演後、ファン感謝イベントということで、今さんが司会で、新妻さん、シルビアさん、小西さんというメンバーでトークショウが開かれました。なんとなく緩いというか、まったりとした雰囲気のトークショウでこれはこれで、なかなか良かったのですが、凄く面白かったPb030009 のは、小西さんがギターの弾き語りで“On My Own”を歌ったことです。これがとても素敵なのです!直ぐ前で聞いていた新妻さんが「CD化したら」と言ったほど。この歌、女性の歌と思っていましたが、男性が歌うとまた雰囲気が変わって、とても素敵な歌になりました。大発見です。(ちなみに、イギリスの男優さんでジャン・バルジャン、ファントム、オールド・デュトロノミー等の大役を演じたDave Willettsが歌う“I Dreamed a Dream”のCDを持っていますが、これも素敵です。)

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2009年11月 3日 (火)

新妻エポニーヌとシルビア・ファンティーヌの共演に酔う

Pb010001 “レ・ミゼラブル”を観ました。今回の主なキャストは、ジャン・バルジャンに別所哲也さん、エポニーヌに新妻聖子さん、ジャベールに今拓哉さん、ファンティーヌにシルビア・グラブさん、マリウスに藤岡正明さん、コゼットに辛島小恵さん、テナルディエに駒田一さん、マダム・テナルディエに田中利花さん、アンジョルラスに原田優一さん、です。

僕の大好きな新妻聖子さんのエポニーヌとシルビア・グラブさんのファンティーPb010004 ヌのコンビです。シルビアさんのファンティーヌは前回以上に素晴らしかったです。迫真の演技でした。“I Dreamed a Dream(夢やぶれて)”から始まって、“ファンティーヌの逮捕”のシーン、“ファンティーヌの死”のシーンと涙腺が緩みっぱなしでした。エピローグでも、新妻さんのエポニーヌとともに美しいハーモニーを聞かせてくれました。

そして、何よりも新妻聖子さんのエポニーヌは素晴らしい!前回も書きましたが、とても表情が豊かです。見えないところや隠れたところでの細部の演技が細やかで、それが積み重なってとてもエポニーヌという存在がリアルに迫ってくるのではないかと思います。彼女の“On My Own”は本当に感動的です。もち論、彼女の声の素晴らしさということもありますが、やはり彼女の豊かな表現力によるのではないでしょうか。彼女のこの歌を聞くと、薄幸の少女エポニーヌの悲しみが胸の奥底にしみわたるような思いを抱くのは僕だけではないと思います。

今回、コゼットは辛島小恵。とても歌の上手い女優さんです。声にも清潔感があって、コゼットにピッタリです。藤岡正明さんのマリウス。相変わらずやんちゃ坊主の雰囲気が漂うマリウスでした。この人は、何を演じてもやんちゃな雰囲気がして、それがまたこの俳優さんの魅力でもあるような気がします。

新妻さんのエポニーヌとシルビアさんのファンティーヌのコンビでのレ・ミゼラブルをもう一度観て、今回の僕のレミゼ・シーズンを終えることにします。

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再び、革命の世界へ!

“レ・ミゼラブル”2回目の観劇です。今回の主なキャストは、ジャン・バルジャンに別所哲也さん、エポニーヌに坂本真綾さん、ジャベールに岡幸二郎さん、ファンティーヌにシルビア・グラブさん、マリウスに山崎育三郎さん、コゼットに菊地美香さん、テナルディエに駒田一さん、マダム・テナルディエに田中利花さん、アンジョルラスに松原剛志さん、でした。

この日は僕が最も好きなジャン・バルジャンとジャベールのコンビです。何と言っても、岡幸二郎さんのジャベールは素晴らしい。岡さんは,歌がうまいのはもちろんですが,姿が美しい(と,男の僕が言うのも変かな?)ので,酷薄さがとても出ているように思います。だから一層,自殺のシーンは,凄惨な顔になって迫力があります。そして,彼の“星よ(STARS)”は何度聞いても聞きほれてしまいます。前にも書いたかもしれませんが,僕は,基本的には男優さんに興味がなくて,どの演目でも注目することは少ないのですが,岡さんが舞台に出てくると,つい注目してしまいます。別所さんのジャン・バルジャンも僕は好きです。高い声が出るので、僕のバルジャンのイメージにピッタリです。2003年に初めて観て以来、少しずつ演技が変わってきているように思いますが、いつも楽しみです。

そして、シルビアさんのファンティーヌ。こちらも素晴らしかったと思います。歌にも迫力があって、“I Dreamed a Dream(夢やぶれて)”では、幸せだった日々が過ぎ今は不幸の中に生きなければならない薄幸の女性の嘆きが、“ファンティーヌの死”のシーンでは遠く離れたわが子を思う母の悲しみが、迫ってきて、思わず涙が出てしまいました。坂本真綾さんのエポニーヌも、柔らかな声で歌う“On My Own”が大好きです。菊地美香さんのコゼットは、いつも声もきれいで、とても可愛いコゼットです。山崎育三郎さんのマリウスは、ベガーズのシーンで、髪を触るエポニーヌを怒らない、優しいマリウスです。日本では少ないタイプだと思いますが、僕は、このシーン、怒らないマリウスが好きなのです。

作品自体も何度観ても飽きない名作、レ・ミゼラブル。日本では色々な組合せで変化を楽しめるのも良いところ。次はどんな出会いとなるでしょうか…

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2009年10月24日 (土)

またあの感動が…“レ・ミゼラブル”を観る

Pa170176 “レ・ミゼラブル”の第1回目の観劇に行ってきました。主なキャストは、ジャン・バルジャンに今井清隆さん、エポニーヌに新妻聖子さん、ジャベールに石川禅さん、ファンティーヌに山崎直子さん、マリウスに小西遼西さん、コゼットに神田沙也加さん、テナルディエに安崎求さん、マダム・テナルディエに田中利花さん、アンジョルラスに坂元健児さん、でした。

僕にとって、レ・ミゼラブルは、ザ・ミュージカルというべき作品。僕にミュージカルの魅力を教えてくれた大切な作品なのです。

今回も、新妻聖子さんのエポニーヌが本当に素晴らしかった!これまでも素敵なPa170180 エポニーヌでしたが、また一段と進化したように思います。全体を通じて表情というか、感情表現が、さらに豊かになっています。彼女が絡むシーンは、一段と舞台がキリッと引き締まるように感じました。(別に、他のシーンが引き締まっていないということではありませんから、念のため。)そして、彼女の“On My Own”。一層パワーアップした彼女のこの歌は、以前にも増して哀しく、切なく、そして、だからこそ美しい…前回のエポニーヌ以来、舞台、映画、TV、コンサート等を経て積んできた経験が花開いているのだな、と思います。新妻さんのエポニーヌの素晴らしさは、決して、ファンのひいき目ではありません。

Pa170175 山崎直子さんのファンティーヌは、2007年の公演の時よりもぐっと良くなっていたように思います。歌もとても良かったですし、表現も深まった感じで、“Dream I Dreamed ”やファンティーヌの死の場面では、思わず涙してしまいました。今井清隆さんはいつものことながら重厚なジャン・バルジャン。そして、ますます油が乗って、弾けてきた感じの安崎求さんのテナルディエも楽しかったのです。

ところで、ロンドン公演では、エポニーヌが死んでバリケードの学生達に運ばれていく時に、肩の高さまで掲げられて運ばれていくのですが、バリケードの上にいてその様子を見下ろしている一人の女性が、エポニーヌの死体の上に、小さな赤い布(多分、旗です)をすっと落とす場面があって、それがとても良かったのです。学生達が、エポニーヌを自分達の仲間として受け入れている、という気持ちが良く伝わってきました。日本の公演では、僕はこの演出を観たことがありませんが、日本ではやらないのでしょうか…

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2009年10月12日 (月)

アナテフカ村で父親の情愛に涙する-“屋根の上のヴァイオリン弾き”を観る

Pa100171 “屋根の上のヴァイオリン弾き”を日生劇場で観ました。主なキャストは、テヴィエに市村正親さん、ゴールデに鳳蘭さん、ツァイテルに貴城けいさん、ホーデルに笹本玲奈さん、チャヴァに平田愛咲さん、モーテルに植本潤さん、パーチクに良知真次さん、フョートカに中山卓也さん、Pa100170 ラザールに鶴田忍さん、アブラムに石鍋多加史さん、ラビに青山達三さん、巡査部長に廣田高志さん、イエンテに荒井洸子さん、シュロイムに真島茂樹さん、フルマ・セーラに園山晴子さん、ツァイテル婆さんに高塚いおりさん、でした。

考えてみると、僕が初めて舞台でミュージカルを観たのがこの作品でした。劇場は帝国劇場で、森繁久彌さんのテヴィエでした。その時は、特に今のようにミュージカルにはまっていませんでしたので、それ以降、あまりこの作品に縁がなく、今日まできてしまいました。今回は、劇場もキャストも、もちろん前回の観劇の時とは違っていますが、なんとなく懐かしい思いを持ちながらの観劇となりました。

この作品は、長い間迫害され続けてきたユダヤ民族の悲しみを縦糸に、テヴィエの父親としての娘への愛情を横糸にして紡ぎだされる、笑いとペーソスに満ちた物語です。

Pa100169 この作品の見所は、何と言っても、テヴィエの三人の娘に対する情愛ではないでしょうか。結婚相手は親が決めるもの、そんなしきたりを守って生きてきたテヴィエ。ところが長女のツァイテルは幼なじみである貧乏な仕立て屋のモーテルと結婚したいと言ってくる。次女のホーデルは革命に情熱をかける貧乏な学生と恋に落ち、三女のチャヴァはあろうことかユダヤ人と対立するロシア人の若者と恋に落ちてしまう…テヴィエは、その度に、とまどい、怒り、悲しみ、しかし、結局、娘への愛情を最優先させていきます。そのテヴィエの姿がとても良いのです。森繁テヴィエもとても味のある演技ではありましたが、市村さんのテヴィエは、森繁テヴィエとはまた一味もふた味も違った父親テヴィエを演じていました。特に、ホーデルがパーチクを追って、アナテフカの村を去っていく時のテヴィエとのやり取りは、本当に涙を誘います。ユーモアがあって、少し頑固で、とても愛情深いテヴィエを好演されていました。

この作品で、好きな場面は、ツァイテルとモーテルとの結婚式の場面です。おめでたい席でありながら、この場面は、この先のアナテフカ村の住民の運命を予感するような哀愁を帯びた“サンライズ・サンセット”で始まります。列席者全員がロウソクを手に持ち、この歌を歌うシーンは涙が出るほど美しいのです。そして、その場面が終わると、やがて、華やかなボトルダンスのシーン、楽しい宴が続きますが、しかし、その喜びも長くは続かないのですが…

このお祝いの場面の歌には手拍子が入ります。この手拍子は、独特な形で、手を前に押し出すようにして手拍子をします。これ、かつて倍賞千恵子さんが出演していたときにインタビューで「私たちの幸せをお客様に差し上げると言う思いを込めて、手を前に押し出すように拍手しているんです。」と話していたのを今も覚えています。その当時と変わらぬ拍手でした。

この舞台、市村さんはやはり素晴らしい。頑固で、けれども愛情深い父親像をとても活き活きと描き出していました。そして肝っ玉お母さんともいうべき鳳蘭さん、このお二人のコンビはとても素敵です。また、三姉妹もとても良かったように思います。長女の貴城けいさんはとてもきれいでしたし、笹本玲奈さんは相変わらず達者な演技でした。そして、平田愛咲さん。とても今回がミュージカル初出演とは思えない演技、これからが楽しみな女優さんです。また、高塚いおりさんのツァイテル婆さんは、とても可愛い、チャーミングなお婆ちゃんでした。高塚さんは今回の公演で、この作品に400回連続出演を達成するとのこと。おめでとうございます!15年の間、同じ作品に出演し続けると言うことはとても凄いことだと思います。こういう俳優さんの存在があるからこそ、長く作品が続くのですね。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

1905年、帝政時代のロシアの寒村、アナテフカ村。その村に住むテヴィエは、酪農を営みながら、25年連れ添った妻、ゴールデと5人の娘と暮らしています。この村は、ユダヤ人が穏やかに暮らしている村ですが、ロシアではユダヤ人迫害が頻繁に行われており、近くの町にまでそれは及んできていました。しかし、今はまだ平穏なアナテフカ村。

ここで、テヴィエ達村人が長い間暮らしてくることができたのは、彼らが“しきたり”を守ってきたからこそ、とテヴィエは考えています。全てに、“しきたり”、“しきたり”!これがあるからこそ、屋根の上のヴァイオリン弾きのように危なっかしい場所でバランスをとって暮らしていけるのだと。

テヴィエには三人の年頃の娘がいます。“しきたり”では、結婚は仲人が仲立ちをして、父親が許すもの。しかし、ツァイテルは幼なじみのモーテルという恋人がいて、次女のホーデルは革命に情熱を傾ける学生と、三女のチャヴァは敵であるはずのロシア人の若者と、それぞれ恋に落ちてしまいます。“しきたり”と娘への愛情に苦悩するテヴィエ。この三人の娘の愛の行方は…??そして、アナテフカ村の住民の運命は…?

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2009年9月27日 (日)

金志賢さんのミセス・ジョンストン-“ブラッド・ブラザーズ”を再び観る

  P9260167 “ブラッド・ブラザーズ”を観ました。金志賢さんのミセス・ジョンストンを観たかったので、彼女の千秋楽に行ってきました。主なキャストは金さん以外は前回と同じで、ミッキーに藤岡正明さん、エディに田代万里生さん、リンダに鈴木亜美さん、ミセス・ジョンストンに金志賢さん、ミセス・ライオンズに久世星佳さん、ミスター・ライオンズに金澤博さん、サミーに伊藤明賢さん、ナレーターに下村尊則さん、でした。

金さんのミセス・ジョンストンはとても素敵でした。カーテン・コールでの舞台挨拶で金さんご自身が「日本語のセリフに苦労した。」と話していましたが、セリフで不自然に感じたところはほとんどありませんでした。そして、何より歌がとても良かったように思います。もちろんこの作品はミッキーとエディが主人公のお話ですが、実は、ミセス・ジョンストンとナレーターがとても重要な役割を果たします。ですから、ミセス・ジョンストンはとても良い歌をたくさん歌います。金さんが歌う“Tell Me It’s Not True”はとても素晴らしかったと思います。

藤岡さんの腕白坊やぶりは、さらに磨きがかかっていました。跳ねたり飛んだりP9050160_5 、笑ったりすねたりと、とてもリアルな腕白坊やでした。また、双子の秘密を守り通そうとし、その秘密にとらわれることによって、やがて狂気に取り付かれていってしまう女を久世星佳さんが好演していました。ナレーターの下村さんも前回同様、素晴らしかったと思います。初日から二ヶ月弱が経ち、千秋楽を翌日に控えて、俳優さん達もノリにノッているという雰囲気が観客席にも伝わってきて、とても気持ちの良い観劇となりました。

それにしてもこの作品、舞台の傾斜がとてもきついので、俳優さん達が腰を痛めないのかな、と要らぬ心配をしてしまいます。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ

96日の記事をご覧ください。

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2009年9月21日 (月)

ブロンテの純愛の世界ふたたび-“ジェーン・エア”再見

P9190165 日生劇場で“ジェーン・エア”を再び観ました。主なキャストはこの間と同じで(子役は変わっていたようですが)、ジェーン・エアに松たか子さん、エドワード・フェアファックス・ロチェスターに橋本さとしさん、ブランチ・イングラムに幸田浩子さん、フェアファックス夫人に寿ひずるさん、スキャチャード先生/バーサ・メイスン/デント夫人に旺なつきさん、リード夫人/レディ・イングラムに伊東弘美さん、ジェーンの母/ローウッド学院教師/ソフィに山崎直子さん、ジェーンの父/イングラム卿/シンジュン・リバースに小西遼西さん、リチャード・メイスンに福井貴一さん、ブロクルハースト氏/デント大佐/牧師に壌晴彦さん、です。

前回、ステージ上の下手後方から観劇したのですが、とても良かったので、もう一度、普通の席で観たかったのです。今回は、前から3列目のセンターという絶好の席からの観劇となりました。

今回は前回以上に感動的な舞台でした。ジェーンが行き倒れるシーンや、リード夫人の死のシーンでは涙が出てきてしまいました。音楽も、再度聴きましたが、美しいメロディをもつ歌がたくさんありました。

主役の松たか子さんと橋本さとしさんが素晴らしいのはもちろんですが、脇を固P9050163 める俳優さんたちがとても上手いのです。先ず、子役さんたちがとても上手い。特に、子供のジェーンをやった子役さんは、この間も今回も、大人顔負けの演技でした、歌も上手かったし。また、寿ひずるさん、旺なつきさん、伊東弘美さん、福井貴一さんがとても良かった。こういう芸達者がしっかりと支えている舞台はとても充実します。特に、旺なつきさんの狂った女の演技は真に迫っていました。旺さんのような美しい人が狂気にとりつかれた女を演ずると凄みがでてきます。また、舞台のラストシーンで、ジェーンとエドワードを見つめる彼女の微笑が慈愛に満ちた優しさで、狂ったときとの差が大きく、これはこれでまた良かったように思います。なんとなく、レ・ミゼラブル、エピローグのファンティーヌの姿を思い出してしまいました。また、アンサンブルも少人数でありながら、美しいハーモニーを響かせていました。特に、さとう未知子さん、安室夏さん、谷口ゆうなさんが、より輝いているように僕には思えました。

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2009年9月13日 (日)

19世紀、ヴィクトリア朝に咲いた一輪の愛-“ジェーン・エア”を観る

P9050161 日生劇場で“ジェーン・エア”を観ました。主なキャストは、ジェーン・エアに松たか子さん、エドワード・フェアファックス・ロチェスターに橋本さとしさん、ブランチ・イングラムに幸田浩子さん、フェアファックス夫人に寿ひずるさん、スキャチャード先生/バーサ・メイスン/デント夫人に旺なつきさん、リード夫人/レディ・イングラムに伊東弘美さん、ジェーンの母/ローウッド学院教師/ソフィに山崎直子さん、ジェーンの父/イングラム卿/シンジュン・リバースに小西遼西さん、リチャード・メイスンに福井貴一さん、ブロクルハースト氏/デント大佐/牧師に壌晴彦さん、です。

ジョン・ケアード氏が脚本・演出を手がけたブロードウェイ・ミュージカルの日本初演の舞台です。今回は、舞台上の下手奥に設けられた席で斜め後方からお芝居を観るという珍しい体験をしました。観客席を視界に入れながらの観劇でした。「俳優さん達にはこういう風に見えているんだな」と言うことがわかり、興味深かったです。ただ、演出は後方の観客も十分意識したもので、ジョン・ケアード氏の演出の巧みさを感じました。

このミュージカル、知人に誘われたもので、正直なところあまり期待していなかP9050163 ったのですが、実際に観てみると、とても素敵なミュージカルでした。音楽が、美しい楽曲がたくさんあります。それに、シャーロット・ブロンテの原作をとても手際よくまとめているように思いました。

松たか子さんは、やっぱり素晴らしい。正直言って、歌から入ってきた俳優さん達と比べると歌だけについて言えばもっと上手い人たちがたくさんいるとは思いますが、彼女の演技力はそれを補ってあまりあるものがあるのだと思います。橋本さとしさんの今回のロチェスター卿もとても良かったと思います。屈折した思いを秘めた貴族の思いが伝わってきました。また、僕は、旺なつきさんの舞台を観るのは初めてでしたが、館の屋根裏部屋に住むバーサ・メイスンの狂気がこちらにも伝わってくる、そんな演技でした。

もう一度、正面から観てみたい…そんな気持ちになりました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

19世紀のイギリス、ヨークシャー。幼くして父母を失ったジェーン・エアは、母の兄の妻、リード夫人に育てられます。リード夫人とその息子に苛められて、ジェーン・エアはつらい幼少期を過ごします。やがて、厄介払いのように、厳格で質素な教育方針をとるローウッド学院の寄宿舎に預けられることになりました。この学院も劣悪な環境で、ジェーン・エアは辛い日々を過ごすことになりますが、ここで、ヘレン・バーンズという初めての友を得ます。彼女を通じて、神を信じ、神に感謝して生きる生き方があることを学びます。しかし、そんなヘレンもチフスで死んでしまいます。

やがて、時が過ぎ、成長したジェーン・エアは、一人で生きていく決心を固め、学院を去り、ソーンフィールドの館に家庭教師として住み込むことにしました。その館に住むアデールという少女を教えながら、フェアファックス夫人や使用人たちとの生活を楽しんでいました。そんなある日、散歩をしていた彼女の目の前で一人の紳士が落馬して怪我をしてしまいます。彼こそが、ソーンフィールドの館の主、ロチェスター卿だったのです。心に鬱屈を秘めているかのようなロチェスター卿。ジェーン・エアは彼とも真摯に向き合おうとします。やがて、ロチェスター卿の心にもジェーン・エアの姿が常に宿るようになってきます。しかし、ロチェスター卿とソーンフィールドの館にはある秘密があったのです。ジェーン・エアとロチェスター卿の運命は…そして、ロチェスター卿の秘密とは?

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2009年9月 6日 (日)

血の繋がりと運命が生んだ悲劇-“ブラッド・ブラザーズ”を観る

P9050164 “ブラッド・ブラザーズ”を観ました。主なキャストは、双子の兄弟、ミッキーに藤岡正明さん、エディに田代万里生さん、リンダに鈴木亜美さん、ミセス・ジョンストンにTSUKASAさん、ミセス・ライオンズに久世星佳さん、ミスター・ライオンズに金澤博さん、サミーに伊藤明賢さん、そしてナレーターに下村尊則さん、でした。

ロンドン観て以来ですから、5~6年ぶりにこの作品に再会した、ということになります。この作品は、血が繋がっていながらも別々に育った双子が運命に翻弄され、最後は悲劇を迎えてしまうのですが、その悲しみが心に染み入るように観る者に伝わってくると言うような作品です。今回の舞台は、藤岡さんのやんちゃ坊主ぶりが何とも板についていて、とても面白かったです。この俳優さんは、他の役でも、なんとなくやんちゃな感じがする演技をするように思いますが、今回は、主人公の子供時代を本当にいきいきと演じていました。P9050160 本当に素敵でした。そして特筆すべきは下村尊則さん。四季を退団されて、久しぶりの舞台だと思うのですが、四季在団の最後の時期に比べるとスマートになっていました。歌は四季の時同様、素晴らしい。そして、なによりセリフや歌詞が明瞭です。これは大切なことだと思います。この点については、なんだかんだ言ってもやっぱり四季は素晴らしいと再認識しました。ただ、今回、ミセス・ジョンストンの声があまり出ずに伴奏に負けてしまうところがあり、それが、少し残念なところでした。

       このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

場所はイギリスのリバプール。庶民の階級のミセス・ジョンストンに双子が生まれようとしています。彼女がハウスキーパーとして働く家のミセス・ライオンズは子供の誕生を願いながらも、子供がいません。ある日、ミセス・ジョンストンは、ミセス・ライオンズに頼まれて、双子が生まれたら、その一人を彼女にあげる約束をしてしまいます。やがて、双子が誕生。ミセス・ジョンストンはその約束を後悔しながらも、約束に従います。血が繋がっていながらも別々に育てられる、ミッキーとエディ。二人を会わせたくないミセス・ライオンズとミセス・ジョンストンの願いも虚しく、運命は二人常に絡み合うことになります。境遇の全く異なる二人の運命はどのようになっていくのでしょうか…

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2009年8月30日 (日)

華やかな舞台と作る者達の物語-“A CORUS LINE”を観る

P8290156_01 渋谷で“A CHORUS LINE”を観ました。“RENT”に引き続き、ブロードウェイのジャパンツアーです。主なキャストは、ザックにMichael Gruber、ディアナにRebecca Riker、キャシーにRobyn Hurder、マイクにClyde Aives、ボビーにIan Liberto、リP8290157 ッチーにAnthony Wayne、ヴァルにMindy Dougherty、ジュディにBethany Moore、シーラにEmily Fletcher、ビビにDena DiGiacinto、マギーにHollie Howard、クリスティンにJessica Latshaw、アルにColt Prattes、コニーにLiza B. Domingo、ラリーにBrandon Tyler、でした。

僕の大好きなミュージカルのひとつです。コーラスラインに一列に並んだ俳優達が、それぞれの人生を語る…そんなミュージカルです。それぞれの俳優が、今、この舞台に立つまでに、様々な人生を送っています。それは全てが幸せな人生だけではなく、ある者は容姿についてのコンプレックスに悩み、またある者はゲイであることに悩み、ある者は両親の不和に苦しむ。しかし、ここに集まった者は全て、舞台に情熱をそそぎ、自分の人生をかけているのです。

P8290146_01 僕のツボの一つは、ポールの独白シーンです。自分がゲイであることに悩み、周囲との疎外感に苦しむ自分を、ついに父親が息子として受け入れてくれたときの喜びを語るポールの姿に涙を止めることができませんでした。そして、“What I Did for Love”…この名曲を聴くたびに深い感動を覚えます。特に今回のディアナ役のRebecca Rikerは、透明感があって、しかし、力強い歌声で、とても素敵でした。また、キャシーがザックに語りかけるシーン、“The Music and the Mirror”でのキャシー役のRobyn Hurderの歌とダンスに圧倒されました。

最後の“One”のシーP8290153_01 ンはとても華やかで、楽しそうなシーンです。しかし、この華やかな舞台の裏側には、俳優達のそれぞれの人生があり、舞台への情熱があり、そして厳しいオーディションや訓練があるのだ、とそんな思いを抱きました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

ブロードウェイのプロデューサーであるザックはコーラスのオーディションを行っている。しかし、それは一風変わったものとなりました。ザックは、俳優達に自分自身を語るように要求します。俳優達は、とまどいながらも自分の人生を語り始めます。子供のときに姉の代わりにダンス教室に行ってダンスの魅力に取り付かれた者、母のかなえられなかったダンサーへの夢を託され踊り始め、両親の不和のため不孝な環境の中でダンスの中にだけ喜びを見出してきた者、ゲイに悩む者などなど…そして、その集団の中には、かつてのザックの恋人、キャシーがいたのです。そんなオーディションの最中に、ひとりの俳優が怪我をしてしまいます。ザックは残った俳優に問いかけます。「もし、踊れなくなったら、君たちはどうするのか?」と。俳優達の回答は、果たして…

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525,600分=31,536,000秒をどう生きるのか-ミュージカル“RENT”を観る

P8220143 赤坂ACTシアターで“RENT”を観ました。ブロードウェイのジャパンツアーです。キャストは、主演のRogerAdam PascalMarkAnthony RappMimiLexi LawsonCollinsMichael McElroyAngelJustin JohnstonMaureenNicolette HartJoanneHaneefah WoodBennyJacques C. SmithAlexiに高良結香さん、“Seasons of Love”ソリストにGwen Stewart、でした。

オペラ、ラ・ボエームを下敷きにしたこのミュージカルは、観る者に生きることの意味や愛することの意味を問いかけてきます。エイズ、麻薬、そして貧困。そのP8220141 中でも、人間は愛して、生きて、そして死んでいく…特に、このドラマが生まれた時代には、エイズは、現在以上に深刻な病であったはずで、エイズ=死を意味していたはず。そんな、ぎりぎりの極限の状況のドラマであるからこそ、この問いかけが重みを持ってくるのではないでしょうか?

このミュージカルには美しい楽曲もたくさんあるのですが、特に今回は、Mimiが歌う“Without You”は秀逸でした。エイズで死んでいく彼女が恋人に対する愛を歌うこの歌は、その哀しみが聞く者の心を打ちます。しかし、最も良かったのは、“Seasons of Love”です。第二幕冒頭で歌われるこの歌は、素晴らしく、とても感動しました。Gwen Stewartのソロがとても良かったです。のびのある、迫力のある歌声は賞賛に値します。

Adam PascalAnthony Rappはオリジナル・キャストですから、もうベテランの域といっても良いと思うのですが、年齢を感じさせない素晴らしい演技でした。

そして、唯一の日本人キャストである高良結香さん。このブログでも何度か紹介していますが、単身アメリカに渡り、レッスンを重ねながらオーディションを受けて、チャンスを掴んできた女優さんです。とても素敵な女優さんでした。

今回は、久しぶりに楽屋口で出待ちをしました。役者さん達は親切にサインをしてくれ、言葉を交わし、久しぶりにロンドンでの日々を思い出しました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

ニューヨークのイーストヴィレッジ。ここは若いアーチスト達が集まる場所です。そんなイーストヴィレッジにあるロフトがこの物語の舞台となります。映像作家のマークとミュージシャンのロジャーはロフトの一室に共に住んでいます。マークはバイセクシャルなパフォーマンスアーティストのモリーンに振られたばかり。二人は、家賃の支払いもままならない生活を送っています。

クリスマスイヴの夜。下の階に住むミミがロジャーの部屋に火を借りに来ます。麻薬常習者で、SMクラブのダンサーであるミミにロジャーは魅かれていきますが、HIVに罹っている彼はミミに対しても、素直に自分の気持ちに従うことができません。一方、マークとロジャーの親友のコリンズは、路上で強盗に遭いますが、ストリートドラマーでドラッグクイーンのエンジェルに介抱され、やがて二人は恋に落ちます。

大家のベニーは家賃の払えないロジャー達に立ち退きを迫ります。

やがて時が経ち、その時間はそれぞれの人たちの上にも通り過ぎていきます。それぞれの人生はどう変わっていくのでしょうか…

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2009年8月23日 (日)

時差ぼけの中、劇城へ-ヴァンパイア再び

P8160125 時差ぼけの中で、“ダンス・オブ・ヴァンパイア”を観ました。Wキャストのサラが知念里奈さんだった以外は、前回と同じキャストで、クロロック伯爵に山口祐一郎さん,アルフレートには浦井健治さん、シャガールに安崎求さん、レベッカに阿知波悟美さん、マグダにシルビア・グラフさん、ヘルベルトに吉野圭吾さん、クコP8160128 ールに駒田一さん、アプロンシウス教授に石川禅さん、ヴァンパイア・ダンサーに森山開次さん,でした。そして、河合篤子さんもアンサンブルの一員として出演していました。

帝劇のロビーは、ヴァンパイアたちに写真も新たに掲示されてにぎやかになっていP8160127 ました。河合篤子さんのヴァンパイア姿も…

今回は、入浴中のサラが後ろに投げたスポンジが、バスルームと同じレベルの床ではなく、その下に転がってしまうというハプニングが起きました。誰がどうするのだろうと思って観ていたら、浦井さんが何気なく下に飛び降りて拾って芝居に戻していました。とても自然な動きで、さすがでしたが、帝劇のお客さんもリピーターが多いのか、たくさんの人が気がついて、笑ったり拍手をしていました。

さて、この作品が「理屈抜きに楽しめる」ことは以前にも書きました。しかし、単にドタバタのコメディということではありません。ヴァンパイアが異界に住むが故の悲しみや孤独がしっかりと描かれているために、楽しいシーンがより活きるのではないかと思います。特に、山口さんのヴァンパイアがその象徴です。特に、第二幕の終盤でクロロック伯爵が歌う“抑えがたい欲望”にその孤独と悲しみがよく表れているように思います。

「抑えがたい欲望」

P8160134 月は隠れた 光なき夜が来た

この静寂 見えるものは

独り 私の苦悩 影だけ

きらめく空を見ていた 遠い夏

あれは確か 1617年 一人の娘を愛した

温かい頬に触れた 輝く髪にくちづけた

その時 悲劇は起きた この手の中

何も知らぬ娘は 微笑んでいた

なのになぜか その命 奪っていた

求めすぎるのか 奪っては失う

何ひとつ残らないまま

今日も得られぬ何かを求め続けてる

永遠の幸福など この世にはない

永遠に充たされない苦悩しかない

いつの日か 世界が終わるその時

残るのは尽きることのない 欲望の海

虚しく 果てしない 欲望の闇

1730年         牧師の娘に会った

白い肌に 詩を書いた 赤いその血で

1813年は ナポレオンの供の者

次から次 求めて また失う

世界中のすべてを 理解しても

この私が わからない 自分でさえ

自由にもなれず 燃え尽きることもできず

天使でも悪魔でもない

なのに ひたすら 愛する者たち引き裂く

虚しい存在

苦しみに耐えるための 希望すらなく

渇き切った胸は 飢え続ける

ある者は 人間や愛を信じる

金や名誉 芸術 勇気を 信じる

そして神を信じるのだ

ただ素朴に 奇跡や罪や罰を信じる

だが違う 真実はひとつだ

そう 卑しく恥ずべき 欲望こそが 我らの支配者

今こそ ここで 予言をしよう

尽きない欲望こそが

この世界で 最後の神になるのだ

(帝国劇場“ダンス・オブ・ヴァンパイア”200975日~826日公演プログラムより)

P8160126 この日は、ファン感謝イベントということでトークショウがありました。司会は駒田一さん、安崎求さん、知念里奈さん、浦井健P8160139 治さん、石川禅さんが出演して、これまでの感想、失敗や裏話、今後の抱負等をテーマにした30分ほどのトークショウでした。舞台の上とは違う出演者の一面が見えて、なかなか楽しいものでした。

P8160137

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2009年7月13日 (月)

夏に向かう帝劇が極寒のトランシルヴァニアに…-“ダンス・オブ・ヴァンパイア”を観る

P7111230 国劇場で“ダンス・オブ・ヴァンパイア”を観てきました。主なキャストは、クロロック伯爵に山口祐一郎さん、サラに大塚ちひろさん、アルフレートに浦井健治さん、シャガールに安崎求さん、レベッカに阿知波悟美さん、マグダにシルビア・グラブさん、ヘルベルトに吉野圭吾さん、クコールに駒田一さん、アプロシウス教授に石川禅さん、ヴァンパイア・ダンサーに森山開次さん、でした。

僕は、2006年に日本で初演されたときには観なかったので、今回が初めての観劇でした。いやぁ、これは理屈なく楽しめるミュージカルですね。ストーリーをよくよく考えると、かなり怖いストーリーなのですが、それがちっとも怖くない。見事なコメディになっています。笑ったり、美しいメロディにうっとりしたり、舞台のダンスを楽しんだりしているうちに時間が過ぎていきました。劇場全体が一つになって、ヴァンパイアの世界に浸ったと言えばよいでしょうか。

山口祐一郎さん、まさにこの役にピッタリとはまっているように思います。なんP7111234_3 とも妖しげで、なんとも美しく、でも、どこかおかしい。僕は、この役の山口さんが一番好きです。歌も素晴らしい。そして、ヘルベルトの吉野圭吾さん。ゲイでファザコンのヴァンパイア役を好演です。石川禅さんもエキセントリックな教授ぶりで笑えます。浦井健治さんは、少し気弱で繊細な男の子の雰囲気がよく出ていたように思います。皆さん、いつもよりもはじけている感じで、観ている方もとても楽しかったのです。(僕は、基本的には女優さんにしか関心がないのですが、今回は男優さんの方に目がいきました。)シルビア・グラブさんもとてもセクシーでコミカP7111240 ルで、今までの舞台で観てきた姿とはガラリと違った魅力を発見した思いです。

今回は、この間のライブ以来注目している河合篤子さんもアンサンブルで出演していました。村人のときの妊婦姿は本当の妊婦さんのようにリアルでしたし(詳しくご覧になりたいお客様は東宝の“ダンス・オブ・ヴァンパイア”のHPのブログのキャスト紹介の女性アンサンブル紹その2をぜひご覧ください。とてもチャーミングな妊婦さんの河合さんを見ることができます。)、先祖役で出てきた河合さんはとてもきれいでした。

なんだか、もう一回観たくなるような楽しいミュージカルです。

☆このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

P7111241 今回は、あえてあらすじめいたものは書かないことにします。このミュージカルは、観る人達に、先ずは、感じて、楽しんでほしいと思いますので…さあ、劇場に行って、ENJOY THE SHOW

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2009年7月 5日 (日)

また酷寒のシベリアで深い感動を-ミュージカル“異国の丘”

P7031216 四季劇場[]で、“異国の丘”を観てきました。キャストは、宋愛玲に木村花代さん、九重秀隆に荒川務さん、宋子明に日下武史さん、李花蓮に団こと葉さん、宋美齢に中野今日子さん、劉玄に青山祐士さん、アグネス・フォーゲル夫人に西田有希さん、クリストファー・ワトソンに志村要さん、ナターシャに西村麗子さん、吉田に中嶋徹さん、神田に武藤寛さん、西沢に深水正博さん、大森に田中廣臣さん、杉浦に香川大輔さん、平井に維田修二さん、蒋賢忠に中村伝さん、九重菊麿さんに岡本隆生さん、メイ総領事に高橋征郎さん、でした。

この作品は大好きな作品です。ストーリーもしっかりしていて、感動的で、そして、タイトルから連想されるかもしれない「ただ暗いだけ」というイメージではなく、華やかな美しいシーンもたくさんある作品です。今回は、佐渡寧子さんの出演もなく、アンサンブルながら僕の好きな須田綾乃さんのダンスも見られなかったのですが、それでも、この作品の素晴らしさを再び感じました。今回はいつもよりツボにはまってしまい、涙が止まりませんでした。ニューヨークでの秀隆と愛玲の別れのシーン、異国の丘の合唱シーン、遺言のシーン、愛玲の死のシーン、そしてラストシーンと、どれも感動的なシーンです。また、ダンスシーンも華やかですし、“名も知らぬ人”のバッグのダンスシーンや秀隆と愛玲が上海で再会し愛を確かめ合うシーンはとても優美です。

僕が一番好きなシーンの一つは、平井が帰国する仲間達に遺言を託し、仲間達がそP7031220 れを覚えようとするところです。(ちなみにこれは実話をもとにしています。)遺言の内容も現在の日本人が言い残せるか、と思わせるほど立派な内容ですが、遺言を伝え終わった平井が、仲間達全員に「お願いします」と頭を下げるシーンにいつも涙を誘われます。

今回は、短期間の公演ということもあってか、僕にとっては初めて観るというキャストもあり、興味深く見ました。先ずは、宋子明の日下武さん。出番は少ないですが、さすがの存在感です。次に神田の武藤寛さん。彼のダンスもとても素敵ですが、今回の神田、無骨さは少ないものの、無骨一辺倒ではなく、デリケートさを内包した新しい神田を演じていたように思います。そして、西村さんのナターシャ。とてもきれいなナターシャです。キャッツでの彼女のボンバルリーナもとても美しいのですが、こちらも負けず劣らず…彼女のナターシャを初めて観ましたが、期待にたがわずとても美しいロシア兵士で、それだけに監視役の厳しさが出ていたように思います。

今回は、とても短い公演期間で残念ですが、DVDも発売されていますし、再演を期待したいと思います。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

この物語は、第二次世界大戦前夜、日華事変が始まりきな臭い空気が世界を覆い始めた頃と、酷寒のシベリアで日本の捕虜たちが重労働を強いられた戦後の時期とを行きつ戻りつしながら進んでいきます。

1937年のニューヨーク。フォーゲル夫人主催のパーティで、プリンストン大学に留学していた九重秀隆とジュリアード音楽院に留学していた宋愛玲は、お互いの国籍も名前も知らないままに出会い、たちまちのうちに恋に落ちます。しかし、この出会いは日中和平工作を画策する諜報員であるフォーゲル夫人とワトソン教授によって図られたものでした。愛玲は愛し始めた九重が祖国を蹂躙する日本の人間だと知り、祖国への愛と九重との愛との間でとても苦しみます。しかし、彼への愛は何物にも換えがたいものであることを知るのです。しかし、歴史は二人がともに愛を育むことを許してはくれません。日本軍が上海へ進軍し、中国での戦闘が拡大し、愛玲は上海へ、九重は日本に帰らなくてはならなくなります。一時的に離れ離れのいなりますが、やがて二人は、日中和平のために再開することになります。二人のその後の運命は…

一方、戦後の酷寒のシベリアの地。九重秀隆も招集された後、捕虜となりシベリアに抑留されています。彼は、重労働を強いられながら、何度も何度も過酷な尋問を受け、ソ連の協力者になるよう強要されます。これを拒み続ける九重。抑留者の中には、ソ連に寝返り仲間達を密告する者、帰国を早めるためにソ連に迎合する者たちが数多くいました。そのような中でも、日本人の誇りを保とうと努力する人々もいたのです。抑留者の中の一部が帰国する時に、仲間らに遺言を託そうとする平井もそのような人々の一人でした。彼は、紙に書けば没収されるおそれがあるからと、遺言を覚えて帰って、家族に伝えてほしいと、仲間達に懇請します。彼を囲む仲間達は、その気持ちに応えようと暗誦を開始します。彼の遺言は、年老いた母には親孝行ができなくなった無念さと母への愛が、妻へは愛と感謝を、子供達へは厳しく深い愛と父親としての精一杯の気持ちが語られます。

厳しい自然、不十分な装備と重労働に厳しい尋問。過酷な状況の中で、九重は、果たして無事に日本の地を踏むことができるのでしょうか?

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2009年6月20日 (土)

誰もが通ってきたみち-“春のめざめ”を観る

P6131182 自由劇場で、劇団四季の“春のめざめ”を観てきました。キャストは、ベンドラに林香純さん、メルヒオールに柿澤勇人さん,マルタに撫佐仁美さん、モリッツに三雲肇さん、テーアに浦壁多恵さん、ハンシェンに一和洋輔さん、アンナに松田祐子さん、エルンストに竹内一樹さん、イルゼに石塚智子さん、ゲオルグに白瀬英典さん、オットーに玉井晴章さん、大人の女性に都築香弥子さん、大人の男性に志村要さん、女性アンサンブルに岸本美香さん、有村弥希子さん、男性アンサンブルに加藤迪さん、南晶人さん、でした。

誰もが経験するであろう思春期のあのもやもやとした思い。自分でコントロールしきれないほど体の奥底から湧き上がってくるマグマのようなエネルギー。成長と幼さのアンバランス…そしてかつて同じような思いを経験してきたであろうにもかかわらず、すっかりそれを忘れてしまい、既成の秩序やルールを押し付けようとする大人たち。その大人たちに対する怒り、あきらめ。思春期の様々な問題が大人たちの無理解によってさらに大きな悲劇が生まれていく。時代と国・人種を超えた共通した永遠のテーマをこのミュージカルは取り上げています。

先ず、このミュージカルは音楽が素晴らしい。音楽を担当したダンカン・シーP6131184 ク(Duncan Sheik)はこの作品でトニー賞の最優秀オーケストレーション・最優秀スコア賞を獲得していますが、ロック調の音楽がこの作品の雰囲気にぴったりです。“からだの声(The Word of Body)”とか“きっと愛が(I Believe)”、“青い風(Blue Wind)”や“明日へ(The Song of Purple Summer)”が好きです。

P6131181 ストーリーは、SEX、妊娠、世代対立、退学、自殺、性的虐待、同性愛等の問題が、次々と発生して、めまぐるしいストーリー展開はひところの民放某局の昼帯メロドラマをちょっぴり思い起こしたりしないではありませんが、何より嬉しかったのは、劇団四季の若手俳優さんたちが大健闘していたことです。最近、看板・中堅の俳優さんの退団が続いているようですが、若い芽もしっかりと育っているのだな、と思いました。

このミュージカルは、ステージ・シートがあります。これも楽しそうです。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

時は19世紀末、場所はドイツ。思春期の子供達は、教師達から画一的な価値観をおしつけられるような学校生活を送りつつ、閉塞間の中で、自分の体や気持ちに対する戸惑いを感じながら暮らしていました。

ベンドラもそのような子供達の一人。次第に成長していく自分の体に戸惑いを隠せません。お姉さんに二人目の子供が生まれたと聞いて、母親に子供はどうして生まれてくるのか聞きますが、母親ははぐらかして教えてくれません。

メルヒオールは教師の話したこと、教科書に書いてあることをただ覚えるように要求されるような学校の授業に疑問を持っています。ある日、学校でこのことを教師に話して、体罰を受けます。

ベンドラとメルヒオールは幼なじみです。ある日、偶然に森で出会った二人は話すうちにお互いに淡い気持ちを持ち合うようになります。

モリッツは性的な悪夢に悩まされていて勉強に集中できません。成績も落下の一方。ついに学校の教師から、学校の評判を落とすと言う名目で退学を言い渡されてしまいます。

父親による虐待に悩むマルタ。そして同性の友人オットーを愛してしまうハンシェン…

これらの若者の群像を中心に様々な問題が展開していきます。

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2009年5月31日 (日)

日比谷の「森」を再びおとなう-“この森で、天使はバスを降りた”を観る

P5301178 千秋楽前にもう一度観たくて行ってきました、シアタークリエ。“この森で、天使はバスを降りた”です。キャストは前回と変わりなく、パーシーに大塚ちひろさん、ハンナに剣幸さん、シェルビーに土居裕子さん、ジョーに藤岡正明さん、エフィーに田中利花さん、ケイレブに宮川浩さん、訪問者に草野徹さん、です。

前回観たときよりもさらに感動しました。皆さん、熱演でしたが、特に、土居裕子P5171175 さんが歌う“Wild Bird”はとても良かったと思います。土井さんの清澄な歌声がこの歌にぴったりです。剣幸さんが歌う“日が暮れたよ”も子を思う母親の気持ちが表れていて前回同様、感動しました。

人はそれぞれが心に傷を抱えながら、懸命に生きている。けれど、その深い傷も周囲の人々や自然によってやがて癒され、また希望をもつことができるのだ-そんな思いが舞台から観客にさぁっと行き渡っていくような、そんな作品です。この舞台のテーマは、パーシーが山の上で朝の光を浴びながら歌う“ひかりよ照らして-Shine On Me-”によく表われているように思います。

光 あふれ

森が輝く

夢見た 世界 ずっと

抱えてる 心の闇

底なしの 谷に似ている

わかってる あたしの罪は 償えない

消せはしない

今 広がる 朝の光

染めて 世界を金色に

どうか今

こんなあたしでも 生きてていいと

信じさせて

光よ 照らして

ねぇ 生きてていいと 信じさせて

昔から ひとりだったよ

いいことなんて 何もなかった

誰ひとり 信じられずに

諦めてた どんな明日も

今 心に届く光

染めて 世界を金色に

どうか今

こんなあたしでも 生きてていいと

信じさせて

お願い照らして

ねぇ 生きてていいと 信じさせて

光よ 照らしてShine

あたしを 照らしてShine

光よ 照らしてShine

心を 照らしてShine

Shine! Shine! Shine!

この世界に生まれた日の

心のまま 生きたい ずっと

(シアタークリエ“この森で、天使はバスを降りた-THE SPITFIRE GRILL-”プログラムより抜粋)

今日が千秋楽。この素晴らしい作品が近いうちに再演されることを願って止みません。CDDVDも発売されないかな。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

517日の記事をご覧ください。

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2009年5月17日 (日)

日比谷の街で“生き直す”-“この森で、天使はバスを降りた”を観る

P5171173 “この森で、天使はバスを降りた”を観てきました。音楽・脚本はジャイムズ・ヴァルク(James Valcq)、作詞・脚本はフレッド・アレイ(Fred Alley)、演出は藤井清美さん。キャストは、パーシーに大塚ちひろさん、ハンナに剣幸さん、シェルビーに土井裕子さん、ジョーに藤岡正明さん、エフィーに田中利花さん、ケイレブに宮川浩さん、訪問者に草野徹さん、です。

癒しと救い、そして再生のドラマ-このミュージカルを一言で表現するならば、こういう言葉になるでしょうか。それぞれに過去に傷を負い、その傷を今に引きずっているパーシーとハンナ。そして、夫に隷属して、自分を殺し、いつも何かに怯えるように暮らしているシェルビー。こんな三人も、心に悩みを抱えながらも日々の暮らしを送っていかなければならない。劇中のパーシーの「深い傷を負ったら、それが治るときは、その傷を負った時と同じくらいの痛みを感じる」という言葉通りの人生です。しかし、そんな人生でも、懸命に生きていくことによって、人は、皆救われて、再生していくのだ…そんな思いを抱かせてくれるミュージカルです。派手さはないけれど、とても感動的な作品だと思います。歌も素敵な歌がたくさんありました。過去を告白し、悲しみを新たにするパーシーを励ます際にシェルビーが歌う“ワイルド・バード(Wild Bird)”は、土居さんの素晴らしい歌声にあいまって、とても感動的です。また、剣さんの“日が暮れたよ(Way Back Home)”は、子供を思う母親の気持ちが切々と伝わってきます。そして、ラストで大塚さんによって歌われる“ひかりよ照らして(Shine On Me)”は救いと希望に満ちていて、このドラマのフィナーレにまさにふさわしい歌といえるのではないでしょうか。

今回は、出演した全ての役者さんが良かったと思います。シェルビーの土居さP5171175 んは、演技はもちろんですが、たくさんのナンバーを美しく、時に、感動的に歌っていました。最初の夫の顔色をうかがって、おどおどしたシェルビーが、やがて、明るく活き活きと生きていく姿をとても素直に表現されていたように思います。剣幸さんは、少し頑固で、でも、とても愛情深い食堂(レストランというよりは、食堂という言葉がぴったり)の女主人をとてもリアルに演じていました。大塚さんはこの二人に同等に渡り合っていたように思います。宮川さんは、自分がかくありたいという男になろうと努力しているのになれない、というコンプレックスを持った“マッチョな”(肉体的にではなく)男を好演です。藤岡さんは、やっぱり“少しやんちゃな”保安官。(と言ったら、彼のファンに怒られるかな?)そして、田中利花さん。彼女は、レ・ミゼラブルのマダム・ティナルディしか知りませんでしたが、とても歌も演技も上手い女優さんですね。今回も、噂好きで、善意ではあるのだけれど時に人を傷つけてしまう無神経さを持っているおばさんを演じたのですが、とてもリアルティがありました。

このミュージカル、とても良い作品です。僕は東宝から何かをもらっているわけではありませんが、より多くの人にこの作品を味わってほしいと思います。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

美しい森のある、けれど何もない小さな小さな田舎町、ギリアド。この町に、最終バスでやってきたのはパーシー、彼女はある罪を犯し、服役を終えたばかり。服役中に見たこの町の森の紅葉の美しさに魅かれて、この町で新しい人生をやり直そうとやって来たのです。彼女を迎えたのは、保安官のジョー。彼は、彼女の働き先として、この町にただ一軒の食堂、“The Spitfire Grill”を紹介します。この食堂のオーナーがハンナ、頑固なところはあるけれど愛情深い女性です。しかし、彼女は心に深い傷を負い、その苦しみを内に秘めながら生きているのです。そんなハンナの食堂の常連の一人はケイレブ。彼はハンナの甥。彼は、一見“強い男”ではありますが、彼も心のうちに強いコンプレックスを持っていました。そして、もう一人の噂好きのエフィー。彼女は、気が良くて、そして、好奇心一杯で毎日動き回りますが、それが時として人を傷つけます。ケイレブとエフィはよそ者であるパーシーを敵視します。

ある日、ハンナが足を骨折して動けなくなります。ハンナが動けない間、食堂の切り盛りを任さられるパーシー。彼女の手伝いにやってきたのがケイレブの妻のシェルビーです。シェルビーは強権的な夫に隷属していて、常に自分を押し殺し夫の顔色を窺い、何かに怯えたようにおどおどして生きています。パーシー、シェルビー、ハンナは、食堂を切り盛りしていく間にいつの間にか気持ちを通わせるようになります。ハンナの食堂を手放したいという気持ちを知ったパーシーは、一口100ドルで、食堂についてのエッセイコンテストを行い、最優秀者に食堂を譲ることを提案し、このコンテストが実施されることになります。

やがて、季節はめぐり、ハンナの食堂に全米各地からエッセイが舞い込むようになります。そのエッセイにもその作者の様々な人生が描かれているのです。そして、パーシー、ハンナにも、深い心の傷がある。それぞれにその心の闇を告白する時がやってきます。

それぞれの心の傷とは何なのか…パーシー、ハンナ、シェルビーはそれぞれの新しい人生を歩み始めることができるのでしょうか…?

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2009年5月10日 (日)

中世の男の美学に酔う-ミュージカル“シラノ”を観る

P5091166 ミュージカル“シラノ”を観ました。世界初演、エドモン・ロスタンの名作“シラノ・ド・ベルジュラック”のミュージカル版です。作曲は“ジキル&ハイド”や“ルドルフ-ザ・ラスト・キッス”のフランク・ワイルドホーン(Frank Wildhorn)、台本・作詞は、“ジキル&ハイド”でワイルドホーンとコンビを組んだレスリー・ブリッカス(Leslie Bricusse)、日本版の演出は山田和也さんです。主なP5091164 キャストは、シラノ・ド・ベルジュラックに鹿賀丈史さん、ロクサーヌに朝海ひかるさん、クリスチャン・ド・ヌーヴィレットに中河内雅貴さん、ル・ブレに戸井勝海さん、ラグノーに光枝明彦さん、ド・ギッシュ伯爵に鈴木綜馬さん、です。

愛を語るということが美しい言葉を紡ぐということだった時代に生きたシラノといP5091163 う誇り高き男がつらぬいた一人の女への愛を描いたミュージカルです。まさにダンディズム、やせ我慢の美学といでもいえるようなシラノの生き方を鹿賀丈史さんが好演していました。鹿賀丈史さんは、誰を演じても「鹿賀丈史の」という言葉がついてしまうように思いますが、今回はピタリと嵌まっているように思います。どんなに愛の言葉を紡いでも、その対象であるロクサーヌは、その言葉をクリスチャンの言葉と考えて、クリスチャンへの愛を深めていきます。そのことを知りながら自らの愛をつらぬき、ロクサーヌへの愛を語るシラノの姿はとても格好いいのですが、同時に、時に涙も誘います。しかし、もっとも悲しい姿はクリスチャンなのかもしれません。ロクサーヌがいかに自分を愛しても、本当に彼女が愛しているのは自分の口を借りて愛を語るシラノなのだという思いに直面せざるを得ないのですから…

シラノという男の美学に酔える舞台です。音楽も美しいメロディの曲が多く、楽しめました。また、鈴木綜馬さんも印象に残る演技でした。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

時は17世紀、愛を語ることが美しい言葉を紡ぐ時代であった頃、文武ともに秀でた才人であったシラノ・ド・ベルジュラックはいとこのロクサーヌを愛していました。しかし、シラノは、自分の醜く大きい鼻を恥じて、ロクサーヌにその愛を告げられません。一方、ロクサーヌはシラノと同じ中隊に勤務するクリスチャンに恋をして、シラノに取次ぎを頼みます。涙を呑んでその言葉をクリスチャンに伝えるシラノ。しかし、外見は美しいものの口下手のクリスチャンは、ロクサーヌに愛を語ることができません。そこで、クリスチャンはシラノの言葉を借りて、ロクサーヌへ愛を語りかけます。やがて二人は恋に落ちていくのです。

やがて、シラノの中隊は戦地に赴くことになります。その直前に、ロクサーヌはクリスチャンと結婚します。

激しい戦闘が行われる戦場でもシラノはロクサーヌへの愛を綴った手紙を出し続けます。しかし、クリスチャンの名前で。いよいよ戦闘は激化していきます。シラノとクリスチャンの生死は?そして、シラノの愛の行方は…??

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2009年4月26日 (日)

僕のミュージカル観劇の原点の一つ-“マイ・フェア・レディ”を観る

P4251143 久しぶりに帝国劇場に行ってきました。“マイ・フェア・レディ”を観てきました。主な出演者は、イライザに大地真央さん、ヒギンズ教授に石井一孝さん、ピカリング大佐に羽場裕一さん、ドゥーリトルにモト冬樹さん、フレディに姜暢雄さん、ヒギンズ夫人に草村礼子さん、ゾルタン・カーパシーに藤木孝さん、ピアス夫人に春風ひとみさん、ハリィに治田敦さん、ジェミィに渡辺隆さん、アインスフォードヒル夫人/トランシルバニア女王にちあきしんさん、です。

この作品は、ロンドンに住んでいた頃、“レ・ミゼラブル”とならんで僕を励ましてくれ、同時に、ミュージカルの魅力を教えてくれた、とても思い入れのある作品です。ロンドンで観た、あの洗練された、そして、タップダンスがたっぷりの迫力ある舞台は、あのTheatre Royal Drury Laneの歴史ある重厚な雰囲気ともに、今でも、しっかりとこの胸に蘇ってきます。ですから、どうしても、その舞台と比較してしまいます。

P4251137 この作品のテーマは、言葉とそれに密接に結びついたイギリス社会の階級です。ですから、これを英語以外で演じるとことは、単純に翻訳の問題だけでない困難がつきまとうことと思います。たとえば、コベントガーデンのシーンでイライザと彼女の仲間達が歌う“ラブリー”も言葉も文法も不正確で、まさに教育を受けていない人達の英語です。イライザがその仲間達と実に楽しそうに歌いあげます。そして、この歌は、イライザが舞踏会で成功を収めた後にヒギンズ教授の家を飛び出してやってきたコベントガーデンで仲間達にも気づかれず、もはや自分のいる場所でないことを悟ったイライザによって、その一節が歌われます。ただ、この時に歌うイライザの英語は、正確な美しい英語になっています。言葉によっても、イライザが以前暮らした世界に戻れないことを示しているのです。ちなみに、東宝のプログラムにはこの歌のタイトルを“ラブリー(It Wouldn’t Be Lovely)”としていますが、これは、“ラヴァリー(It Wouldn’t Be Loverly)”とすべきではないでしょうか。もちろん、loverlyという言葉はありません。正確にはlovelyです。しかし、先にも書いたようにこの歌は、教育のない人たちが自分達の言葉で歌う歌です。イライザも“lovely”(=素敵な)というつもりで、“loverly”と歌うのです。ロンドンで買った譜面集にもloverlyとなっています。せめてタイトルは正確に表記すべきだと思います。

今回の出演者の中では、モト冬樹さんのモト冬樹さんのドゥーリトルはとても素敵でした。ただ面白いだけの人物でもなく、破天荒なだけの人物でもない、なんとも味のあるドゥーリトルがそこにいました。案外、モト冬樹さんのハマリ役になるのではないでしょうか。

この作品は、とても洗練された素晴らしい作品だと思います。これからも、ずっと上演されていきますように…

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

舞台は、ロンドンのコベントガーデンにあるオペラハウス。舞台がはねて、外に出てきた着飾った観客達は突然の雨に右往左往しています。その中を、花売り娘のイライザは花を売っています。コベントガーデンの市場で下町英語の訛りを研究していたヒギンズ教授は、インドの言語を研究しているピカリング大佐と出会います。二人は初対面ではありましたが、お互いの研究成果を通じて良く知る仲。すぐに意気投合して、ピカリング大佐はホテルを引き払い、ヒギンズ教授の自宅に行くことになります。そこで、イライザのひどい訛りを聞いたヒギンズ教授は、「彼女でさえ、きれいで正確な英語を話せるようになれば、きちんとした花屋で花を売ることができるようになるのだ。」と言います。その言葉を聞いたイライザは、翌朝、ヒギンズ教授を訪ねて、英語を教えて欲しいと頼みます。ヒギンズ教授は、イライザを6ヶ月で貴婦人のようにできるかどうかを、ピカリング大佐と賭けをすることになります。その日から、ヒギンズ教授の特訓が始まります。ヒギンズ教授の厳しい指導。これに時に反発し、時にくじけそうになるイライザ。彼女を優しく励ますピカリング大佐。果たして、イライザは美しく、正しい英語を身につけ、貴婦人となることができるのでしょうか…

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2009年4月19日 (日)

この世の中で、“邪悪なもの”とは…-ミュージカル“ウィキッド”を観る

P4181134 劇団四季の“ウィキッド”を観てきました。主なキャストは、エルファバに濱田めぐみさん、グリンダに沼尾みゆきさん、ネッサローズに山本貴永さん、マダム・モリブルに八重沢真美さん、フィエロに李涛さん、ボックに金田暢彦さん、ディラモンド教授に前田貞一郎さん、オズの魔法使いに飯野おさみさん、でした。エルファバ、グリンダ、ネッサローズ、フィエロにボックは、CD録音にも参加しているオリジナルキャストという布陣でした。

それにしても、濱田さんの歌はすごい!とてもパワフルな歌で圧倒されました。特P4181133 に、第一幕の最後の“自由を求めて”は本当に素晴らしかったと思います。また、ネッサローズ役の山本貴永さんの歌も印象的でした。

“ウィキッド”(WICKED)とは、「邪悪な」とか「悪い」「不正な」「不道徳な」という意味です。この物語の中で、一体誰が邪悪なのか?ということを考えずにはいられません。善の象徴とされるグリンダも、初めはエルファバをいじめる側にいました。また、彼女の言動の端々に小ずるさが見え隠れします。P4181136 一方で、正義のために戦うエルファバは、時の権力者によって邪悪な魔女に仕立て上げられてしまいます。時の権力者やマスコミの声(=宣伝?)を無批判にそのまま受け入れて、エルファバを追い詰めていく民衆。人間の社会が抱える根の深い問題を目の前に突きつけられているように思います。それにしても、このお話の中で、もっとも不幸で、孤独なのはグリンダなのかもしれません。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

オズの国のシズ大学にグリンダとエルファバ、そして、足の不自由な彼女の妹のネッサローズが入学してきます。緑色の肌をしたエルファバをグリンダをはじめとする周囲の人たちは好奇の目で見て、仲間はずれにします。一方、美人で要領のよいグリンダは皆の人気者。ひょんなことから二人はルームメイトになってしまいます。人気者のグリンダではありますが、一つかなわぬ願いが。それは、魔法を習うこと。学長のマダム・モリブルは、エルファバこそ魔法の才能があるのだと、彼女しか教えなかったからです。やがて、シズ大学にウィンキー国の王子、フィエロが転校してきます。少々軽いところはあるもののハンサムな彼を自分に振り向かそうとグリンダは一生懸命です。

こうして彼らが学生生活を送っている間に、世の中では少しずつ変化してきます。これまで仲良く共存してきた動物達が、人間の言葉を話すことを禁じられてしまったのです。そして、エルファバが慕っていた歴史の先生である山羊のディラモンド教授も大学を追われ、囚われてしまいます。何か得体の知れぬ変化を感じ始めたエルファバのもとに、オズの魔法使いから、エルファバに会うという知らせが届きます。この名誉に驚喜するエルファバ。エルファバは、オズの魔法使いにあったら、今のこの状況を伝えて、ディラモンド教授達を助けてもらおうと、グリンダとともにオズの魔法使いが住むエメラルドシティに向かいます。しかし、このエメラルドシティでの出来事が、エルファバとグリンダの運命を大きく変えていきます。

果たして、オズの魔法使いは、エルファバの願いを聞きとげてくれるのでしょうか…

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2009年4月 5日 (日)

少し早いですが、僕にとっての千秋楽

P4041124_01 “キャッツ”を観てきました。キャストは、グリザベラに木村智秋さん、オールドデュトロノミーにチェ・ソンジェさん、ジェリーロラム=グリドルボーンに秋夢子さん、バストファジョーンズ、アスパラガス=グロールタイガーに寺田真美さん、ジェニエニドツに小松陽子さん、マンカストラップに西門宇翔さん、ランペルティーザにチェ・ウンヘさん、ラム・タム・タガーに荒川務さん、ディミータに有永美奈子さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェリーに川東優希さん、シラバブに五所真理子さん、スキンブルシャンクスに劉昌明さん、タントミールに八鳥仁美さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに王堃さん、ランバスキャットにユ・ホンチョルさん、ヴィクトリアに千堂百慧さん、カーバケッティに齊藤太一さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに金久烈さん、タンブルブルータスに川野翔さん、でした。

キャストもずい分と変わり、グリザベラをはじめとして新しい人達が増えていまP4041126 した。正直言って、少し、「あれあれ…」と思わずにはいられないところもありましたが、やはり、キャッツは面白い。荒川務さんのラム・タム・タガーはますますパワーアップしいましたし、秋夢子さんは相変わらず美しく、声のとてもきれいなジェリーロラム=グリドルボーンでした。前にも書いたように、僕の最も好きな場面は、劇場ネコのガスとグロールタイガーの場面ですので、ジェリーロラム=グリドルボーンも注目の役です。そして、大好きな西村麗子さんのボンバルリーナ!彼女のボンバルリーナはセクシーで妖艶で(同じ意味か…)、ダンスも上手く、いつ観ても素敵です。今回、彼女のボンバルリーナを観ることができてラッキーでした。

キャッツの衣装は一部の例外を除いて、俳優さんたちの体の線をごまかせない衣装です。俳優さんたちの鍛えられた体の線がくっきりと出てしまうという意味では、俳優さんたちもとても厳しい衣装ではないでしょうか。そんな衣装に身を包んで鍛えられたダンスを観ることもキャッツの間隙の楽しみの一つではないでしょうか。

P4041127 延長公演のチケットは予約できず、千秋楽までチケットは完売とのことですので、今回が僕の最後の“キャッツ”(多分)ということになります。佐渡寧子さんがグリザベラで出演していたこともあって、この10ヶ月ほど、集中して観にいきましたが、いつもネコ社会の中に入り込み、楽しむことができました。そんな時間をくれたキャストとスタッフの皆さんにありがとうと伝えたいと思います。

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2009年3月22日 (日)

またも一途な愛を観る-“マルグリット”を観て

P3221118 日生劇場で、“マルグリット”を観てきました。アラン・ブーブリル、クロード=ミッシェル・シェーンベルグ、ジョナサン・ケントの脚本で、音楽はミッシェル・ルグラン、そして、演出はジョナサン・ケントという作品です。キャストは、主役のマルグリットに春野寿美礼さん、アルマンに田代万里生さん、オットーに寺脇康文さん、ピエロに山崎裕太さん、ルシアンにtekkanさん、アネットに飯野めぐみさん、ジョルジュに横内正さん、です。

全編に、ミッシェル・ルグランの美しいメロディが流れます。美しく、そして、P3221117 哀しいメロディが多く、デュマ・フィスの名作“椿姫”を下地にした悲しいストーリーに良く似合っています。ただ、劇場の音響のせいでしょうか?この作品に限らないことですが、この劇場では、歌詞が良く聞き取れないことが度々あります。特に、第一幕の最後のマルグリット、アルマン、ルシアン、アネットによるクヮルテットの“どうか無事で”は、ほとんど歌詞を聞き取れずに残念でした。

この作品は、ブーブリルとシェーンベルグのコンビの作品ということで、過大な期待を抱いていたのかもしれません。作品自体は決して悪くないのに、どうしても、“レ・ミゼラブル”や“ミス・サイゴン”の二作品と同等の作品を期待してしまいます。これらのお化け作品と匹敵するような作品はそうそう生まれないということでしょうか…

P3221116 春野寿美礼さんは、今回初めて観ましたが、とても美しい人です。歌も上手いです。そして“宝塚”の空気を十分に残している女優さんですね。でも今回の役はまさにはまり役。妖艶でありながら、心の奥底に純粋さを持つマルグリットを好演しています。田代万里生さんも歌のとても上手い俳優さんです。これからが楽しみな男優さんだと思います。それから、飯野めぐみさん。演技も歌も素敵でした。彼女のソロの“どうか無事で”は胸に迫ってきました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

時は第二次世界大戦、所はナチス占領下のパリです。かつて絶大な人気を誇った歌姫マルグリットは今はドイツ軍の将軍であるオットーの愛人となっています。何不自由無い生活で、多くの取り巻きに囲まれながら、しかし、愛の無い虚ろな毎日を送っています。彼女が40歳の誕生日の夜。取り巻きの人々が集まり、誕生日のパーティが開かれています。そこに呼ばれたバンドのピアニストとしてやってきたアルマン。彼は、歌姫であった当時のマルグリットに憧れを抱いていたのです。その夜、イギリス軍の空襲がパリの街を襲います。防空壕に入るのを嫌ったマルグリットはアルマンと二人で客間で空襲が止むのを待ちます。そんな中で、自分の気持ちを訴えるアルマン。そして、若いアルマンの一途な気持ちに最初はためらいながらも、遂に受け入れる決意をするマルグリット。これをきっかけとして、マルグリットとアルマン、そして、彼らの周囲の人々の運命の歯車が大きく動き始めます。マルグリットとアルマンは二人の愛を実らせることができるのでしょうか?そして、アルマンの姉のアネットとその恋人ルシアンの愛も実る日が来るのでしょうか?

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2009年3月 8日 (日)

華麗なショウに時間を忘れ-“ソング&ダンス 55ステップス”を観る

P3071112 劇団四季の“ソング&ダンス 55ステップス”を観てきました。ヴォーカルパートは、福井晶一さん、芝清道さん、李涛さん、井上智恵さん、早水小夜子さん、花田えりかさん。ダンスパートは、岩崎晋也さん、大塚俊さん、朱涛さん、西尾健治さん、萩原隆匡さん、厂原時也さん、斎藤洋一郎さん、徳永義満さん、神谷凌さん、坂田加奈子さん、高倉恵美さん、泉春花さん、加藤久美子さん、須田綾乃さん、恒川愛さん、駅田郁美さん、今彩乃さん、織田なつ美さん、柴田厚子さん、でした。

劇団四季のレパートリーのエッセンスを集めたステージ。華麗な、そして、楽しいショウでした。オリジナルの舞台とは、衣装も舞台の背景も演出も違ってはいますが、かえってそれが、オリジナルの舞台とはまた異なる魅力がありました。

P3071114_2 ライオンキングの“シャドーランド”のダンスはとても印象的でしたし、マンマ ・ミーア!の“手をすり抜けて”の早水さんと花田さんのデュエットは、しみじみとしていて、特に、ドナの娘を思う気持ちがこちらにも伝わってきました。また、井上智恵さんがマリア役となったサウンド・オブ・ミュージックの“ドレミの歌”では、観客もステージに上げて、とても楽しいワン・シーンとなりました。サウンド・オブ・ミュージックも、現在、ロンドンでアンドリュー・ロイド・ウェバーのプロデュースで上演されていますから、また、劇団四季のレパートリーになるのかもしれません。キャッツの“メモリー”は早水さんがグリザベラ役、花田さんがシラバブ役でしたが、これもとても感動的でした。

この種の作品は、歌がどんなに上手くても、ダンスが良くないとしまらなくなってしまうのではないでしょうか。今回は、ダンスもとても迫力がありました。特に、今回のステージで僕が注目していたのは、須田綾乃さんのダンスです。須田さんは、異国の丘の公演の際のアレキサンダーズ・ラグタイムバンドでの彼女のダンスを見て以来、注目しています。踊りがダイナミックで美しいし、笑顔がとても素敵な女優さんです。今回も随所に素敵なダンスを披露してくれていました。プログラムの経歴をみると2005年に研究所入所とのことですから、まだまだ、これからの女優さんのようですが、とても楽しみな女優さんです。

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2009年2月25日 (水)

もう一度…佐渡さんのグリザベラ

21日に“キャッツ”を観てきました。キャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールドデュトロノミーにチェ・ソンジェさん、ジェリーロラム=グリドルボーンに木村花代さん,バストファージョーンズとアスパラガス=グロールタイガーに田島亨祐さん、ジェニエニドッツに小松陽子さん、マンカストラップに荒川務さん、ランペルティーザに石栗絵理さん、ラム・タム・タガーに武藤寛さん、ディミータに団こと葉さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに増本藍さん、マンゴジェリーに百々義則さん、シラバブに谷口あかりさん、スキンブルシャンクスに嶋崎孔明さん、タントミールに大橋里砂さん、コリコバットに入江航平さん、ジェミマに王堃さん、ランバスキャットにユ・ホンチェルさん、ヴィクトリアに石川縁さん、カーバケッティに花沢翼さん、蒼井蘭さん、ギルバートに瀧澤虎太郎さん、マキャヴィティに片山崇志さん、タンブルブルータスに大森瑞樹さん,でした。

今月初めから佐渡寧子さんが出演していたため、何とか観に行きたいと思っていたのですが、千秋楽を4月に控えてプラチナチケットと化しているキャッツのチケット。なかなか入手できず、半ば諦めていたところ、キャッツ大好きの知人が行けなくなったからとチケットを回してくれました。いやぁ、祈れば通じるものです。

P9130902 佐渡さんのグリザベラはやはりとてもとても素敵でした。歌がうまいし、年老いてうらぶれていても、どこか気品のあるグリザベラです。彼女のメモリーは、少なくとも僕が知る限りでは、他の追随を許さないものがあるように思います。何度聞いても感動するメモリーです。今回の席は、前から5列目の下手寄り端の席でしたので、グリザベラの立ち位置に近く、佐渡さんのグリザベラを堪能しました。

…と毎度同じことを書いていても「またか!」と思われますね。でも、ファンなんだからしょうがないですよね。ところで、今回は、初めて木村花代さんのジェリーロラム=グリドルボーンを観ました。木村花代さんは佐渡さんと同じ役のことが多いので、二人を同じステージで見ることは少ないのではないかと思います。木村さんは、どんな役をやっても軽やかな雰囲気になるような気がします。今回の役柄も他の女優さんとはどこか少し違った-でも、とても素敵な-ジェリーロラムでした。また、増本藍さんのボンバルリーナもきれいだったと思います。僕は、西村麗子さんのボンバルリーナが大好きなのですが、増本さんもとてもきれいでした。

ところで、今回初めて知ったのですが、ネコ社会では、グリドルボーンって、小悪党の扱いなのですね。マキャヴィティの歌で、ボンバルリーナとディミータが“今まで この世に 悪人がいたが どうでしょうマンゴジェリー どうでしょうグリドルボーン こんな奴らはみんな小物 マキャヴィティこそはナポレオン・オブ・クライム”と歌っています。グロールタイガーの純情を弄んだからでしょうか?ただ、僕には、彼女が悪党(たとえ小粒であっても)とはとても思えないのですが…

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2009年1月25日 (日)

ミュージカル好きの熱い思いに共感-“ドロウジー・シャペロン”を観る

P1241060 “ドロウジー・シャペロン”を観ました。宮本亜門さんの演出で、主なキャストは、ナレーターに小堺一機さん、ブロードウェイのスターで花嫁ジャネットに藤原紀香さん、花嫁介添人ドロウジーに木の実ナナさん、トッテンデール夫人に中村メイコさん、執事アンダーリングに小松政夫さん、ジャネットの花婿ロバートになだぎ武さん、花婿介添人に川平慈英さん、ラテン系のジゴロ、アルドルフォに梅垣義明さん、プロデューサー、フェルドジーグに尾藤イサオさん、その愛人キティに瀬戸カトリーヌさん、飛行士アビアトリックスに浦嶋りんこさん、ギャングコンビにテツandトモさん、でした。

このミュージカルが、同名の劇中劇が演じられるわけですが、この劇中劇がとてもP1241070 面白いのです。いわゆる“Boy meets Girl”の典型的なミュージカルの典型的な要素をふんだんに盛り込んだパロディであるわけで、ミュージカル好きの人は「うん、うん」とうなずきながら笑ってしまうのではないでしょうか。

藤原紀香さんは歌も(本職の歌手に比べると…というような部分もあるにはありましたが)なかなか素晴らしいものでした。僕は彼女をテレビでしか見たことがありませんでしたが、彼女は、スタイルも抜群で、舞台映えのする美しい女優さんですね。瀬戸カトリーヌさんがとても良かったように思います。少し軽めの、売れない女優でプロデューサーの愛人という役をとても活き活きと演じていました。ダンスもなかなかで、彼女、光っていました。そして、木の実ナナさん。歌も演技も貫禄を感じさせます。この人がいたので、ステージがぐっと引き締まっていたのではないか、と思います。

P1241062 しかし、このミュージカルの主役は、何と言っても小堺一機さんなのではないでしょうか。少しかすれた低音で語るミュージカル“ドロウジー・シャペロン”への熱い思い。ミュージカルに対する強い愛情が伝わってきて、同じミュージカルを愛する人間として共感を感じました。最後に彼が演じるナレーターの言葉を。(記憶に頼っているので正確でないかもしれませんが…)

「ミュージカルに大切なことは、僕達を別の世界に連れて行ってくれること。楽しいお話とほんの少し耳に残る音楽でブルーな気持ちを楽しい気分にさせてくれること。それだけでいい。」

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

場所はニューヨークのとあるアパートの一室。ミュージカル・オタクの男の部屋です。この男は、自分が愛する古きよき時代のミュージカル“ドロウジー・シャペロン”のレコードに針を置き、このミュージカルについて語り始めます。すると、この部屋が“ドロウジー・シャペロン”の舞台に変わってしまいます。

ブロードウェイのスター、ジャネットは、避暑地でロバートと出会い、恋に落ちます。ジャネットはロバートとの結婚のために引退を決意。花婿介添人のジョージは上手くできるか、大騒ぎ。花嫁介添人のドロウジーはカクテルを片手にどっしりと構えています。ドル箱女優のジャネットの結婚・引退を阻止しようとするプロデューサーはラテン系のジゴロを彼女の寝室に送り込みます。一方、花嫁と花婿は結婚式まで顔を合わせてはいけないというしきたりに則り、花婿ロバートは目隠しをします。これが、また騒動を引き起こし…

こんな、古き良き時代のミュージカルの典型のミュージカルについて語るナレーターですが、途中で電話、レコードの針飛び、停電、来客などの現実世界が進入して、そのつど、彼の思いは中断してしまいます。果たして、彼は、彼の思いの全てを語り終えることができるのでしょうか?

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2009年1月 3日 (土)

今年最初の観劇は…

明けましておめでとうございます。今年もこつこつと書いていきたいと思いますので、ごひいきのほど、よろしくお願いいたします。

P1021051_2 さて、今年初めての観劇は、キャッツ・シアターでの“キャッツ”でした。キャストは、グリザベラに織笠里佳子さん、オールドデュトロノミーに種井静夫さん、ジェリーロラム=グリドルボーンに金平真弥さん、バストファージョーンズ、アスパラガス=グロールタイガーに飯田洋輔さん、ジェニエニドッツに鈴木由佳乃さん、マンカストラップに荒川務さん、ランベルティーザに柏円さん、ラム・タム・タガーに福井晶一さん、ディミータに原田麦子さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェリーに武藤寛さん、シラバブにP1021058 谷口あかりさん、スキンブルシャンクスに岸佳宏さん、タントミールに大橋里砂さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに撫佐仁美さん、ランバスキャットに高城将一さん、ヴィクトリアに千堂百慧さん、カーバケッティに齊藤太一さん、カッサンドラに大口朋子さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに金久烈さん、タンブルブルータスに松永隆志さん、でした。

劇団四季は、年末年始も休まずに公演しているので、New Year観劇には最適です。先行予約の際に入手したチケットでの観劇でした。今日も満員のキャッツ・シアター。ただ、佐渡寧子さんのグリザベラを観ることができなかったことは、僕にとっては、寂しいところでした。織笠里佳子さんのグリザベラを観るのは初めてP1021054 でしたが、僕の中でのグリザベラ像は佐渡寧子さんの演じるグリザベラですので、どうしても比べてしまいます…今回は、ボンバルリーナに西村麗子さんが復帰していました。彼女のボンバルリーナは、とても美しくて妖艶で大好きです。

Pc201031 さて、何度か書いてきましたが、僕の好きなシーンは、老俳優猫のアスパラガスの場面です。ジェリーロラムの歌で紹介される老いさらばえた俳優猫のガスことアスパラガスは、自分の華やかなりし時代をしみじみと振り返ります。そんなガスにジェリーロラムはいたわるように寄り添い、その述懐を静かに聴きます。この場面がPc201030 しみじみとしていて、実にいいのです。これから劇場に足を運ばれる方は、ぜひ、この場面でガスを見上げるジェリーロラムの表情に注目してください。実に可愛らしい表情です。僕は、谷内愛さん、秋夢子さん、金平真弥さんと三人のジェリーロラムを観ていますが、どの女優さんもこの場面は優しさに満ちたとても素敵な表情をしています。そして、ガスの一世一代の大芝居であったグロールタイガーの場面に急転します。ここは京劇を思わせるような殺陣も見ものですが、グロールタイガーとグリドルボーンの掛け合いが大好きです。この老海賊がめぐり会った美しい雌猫のグリドルボーンへの老いらくの恋。グPc201024 ロールタイガーは、きっと全てを捨てても良い、とグリドルボーンへの愛に全てを注ぎ込んだに違いありません。しかし、グリドルボーンにはグロールタイガーのような一途な思いはありません。グロールタイガーの強さにあこがれたのか、財力にか。それとも、稀代の海賊の恋人という名声が欲しかったのか…それが証拠にグロールタイガーが宿敵シャムネコ軍団に囲まれると、さっさと逃げてしPc201026 まいます。それでもグロールタイガーは、グリドルボーンが安全に逃げ延びたであろうかと心配して…まさに男の純情という感じです。こうして激しい殺陣の場面が終わると、舞台は暗転。舞台の中央にはガスの姿が…彼のつぶやきのような歌でこの場面が終わります。

この場面に限らず、様々な猫の姿を描いた群像劇であるこのミュージカルは、この場面だけでなく、名場面が目白押しです。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

ある満月の夜、ネコ達が街の片隅に集まってきます。年に一日だけ開かれる舞踏会に出席するためです。そして、そこでは、毎年一匹だけ、天上に昇り、再生し、新たな人生を生きることのできるネコが選ばれるのです。様々なネコが集まってきます。いつも寝てばかりいる気のいいおばさんネコ、つっぱりネコ、長老ネコ、泥棒ネコ、名士のネコ、老役者のネコ、鉄道ネコに犯罪王、手品師、などなど、人間の世界に負けず劣らずの多種多様のネコ達が集まってきます。そして、忘れてはならない、老いさらばえた娼婦のネコ、グリザベラ。一体、天上に昇ることが許されるのは、誰なのでしょうか…

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2008年12月27日 (土)

油の乗った名優の共演に酔う-“ラ・カージュ・オ・フォール”を観る

Pc231036 “ラ・カージュ・オ・フォール”を観てきました。キャストはジョルジュに鹿賀丈史さん、ザザことアルバンに市村正親さん、アンヌに島谷ひとみさん、ジャン・ミッシェルに山崎育三郎さん、ジャックリーヌに香寿たつきさん、シャンタルに新納慎也さん、ハンナに真島茂樹さん、ダンドン議員に今井清隆さん、ダンドン夫人に森公美子さん、ジャコブに花井京乃助さん、ルノーに林アキラさん、ルノー夫人に園山晴子さん、フランシスに日比野啓一さん、です。

とても面白かった!良い作品だと思います。まずは、ジェリー・ハーマンの音楽がPc231049 とても美しいと思います。“ありのままの私”、“砂に刻む歌”、“今この時”、“見てごらん”など美しい曲が揃っています。特に、「過去は消えてしまった。明日のことは誰も分からない。だから、今を大事に生きていこう、人を愛していこう。」という内容の“今この時”が好きになりました。

しかし、何と言ってもこの舞台の魅力は、鹿賀さんと市村さんという二人の名優のPc231043 掛け合いです。(この二人の共演(競演?)を観るのは“ペテン師と詐欺師”以来二作目です。)特に第一幕のラスト、母親のように愛情をもって育ててきたジャン・ミッシェルが、自分のフィアンセの両親との顔みせに出席してほしくない、ということをジョルジュから聞いたアルバンが歌う“ありのままの私”は迫力があって、感動的です。愛してきた人間に裏切られた、怒り、哀しみ、やるせなさが伝わります。また、これを歌う直前に、ジョルジュとアルバンが見つめあう、その瞬間の沈黙がとても深く、その緊迫感はすごいものがありました。

このミュージカルはゲイ・クラブが舞台になっています。(鹿賀さん演じるジョルジュも市村さん演じるアルバンもゲイです。)ですから、ショウの場面が出てくるのですが、これがまた圧巻です。この舞台のかなりの時間を占めるのですが、全く飽きません。しかし、ジャン・ミッシェルのフィアンセの両親の役の今井清隆さんと森公美子さんは第二幕のみの出番で、歌も少なく、随分贅沢な使い方をしています。しかし、しっかりと脇を固めてこのミュージカルの魅力を高めていました。

家族愛にあふれたミュージカルです。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

舞台は、南フランスのリゾート地、サントロペにあるゲイ・クラブ“ラ・カージュ・オ・フォール”。そのオーナーのジョルジュと花形スターのザザことアルバンは20年間連れ添ってきた夫婦(というのでしょうか?)です。ジョルジュが20年前にたった一晩の過ちで生まれたジャン・ミッシェルを、ジョルジュは父親として、アルバンは母親として、育ててきました。そのジャン・ミッシェルが今度結婚することに。ただ、そのフィアンセ、アンヌの父親は、コチコチの保守で道徳家で、「ゲイなどとんでもない」と考えるダンドン議員。そのダンドン議員夫妻がジャン・ミッシェルの両親に会いたいと、ジョルジュとアルバンが暮らす家にやってくることに。ジャン・ミッシェルは、ダンドン議員夫妻が着ている間はゲイの夫婦でなく普通の家族としてふるまってほしい、とジョルジュに頼みます。そのためには、アルバンに出席してもらうわけには行きません。ジョルジュはアルバンにそのことをなかなか切り出せません。しかし、ついにそれを告げる時が…

はたして、ダンドン議員夫妻との対面はうまくいくのでしょうか…

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2008年12月21日 (日)

またもや“メモリー”に聞きほれる

Pc201019 “キャッツ”を観てきました。たまたまチケットを入手できたので、急遽行くことにしました。キャストは、グリザベラはもちろん佐渡寧子さん、オールドデュトロノミーに種井静夫さん、ジェリーロラ=グリドルボーンに秋夢子さん、バストファジョーンズとアスパラガス=グロールタイガーに飯田洋輔さん、ジェニエニドッツPc201029_2 に鈴木由佳乃さん、マンカストラップに荒川務さん、ランペルティーザに石栗絵理さん、ラム・タム・タガーに福井晶一さん、ディミータに有永美奈子さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに岡本結花さん、マンゴジェリーに武藤寛さん、シラバブに南めぐみさん、スキンブルシャンクスに岸佳宏さん、タントミールに大橋里砂さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに王堃さん、ランバスキャットに高城将一さん、ヴィクトリアに石川縁さん、カーバケッティに齊藤太一さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに金久烈さん、タンブルブルータスに川野翔さん、でした。

Pc201025 今回の佐渡さんのグリザベラもとても素敵でした。そして、メモリーも…彼女がこれを歌うと、歌声が聞く人の胸にしみこんでいくというか、舞台から大きな手が伸びてきて、胸をわしづかみにされて舞台に引き戻されるような、そんな風に感じてしまいます。あの“メモリー”の世界に思わず引き込まれてしまいます。彼女の出演した作品は、“オペラ座の怪人”、“アイーダ”、“異国Pc201028_3 の丘”“キャッツ”と観てきました。僕の想像ですが、彼女はあまり器用な役者さんというわけではないのかもしれません。しかし、それだけに真摯に役に向かい合い、悩みながら役を作っていっている のではないでしょうか。そのために、舞台にあがったときにその人物(猫?)にも他の俳優さんにはない独特の深みが出てくるのではないかと思います。今回の“メモリー”もしっかりと僕の胸に届きました。

Pc201023 今回は、南さんのシラバブ、鈴木さんのジェニエニドッツ、秋さんのジェリーロラム=グリドルボーンの、石栗さんのランペルティーザが印象に残りました。

今回は、クリスマス特別カーテンコールがありました。クリスマスの赤い三角帽の三匹のねずみが舞台をはい回り、それをラム・タム・タガーがチーズでおびき寄せながら、追いかけて結局逃げらPc201031 れるというコミカルなシーンから始まります。そして、グリザベラをはじめとするキャストたちの“Silent Night”等のクリスマスソングが歌われ、客席は色とりどりの発光体が揺れ、ステージと客席が一体となりとても素敵なカPc201030 ーテンコールでした。

劇場のホールの壁にかけてある猫たちも、尻尾にもクリスマスの飾りつけが…今回の写真はクリスマスバージョンの猫たちとカーテンコールの時に使った発光体です。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…Pc211035_2        

このミュージカルのストーリーは7月27日の記事をご覧ください。

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2008年12月 7日 (日)

ミュージカル“エリザベート”を観る

Pc061007 “エリザベート”を観てきました。主なキャストは、エリザベートに涼風真世さん、死の帝王トートに武田真治さん、エリザベートの夫フランツ・ヨーゼフに石川禅さん、皇后の暗殺者ルイジ・ジキーニに高嶋政宏さん、エリザベートの父マックスに村井国夫さん、フランツの母親ゾフィーに寿ひずるさん、エリザベートの母親ルドヴィカに春風ひとみさん、でした。

正直に言って、このミュージカルの物語にはうまく入っていけませんでした。自Pc060999_3 由気ままな少女時代を過ごしたシシィことエリザベートがオーストリア皇帝フランツに見初められて皇室に入ったところ、そこは自由のない世界だった。そこで、彼女は自由を求めて戦う…といったストーリーだと思うのですが、どうもピンとこないままに終わってしまいました。ただ、やはりミヒャエル・クンツェとシルベスター・リバーイの紡ぎだす世界は美しいと思います。涼風さんの“私だけに”には思わず引き込まれていまいました。また、石川禅さんもなかなか良かったと思います。

Pc061004 “エリザベート”は、今回初めて観たのですが、いわゆる狂言回し的な役回りが複数いて“マリー・アントワネット”と似ているように思いました。トートの役割は“マリー・アントワネット”のカリオストロ、ルイジ・ジキーニの役割は“マリー・アントワネット”ではボーマルシェが、それぞれ担っていますよね。クンツェ・リーヴァイのコンビはこういう構成が好きなのかなぁ、と思いつつ観ていました。それにしても、この二人の作品は何となく共通した雰囲気があるように思います。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

シシィという愛称をもつエリザベートは自由にのびのびと育てられました。ある日、エリザベートは木から落ちて死のふちをさまよいますが、この時に現われた死の帝王トートは、エリザベート愛してしまうのです。やがて、エリザベートはオーストリア皇帝のフランツに見初められて、彼と結婚します。その婚礼の舞踏会の席にトートが現われて、エリザベートにダンスを求めます。やがて、「お前が最後に選ぶのは私だ」という言葉を残して姿を消してしまいます。

エリザベートが入ったオーストリアの王室は、まだフランツの母ゾフィーが実権を握っており、エリザベートの自由は認められません。せっかく生まれた愛しい我が子もゾフィーに取り上げられて自分で育てることさえできません。そこで、彼女の自由を求める戦いが始まります。果たして、自分の自由を求める戦いがエリザベートの人生と精神に何をもたらしていくのでしょうか…

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2008年11月30日 (日)

二度目の体験

Pb290996 宝塚・宙組公演“Paradise Prince~パラダイス・プリンス~”と“ダンシング・フォー・ユー”を観てきました。“Paradise Prince”の主なキャストは、スチュアート・グリーン・メンフィールドに大和悠河さん、キャサリン・ホワイトに陽月華さん、アンソニー・ブラウンに蘭寿とむさん、ラルフ・ブラウンさんに北翔海莉さん、ハワード・ゴールドウィンに一樹千尋さん、ローズマリー・メンフィールドに美穂圭子さん、です。

二度目の宝塚観劇となりました。知人にお願いしてチケットを手配してもらったため、初めてファンクラブを通じてチケットを購入したのですが、なにせ勝手が分からず、どうやって受け取っていいものやら…少し、ドキドキしてしまいましPb290995 た。“Paradise Prince”は、前向きなストーリー、きっと、これが宝塚の世界なのでしょうね。そして、グランド・レビュー!これぞ宝塚という華やかな世界を堪能してきました。前回の観劇は“Me and My Girl”で、グランド・レビューは初めての体験でしたが、「これが宝塚かぁ~」という思いで観ていました。

Pb290997 宝塚歌劇は男役の俳優さんが中心なのだと思いますが、宝塚で演じられる“男”は、一般的な意味での“男”ではなくて、女性の目から見た男なんですね。それも女性が“こうあってほしいと思う男性”が演じられているような気がします。それが宝塚のユニークな世界を作っているのかな…という感慨を持ちながら観ていました。楽しいひと時でした。でも、まだ、舞台の俳優さんたちの顔の区別がつきません…

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2008年11月24日 (月)

復活!佐渡グリザベラ

Pb220977 “キャッツ”を観てきました。佐渡寧子さんがグリザベラに復帰したので、佐渡さんの演じる美しい娼婦ネコとの再会を果たしてきました。キャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールドデュトロノミーにチェソンジェさん、ジェリーロラム=グリドルボーンに金平真弥さん、バストファージョーンズ、アスパラガス=グロールタイガーに寺田真実さん、ジェニエニドッツに小松陽子さん、マンカストラップに野中万寿夫さん、ランベルティーザに石栗絵理さん、ラム・タム・タガーに武藤寛さん、ディミータに有永美奈子さん、ミストフェリーズに金子信弥さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェリーに川東優希さん、シラバブに南めぐみさん、スキンブルシャンクスに嶋崎孔明さん、タントミールに原田真由子さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに王堃さん、ランバスキャットに高城将一さん、ヴィクトリアに千堂百慧さん、カーバケッティに齊藤太一さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに金久烈さん、タンブルブルータスに松永隆志さん、でした。

Pb220983 今回は、本当に上手よりの端の席ではありましたが、初めて回転席を取ることができたので、舞台を本当に間近に観ることでき、迫力を感じました。

さて、佐渡さんのグリザベラ。相変わらず、美しい娼婦ネコでした。美しく、そして切なく、哀しく歌い上げるメモリーにまたまた感動してしまいました。いつまでも、いつまでも聞いていたい、そんな思いを抱かせるのは、僕が彼女のファンだからという理由だけではないように思います。

僕が大好きなシーンは、アスパラガスとジェリーロラムが老俳優の過去を振り返るシーンです。しみじみとして、少し物悲しさが漂って…素敵なシーンですし、その後のグロールタイガーの動のシーンとまさに好対照をなしています。今回の寺田真実さんと金平真弥さんも素敵なコンビでした。また、今回は舞台に近い席だったので、俳優さんたちの表情もよく見えたのですが、西村さんのボンバルリーナがとてもセクシーで、きれいでした。

それにしても、俳優さんたちは、絶対に観客の視線が自分に向かないだろうな、と思われるようなシーンや位置でも、ネコになりきって演技しているのですね。改めて感心しました。

Pb220976 千秋楽も発表されて、名残惜しいような気持ちを既に感じていますが、これから千秋楽に向かって、充実の舞台が続くのでしょうね。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

このミュージカルのストーリーは727日の記事をご覧ください。

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2008年10月 5日 (日)

純粋なキムがそこにいた-ソニンさんのキムを観る

Pa040926 帝国劇場で“ミス・サイゴン”を観てきました。今シーズンの“ミス・サイゴン”は新妻聖子さんのキムと橋本さとしさんのコンビしか観ていませんでしたので、違うコンビでの舞台を観てみたいと思っていました。

今回のキャストは、キムにソニンさん、エンジニアに別所哲也さん、クリスに原田Pa040941 優一さん、エレンにシルビア・グラブさん、ジョンに坂元健児さん、トゥイに石井一彰さん、ジジに菅谷真理恵さん、です。

Pa040938 俳優さんが変わると同じ役でも随分雰囲気が変わるものだなぁ、と改めて思った舞台でした。ソニンさんは本当に渾身の演技でした。彼女のこの役にかける情熱のようなものが伝わってくるようです。新妻聖子さんのキムとは全く違うキムが舞台にいました。新妻聖子さんのキムは、心の中に、深く、激しい愛情を秘めていて、その情熱が彼女を一途な人生に向かわせているという思いPa040939 を抱かせるようなキムでしたが、ソニンさんのキムはただただ純粋で、それゆえにひたすら愛情を一途にクリスとタムに注いでいるという感じです。

103 そして、エレン。シルビアさんのエレンには前回の舞台同様に感動しました。“I Still Believe”では、夫の愛情をいま一つ自信を持って信じることのできない不安な気持ちと夫への愛情がとてもよく表現されていましたし、“Now That I Have Seen Her”では、夫の過去をついに知ってしまった哀しみとこれからの人生対する決意を歌い、思わず涙が出てきました。シルビアさんは芯の強い女性を演じると、本当に上手いですねぇ。

Pa040937_2 別所さんのエンジニアは、別所さんの生真面目さが出ていたエンジニアであったよPa040944 うに思います。僕のイメージのエンジニアは子悪党的なエンジニアなのですが、これはこれで一つのエンジニア像なのだろうな、と思います。

Pa040940 また、今回のジジ役の菅谷さんもとても良かったと思います。“The Movie in My Mind”はジジ役の女優さんが良くないと心に迫ってこない歌ですが、今回は、しっかりと心に届きました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ

ストーリーは8月3日の記事をご覧ください。

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2008年9月21日 (日)

深く激しい愛を持つ女性がまさにそこに生きている

105 帝国劇場で“ミス・サイゴン”を観てきました。主なキャストは、キムに新妻聖子さん、エンジニアには橋本さとしさん、クリスに藤岡正明さん、エレンにシルビア・グラブさん、ジョンに岸祐二P9200918_01 さん、トゥイに神田恭兵さん、ジジに池谷祐子さん、でした。

今回も、新妻さんのキムは、前回に負けず劣らず、とても素晴らしかった。クリスとの愛と喜びを歌った“Sun and Moon”や“The Last Night of the World”はとても美しく、そして、アメリカに行ってしまったクリスを信じ、愛する思いを歌い上げる“I Still Believe”は本当に切なくひたひたと客席にその思いがしみわたっていきます。そして、やはり、極めつけは、第一幕最後に歌われる“I’d Give My Life for You”。新妻さんは、キムのわが子タムへの激しく深い愛を見事に歌い上げていました。キムという愛情の深い、そして、激しい一人の女性が、帝劇の舞台の上で、生き生きと躍動していました。

103 今回は、新妻さんのキムはもちろんですが、シルビアさんのエレンも楽しみの一つでした。シルビアさんには、レベッカ以来、注目している女優さんです。期待は裏切られませんでした。“I Still Believe”では、愛する夫を思いやりながらも、自分の知らない部分P9200920_2 が夫にあることの不安がとても良く表現されていたように思いますし、また、“Now That I’ve Seen Her”もエレンの哀しみと強さがとてもよく表現されていたように思います。

P9200919_01 今回、橋本さんのエンジニアは、“小悪党”的ないやらしさが出てきた、とても良くなってきたように思います。また、藤岡さんのクリスは“やんちゃ坊主”の雰囲気で、なかなか面白かったです。

公演後に、トークショウがありました。橋本さん、新妻さん、岸さん、藤岡さんの4人が、橋本さんの司会で、このミュージカルへの思いとか博多公演での楽しみなどをテーマにとても面白いトークが展開され、ともて楽しめました。最後は、新妻P9200922 さんが、お茶会でも歌った、幻のナンバー“Too Much for One Heart”を音楽監督の山口琇也さんの伴奏で、彼女が訳した詞で歌って締めてくれました。

今回は、帝劇のロビーに飾られている出演者のサイン入り色紙の写真を掲載してみました。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ

ストーリーは8月3日の記事をご覧ください。

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2008年9月14日 (日)

進化し、そして、深化する、佐渡グリザベラ

P9130907_2 佐渡寧子さんのグリザベラを観てきました。キャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールドデュトロノミにチェソンジェさん、ジェリーロラム=グリルドボーンに金平真弥さん、バストファージョンズ、アスパラガス=グロールタイガーに飯田洋輔さん、ジェニエニドッツに石倉康子さん、マンカストラップに西門宇翔さん、ランペルティーザに石栗絵理さん、ラム・タム・タガーに福井晶一さん、ディミータに団こと葉さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェリーに川東優希さん、シラバブに久保田彩佳さん、スキンブルシャP9130903_2 ンクスに嶋崎孔明さん、タントミールに原田真由子さん、コリコバットに花沢翼さん、ジェミマに増 田朱紀さん、ランパスキャットに高城将一さん、ヴィクトリアに千堂百慧さん、カーバケッティに松永隆志さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、ギルバートに瀧澤虎太郎さん、マキャヴィティに赤瀬賢二さん、タンブルブルータスに川野翔さん、です。

P9130909 五反田のキャッツ・シアターは25周年記念の装飾でとても華やかです。ロビーの天井にはこれまで上演された劇場を示すフラッグがさがり、この25年間の長い積み重ねを静かに観客に語りかけているようです。そして、25周年のケーキ。これから11月に向か って、さらに盛り上がるのでしょうね。

さて、肝心の舞台ですが…やはり佐渡さんのグリザベラは美しかった。老いて落魄P9130902_2 した娼婦ネコではありますが、やはり年老いてなお美しい娼婦ネコです。若かった時は、本当に凄い高級娼婦だったのだろうな…という思いにとらわれます。そして、彼女のメモリー。聞くたびに深く、美しくなっていきます。特に、第二幕の最後のメモリーは深く心に染み入る歌声で、涙が出てきてしまいました。観るたびに深まってくるように思える佐渡寧子さんのグリザベラ。次の観劇の機会が今から楽しみです。

今回は、石倉康子さんの歌を久しぶりに聞くことができました。ジェニエニドッツの役でしたが、“アイーダ”のネヘブカを観て以来、注目している女優さんです。今回は、やさしい、やさしい雰囲気が伝わってくるジェニエニドッツでした。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ

このミュージカルのストーリーは、7月27日の記事をご覧ください。

P9130904

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2008年8月17日 (日)

再び、メモリーに聞きほれる

P8140873 “キャッツ”を観て来ました。キャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールドデュトロノミーに種井静夫さん、ジェリーロラム=グリドルボーンは秋夢子さん、バストファージョンズ・アスパラガス=グロールタイガに飯田洋輔さん、ジェニエニドッツに高島田薫さん、マンカストラップに西門宇翔さん、ランペルティーザに上條奈々さん、ラム・タム・タガーに金田俊英さん、ディミータに坂田加奈子さん、ミストフェリーズに岩崎晋也さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、マンゴジェ リーに武藤寛さん、シラバブに久保田彩佳さん、スキンブルシャンクスに嶋崎孔明P8140877_2 さん、タントミールに高倉恵美さん、コリコパットに花沢翼さん、ジェミマに増田朱紀さん、ランバスキャットに高城将一さん、カッサンドラに蒼井蘭さん、カーバケッティに松永隆志さん、ヴィクトP8140876 リアに斉藤美絵子さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに赤瀬賢二さん、タンブルブルータスに川野翔さん、でした。

佐渡寧子さんのグリザベラは、昔は美しく華やかであったが今は老いさらばえてしまった娼婦ネコ…そんな感じが良く出ています。佐渡さんのグリザベラは二度目ですが(というより、佐渡さんのグリザベラを再び観たくて行ったのですが)、少し力が抜けた感じで、とても素敵でした。そして、メモリー!美しく、感動的です。聞いているとガーと気持ちが歌に入っていきました。

ところで、このメモリーですが、僕は、歌の最中はこちらの気持ちが入っているので、歌が終わってもしばしその余韻にうっとりとひたります。そのせいか、-舞台では、その間に次の動きに入っていくので-聞き終わった後の拍手ができません。他のお客さんもそういう人が多いのかどうか分かりませんが、第二幕終盤のメモリーが終わってグリザベラが舞台を去っていく間、拍手がありません。僕は、キャッツはあまり沢山見ているわけではないので他の女優さんのグリザベラのときはどうなのでしょうか?やはり、あの場面では拍手はないのでしょうか?どなたか教えてください。僕自身は、歌が終わったときには、その歌が良いものであればあるほど、しばしの静寂を楽しみたい方なので、歌が終わるか終わらないかで拍手が起きるのはあまり好きではありませんが…

前回にも書きましたが、高倉恵美さんのタントミールも好きなネコです。気位の高いシャムネコという雰囲気がとてもよく出ていて、前回同様、どうしても目が行ってしまいます。

僕の大好きなシーンは、老俳優ネコのガスとジェリーロラムがデュエットするシーンです。今は老いてしまった老俳優が昔を偲ぶところは、しみじみとしていて良いですよね。

☆このミュージカルをまだ観ぬ人へ…

この作品のストーリーは7月27日の項をご覧ください。

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2008年8月 3日 (日)

キムの強く激しい愛に泣く-“ミス・サイゴン”を観る

P8020860 昨日、帝国劇場で“ミス・サイゴン”を観て来ました。主なキャストは、キムに新妻聖子さん、エンジニアに橋本さとしさん、クリスに井上芳雄さん、エレンに鈴木ほのかさん、ジョンに岸祐二さん、トゥイに神田恭平さん、ジジに菅谷真理恵さん、です。

今回のステージは新妻聖子さんに尽きる、と言っても過言ではないのではないかと105 思います。もちろん、他の俳優さんたちも素晴らしい演技でしたが(このようなスケールの大きなお芝居は一人の俳優さんの力だけではどうにもならないことは、もちろんです。)、今回のステージに限っては、新妻さんの演技が突出していたように思います。新妻さん自身も自分のブログで「異常な程の集中力で挑めた公演」と書いていますが、本当に素晴らしい演技でした。(別に彼女のファンだから、ただ褒めているわけではありませんよ。)特に、鈴木ほのかさんとのデュエットである“今も信じているわ”は、キムとエレンのクリスに対するそれぞれの愛と不安が良く伝わってきて、とても感動しました。また、わが子タムを守るためにトゥイを殺してしまった後にキムが歌う“命をあげよう”も圧倒的で、聞いていて涙が止まりませんでした。ラストにタムに別れを告げる“私の小さな神”も秀逸でした。まさに、キムという深く、そして、激しい愛に生きていく女性が女優新妻聖子と一体となった舞台であったように思います。それにしても、彼女、本当に高音がきれいになりました。

新妻さん以外では、エレン役の鈴木ほのかさんが良かったと思います。“今も信じているわ”では、愛する夫、クリスが、何か重要なことを隠しているのではないかという不安に怯えつつも、クリスを信じて愛していこうとする気持ちが心を打ちます。また、“今、彼女に会った”では、クリスを今も愛し信じているキムを目の当たりにして、悩み、悲しみながらも、クリスを愛している自分を確認し、クリスの本当の気持ちを知りたいという女心が客席にも伝わってきました。

102 この作品を観て思うことは、キムとエレンという二人の女性が-そのタイプは違いますが-それぞれ、毅然とした強い生き方をしているのに、クリスがどっちつかずで実に頼りなく感じます。まあ、男として、「このような立場になったら、しょうがないかな」という気がしないではありませんが(笑)、もう少し、どちらにも好かれようとせずに、毅然としていたら、どのような形にせよ、キムもエレンもあのように苦しまなかったのではないかと思えてなりません。もっとも、それでは、お話がつまらなくなって、ミュージカルとしては成り立たないかもしれませんね。

この作品をまだ観ぬ人へ…

時は1975年、ベトナム戦争の末期、陥落直前のサイゴンは退廃的な空気に満ちていました。この街のキャバレーで働き始めたキムは、生まれ育った村を焼かれ、両親を殺されて、一人サイゴンに出てきました。生きていくためには我が身を売るしかない、という悲壮な決意で働き始めます。そこで最初に出会った客がGIのクリス。クリスもまた、ベトナム戦争で必死に戦ったものの、帰国すればしたで、反戦運動の中で歓迎されていない自分を感じ、鬱屈した思いでサイゴンに戻ってきたのです。そんな二人はたちまちのうちに恋に落ち、ベトナム式の結婚式をあげることになります。しかし、情勢は二人が幸福に長く浸っていることを許しません。ベトコンがサイゴンに迫り、アメリカ人であるクリスは、戦友のジョンに引きずられるようにサイゴン脱出のための最後のヘリコプターに乗ってしまいます。キムも彼の妻としてビザを発行してもらいましたが、最後の混乱でクリスに会えず、サイゴンに取り残されてしまいます。しかし、キムは、いつかクリスが自分を迎えに来てくれる日を信じて混乱のサイゴンで生きていきます。そして、3年後…。アメリカでは、クリスが毎夜ベトナムの夢にうなされています。その傍らには帰国後に結婚したエレンが、夫の気持ちをいまひとつ知ることができないながらも、寄り添っています。一方、サイゴンでは、キムの目の前に、幼い頃、親同士の約束で許婚となったトゥイがベトコンの幹部として現われます。彼は、キムに、結婚して一緒に暮らそうと迫りますが、クリスへの愛に生きるキムは決然とその誘いを断ります。キムには、クリスとの間に生まれた子供タムがいたのです。それを知り逆上してタムを殺そうとするトゥイからタムを守ろうと、キムはトゥイを殺してしまいます。キムはタムと共に、クリストと出会った店のマネジャーであり、いつの日かアメリカに行くことを夢見ているエンジニアに助けを求め、三人はバンコクに逃れていくのです。

バンコクで、生活のためにキムはまたキャバレーで働き、エンジニアはその店の呼び込みをしています。クリスの戦友のジョンは、戦争中にアメリカ兵とベトナム人女性との間に生まれた子供たちの父親を探す運動を行っています。そんなジョンのもとにキムの消息が流れてきます。ジョンはその情報をクリスに知らせます。キムとタムの運命は…キムは幸福とクリスの愛を掴むことができるのでしょうか?

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2008年7月27日 (日)

美しい娼婦ネコ-メモリーに聞き入る

097 キャッツ・シアターに行ってきました。本日の“キャッツ”のキャストは、グリザベラに佐渡寧子さん、オールド・デュトロノミーに青井緑平さん、ジェリーロラム、グリルド・ボーンに谷内愛さん、バストファージョーンズ、アスパラガス、グロールタイガーに飯田洋輔さん、ジャニエニドッツに高島田薫さん、マンカストラップに西門宇翔さん、ランペルティーザに上條奈々さん、ラム・タグ・タガーに荒川務さん、ボンバルリーナに西村麗子さん、ミストフェリーズに金子信弛さん、シラハブに久保田彩佳さん、マンゴジェリーに武藤寛さん、タントミールに高倉恵美さ099 ん、スキンブルシャンクスに嶋崎孔明さん、ジェミマに王堃さん、コリコバットに花沢翼さん、ヴィクトリアに原田真由子さん、ランバスキャットに高城将一さん、カッサンドラに大口朋子さん、カーバケッティに松永隆志さん、ギルバートに入江航平さん、マキャヴィティに赤瀬賢二さん、タンブルブルータスに川野翔さん、です。

佐渡寧子さんのグリザベラはとても美しいグリザベラでした。美しい人はどんなメーキャップをしてもやっぱり美しいんですね。彼女のメモリーは想像以上に素晴らしく、彼女が歌いだすと、客席全体がぐぐっと惹きこまれていくのが良く分かります。美しくて、哀しいメモリーでした。思わず聞きほれてしまいました。

098 この作品を久しぶりに観ましたが、やはりロングランを続けている作品だけあって、非常に力を持った作品だと思います。ネコ達が舞台と観客席を行き来し、ステージと客席が一体となり盛り上がっていきます。僕は、落ちぶれ果てた老役者のガスのシーン(もちろん、その後のグロールタイガーの場面も)が一番好きです。今回の出演者の中では、高倉恵美さんのタントミールに最もネコを感じました。

☆このミュージカルをまだ観ぬ人達へ…

ある満月の夜、ネコ達が街の片隅に集まってきます。年に一日だけ開かれる舞踏会に出席するためです。そして、そこでは、毎年一匹だけ、天上に上り、再生し、新たな人生を生きることのできるネコが選ばれるのです。様々なネコが集まってきます。いつも寝てばかりいる気のいいおばさんネコ、つっぱりネコ、長老ネコ、泥棒ネコ、名士のネコ、老役者のネコ、鉄道ネコに犯罪王、手品師、などなど、人間の世界に負けず劣らずの多種多様のネコ達が集まってきます。そして、忘れてはならない、老いさらばえた娼婦のネコ、グリザベラ。一体、天上に上ることが許されるのは、誰なのでしょうか…

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2008年7月21日 (月)

南国の満天の空-“ミュージカル南十字星”を観る

094 “ミュージカル南十字星”を観ました。主人公の保科勲に阿久津陽一郎さん、その恋人、リナ・ニングラットに樋口麻美さん、岡野教授に維田修二さん、島村中将に田代隆秀さん、原田大尉に鈴木周さん、ニングラット博士に武見龍麿さん、ルアット・ニングラットに内田圭さん、ニルワンに藤川和彦さん、キキに山中由貴さん、オットー・ウィンクラーに古賀陶馬ワイスさん、原田春子(保科勲の姉で原田大尉の妻)に都築香弥子さん、が主なキャストです。

冒頭は、静寂の中をジャワの農民が音もなく登場してくるシーンがとても印象的で095 す。そして、インドネシアの伝統の楽器が奏でる音楽の中を影絵や舞踊等が披露され、異国情緒たっぷりのステージでした。インドネシアの風景や衣装、そしてステージのバックに煌く満天の星と南十字星。南国の色彩豊かさも楽しめました。特に、今までシベリアの色彩の無い場面を多く観てきた僕にとっては、ガラリと雰囲気が変わった舞台でした。そんな南国の空気が流れる中で観る樋口さんのリナはとても美しかった。また、阿久津さんは保科勲のように真面目で、誠実な青年をやらせたら、抜群ですね。

このお芝居では、原田大尉が重要な役回りを担います。日本軍がインドネシアに進駐して軍政を布いているときには、インドネシアの人々を尊重せず、むしろ日本の軍部の方針に従わせるべく弾圧しようとしていたにもかかわらず、日本が戦争に敗れたとなると、あたかも自分がずっとインドネシアの独立のことを考えていたかのように振る舞い、インドネシア義勇軍の軍事顧問として生きていく。この変節…ひょっとしたら、彼自身もこの「変節」を変節と意識せず、自分の情熱のままに突っ走っているだけなのかもしれませんが。考えてみると、世の中には、このようなタイプの人間は沢山いる様な気がします。その時その時の流れに-意識してか、せずか-上手く身を任せていく、ひょっとしたら、それが自分の信念だと心から思っているのかもしれない、しかし、それは一歩退いて見てみると「変節」以外の何物でもない、こんなタイプの人達が。もっとも、このような人が、案外、上手く世の中を立ち回っていくのかもしれません。しかし、人間には、時の流れと共に変えて良いことと、どんなに苦しくても変えてはいけないことがあるのではないでしょうか。それは、その人の生き方、信念又は哲学と呼ぶようなものかもしれません。原田大尉は、結局、インドネシア独立戦争の最中に戦死してしまいます。表の歴史では、インドネシアの独立を助けた戦士として名前が残るのかもしれませんが、彼が、自分の「変節」の道連れに一人の人間の運命を変えたことを、また、忘れてはならないと思います。

それにしても、劇中に、四季の俳優さん達がインドネシアの舞踊や楽器の演奏を行うのですが、これが全く不自然ではありません。相当、稽古をつまれたのでしょうね。

☆ このミュージカルをまだ観ぬ人へ・・・

日本が日中戦争に苦慮している頃、保科勲は京都大学で学ぶ学生であり、兄ルアットの日本留学についてきたインドネシア人のリナ・ニングラットと互いに愛し合うようになっていました。インドネシアでは民族独立運動が火急を告げ、ルアットとリナは運動のリーダーである父親を助けるため、急遽帰国することになります。別離を前に再会を誓い合う勲とリナ。そんな二人の思い出の歌が、別れの前に二人で歌った“ブンガワン・ソロ”でした。やがて太平洋戦争も始まり、勲も招集されて、義理の兄原田大尉と同じ部隊に所属し、南方戦線に送られます。インドネシアでオランダ軍と交戦中、ふとした偶然から、オランダ軍に捕虜となっていたルアットを助けたことからニナと再会を果たします。

やがて、オランダ軍は退却し、日本軍がインドネシアに軍政を布きます。軍司令官である島村中将はインドネシア人を可能な限り尊重した施政を行います。勲もその方針に基づき、インドネシア人にもオランダ人捕虜にも、親切に、丁寧に接していますが、そのようなやり方に不満を持つ者も日本軍内部に多く、その急先鋒が原田大尉でした。勲は捕虜の虐待等を見つけると、それを止めさせて保護するようにしていましたが、様々な不運や誤解が重なり、彼自身が捕虜の反感を買うことになってしまいます。

そして、終戦。この敗戦は、それぞれの人生を大きく変えて生きます。島村中将、原田大尉、保科勲、それぞれの運命は…?保科とリナとの愛は幸せなものになるのでしょうか??

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2008年7月13日 (日)

小粋で洒落たミュージカル-“デュエット”を観る

ミュージカル“デュエット”を観て来ました。主演は、売れない作詞家ソニア・ワリスクに保坂千知寿さん、売れっ子の作曲家のヴァーノン・ガーシュに石井一孝さん、シンガーズのボーイズに結樺健さん、大嶋吾郎さん、KOHJIROさん、ガールズには久保田陽子さん、白神直子さん、中山眞美さん、でした。

093 ニール・サイモンの作によるミュージカルで原題は“They’re Playing Our Song”です。率直な感想は、「日本人でもこういうお芝居ができるんだなぁ」という嬉しい感慨です。ニール・サイモンらしいというか、売れない作詞家と売れっ子の作曲家が紡ぎだすなんともオシャレな、都会的なラブ・コメディです。こういう軽妙洒脱なコメディは、ブロードウェイとウエスト・エンドでは、微妙に雰囲気が異なるでしょうから、見比べてみたい衝動に駆られます。そんなセンスの良い―それだけに、演ずるにはきっと、とても難しい-芝居を、劇団四季を離れて初めての舞台の保坂知寿さんと石井一孝さんが熱演しています。特に、保坂さんは、少し(否、かなり?)身勝手な、しかし、なんとも可愛い女性の作詞家を好演しています。(この舞台を見ながら、彼女の“マンマ・ミア!”のドナを観たかったな、という思いにとらわれました。)石井一孝さんも、そんな保坂さんをがっちりと受け止めています。石井さんの軽妙な感じもなかなか捨てがたいものがあります。でも、もう少し、洒脱な感じがあれば、もっともっとこのミュージカルが活きたのに、と少し思わないでもありません。もっとも、このミュージカルをもっと粋に、洒脱にできる男優さんが今の日本にいるだろうか、と思うと、「????」であります。例えば、堺正章さんがもっと若ければ、この役をやるところ観てみたかった、と思います。いずれにしても、このミュージカル、保坂・石井のコンビで、軽妙で、粋で、洒落た、素敵なミュージカルになっています。

このミュージカルをまだ観ぬ人達へ

所はニューヨーク。売れっ子作曲家のヴァーノンは、自ら売り込んできた作詞家のソニアと一緒に仕事をすることになります。自分は売れない作詞家でありながら、物怖じすることなく自分を主張するソフィア。そして、なんとも風変わりなところがある女性です。けれども、ヴァーノンは次第に彼女に魅かれていく…ソフィアも同じ気持ちを抱くようになってきます。しかし、彼女には、レオンという同棲中の恋人がいました。彼との愛は終わっており、もう別れようと思っていたソフィアでしたが、ソニアを依存しきっていて自立できないレオンを切り捨てることができません。ヴァーノンと旅行に行った旅先にも、一緒に住んだアパートにも、レオンは電話をかけてきます。それをむげにできないソフィア。そんなソフィアにいら立つヴァーノン。二人の未来は一体…?

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2008年7月 1日 (火)

遂に千秋楽!-ミュージカル異国の丘

一昨日、“ミュージカル異国の丘”の千秋楽に行ってきました。「千秋楽」にふさわしい素晴らしい舞台でした。キャストは前回の観劇のときと変わりなく、九重文隆に荒川務さん、宋愛玲に木村花代さん、神田に深水彰彦さん、吉田に中嶋徹さん、平井に維田修二さん、宋美齢に中野今日子さん、李花蓮に岡本結花さん、劉玄に青山祐士さん、アグネス・フォーゲル夫人に武木綿子さん、クリストファー・ワトソンに志村要さん、です。

今回は、千秋楽ということもあってか、俳優さん達の演技もこれまで以上にみごたえがありました。荒川務さんもこの1ヶ月の集大成!という雰囲気が伝わってきましたし、木村花代さんも前回の観劇時よりもぐっと乗っている感じがしました。また、最初と最後のシーンの中嶋徹さんには、一言ごとの言葉に力が宿っている、そんな思いを持ちました。そして、維田修二さん演じる平井の遺言の場面。またまた涙してしまいました。この場面は、何度観ても感動し、同じ思いにとらわれます。「自分が死ぬときにも、愛する人たちにこのような言葉を遺せるだろうか」と。また、アンサンブルのメンバーによるダンスでは、前回書いたとおり、男優陣では武藤寛さんが、女優陣では須田彩乃さん(前回書いた“白いブラウスにグリーンのスカートの女優さん”の名前が判明しました!)が、特に輝いていました。

今回は、客席にもほどよい緊張感が漂っていて、それが舞台にも伝わり、また舞台の熱意も客席に伝わってきて、相乗的に劇場全体の空気が高まっていくのが良くわかりました。「お客様の雰囲気や拍手等で、舞台の上の役者の気持ちが非常に“のる”こともあるし、また、その逆もあります。」とある俳優さんが話しているのを聞いたことがありますが、この日にそれを実感しました。舞台の上の俳優さん達も力の入った演技であったし、また、観客席の我々もそれに引き込まれ、また、拍手等も賞讃と熱のこもったもので…まさに舞台と客席が一体となった、そんなひと時であったと思います。このような思いを感じながら観劇したのは久しぶりで-久しぶりに短期間に何度もお付き合いした作品だから、なお、強く思ったのかもしれません-、観劇後は満足感とともに快い疲労感さえ感じ、それがまた、心地よい、という何とも幸せな気持ちを感じることができました。

唯一つ残念なことは…やはり最後は佐渡寧子さんの愛玲が観たかった!!

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2008年6月26日 (木)

今月は充実の1ヶ月-三度、 “異国の丘”を…

先日、またまたミュージカル異国の丘を観てきました。このミュージカルの話を聞いた友人が観たいというので、案内役として行って来ました。今度の宋愛玲は木村花代さん。その他のキャストは前回と変わりなく、九重秀隆を荒川務さん、神田に深水彰彦さん、吉田に中嶋徹さん、平井に維田修二さん、宋美齢に中野今日子さん、李花蓮に岡本結花さん、劉玄に青山祐士さん、アグネス・フォーゲル夫人に武木綿子さん、クリストファー・ワトソンに志村要さんでした。

佐渡さんが出演していないのは残念でしたが、佐渡さんの愛玲を「美」とするならば、木村さんの愛玲は「可憐」とでも表現すればよいのでしょうか。軽やかに愛玲を演じているような印象を受けました。やはり、同じ役でも違った俳優さんが演じると、その俳優さんの個性が出て雰囲気が変わるので、面白いですね。自分の好きな俳優さんを観る、また、自分の好きな役を違った俳優さんで見比べてみる、ということもお芝居を観るときの大きな楽しみの一つであると思うのですけれど。(劇団四季はなかなかこの楽しみを認めてくれませんが…)

前にも書いたように、このミュージカルでは第一幕に、きれいで華やかなダンスシーンが出てきて、僕の好きなシーンでもあります。秀隆と愛玲の出会いとなるパーティでの学生達の群舞はとても華やかで、楽しいシーンです。特に、男性では武藤寛さんのダンスが、女性では出会いのシーンで白いブラウスにグリーンのスカートの(ワシントンスクエアのシーンではグリーンのパンツをはいている)女優さん(名前を知りません。どなたかご存知の方がいらしたら、教えてください。)のダンスが、それぞれ際立っていたように思います。

1ヶ月続いた異国の丘も、今週末が千秋楽。実は、千秋楽のチケットも購入済みなのです。(今回は佐渡寧子さんがずっと出演すると踏んでいたのですが…)今回は、1ヶ月に異国の丘を4回観ることになってしまいました。加えて、ソングセミナー。短期間にこんなに一つのミュージカルにどっぷりと浸かったのは、ロンドンで“マイ・フェア・レディ”や“レ・ミゼラブル”に嵌まって以来の体験です。

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2008年6月22日 (日)

初めての体験!

091 先週、日比谷の東京宝塚劇場で宝塚歌劇 月組公演“ME AND MY GIRL”を観て来ました。

主なキャストは、ビルに瀬名じゅんさん、サリーに彩乃かなみさん、ジョン・トレイメン卿に霧矢大夢さん、ディーン・マリア公爵夫人に出雲綾さん、セドリック・パーチェスターに未沙のえるさん、ジャックリーンに城咲あいさん、ジェラルドに遼河はるひさん、執事のチャールズに越乃リュウさん、ランベス・キングに桐生園加さん、ボブ・パーキングに青樹泉さん、です。

092 僕の観劇のお師匠さんのぴょん太さんのお誘いで、生まれて初めて、東京宝塚劇場に足を踏み入れました。劇場に入るだけで、何だか、緊張してしまいました。中央の階段をのぼり、ぴょん太さんの案内で先ずは劇場の最上階の一番上へ。劇場の大きさに先ず、びっくり!その大きな劇場の客席がどんどんお客さんで埋まっていきます。女性のお客さんの多いことにまたびっくり!!まあ、これは当090 然と言えば当然かもしれませんが。でも、最も驚いたのは、出てくる俳優さんの数の多さ!広いステージが本当に狭く思えるほど、たくさんの俳優さんが出てきます。(ついでに、予断ですが、男子トイレが劇場の規模に比べると狭いですね。)

…と、驚いたことはこのくらいにして、肝心なお芝居の方の話を…とても楽しめました。正直言って、初めのうちは、女性が男性の格好をしてひげまで付けて、と言う点に違和感を感じないわけではありませんでしたが、しばらくするとその違和感もなくなりました。もともと、“ME AND MY GIRL”は僕の好きな作品のひとつだからか、作品の中にすぐに入りこむことができました。さすがに歌もダンスも巧みな俳優さんが多く(皆さん同じようなメーキャップなので僕のような初心者には、誰が誰なのか、なかなか区別がつきません。)、想像していたよりも違和感なく、“ミー・マイ”の世界を堪能してきました。特に、人数が多いので、タップダンスの群舞も迫力があってなかなかのものでした。また、ミュージカルの後のラインダンス等のショウも華やかで楽しいものでした。これは、ファンの人たちにはきっとたまらないのでしょうね。僕は、今回が初めてなので、もちろん、誰のファンと言うわけではないのですが、ジャックリーン役の城咲あいさんが素敵でした。今まで観てきたミュージカルとは、一味違う楽しい時間でした。

089_2 このミュージカルをまだ観ぬ人達へ

イギリスの貴族、へアフォード伯爵家では当主が最近亡くなったばかり。遺言で、跡継ぎには行方不明になっている伯爵の落とし胤をあてるとされていて、その跡継ぎ、ビルがついに見つかり、伯爵家にやって来るところから物語が始まります。ビルは、貴族とは程遠い生活を送っている若者。自分がそのような運命にあるとは知らずに、ヘアフォード家にやってきます。ヘアフォード伯爵家を切り盛りしている亡くなった当主の妹、マリア公爵夫人は、遺言に「跡継ぎが貴族にふさわしい人間性を備えていなければ、隠居させて年金生活をさせるように」とあったため、幼馴染のジョン卿と協力して貴族らしくさせようとします。また、伯爵家の財産を狙う公爵夫人の姪のジャックリーンはジェラルドとの婚約を解消し、ビルの歓心を買おうとします。しかし、ビルには愛するサリーと言う恋人がいたのです。サリーは、初めはビルの近くで彼の貴族教育が終わるのをまっていますが、次第に貴族としての教育を施されていくビルを見て、彼のこれからの幸せのために自ら身を引くことを決めて、ビルの元を去り、生まれ育ったロンドンの下町、ランベスに帰っていきます。彼女を追いかけていくビル。そんな二人を見かねたジョン卿は二人の将来のために一計を案じます。果たして、二人の未来は…また、ジャックリーンとジェラルドは…

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2008年6月16日 (月)

ふたたび、佐渡寧子さんの宋愛玲

087 異国の丘を観ました。今回は2度目の観劇です。佐渡寧子さんの宋愛玲を、どうしてももう一度観たくて、四季劇場に行って来ました。主なキャストは前回と同じです。宋愛玲に佐渡寧子さん、九重秀隆に荒川務さん、神田に深水彰彦さん、吉田に中嶋徹さん、平井に維田修二さん、宋美齢に中野今日子さん、李花蓮に岡本結花さん、劉玄に青山祐士さん、アグネス・フォーゲル夫人に武木綿子さん、クリストファー・ワトソンに志村要さん、です。

前回同様、充実した舞台でした。このミュージカルは、題名やテーマから重く暗い086_2 イメージを持つ人も多いと思いますが(確かに作品自体は派手さの少ないとは思います)、決してそれだけではありません。特に、第一幕の九重秀隆のアメリカ留学時代の前半は、彼の青春を象徴するかのように華やかで楽しいダンス シーンが続きます。前にも書いたように、僕はこのダンスシーンが大好きです。きれいで、華やかで、洗練されていて…そして、二人が出会った後にお互いを想って歌う“名も知らぬ人”のシーン。九重秀隆と宋愛玲がお互いを想って歌うロマンチックなシーンですが、舞台後方では、二人の心象を表すように通行人の男女二人がダンスをするのですが、これがまた切なく、美しいのです。まさに秀隆と愛玲の青春がクライマックスに達する場面です。

このようなシーンがあるので、シベリアのシーンが活きてきます。時に、客席にまでシベリアの寒風が吹き荒ぶような思いに囚われます。遺言のシーンは何度観ても感動するシーンですが、維田さんの平井は、母親と妻への遺言のときは、優しげな、どこか夢見るような表情であるのに対し、子供たちへの遺言のときはどこか毅然とした表情を見せます。また、遺言を語り終えた後に、その遺言を記憶し、家族に持ち帰ってくれるであろう抑留仲間たちに「どうかお願いします」と言うように頭を下げるのを、九重達がそっと支えて立ち上がらせるところもしみじみとした感動が続くシーンではないでしょうか。この遺言、作り話ではありません。実際の遺言はもう少し長いのですが、シベリアの地で命を落とし、祖国の地を踏むことができなかった仲間のために、多くの抑留者が手分けをして彼の遺言を記憶して、ご遺族にそれぞれが届けたのです。(詳しくは、“収容所から来た遺書”(辺見じゅん著、文春文庫)をご覧ください。)この遺言は、ご家族への遺言であることはもちろんですが、特に子供達への遺言は、子供達だけでなく、現代を生きる我々日本人に対する遺言なのではないか、とも思います。

088 それにしても、佐渡寧子さんの愛玲は美しい。歌も“名も知らぬ人”“哀しみの祖国”“引き裂かれた心”など、心に迫る歌でしたし、“愛の夜”でちらりと見せてくれるダンスも、とても印象的でした。

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2008年6月 9日 (月)

異国の丘の舞台に立つ

083 劇団四季の“ミュージカル異国の丘 ソングセミナー”に参加してきました。とても楽しく、感激したひと時でした。練習した曲は、この作品の最初と最後に歌われる“明日への祈り”というとても感動的な歌です。講師役の俳優さんたちは、順不同で、武木綿子さん、井上隆司さん、武藤寛さん、川原信弘さん、村澤智弘さん、奈良坂潤紀さん、でした。(特に劇団からキャスト表のようなものを配られたわけではないので、違っていたらすみません。お気づきの方は教えてください。)参加者は、メロディ・パート、高音パート、低音パートに別れて練習をしました。僕は、メロディ・パート084 を選んだのですが、メロディ・パート以外の人たちはリハーサル室や稽古場で練習だったのですが、僕達メロディ・パートは客席で練習。「他のパートの人たちはいいなあ」と思いながら練習しました。ただ、一度練習に入るとそんなことはすっとんでしまい、武さんの指導に集中して、練習が進みます。テクニック的なことよりも、一つ一つの言葉を大切に、ということと、歌詞のイメージをしっかりと持って、それを思い浮かべながら歌う、ということが強調されて指導していただいたように思います。その後、全体で合わせて、グループ分けをして、なんと、本番どおりのセットの舞台にあがって、歌いました。こんな経験は初めてでしたので(当たり前!)、とても感激しました。また、その後の講師役の俳優さんたちとのQ&Aでは、色々なお話を伺いましたが、俳優さんたちが、皆さん、この作品を大切に思085 い、戦争を知らない世代に伝えていこうという熱い思いを持ちながら演じておられることが伝わってきました。

この“ミュージカル異国の丘”は劇団四季の昭和三部作の中では僕の一番好きな作品ではありますが、ますます好きになったように思います。ミュージカル好きにはとても貴重な時間でした。

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2008年6月 1日 (日)

佐渡寧子さんの宋愛玲

079 劇団四季の“ミュージカル異国の丘”を観てきました。

主要なキャストは、中華民国の司法大臣の娘で愛する九重秀隆とともに日中和平のために奔走する宋愛玲に佐渡康子さん、その恋人で大日本帝国総理大臣の息子、九重秀隆に荒川務さん、彼の親友、神田に深水彰彦さん、抑留された兵士であり作曲家の吉田に中嶋徹さん、同じく抑留者の仲間で帰国する仲間に遺言を家族に伝えてくれるように願う平井に維田修二さ080 ん、宋愛玲の叔母、蒋介石の妻、宋美齢に中野今日子さん、宋愛玲の親友、李花蓮に岡本結花さん、その恋人劉玄に青山祐士さん、日中の和平のために愛玲と九重秀隆の出会いを画策したアグネス・フォーゲル夫人に武木綿子さん、同じクリストファー・ワトソンに志村要さん、といったところです。

終戦直前に日ソ中立条約を破ってソ連が国境を越えて進軍してきます。そして、ソ連国境や満州にいた兵士や民間人をシベリアへ送り込み、飢えと酷寒の劣悪な環境の中で重労働を強いました。このミュージカルはこのシベリア抑留をテーマにしています。この舞台は、第二次世界大戦前夜、日華事変が始まりきな臭い空気が世界を覆い始めた頃と、酷寒のシベリアで日本の捕虜たちが重労働を強いられた戦後の時期とを行きつ戻りつしながら進んでいきます。1937年のニューヨーク。フォーゲル夫人主催のパーティで、プリンストン大学に留学していた九重秀隆とジュリアード音楽院に留学していた宋愛玲は、お互いの国籍も名前も知らないままに出会い、たちまちのうちに恋に落ちます。しかし、この出会いは日中和平を画策するフォーゲル夫人とワトソンによって図られたものでした。愛玲は愛する九重が祖国を蹂躙する日本の人間だと知り、祖国愛と九重の愛との間でとても苦しみます。しかし、彼への愛は何物にも変えがたいものであることを知ります。しかし、歴史は二人が一緒にいて愛を育むことを許しません。日本軍が上海へ進軍したため、愛玲は上海へ、九重は日本に帰らなくてはならなくなります。一時的に離れ離れにはなりますが、やがて二人は日中和平のために再会することになります。二人のその後は…

一方、戦後の酷寒のシベリアの地。九重秀隆も抑留され、重労働を強いられながら、何度も何度も尋問を受け、ソ連の協力者になるように強要されます。これを拒み続ける九重。抑留者の中にはソ連に寝返り仲間たちを密告をする者、帰国を早めるためにソ連に迎合する者、そのような過酷の状況の中でも日本人の誇りを保とうと努力する者など様々な人たちがいるのです。抑留者の中の一部が帰国する時に、平井は彼らに自分の遺言を託します。紙に書けば没収されるおそれがあるので、抑留者全員でその遺言を覚えようとします。平井は、年老いた母へ親孝行ができなくなった無念さと母への愛を、妻へは愛と感謝を、子供たちへは父親としての精一杯の愛を語ります。果たして、九重は無事、日本に帰国することができるのか?

…といった内容のミュージカルです。佐渡寧子さんの宋愛玲は初めて観ましたが、とても美しい愛玲でした。外見はもちろんですが、様々な場面での所作も美しいと思いました。九重と一緒にダンスをするシーン(あまり長くはないけれど)などとても美しいと思います。僕は、佐渡さんにはあまり“ダンス”というイメージを持っていなかっただけに、新しい発見をした思いでした。もちろん、歌も美しく、久しぶりに彼女の世界に酔いました。“名も知らぬ人”“哀しみの祖国”“許されぬ恋”“あなたを求めて”などなど、ソロも九重等とのデュエットもとても美しく、時代に翻弄される愛玲の哀しみが出ていたように思います。また、荒川さんは、今回が初めての九重秀隆だったわけですが、嫌味の無いスマートな九重秀隆でなかなか素敵な演技でした。また、このミュージカル、僕にとっては、けっこうツボにはまってしまうところがあるのですが、やはり遺言のシーンは、涙がポロポロ流れてきます。前述したように、自分の健康状態から日本に帰国することをあきらめた平井が先に帰国が決まった仲間たちに自分の家族への遺言を語る場面です。セリフも大体頭に入っていて、来るぞ来るぞと思っていても、あの場面を見ると、彼の祖国日本と家族への心情を思い、涙を止めることができません。

このミュージカル、派手さや華やかさはあまりありませんが(もっともダンスシーンはなかなか素敵です)、日本の近代の歴史を知る上ではとても価値のあるミュージカルだと思います。その意味では、昭和三部作を上演し続ける劇団四季の姿勢には敬意を表するべきものと思います。これを読んでいただいた皆さんのより多くの人が劇場に足を運んでくださることを願わざるをえません。(って、劇団四季の宣伝をしているわけではありませんが…)

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2008年5月22日 (木)

ルドルフ-男としてみてみると…

077 帝国劇場で“ルドルフ-ザ・ラスト・キッス”を観てきました。今回の公演が日本初演です。音楽は、“ジキル&ハイド”のフランク・ワイルドホーン、脚本・歌詞がジャック・マーフィ(追加歌詞ナン・ナイトナン)、演出が宮本亜門さんという作品です。配役は、オーストリア皇太子ルドルフには井上芳雄さん、その恋人の男爵令嬢マリーヴェツェラに笹本玲奈さん、ルドルフの妻スティファニーには知念里奈さん、マリーの親友ラリッシュには香寿たつきさん、マジシャン(チラシ等には人形師となっていますがリハーサルの段階でマジシャンに変更されたとファン感謝デーのトーショウで聞きました。)ヨハン・ファイファに浦井健治さん、プロシア皇帝ウィルヘルムに岸祐二さん、英国皇太子エドワードに新納慎也さん、ルドルフとマリーを理解し、彼らのために色々と心を砕く御者ブラット・フィッシュに三谷六九、オーストリア首相ターフェに岡幸二郎さん、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフに壤晴彦さんといったところが主なキャストです。

オーストリア皇太子のルドルフ。彼は父、フランツ・ヨーゼルとの親子関係に悩み、政治的な方向性が異なるため苦悩しています。加えて、オーストリア皇太子妃078_2 としてのプライドの高い妻スティファニーに攻められる毎日を過ごしています。そんななかで出会った男爵令嬢のマリーに彼は恋に落ちてしまいます。彼の政治的信条にすがりハンガリーの独立をめざす勢力がルドルフに接近します。自分の良心と自分の国の体制との狭間でルドルフの気持ちは揺れ動きます。それに加えて彼の恋心。彼の気持ちは安らぎの元であるマリーのもとへ。しかし、彼の立場はオーストリアの皇太子。現に皇太子妃のステファニーがいるのです。そして、彼女は彼女に愛情を注がないルドルフを責めたてるのです。ルドルフとマリーの恋の行方は?ルドルフの人生は…??

…というお話ですが、とても美しいナンバーがたくさんあって(似たような曲調の 歌が複数あるのが少し気になりましたが)、ルドルフとマリーの悲しい恋をさらに美しく歌い上げます。でも、一男性の目から見ると、「おい、ルドルフ、いい加減にしろよな」と言いたくなる面がたくさんあります。人にはそれぞれに立場と事情があるのではないでしょうか?その立場ゆえに、できることもあれば、捨てなければならないこともあるのです。その辺の覚悟もしないで生きていくから、マリーも不幸にして、ひいてはスティファニーも不幸にしてしまう。正直な感想として「おいおい…」と思ってしまいます。でも、考えてみると、“ミス・サイゴン”のクリスにしても、“レ・ミゼラブル”のマリウスにしても同じような面があるわけで、やっぱり、こういうある種の優柔不断な男がいないとミュージカルに合うストーリーは成立しないのかもしれません。

とはいえ、なかなか、優柔不断なルドルフの存在ゆえにこのミュージカルの魅力が増していることには違いありません。ただひとつ残念なのは、岡さんの歌う場面が少なかったこと。もう少し、岡さんの歌を聞きたかったなぁ、というのが正直なところです。

今回は、ファン感謝デーということで、トークショウがありました。新納さんの司会で、新納さん、井上さん、岡さん、浦井さん、岸さんのトークショウでした。色々な裏話が聞けて、なかなか面白いイベントでした。ルドルフに対する思いも皆で語っていましたが、僕と同じ思いの役者さんもいて、「そうかぁ」という思いもあり、とても興味深いひと時でありました。

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2008年5月11日 (日)

再び、ダンヴァース夫人!

076昨日、先週に引き続きシアタークリエに行ってきました。ミュージカル“レベッカ”を、再度、観劇です。キャストは前回と同じです。“わたし”に大塚ちひろさん、その夫、マキシム・ド・ウィンターに山口祐一郎さん、家のメイド頭のダンヴァース夫人にシルビア・グラブさん、マキシムの親友でマキシムの邸宅マンダレイの管理を任されているフランク・クロウリーに石川禅さん、マキシムの今は亡き妻であるレベッカのいとこ、ジャック・ファヴェルに吉野圭吾さん、マキシムの姉ベアトリスに伊東弘美さん、“わたし”の雇い主のヴァン・ホッパー夫人に寿ひずるさん、知恵遅れの男ベンに治田敦さん、マキシムの友人で判事のジュリアン大佐に阿部裕さんです。

どうしても、シルビアさんのダンヴァース夫人をもう一度観たくて、当日券を買い、補助席で観てきました。シルビアのダンヴァース夫人はやっぱりすごい!黒一色のドレスを身にまとい、虚空を見つめながら(と、僕には見えるのですが)亡き主人への思いを切々と謳いあげる姿には、凄みと、そして、そこはかとなく漂うような悲しみが感じられます。思わず舞台に引き込まれてしまいます。もちろん、他の俳優さんたちも熱演(特に、寿ひずるさんのヴァン・ホッパー夫人も大好きです。)で、だからこそ、このミュージカルの価値が高まっているわけですが、僕にとっては、何と言っても、シルビアさんのダンヴァース夫人がこのミュージカルの最大の楽しみです。

ウィーンの劇場でのライブ版CDも購入して聞いていますが、また、観てみたいという気持ちが段々と高まってきてしまいます。

今回の写真は、雨のシアタークリエとなってしまいました。

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2008年5月 6日 (火)

シルビア・グラブさんに圧倒される-ミュージカル“レベッカ”

072 ミュージカル“レベッカ”を観てきました。主なキャスティングは、“わたし”に大塚ちひろさん、その夫、マキシム・ド・ウィンターに山口祐一郎さん、ド・ウィンター家のメイド頭のダンヴァース夫人にシルビア・グラブさん、マキシムの親友でマキシムの邸宅マンダレイの管理を任されているフランク・クロウリーに石川禅さん、マキシムの今は亡き妻であるレベッカのいとこ、ジャック・ファヴェルに吉野圭吾さん、マキシムの姉ベアトリスに伊東弘美さん、“わたし”の雇い主のヴァン・ホッパー夫人に寿ひずるさん、知恵遅れの男ベンに治田敦さん、マキシムの友人で判事のジュリアン大佐に阿部裕さんです。

身寄りのない“わたし”は、アメリカ人の富豪のヴァン・ホッパー夫人の付き人と073してモンテカルロのホテルに滞在しています。そこでマキシムと出会い、二人は恋に落ち、結婚することに。二人はハネムーンの後、英国のコーンウォールにあるマキシムの邸宅マンダレイにやってきます。そこには、一年前に事故でなくなったマキシムの妻、レベッカの影が色濃く残っていたのです。“わたし”は、フランクやベアトリスには温かく迎えられるものの、特にレベッカを崇拝するダンヴァース夫人との確執は日を追うごとに強くなっていきます。そんなある日、ヨットの事故でなくなったはずのレベッカの死の原因にも疑惑がわきあがって…

このお話はすでにヒッチコックによって映画化もされていますが、既に死んで姿の見えないレベッカに段々と精神的に追い込まれていく“わたし”がこのミュージカルの見所のひとつです。しかし、なんといっても脚本・作詞のミヒャエル・クンツェと作曲のシルヴェスター・リーヴァイが紡ぎだす音楽の世界がこのミュージカルの最大の魅力ではないでしょうか。リーヴァイの音楽の美しいメロディにオープニングから引き込まれてしまいました。プロローグからエピローグまでクンツェ、リーヴァイの世界を堪能しました。

大塚ちひろさんは初めて観ましたが、とても清潔な声で熱演していました。ただ、 今回の舞台では、なんといってもシルビア・グラブさんが群を抜いて光っているように思います。レベッカを完璧な女性として崇拝し、“わたし”を精神的に追い込んでいく、ダンヴァース夫人を演じる彼女には凄みさえ感じさせられました。彼女の演技に圧倒された思いで劇場を後にしました。

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2008年4月16日 (水)

1,100回の一つ一つを積み重ねた舞台を観る

今日の新聞やテレビで、“ラ・マンチャの男”の昨日の415日の公演で松本幸四郎丈が1,100回の出演を果たしたと報道されていました。

064 僕も、先日(15日の記念すべき日ではありませんが)、帝劇で“ミュージカル ラ・マンチャの男”(Man of La Mancha)を観ました。主な出演者は、主演のセルバンテス/ドン・キホーテに松本幸四郎丈、サンチョに佐藤輝さん、アルドンサには松たか子さん、アントニアには月影瞳さん、神父に石鍋多加史さん、家政婦に荒井洸子さん、カラスコ博士に福井貴一さん、牢名主/宿屋の主人に瑳川哲朗さん、床屋に駒田一さん、ペドロに大塚雅夫さん、といったところです。

このミュージカルは僕にとって今回が初観劇でした。全ての悪を滅ぼそうとサンチ066_2  ョを従えて旅に出た遍歴の騎士、ドン・キホーテ。風車を巨人マタゴヘールと見て突っ込んでいくドン・キホーテは周囲からは狂気にかられた人間に見えても、彼の精神は崇高で気高い。そんな精神をもって見ると、どん底の世界に生きる女、アルドンサも麗しき姫君、ドルシネアなのです。そんな気高き心を持ったドン・キホーテを松本幸四郎丈が風格のある演技で丁寧に演じます。“見果てぬ夢”を聞いたときには思わず涙が出てきました。僕はこの歌の歌詞もとても好きです。

見果てぬ夢(The Impossible Dream

夢は稔り難く 敵は数多なりとも

胸に悲しみを秘めて 我は勇みて行かん

道は極め難く 腕は疲れ果つとも

遠き星をめざして 我は歩み続けん

これこそ我が運命

汚れ果てし この世から

正しきを救うために

如何に望み薄く 遥かなりとも

やがて いつの日にか光満ちて

永遠の眠りに就くその時まで

たとえ傷つくとも

力ふり絞りて

我は歩み続けん

あの星の下へ

(東宝“ミュージカル ラ・マンチャの男”公演プログラムより)

松たか子さんのアルドンサもさすがの演技です。彼女の前には経験豊富な女優さんが演じ続けてきた難しいこの役を、十分に演じていました。彼女の演技も初めて見ましたが、また見たい女優さんです。また、芸達者たちがたくさん出ています。荒井洸子さんのコミカルな感じはとてもよかったですし、佐藤輝さんもドン・キホーテになりきっているキハーナを愛し、慕うパンチョを好演していたと思います。

「人が生きていく上では色々なことがあるけれど、胸を張って生きていこう」という気分になれる作品です。

今回は、本作品の世界初演時に演出を担当したアルバート・マーリ氏と初演時にアントニアを演じたミミ・タークさんが観劇されていたという事で、アンコールに松本幸四郎さんが英語で見果てぬ夢を歌ってくれ、特別に舞台挨拶がありました。とても得をした感じになれました。

また、今回は、この作品に出演中のある俳優さんにお招きいただいて、終演後に、帝劇の楽屋に初めて行ってきました。これも、素敵な経験でした。

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2008年4月13日 (日)

不幸な日中関係を舞台に-ミュージカル李香蘭

070_3 劇団四季の“ミュージカル李香蘭”を観てきました。2005年の晩夏に観て以来、2回目の観劇です。主要なキャストは前回と同じで主演の李香蘭(山口淑子)には野村玲子さん、川島芳子に濱田めぐみさん、李香蘭が兄と慕う杉本に芝清道さん、李香蘭の親友、李愛蓮には五東由衣さん、李愛蓮の恋人、王玉林には芹沢秀明さんです。

劇団四季のオリジナルミュージカルの昭和三部作の第一弾です。当時、満州映画協会の大スターであった李香蘭(山口淑子)の半生を描きつつ、軍部が中国大陸にお068_2 いて戦争へとひたすら突き進むさまを描いています。浅利慶太さんの「戦争の歴史を若い世代に伝えるのだ」という信念(執念?)が観る側にもヒシヒシと伝わってくる作品です。満州事変の前あたりから終戦までの歴史の事実を追うことに力点が置かれているので(これはこれで、この作品の重要なテーマであり、というか、そもそもこれがこの作品が作られ上演される目的なのでしょうが)、それぞれの人物の関係や心の動きが少し見えないきらいはありますが(例えば、李香蘭と杉本との関係とか)、日中戦争の頃の出来事がわかりやすく伝わってきます。特に僕は、日本軍に抵抗するために王玉林とともに義勇軍に加わった愛蓮が、仲間とともに“松花江上”を仲間達と歌い、その歌を聞きながら日本軍との戦いで傷ついた仲間の一人が死んでいく場面が、とても美しく感じられ、好きです。この“松花江上”という歌は、満州事変で故郷を追われた中国の若者たちが日本への激しい憤りを抱きながら、強い望郷の念を歌い上げる歌です。また、多くの名も無い若き兵士達がステージ上に立って、死に直面した自分の思いを語っていく“若き戦士の辞世”のシーンも、「来るぞ来るぞ」とわかっていても涙が出てきてしまいます。どちらかといえば、昭和三部作の中では“異国の丘”が僕の最も好きな作品ですが、不幸な日中時代の歴史を知るという意味では、とても良心的な作品だと思います。

069_2 このミュージカルで主役と呼ぶべき役はタイトルロールである李香蘭なのでしょう が、僕には川島芳子がとても良い(おいしい?)役に思えてなりません。狂言回しといった役どころですが、このお芝居全体を仕切っているように見えます。この役を濱田めぐみさんが力強い歌声で歌い演じます。濱田さんの声はとても力強くて魅力があります。川島芳子の“男装の麗人”というイメージ(僕が勝手にそういうイメージを持っているだけかもしれませんが)にピッタリです。

5月末から“ミュージカル異国の丘”も始まります。

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2008年3月15日 (土)

赤毛のアンの物語

056 自由劇場で、“ミュージカル赤毛のアン”を観てきました。主な配役は、アン・シャーリーに吉沢梨絵さん、アンを育てる兄妹のマシュー・カスバートに日下武史さん、マリラ・カスバートに木村不時子さん、アンの“腹心”の友ダイアナ・バリーに真家瑠美子さん、アンのライバルにして気にかかる男の子、ギルバート・プライスに望月龍平さん、彼に恋するジョシー・パイに長谷川ゆうりさん、子供たちを温かく見守るステイシー先生に江寿田知恵さん、プリシーと店員ルシラに久居史子さん、マリラの友達のレイチェル・リンド夫人には都築香弥子さん、といったところです。

想像以上に良くできて作品でした。まさに珠玉の作品です。歌も美しいメロディの055 もの、楽しくうきうきしたもの、良い歌がたくさんありますし、ダンスも洗練されています。特に、ピクニックのシーン、スプーンレースはとても楽しいシーンです。また、アンとマリラやマシューの心のふれあいも見所の一つです。朴訥なマシューと生真面目なマリラ。その二人の静かな生活の中に飛び込んできたアン。二人は驚き、ためらいながらも、やがてこの若さと元気と想像力に溢れた女の子を受け入れ、愛するようになります。周囲の愛情と友情に包まれて成長するアンの姿を丁寧に、楽しく描かれている作品です。

吉沢梨絵さんが、明るく真っ直ぐに生きるアンを好演していました。また、日下武史さんのマシューもさすがです。日下さんが歌う場面もありますが、なんとも言えない味がありました。また、木村不時子さんの生真面目な、しかし、優しいマリラもとても印象的でした。そして、久居史子さん。僕は、彼女をエビータのミストレスと壁抜け男の共産主義者で観ていますが、脇役が多いのですが、歌も上手く印象に残る演技が多く、気になる女優さんです。

これもファミリーミュージカルの範疇に入るのでしょうが、劇団四季のファミリーミュージカルは、侮れません。

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2008年2月11日 (月)

人は生きているのではなく、生かされているのだという喜び

劇団四季の“ユタと不思議な仲間たち”を観てきました。昨年の4月に続いて2回目の観劇です。配役は、ユタに藤原大輔さん、ペドロに芝清道さん、ダンジャに丸山れいさん、ゴンゾに深見正博さん、モンゼに田村圭さん、ヒノデロに道口瑞之さん、小夜子に樋口茜さん、寅吉に吉谷昭雄さん、ユタの母に菅本烈子さん、クルミ先生に丹靖子さん、大作に菊池正さん、一郎に遊佐真一さん、でした。

父親が亡くなったために、東京から母親の実家の東北の湯の花村に転向してきた勇太。彼は、周囲からユタと呼ばれ、同級生から苛められています。周りからも苛められ、田舎の生活にも馴染めずユタは自殺も考えています。そんなときに出会ったのが座敷わらしのペドロ一家。彼らは、飢えや間引きによって命を奪われ、人の世にも住めず、幽霊にもなれない座敷わらしなのです。そんな彼らが生きていくことの素晴らしさ、大切さをユタに教えます。ペドロはユタに言います。「馬鹿野郎!もっと生きてるってことを大事にするんだよ。いいか、生きるということは、それはそれだけで、たいしたいいものなんだぞ!」と。そして、こうも…「せっかくもらった生命は、自分で磨きをかけなければ石ころと同じだ。本当に生きていることにはならねえ!」なんと、厳しい、しかし、愛に満ちた言葉なんでしょうか。このようなペドロ一家に励まされ、鍛えられ、やがてユタは、独り立ちして、苛められたクラスメートの中に飛び込んでいきます。そんな独り立ちしたユタを見届けて、座敷わらしたちはこの地を去っていくのです。

このミュージカルは、プログラムの中で池田雅之氏が書いておられるように、「生かされて生きる喜び」が底に脈々と流れており、「人を思いやる心」「信じあう喜び」「命の大切さ」をテーマとしたミュージカルです。自分が生きているのは自分ひとりの力で生きているのではなく、もっと大きなものに見守られ、まさに生かされているのだということ、そして、その素晴らしさを、高らかに、そして、簡潔に謳いあげているのがこのミュージカルです。それが難しい理屈でなく、簡潔に(誤解を恐れずに言えば、単純に)訴えてくるので、観るものにより強く訴えてくるのではないでしょうか。

このミュージカルの魅力を増しているもうひとつのものは、登場人物(特に座敷わらしたち)が使う南部弁です。とてもやわらかく温かみを感じます。(でも、南部弁を始めとして東北弁は口をあまりあけず、母音をはっきり発音しない方だと思うのですが、これと四季の発声方法とは矛盾しないのでしょうか?)

また、クルミ先生の青空教室のシーンはコミカルではありますが、現在の教育に対する批判が込められているように思います。写生の時間に、「夕焼けが大好きで、夕焼け空の方が青空よりもきれいだから」と自分の絵の空を夕焼け色にしている女生徒や、「花が大好きでそれを大きく描いたら隣の水車は小さくしか描けなかった」という小夜子を否定して、目の前のものを正確に描くように“指導”するクルミ先生の姿に現在の画一的な教育がいかに個性を殺しているのかということを感ずるのは僕だけでしょうか?

今回、田村圭さんのモンゼがとても可愛らしくて素敵でした。彼女はエクウスでジル役をとても上手く演じていましたが、モンゼも全く違和感無く演じていました。いつも思うことではありますが、俳優さんって本当に凄い!ヒノデロの道口瑞之さんの女形ぶりもとても良かったように思います。芝さんのペドロはもう貫禄の演技と言う感じです。特に、最後に、小夜子に別れを告げて去っていく姿は、「よっ!大統領!!」と掛け声をかけたくなるような格好良さでした。

最後に、昨年の4月のブログにも書きましたが、小夜子の言葉をもう一度引用します。

「こうやって、静がにしてると、草や木も土までもゆっくり息してで、話しかけてくる。死んだ母ちゃやばっちゃまでそばにいるような気ィする。そして誰がわがんねけど、神さまみてなやさしい人、こうやっていっつも見守ってけでたんだね。私は一人ぼっちではながったんだ。こんなに大きな生命と一緒に生ぎているんだもの。」

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2008年1月 6日 (日)

初めてお芝居の初日に行ってみる

051 日生劇場で“ペテン師と詐欺師”の初日を観てきました。配役は、ローレンス・ジェイムソンに鹿賀丈史さん、フレディ・ベンソンに市村正親さん、クリスティーン・コルゲートにソニンさん、ミュリエル・ユーバンクスに愛華みれさん、ジョリーン・オークスに香寿たつきさん、アンドレ・チボーに鶴見辰吾さん、です。

南仏の高級リゾート地、リビエラを縄張りにして、この地を訪れる金持ちの女性か050 ら金を騙し取って優雅に暮らしているイギリス人の詐欺師ローレンス。その相棒は、この地の警視総監であるアンドレです。ある日、アメリカ人の詐欺師フレディがこの地にやってきます。紳士然としたローレンスに対して、粗野なフレディ。最初は、ローレンス何するものぞと思っていたフレディでしたが、ローレンスの鮮やかなやり口と豪勢な暮らしを見て、彼のもとに弟子入りします。最初は、上手くいっていた二人も所詮は一匹狼の詐欺師。同じ場所に二人も詐欺師はいらないと、縄張りを賭けて闘うことになりました。その対象は、当地に旅行でやってきた清純なアメリカ娘、ソープ・クィーンと称するクリスティーヌです。彼女を金持ちの娘と踏んだ彼らは、彼女から5万ドルは引き出した方が勝ちと決め、それぞれが手練手管を尽くします。勝つのはどちらか?この戦いの結末は???

このミュージカル、ストーリーはとても面白いのです。ここで最後まで書くと面白くなくなるので、ぜひ劇場でご覧ください。特に最後のどんでん返しは、あっと思います。二人の詐欺師を鹿賀さんと市村さんがそれこそ火花を散らして演じます。やはりこの二人の名演が見所です。それぞれ違ったキャラクターの詐欺師を熱演しています。

ただ、少し残念だったのは、一部の歌で、特にアップテンポの歌になると歌詞が聞き取れない部分があったように思われたことです。(もちろん、鹿賀さんと市村さんの歌にはこんなことはありませんでした。)ひょっとして、座った席の関係かも知れませんが、発声の問題かもしれません。作品はとても面白く、鹿賀さんと市村さんの熱演が光っていただけに、少し残念でした。

052 僕はお芝居の初日を観るのは初めてだったので、何かあるのかな、と少し期待していたのですが、挨拶があるわけでもなく、特別なことって何もないんですね。

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2007年12月16日 (日)

ジャパン・ツアー“RENT”を観る

046 東京国際フォーラムで“レント(RENT)”を観てきました。ロジャーにHeinz Winckler、マークにはJed Resnick、ミミにJenifer Colby Talton、コリンズにAnwar F Robinson、エンジェルにKristen-Alexzander Griffith、モーリーンにChristine Dwyer、ジョアンヌにOnyie Nwachukwu、ベニーにJohn Watsonといったところが主な配役です。

このミュージカルは、作者(脚本、作詞、作曲とも)であるJonathan Larsonがこのミュージカルのオフ・ブロードウェイのプレビュー公演初日の前日に亡くなったという有名なエピソードを持っています。

ニューヨークのイーストヴィレッジのロフトが舞台となっています。映像作家のマークは女性弁護士ジョアンヌと付き合い始めた元恋人でバイセクシャルなパフォーマンス・アーチストのモーリーンに振り回されている。同居しているミュージシャンのロジャーは共にHIVポジティブであると知った恋人が自殺して以来、6ヶ月間引き篭もり状態。二人は家賃も払えず家主のベニーからは「家賃が払えないならば出て行け」と言われます。クリスマス・イブの夜、火を借りに来た階下に住むSMクラブのダンサー、ミミにロジャーは魅かれますが、いまひとつ自分の気持ちに素直になれずにいます。また、路上で強盗にあったコリンズは、ストリート・ドラマーのエンジェルに介抱されます。共にHIVポジティブと知り、二人は愛し合うようになります。やがて、時が経ち、色々な別れがあり、エンジェルも死んでしまいます。そして、翌年のクリスマス・イブに…

このミュージカルを初めて観ましたが、とても美しい曲がたくさん歌われます。第2幕の冒頭で歌われる“Seasons of Love”、ゲイのエンジェルとコリンズが互いへの愛を歌い上げる“I’ll Cover You”、ミミとロジャーのデュエット“Without You”等が僕は好きです。特に、“Seasons of Love”は感動的で、美しいと思います。特に、ジョアンヌ役のOnyie NwachukwuとアンサンブルながらMimi Jimenezの歌が素晴らしかった。

作品としてはとても素晴らしい公演だと思いますが、今回の公演に限って言えば、第一幕では全般的に声があまり出ていなかったように思え、残念です。もちろん、第二幕になると舞台も盛り上がって、感動的な舞台となっていました。

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2007年12月 9日 (日)

フィレンツェの広場で恋に落ちて…

ルテアトル銀座で、“ライト・イン・ザ・ピアッツァ”(“The Light in the Piazza”)を観てきました。マーガレットに島田歌穂さん、クララに新妻聖子さん、フランカにシルビア・グラブさん、ファブリーツィオに小西遼生さん、ナッカレリ氏に鈴木綜馬さん、ナッカレリ夫人に寿ひずるさん、ジュゼッペに大高洋夫さん、ロイに久保酎吉さん、司祭に佐山陽規さんというキャスティングでした。

休暇でフィレンツェを訪れたマーガレットとクララ親娘。二人が訪れた広場(ピアッツァ)で、風に飛んだクララの帽子をファブリーツィオが拾ったところからこの物語は始まります。恋に落ちる二人。しかし、クララには12歳の時に子馬に頭をけられて以来心の成長が止まってしまっているという秘密が…そんな娘を思いマーガレットは二人の愛に反対するが、反対しても決して諦めないクララに、クララにも自分が考えるものとは別の幸せがあるのではないか、と思い始める。そんなマーガレットとその夫ロイとの愛は既に冷え切っている…純粋で感受性の強いクララの愛と彼女を慈しみ、そして、彼女がこうなってしまった責任を感じているマーガレットの母親としての彼女への愛。その二人のそれぞれの愛は…

このミュージカル、最初は音楽が難しくて、なんだか現代音楽を聴いているような感じになりました。けれども、慣れてくるととても美しいメロディであることに気がつきます。特に、新妻さんのクララが歌う“ライト・イン・ピアッツァ”は美しい名曲です。新妻さんも今回はファルセットを多用して、今までとは少し違った歌い方です。また新しい面を見せてくれています。

しかし、このミュージカルは、何と言っても島田歌穂さんの素晴らしさが一番光っていたように思います。彼女の歌はやはり素晴らしいですね。

今回は、シルビア・グラブさんもなかなか良かったです。浮気ばかりする夫をけんかをしながらも愛している妻の役でしたが、彼女、本当にイタリアにいそうな女性を演じていました。とてもリアリティがあったように思います。彼女が夫のあてつけに、義理の弟でもあるクララの恋人ファブリーツィオにキスをしたところをクララに見られ、クララに責められた時にクララに対して言う言葉はとても素敵です。「いいえ、あなたが正しい。ファブリーツィオのために闘ったもの。みんな祝福しましょう、愛を勝ち取った二人を。これからは私も闘うわ、ジョゼッペのために」

カンパニーに平澤由美さんが出ていました。彼女、ミス・サイゴンでジジをやっていましたが、東宝のミュージカルによく出演しています。なかなかソロの歌が聴けませんが、気になる女優さんの一人です。

この、ミュージカル、127日から16日までの公演で、とても短い公演です。このミュージカル、2回、3回と観ていくと、良さがわかってくるミュージカルだと思うのですが…

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2007年12月 2日 (日)

“ウーマン・イン・ホワイト”を観る

今日は、青山劇場で“ウーマン・イン・ホワイト”を観てきました。お芝居仲間のSさんが行けなくなったということで、チケットを回してくれたので、予定外の観劇でした。

キャストは、主人公のマリアン・ハルカムには笹本玲奈さん、その妹ローラ・フェアリーに神田沙也加さん、ウーマン・イン・ホワイトのアン・キャスリックに山本カナコさん、二人に愛される青年の画家に別所哲也さん、ローラと結婚しその財産を奪おうとする悪人パーシヴァル・グライド卿に石川禅さん、その仲間フォスコ伯爵に上條恒彦さん、マリアンとローラの叔父に光枝明彦さん、でした。

作曲はAndrew Lloyd Webber。音楽はさすがに彼の音楽らしく、美しく、そして、親しみやすいメロディーで、それを笹本さん、別所さん、山本さん、石川さん、上條さん、光枝さん達の芸達者が歌い上げます。特に、マリアン役の笹本さんが歌い上げる“オール・フォー・ローラ”には思わず引き込まれてしまいました。彼女も舞台ごとに進化しているように思います。

でも…音楽も良くて、それを歌う役者さん達も素晴らしいのですが、何故かしっくりきません。何故なんだろう?

きっと、脚本の問題ではないかと思うのです。日本語版が悪いというのではなく、舞台の時間にあまりに盛りだくさんに描こうとしたために、ただただ出来事を追うだけのお芝居になってしまったのではないでしょうか。舞台もめまぐるしく変わるのもそれが一因なのではないかと思います。音楽が良いだけに、とても残念に思いました。ウエスト・エンドでもブロードウェイでも、期待されながら今ひとつであった原因もそんなところにあるのかもしれません。

関係ないことではありますが、貧しい画家の別所さん、かばんを下げてみすぼらしいコートを着て、なんとなく僕には、ジャン・バルジャンを連想させました。

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劇団四季の“ウェストサイド物語”

043 劇団四季の“ウェストサイド物語”を観てきました。1014日に“アイーダ”を観て以来の四季のステージになります。

配役は、トニーに阿久津陽一郎さん、マリアに笠松はるさん、ベルナルドに加藤敬二さん、アニタに団こと葉、チノに横山清崇さん、ロザリアに鈴木由佳乃さん、コンスェーロに加藤久美子さん、フランシスカに大口朋子さん、リフに松島勇気さん、アクションに西尾健治さん、エニイ・ボディズに木村仁美さん、ドックに立岡晃さん、シュランク警部に牧野公昭さん、といったところです。

とても素晴らしい舞台でした。ダンスがとてもきれいで、そして、迫力がありました。特に、加藤敬二さん。やはり、このようなダンスを踊らせたら加藤敬二さんが一番です。一つ一つの動きにキレがありますし、格好がいいですよね。体育館のダンスパーティのシーンや決闘のシーン、Somewhereのシーンが特に印象に残りました。

そして、レナード・バーンスタインの美しいメロディの数々も堪能しました。阿久津さんが歌う“マリア”、笠松さんと阿久津さんのデュエットの“トゥナイト”、“トゥナイト”の五重唱、笠松さんの“すてきな気持ち”、阿久津さんと笠松さんの“サムホエア”、そして笠松さんと団さんの“あんな男に/私は愛している”等が特に良かったと思います。笠松さんは、“トゥナイト”の最高音部で少し声量が落ちてしまったものの、とてもきれいな声の歌の上手い女優さんです。彼女の演技は、“ユタと不思議な仲間たち”の小夜子以来でした。小夜子のときもとてもよかったのですが、今回もフレッシュなマリアで好感が持てました。

045 四季劇場もすっかりクリスマスの雰囲気で、劇場の正面には、ライオンキングのクリスマスツリーが飾られていました。

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2007年11月25日 (日)

ロンドン観劇記、最後はやっぱり…

Photo いよいよロンドンの観劇記録も最後となってしまいました。最終日のソワレ、最後の最後に観るミュージカルはこれ以外にはありません。そうです、Queen’s Theatreで“レ・ミゼラブル”。実は、ロンドン初日のソワレも“レ・ミゼラブル”を観ましたから、今回2度目の観劇となります。それだけ、僕にとっては特別なミュージ040 カルなのです。

キャストは、ジャン・バルジャンはStephen John Davis、ファンティーヌはJoanna Ampil、エポニーヌにはCassandra Compton、コゼットにはClaire-Marie Hall、ジャベールがHans Peter Janssens、マリウスがCary Watson、アンジョルラスがEdward Baruwa、テナルディエがChris Vincent、マダム・テナルディエがMelanie La Barrie、でした。Stephen John Davisunderstudyで、オペラの出演経験が豊富な俳優さんです。Joanna Ampilは僕がロンドンにいたときもファンティーヌ役をやっていました。しばらく別の舞台に出演しての復帰ということになります。とても柔らかで美しい声の女優さんです。そしてエポニーヌのCassandra Comptonはとても美しい女優さん。ジャベール役のHans Peter Janssensはもともとはジャン・バルジャンをやっていた俳優さんです。主にベルギーで活躍しているようですが、僕がロンドンにいた時に彼のバルジャンを何度か観ました。今回は、アンジョルラスとマダム・テナルディエは黒人の俳優さんで、国際都市ロンドンを感じました。

041 今回のファンティーヌはとても“強い”女性に描かれていました。同じ女優さんが演じているのに、2003年、2004年とこうも違うのか、と思うほど変化していたように思います。前回は弱い繊細な女性という印象でしたが、今回は一人で生きていく女の強さ、母親の強さを強調していたように思います。また、Cassandraのエポニーヌはとても美しいエポニーヌです。歌も上手く、“On My Own”は歌い方が個性的ではありますが、とても感動的に歌い上げていました。ところで、この歌を歌う前に日本のエポニーヌ達はバルジャンに手紙を渡してもらったお駄賃を投げ捨てますが、ロンドンのエポニーヌ達はだれもこれをやりません。日英で微妙に違っているところがあって、その点も興味深いものがあります。(いつか日英の違いも書いてみたいと思います。)Hans Peter Janssensのジャベールはさすがの歌の上手さでした。ただ、もともと善人の顔なので、ジャベールの凄みがいま一つというところでした。やはり悪役は美しい顔の人がやってこそ良いように思います。

今回、開演前に劇場のバーで飲んでいたら、“オペラ座の怪人”のプログラムを持っているご夫婦がいたので、「僕と同じように観劇のハシゴをする人がいるんだな」と思って、話しかけてみると、舞台関係の仕事をしているとかで、たまたま近くにいたご夫婦と5人でミュージカルの話で盛り上がりました。時間が来て席について、「奥さんの顔をどこかで見たことがあるなぁ」と思いレ・ミゼラブルのプログラムを眺めていると、なんとこの舞台のMusical StagingKate Flattさん!幕間にまた話を聞こうと姿を探したのですが、残念ながらお会いできませんでした。

レ・ミゼラブルを観て、僕のロンドンの観劇も終わりました。とても充実した、楽しい、幸福な1週間でした。今度はいつロンドンで観劇を楽しめるかわかりませんが、以前にも書いたように、願いは思い続けていれば必ずかなうことを信じています。

これからも色々なことがあるでしょうが、この歌を心に響かせながら生きていこう、とそんな思いを抱かせた1週間でした。

若者達の 歌が聴こえるか

光求め高まる 歌の声が

世に苦しみの 炎消えないが

どんな闇夜も やがて朝が

彼ら主の国で 自由に生きる

鋤や鍬を取り 剣を捨てる

鎖は切れて みな救われる

列に入れよ 我らの味方に

砦の向こうに 憧れの世界

みな聴こえるか ドラムの響きが

彼ら夢見た 明日が来るよ

列に入れよ 我らの味方に

砦の向こうに 憧れの世界

みな聴こえるか ドラムの響きが

彼ら夢見た 明日が来るよ

ああ 明日は

(東宝レ・ミゼラブル、「エピローグ」より)

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2007年11月17日 (土)

ロンドンでデカダンス…“キャバレー”を観る

037 いよいよロンドン観劇記も最終日となりました。最終日の土曜日のマチネは“キャバレー”(“Cabaret”)を見ました。劇場はLyric Theatre。チャイナタウンの直ぐ近くで、レ・ミゼラブルをやっているQueen’s Theatreの並びです。

主演のサリーにはKim Medcaff、ミュージカルでは“Hay Fever”や“South Pacific”等に出演経験のある女優さんです。彼女と恋に落ちるアメリカ人作家のクリフォード・ブラッドショウにはMichael Hayden、ニューヨークのストレートプレイを中心に活躍していて、ブロードウェイの“キャバレー”にも出演していました。クリフォードの下宿の大家のシュナイダー夫人にはHonor Blackman、その恋人のシュルツにはFrancis Matthews。どちらもウエスト・エンドで舞台を中心に長く活躍したベテランの俳優さんたちです。

時代は第二次世界大戦前夜のドイツ、ベルリン。若いアメリカ人作家クリフォード・ブラッドショウがベルリンに到着するところから物語が始まります。クリフォードは、友人に連れて行かれたキャバレー“キット・カット・クラブ”で、その歌姫イギリス人のサリーと出会います。ナチスが台頭し不穏な空気が立ち込めつつある中、退廃的な雰囲気も漂っている中で、クリフォードとサリーの愛が進んでいきます。同時に、シュナイダー夫人と果物屋を営む物静かな老紳士シュルツとの穏やかな愛も描かれます。

正直言って、このミュージカル、セリフが良く理解できなかったからかもしれませんが、あまりピンときませんでした。ところどころで俳優さんが全裸で演技するのですが-多分、当時のデカダンスな雰囲気を表現しようとしたのでしょうが-、「???」という感じで、結局、ピンとこないままに終わってしまいました。

ただ、シュナイダー夫人とシュルツの恋はとても良く描かれていました。二人の老人のほのぼのとした恋がいい雰囲気で進展していき、婚約をして、パーティまで開きます。このままハッピーエンドになるのかと思ったら…シュルツがシュナイダー夫人に自分がユダヤ人であることを打ち明けると、夫人の態度は急に変わってしまいます。(ちなみに彼女はドイツ人です。)そして、ついに夫人の口から「あなたとは結婚できない」という言葉が出てしまいます。当時のドイツ全体を覆っていた恐ろしい思想を突きつけられるような思いがしまし038 た。

また主演のKim Medcaffはとても歌の上手い女優さんでした。

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2007年11月 3日 (土)

サウンド・オブ・ミュージック

034 いよいよ、ロンドン観劇記も終盤になってきました。4日目は“サウンド・オブ・ミュージック”(“Sound of Music”)を観ました。金曜日はどこの劇場でもマチネをやっていないので、この日はソワレだけの観劇となりました。このミュージカルは、ジュリー・アンドリュースが主演した同名の映画を舞台化したものです。場所は、ロンドン・パラディアム劇場(“London Palladium Theatre”)。ここは、あの有名な百貨店のリバティのすぐ近くにあって、ウエストエンドの中では大きな劇場です。主役のマリア役にはConnie Fisher、トラップ大佐にChristpher Dickins、修道院長にはMargaret Preece、ルーズルにSophie Bould、マックスにIan Gelderというキャスティングでした。主役を演じたConnie Fisherさんは、これまでこれといった大きな役の経035 験が無く、今回は大抜擢ということになります。BBCテレビで、マリア役を演じる女優を選ぶ人気投票で今回の役を射止めました。まじめな人柄が舞台ににじみ出ているような演技で、歌もとても上手い女優さんです。また、修道院長のMargaret Preeceさんは、ミュージカルというよりもオペラの出演経歴がとても豊富な女優さん(というよりもオペラ歌手というべきかもしれません。)です。

さて、舞台の方ですが、映画と同じように展開していきます。舞台中央に設置された丸盆が斜めになるとアルプスの高原が現れたりと、舞台効果も楽しめます。Connieの演技も、意識しているのかどうか分かりませんが、映画のジュリー・アンドリュースの雰囲気を漂わせます。また子役たちも素晴らしい演技を見せ、少し笑わせて、少々ホロッとして…とても素敵なミュージカルでした。派手さはありませんが、とても洗練されていて“My Fair Lady”と似た空気を持っているミュージカルです。また、歌では、Margaret Preeceの“Climb Ev’ry Mountain”には圧倒されました。聞いているだけで、鳥肌が立って涙が止まりませんでした。ウエスト・エンドに行く人は、恐らくは、“ウィキッド”や“レ・ミゼラブル”、“オペラ座の怪人“といったところをご覧になる人が多いと思いますが、このミュージカルをぜひ観ていただきたいと思います。お勧めです。

036 このミュージカルでは、オーケストラの指揮者が女性でした。今回が初めての経験でした。

ところで、Connie FisherさんとMargaret Preeceさんですが、ファンの対応がとても丁寧なことにも驚きました。大体において、ウエスト・エンドでは、俳優さんたちはとても親切で、出待ちをしていると、気軽にサインに応じてくれたり、話をしたり、写真を撮ったりしてくれます。この日は、金曜日ということもあり、楽屋口にはたくさんのファンがいました。ConnieMargaretもその一人一人と話をし、サインを求められれば快くサインををし、写真撮影にも応じていました。二人の人柄を見るような思いがしました。かく言う僕も、Margaretからサインをもらい、Connieにもサインをもらい、ついでにツーショットの写真も取ってもらいました。「これを観るために、日本から来たんですよ」と言ったら、とても喜んでくれました。(これだけを観に来たわけではないけれど、このミュージカルも楽しみにしていたので、嘘を言ったわけではありません(笑))

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2007年10月26日 (金)

“The Phantom of the Opera” in London

日本でも様々なことがあるので、なかなかロンドンの観劇の報告が完結しません。なんだか、もう季節はずれのニュースという感じですが、もうしばらくお付き合いください。

P8170626 ロンドン観劇3日目(8月16日)のソワレは、おなじみの“The Phantom of the Opera(オペラ座の怪人)”です。ロンドン三越のはす向かいにあるHer Majesty’s Theatreでやっています。ちなみに、この劇場の向かいにあるTheatre Royal Haymarketもとても立派な劇場です。キャストは、ファントムがEarl Carpenter、クリスティーヌがP8170629 Robyn North、ラウルがMichael Xavier、マダム・ジリーがHeather Jackson、メグ・ジリーがLindsey Wiseといった面々です。Earl Carpenterは、“イーストウィックの魔女たち”のダリル役や“美女と野獣”の野獣役をやったこともある俳優さんです。Robyn Northは、以前からクリスティーヌ役をやっていましたが、今回クリスティーヌの役につく前には“エビータ”でエビータ役をやっていたとても綺麗な女優さんです。ラウル役のMichael Xavierは、僕がロンドンにいた頃に、“マイ・フェア・レディ”のフレディ役をやっていて、“君住む街”をとても美しい声で歌っていました。

オペラ座の怪人については、これまでも何度か触れていますので、今回は、ロンドンで観て気づいた劇団四季との違いについて書いてみたいと思います。これが、俳優さんたちの個性によるものなのか演出によるものなのかは僕には分かりませんし、僕の思い違い・勘違い等もあると思いますので、その点はお許しの程を…

先ず、今回のクリスティーヌは、とても強い、そして激しい女性に描かれていたと思います。例えば、マスカレードのシーンで、ラウルが「なぜ婚約のことを皆に話してはいけないのか?」クリスティーヌに聞くシーンがありますが、このとき「言ってはだめ」(英語では“Promise me”と歌っています。)とクリスティーヌは答えるのですが、強い調子で歌うので、ラウルが叱られているような印象さえ受けてしまいます。また、全般的に感情表現が激しく、クリスティーヌがファントムの仮面を取ってしまう場面では、ファントムの怒り方も尋常ではなかったですし、クリスティーヌの怖がり方もなかなかのものがありました。

ファントムの隠れ家でいきなり目の前に手を突き出した花嫁人形に驚いて気を失うクリスティーヌは、ロンドンでは、床に倒れる前にファントムがちゃんと抱きとめてくれます。そしてファントムが抱き上げたままベッドに連れて行って寝かせます。やっぱりこのシーンはこうでなくちゃあいけないな、と観ていて思います。日本だと、クリスティーヌは床に崩れ落ちて、ファントムはそこにマントかなにかを上にかけてあげるだけ。もちろん舞台が暗転した後は、ちゃんとベッドに寝ているのですけれど。日英の男優さんの体格かパワーの違いなのでしょうか?シャンデリアの落ちる速度はイギリスの方が格段に速かったり、墓地で突然上がる炎の勢いがとても強かったりと、舞台効果上の違いも色々ありました。

このような違いは、もちろん、どちらが優れているかどうかという問題ではなく(好き嫌いの問題はあると思いますけれど)、ところ変われば品変わる…同じミュージカルでもずい分変わるものだなと面白く感じながらの観劇でした。

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2007年10月21日 (日)

アメリカの片田舎のイーストウィックで…

032 帝劇で“イーストウィックの魔女たち”を観てきました。たまたま思いついて行ったので、当日券でしたが、前から6列目のセンターというとても良い席でした。

出演はイーストウィックの町にやってきた不思議な力を持つ男、ダ033 リル・ヴァン・ホーンに陣内孝則さん、ダリルに魅了される3人の女、ジェーン・スマートに涼風真世さん、スーキー・ルージュモントに森公美子さん、アレクサンドラ・スポフォードにマルシアさん、町の有力者でイーストウィックの人々に道徳的な暮らしを強いるフェリシア・ガブリエルに大浦みずきさん、その夫クライド・ガブリエルに安原義人さん、その娘ジェニファーには皆本麻帆さん、ジェニファーの恋人でアレクサンドラの息子マイケル・スポフォードに中川賢さんというキャスティングでした。

ある日、アメリカの田舎町、イーストウィックのはずれの豪邸に、不思議なパワーとセックスアピールを持ったダリルが引っ越してきたところから物語が始まります。ダリルは、たちまち友達同士のジェーン、スーキー、アレクサンドラを魅了してしまいます。ダリルと3人の女性たちに町中大騒ぎ。それを正そうとフェリシアは必死に町の人々に熱弁を奮いますが、ダリルのパワーはとどまるところを知りません。この騒ぎを軸に、フェリシアの娘ジェニファーとアレクサンドラの息子マイケルの恋がからみあって…

何と言っても、このミュージカルの魅力は、涼風さん、森さん、マルシアさんのかけ合いと歌。トリオで歌う場面がありますが、とても美しいハーモニーを聞かせてくれます。特に“少女の頃”はとても美しい曲で、3人の魅力が存分に発揮されているように思います。僕は、3人の中では、特にマルシアさんが良かったように思います。とてもセクシーで、美しく、そしてコミカルで。このミュージカルの雰囲気にピッタリでした。また、大浦みずきさんもなかなか味のある演技で楽しめました。皆本麻帆さんは、東宝ミュージカルアカデミーの一期生だということですが、まだ未熟ながら若い可能性を感じさせる女優さんのように思います。今回のカンパニーでは、髪を高く結っていた女優さん(多分、福麻むつ美さん?)とラストに近いダンスのシーンでセンターに出てきて踊る女優さん(園山晴子さんかなぁ?)がなかなか良い味を出して目立っていたように思います。美しいメロディーあり、ダンスも良かったし、楽しめるコメディでした。

第一幕の最後に、涼風さん、森さん、マルシアさんのフライング・シーンがあるのですが、良い席だったため、僕の2メートルくらい上を森さんが通っていきました。

034 今回の公演は、開演前に指揮者の塩田弘明さんとパーカッションの方2人(どうせなら長谷川友紀さんが出てくれたらよかったのですが…)がロビーでこのミュージカルで使われる楽器の解説をしてくれたりしますので、これから行かれる人は早めに劇場に行かれることをお勧めします。

それにしても、四季と東宝のコメディタッチのミュージカルを見ていていつも思うのですが、なんだか四季の方は、コメディにも生真面目さが滲み出ているように思えるのですが…もちろん、役者さんの実力のことを言っているのではなく、作品の出来の良し悪しを言っているのでもありません。四季のコメディもそれはそれで楽しんではいるのですが、そういった印象を持ってしまいます。考えてみると(シリアスなものもコメディものも含めて)、四季のミュージカルには娼婦が出てくる場面ってほとんどありませんね、あまり関係ないかもしれないけれど。

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2007年10月16日 (火)

熱情の人-アイーダ

まだ“アイーダ”の余韻が胸の中にくすぶっています。アムネリスの“真実をみた”が今も頭の中で響いているのです。

いつもアムネリス中心なので、今日は、アイーダという女性についてお話ししたいと思います。

アムネリスを「静の女性」とするならば、アイーダは一言で言えば、「情熱のひと」。

アイーダはエジプトの隣国、ヌビアの女王です。川のほとりで侍女たちと遊んでいるところを隣国であり敵国でもあるエジプトのラダメス将軍に捕らえられ、エジプトに奴隷として連れてこられます。そこで、エジプトの女王の侍女として王女アムネリスに仕えることになるのですが、いつしかラダメスと恋に落ちてしまうのです。しかし、ヌビアから奴隷としてつれてこられた祖国の民にはアイーダに自分たちの象徴として、女王をとして生きていってほしいと懇願されます。それが自分たちの生きる希望であると。アイーダの気持ちは、この祖国と祖国の人々への想いとラダメスへの愛情との狭間で揺れ動きます。祖国への愛に生きていこうと決心するものの憎むべき敵国の将軍であるラダメスへの愛をあきらめきることができない、そんな苦悩を抱えてしまうのです。

このミュージカルでも、彼女の歌はとても情熱的な力強い歌が多いのです。ヌビアの民に応えて王女として生きていこうと決意する“ローブのダンス”やヌビア王が捕らえられ絶望するヌビアの人たちを励ますときに歌う“神が愛するヌビア”等はとても力強く感動的です。しかし、僕は、それらの歌ももちろん好きですが、“人生の苦しみ”や最後のシーンの“迷いつつ”(リプライズ)が好きです。

“人生の苦しみ”は、ヌビアの民のために生きていかなければならない自分を自覚しながらも、ラダメスへの愛情を断ち切ることができず、その感情の狭間で身悶えするような苦しみを歌い上げるものです。彼女のつらさが伝わってきて、客席にいる僕たちまでが切なく、苦しくなってきます。アイーダの内に秘めた熱情がほとばしる瞬間です。

“迷いつつ”は、最初はラダメスがアイーダに愛を打ち明けるときにラダメスによって歌われます。ラダメスとアイーダが結ばれるときの歌です。しかし、僕が好きなのはリプライズとしてアイーダが歌う“迷いつつ”です。ヌビア王の逃亡には成功したものの、自分はラダメスとともに囚われの身となってしまう。そして、死刑を宣告されるもののアムネリスのはからいで、ラダメスとともに生き埋めにされ埋葬されることになってしまいます。死を前にして、もうアイーダのラダメスへの愛情を妨げるものは何も無いのです。彼女の前には、もはや、父も無く、祖国も無く、祖国の民も無かった。ただ愛するラダメスのみがいた。たとえ彼女の未来に死しかなく、残された時間は僅かであったとしても、彼女にとっては至福のときだったのだと思います。この時に、今度は、アイーダがこの歌を歌うのです。

ひとは 迷いながら 人生を生きる 

夜も昼も 弄ばれる 時のまにまに

その流れの中で 生きたくはない 

その流れの中で 愛したくない 

望みはひとつ 実りある恋を 

ひとは 迷いながら 時の間を生きる 

乱れつつ 傷つきつつ あなたを求める 

今 愛の目覚めが 私を変えた 

今 愛の目覚めが 二人を変えた 

手を携えて この道を行こう 

この闇の中 心をつなぎ 

永久に続く 二人の愛は

ラダメスに対する深い愛情を歌いあげる味わいのある、そして感動的な場面です。アイーダの深く強い愛が劇場全体を包みこむようです。

アイーダには色々な魅力があると思いますが、アイーダの“動”とアムネリスの“静”の生き方の対比も魅力のひとつかもしれません。

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2007年10月14日 (日)

凛とした生き方ーアムネリス

029 新名古屋ミュージカル劇場で“アイーダ”を観てきました。佐渡さんがアムネリスで復帰したので、どうしても観たくなって名古屋遠征をしてきました。本日(1014日)のマチネは役者さん達の“リズム”というか“息”がピッタリ合った素晴らしいステージでした。この日のキャストは、アイーダが今井美範さん、アムネリ028 スが佐渡寧子さん、ラダメスが福井晶一、メレブ、有賀光一、ゾーザーが飯野おさみさん、アモナスロが川原洋一郎さん、ファラオが前田貞一郎さん、ネヘブカが松本昌子さん、でした。

通常、佐渡さんが出る舞台では、佐渡さんの動きを追っているので他の女優さんはあまり気にしていないのですが、今回は(佐渡さんは別格としても)、アイーダ役の今井美範さんがとても素敵でした。ですから、佐渡さんのお話をする前に、アイーダに触れたいと思います。今回、初めてアイーダを演じる女優さんのようですが、ネヘブカも演じたことがある女優さんです。とても力強い歌声です。ですから、特に、“ローブのダンス”でヌビアの民の意志を受けて、ヌビアの女王として生きていく決意を固めるシーンはとても感動的に歌い上げています。また、祖国ヌビアのためにラダメスの愛を諦めようとするけれどもなかなかできず、身悶えるような苦しみを歌う“人生の苦しみ”のシーンは涙さえ誘われます。また、“星のさだめ”のシーンで、ラダメスに対する愛を断ち切って、ラダメスに対して「アムネリスと結婚して」というまでの表情の変化も切ないものがありました。今井さんのアイーダは、彼女の力強い歌声を武器に、内に熱情を秘めながら、その熱いものをときにほとばしらせながら、表情豊かな、そして、情熱的なアイーダであったと思います。

そして、佐渡寧子さん。彼女の演技も、7月とは一味違っていました。もちろん、7月の彼女のアムネリスも素晴らしかったですが、今回は、肩の力が抜けたような(と、素人の僕が言うのも失礼ですが)、舞台というか演技を今まで以上に楽しんでいるような印象を受けました。“おしゃれは私の切り札”もとても軽い感じで歌っているような感じです。そして、だからこそ、このリプライズでは、彼女の王女という立場に押しつぶされそうな彼女のプレッシャーというか、悩みが良く出ていましたし、なにより“真実を見た”(これが、僕のこのミュージカルの中で最も好きなシーンです)のアムネリスの哀しさと、諦観とエジプトの女王として生きていくのだという静かな、そして強い決意が、観る側にまで切々と伝わってきました。歌いながら、侍女達が彼女をウエディングドレスに着替えさせていき、やがて、白いベールをかけていく。あの白いコスチュームは、幸せの象徴ではなく、彼女の哀しみであり、純潔であり、諦めと決意を表しているのではないでしょうか?とても深い演技が要求されるところだと思いますが、佐渡さんはそのシーンを静かな哀しみで満たし、劇場内の涙を誘います。

それにしても、アイーダのラダメスへの愛と祖国ヌビアの民への愛の狭間に揺れる情熱的な生き方も感動的ですが、アムネリスのあくまで自分の立場にこだわって生きていこうという(このミュージカルは単なる三角関係ではなく、「泣いて馬謖を切る」というドラマなのだということは以前(7月の観劇記に書きました)書きました)、「好きな人を助けたいけれど、でも、私はそれはできない。なぜなら、私はエジプトの女王なのだから。」という哀しみがメインのドラマなのではないでしょか?その凛とした生き方に僕はとてもあこがれます。

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2007年10月 2日 (火)

子役が活躍“Billy Elliot”

しばらくお休みしていましたが、ロンドンでの観劇のお話を…

025 観劇3日目のマチネは“Billy Elliot”。Victoria駅の直ぐ近く(“Wicked”をやっているApollo Victoria Theatreの直ぐ近くでもあります。)にあるVictoria Palace Theatreでやっています。主役のビリー少年にはTravis Yates、彼の友達のマイケル少年にJonty Bower、デビー役はAmy Dugganという子役たち。ダンス教師のミセス・ウィルキンソン役のJackie Cluneはマンマ・ミーア!のインターナショナルツアーでドナ役をやったりしていた女優さんです。ビリーの父親役はJames Gaddas、テレビを中心に活躍する俳優さんのようです。

このミュージカルは、映画“リトル・ダンサー”のミュージカル版です。イギリス024 の炭鉱町ダーハムで育ち、ふとしたことからバレエの魅力にとりつかれるビリー少年。「男がバレエなどやるな!」という炭鉱夫の父親。ビリー少年のダンスへの情熱と才能をなかなか彼の周囲は理解してくれません。しかし、ダンス教師のミセス・ウィルキンソンはビリーの才能を見抜き、ビリーを応援します。最初はビリーの気持ちを理解しようとしなかった父親もやがて彼を応援するようになります。そして、とうとう、ビリーはロイヤル・バレエ・スクールのオーディションを受けることに…

026 このミュージカルは子役が大活躍です。ビリー少年役のTravis Yateは演技とダンスがとてもうまく、亡き母への思慕、ダンスへの思いをよく表していました。これにコミカルな演技を達者にこなすマイケル役のJonty Bowerがからみ、なんともいえない味が出ていました。また、父親役のJames Gaddasもビリー少年への無骨な愛情を上手く表現していたように思います。特に、第一幕の最後、家族の反対でロイヤル・バレエ・スクールのオーディションを受けることができなかったビリーのやるせない、どこにもぶつけようのない怒りを表現したダンスシーンは圧巻でした。

それにしても、現在のウエスト・エンド、この“Billy Elliot”、“Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat”、“Mary Poppins”、“Sound of Music”と子役たちが大活躍です。そういえば、“Les Miserables”も子役が活躍しますね。

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2007年9月27日 (木)

またまた、劇団四季のキャストボックスの廃止について

劇団四季のHPを見たら、“キャスト・スタッフページについてのお知らせ”

http://www.shiki.gr.jp/navi/news/001518.html

という記事が掲載されていました。要は、「前日の出演者を公表して、現時点での出演予定俳優を発表します。」ということのようです。一定期間の出演を保証するものではないと言っているものの実質的には以前のキャストボックスとほぼ同様の情報が得れるようになりました。

ところで、キャストボックスを廃止して現在の形に変更したことによって、劇団側がキャストボックス廃止の理由としてあげていた3点-特に、ファンから送られる出演予定俳優についての脅迫的メールの問題とチケットの営利目的の転売の問題-がどのように解決されたのでしょうか?劇団側があげたキャストボックスの廃止理由がいかにいい加減なものであったか、ということが良く分かります。

それでもキャスティングスケジュールを公表しないのは、やはりファンと所属俳優さん達を尊重していないと思わざるをえません。「作品主義」を標榜しスター主義はとらないと劇団は主張していますが、実は、究極の“スター主義”なのではないかと思います。所属俳優さん達はもちろんのこと、何度も劇場に足を運ぶファンよりも偉い(らしい?)、ただ一人の“スター”のための。

と、批判していると、この劇団のことだから、「嫌なら観るな」と言われそうです。確かにそうしたいけれど、良い作品をたくさんおさえているのも事実です。やっぱり、ファンの立場は弱いなぁ…

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2007年9月19日 (水)

ふたたび、劇団四季のキャストボックスの廃止について

劇団四季のホームページに“四季ホームページ「キャストボックス」等の変更について”と題して、キャストボックス廃止の理由が説明されています。(ホームページ上の四季なびgationをご覧ください。)あまり説得力の無い説明です。ここで少し反論してみようと思います。

この記事では、キャストボックス廃止の理由として、(1)作品主義といわれているもの、(2)キャスティングについてのファンからの脅迫的メールの存在、(3)チケットの営利目的の転売者の存在、を挙げています。

(1)作品主義について

「作品そのものをお楽しみいただきたい」という四季の考え方は理解できます。「キャストの決定は十分な稽古を経た、上演直前のタイミングに行いたい」ということも理解できます。しかし、キャストボックスは、たとえば東宝が行っているようにチケット発売日前に全公演のキャストを発表するものではなく、週の初めにその週のキャストを発表しているにすぎません。これすら発表できないといことは、1週間の間でさえも四季の俳優さんたちは最高のコンディションが保たれないと劇団自身が認めていることになりはしないでしょうか?これは、あまりにも劇団内の俳優さんたちを軽んじていることではないでしょうか?また、前回にも書きましたが、ファンというものは、同じ芝居を繰り返し観れば観るほど、段々と、この人のこの役が観たい、と思うのが自然な心理なのではないでしょうか。劇団四季はこのファンの心理を否定するのでしょうか。どんなに素晴らしい作品でも(またどんなに素晴らしい演出でも)、それを具現化する素晴らしい俳優たちと、そして、その俳優が好きで繰り返し劇場に通う熱心なファンとがいるからこそ成立するのだ、ということをもう少し考えるべきではないでしょうか。

(2)キャスティングについてのファンからの脅迫的メールの存在について

本当に、「あの俳優を使うな」というようなメールや手紙を送るファンがいるとすれば、ファンとしてそれは恥ずべき行為であると思います。ファンとして、そのような行き過ぎた行為は厳に慎むべきことと思います。しかし、このこととキャストボックスの存在とどのような関係があるのでしょうか?確かにキャストボックスがあればその週の出演者は直ぐに分かります。しかし、ある俳優さんがその芝居に出演しているということは、劇場に行けば一目瞭然、プログラムにもホームページにもキャスティングが発表されているわけですから、そのような“偏執”的なファンは、キャストボックスでなくても、出演者にクレームをつけてくるのではないでしょうか?このような脅迫的なメールや手紙には(それがどのくらい届くのか、四季は明らかにしていませんが)、毅然とした態度をもって対応し、また、俳優の安全を考えた措置をとるべきで、単に1週間の出演者の公表をやめることで解決される問題ではありません。

(3)チケットの営利目的の転売者の存在

劇団四季は、会員購入者の中に“ある作品の上演中、長期間に亘り、例えば、毎日、昼夜の別を分かたず切符を購入している方がいる”ことが判明したと主張しています。確かに、このような友の会規約違反者は友の会から排除されるべきですし、その点ではそのような人達を退会させるという処置は全く当を得たものといえると思います。しかし、このような人達は“毎日、昼夜を分かたず切符を購入”しているわけですから、むしろ、出演するキャストに関係なく切符を購入しているわけで、何故、この事実をもって“「キャストボックス」の存在が、チケット転売を促進することに利用されている”ことにつながるのか、さっぱり理解できません。

同じ記事の中に、お客様からのコメントも掲載されていますが、要は四季の今回の措置を礼賛している人のコメントだけを載せているだけで、反対意見は全く無視しており、フェアではないという印象を持ちました。

まあ、このブログで何を言っても劇団四季には通じないわけで、言っても詮無いこととは思いますが、劇団四季のミュージカルを愛するものとして、掲載された廃止理由のあまりの説得力の無さに、一言、言わずにいられませんでした。

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2007年9月16日 (日)

大阪でファントム!

022 15日に、“オペラ座の怪人”を観てきました。場所は大阪四季劇場。キャストは、クリスティーヌが佐渡寧子さん、ファントムは村俊英さん、ラウル、北澤裕輔さん、メグ・ジリー、小川美緒さん、マダム・ジリー、戸田愛子さん、カルロッタ、種子島美樹さん、ピアンジが半場俊一郎さん、でした。

まずは佐渡さんのクリスティーヌです。この人のクリスティーヌは「優美」という言葉が一番ピッタリとくるように思います。外見と声の美しさ、歌の上手さだけでなく、所作に品があるというか優雅さが知らずににじみ出てくるというか…上手く表現できませんが、「美しさ」においては群を抜いているように思います。現在、プログラムで発表されているクリスティーヌにキャスティングされている女優さんはほとんど観ましたし、ウエストエンドでも数人のクリスティーヌを観ていますが、僕にとっては佐渡さんのクリスティーヌが最も好きなクリスティーヌです(以前にも書きましたが…)。

村さんのファントムもいつものことながら細かいところまで心の行き届いた演技でしたし、北澤さんのラウルも貴公子然としていて、なかなか良かったように思います。ただ、今回は荒井香織さんのメグ・ジリーが見れなかったのが残念です。小川さんのメグ・ジリーも素敵でしたが、荒井さんのメグ・ジリーも大好きです。

今回、少し残念だったのは、伴奏が録音だったことです。やはり生の演奏がいいですよねぇ。名古屋のアイーダでも録音でしたが、四季は東京以外では録音なのでしょうか?

僕は、このミュージカルでは、“墓場”のシーンのクリスティーヌのソロのところと“ドンファンの勝利”のシーンの“Point of No Return”のところが特に好きなのですが、今回は、この場面のほかに、特に最後の場面でのファントム、クリスティーヌ、ラウルのやりとりに魅かれました。「自分かラウルかどちらかを選べ、ラウルを選べばラウルを殺す」とクリスティーヌに迫るファントム、「自分の命のことは気にせず、意志をつらぬく」ようクリスティーヌに話すラウル、そしてその彼の首には縄が。そんな中で、ラウルの命乞いをするクリスティーヌ。それがかなえられないと思うや、ラウルのためにファントムにキスをします。そして、まさにその瞬間に自分が彼女の愛をめぐる戦いに完敗してしまったことを悟るファントム。この3人のやりとりの緊迫感が、いつにも増して、舞台にビンビンに伝わってきました。今回もファントムの耽美的で官能的な美の世界を堪能した幸せなひと時でした。

023 ところで、今回初めて、大阪四季劇場に行きました。素敵な雰囲気を持った劇場でした。ハービスPLAZA ENTという建物の7階にあるのですが、この建物自体が雰囲気のある良いビルです。その中にあって、大きさも適当で、新しいけれど、なかなか良い劇場だと思います。ビールやワインもちゃんとグラスで出してくれるし…

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2007年9月10日 (月)

劇団四季のキャスト・ボックス

劇団四季がホームページ上からキャスト・ボックスを廃止してしまいました。キャストフォンもなくなりましたから、ファンはどの俳優さんがどの舞台に出演するのかを事前に知る手段が無くなってしまいました。もっとも以前はキャストを事前に発表していなかったそうですから、その頃に戻ったと言うことになります。

スター制をとらずに劇団として最高水準の芝居を提供していくという理念の下、そのときにベストの俳優を起用していくのであるから、事前にキャストを発表できないし、また、その必要もない、ということなのでしょうか?

しかし、これはファンの気持ちをかなり無視している考えではないかと思います。ファンは、確かに作品を観に劇場に足を運ぶわけですが、ある作品が好きになればなるほど、この人の○○を観たい、あの人の××を観たいという気持ちが強くなるのではないか、と思うのです。例えば、僕がロンドンで1年半の間に40回以上もレ・ミゼラブルを観た理由は、作品自体の素晴らしさもさることながら、Sophia Ragavelasさんのエポニーヌを観たかったからに他なりません。四季のファンの中にもきっと僕と同じような気持ちで劇場に何度も足を運ぶ人がたくさんいるに違いありません。このような人たち-もちろん、僕も含めて-は、今後、自分の好きなキャスティングで観ようと思っても、劇場に足を運んで初めて自分が望むものであったのかどうかが分かるというギャンブルに近い状況になってしまいます。

また、そのときのベストの俳優を起用していくとしても(これが理由であろう、という僕の推測が間違っていなければですが)、月曜日にその週のキャストを発表することがそんなに困難なことなのでしょうか?

劇団四季がキャスト・ボックスの廃止について再考してくれることを望まずにはいられません。

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2007年9月 8日 (土)

ヨセフと不思議な…

しばらく間が空きましたが、ロンドン観劇2日目のソワレは“ヨセフと不思議なテクニカラーコート”(“Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat”)です。このミュージカルは、アンドリュー・ロイド・ウェバー(Andrew Lloyd Webber)の最初の上演作で、1972年以来ロンドンでロングランを続けている作品です。ロンドンに住んでいたときも上演していたのですが、聖書のエピソードからストーリーができていると聞いて、なんとなく食指が動かず今回が初観劇ということになりました。本当は土曜日のマチネに行こうと思ったのですがチケットが完売!(僕の経験からは完売というのは本当に珍しいことなのです。これだけでも人気のほどがうかがわれます。)そのため、この日の観劇となりました。この日もほぼ満席でした。場所はサボイホテルのすぐ近くのアデルフィ劇場(Adelphi Theatre)です。最近までシカゴ(“Chicago”)が上演されていた劇場です。

Photo 配役は主役のヨセフにはLee MeadBBCが行った主役のオーディション番組で選ばれた俳優さんです。もっとも、彼はunderstudyながらオペラ座の怪人のラウル役やミス・サイゴンのキム役をやっています。甘いマスクがなかなか魅力的です。ナレーター役のPreeya Kalidasはボンベイ・ドリーム(“Bombay Dreams”)の主役をつとめたこともあるインド系のエキゾチックなきれいな女優さんです。ファラオ王にはDean Collinson。デンマークでのレ・ミゼラブルでアンジョルラスをやったりしている男優さんです。そしてヤコブにはStephen Tate。彼は、僕がロンドンに住んでいた頃、レ・ミゼラブルでティナルディエ役をやっていました。他に、ジーザス・クライスト・スーパースターのユダ役やコーラス・ラインのザック役では各々ロンドン・オリジナルキャストでした。ベテランの演技派です。確か、レ・ミゼラブルのPalace Theatreでの上演の最終日にカーテン・コールで挨拶をして大喝采を受けていました。

肝心なミュージカルですが、これが面白い!!ダンスもノリノリで、観客は幕開けから1曲終わるたびに盛大な拍手と歓声を送ります。観客と舞台が本当に一体となっている、そんな感じで最後まで突っ走るという雰囲気といえば良いのでしょうか。アラブ風の衣装でのダンス、子供たちのきれいな歌声。そしてエルビス・プレスリーを完全にパロっているファラオの面白さ。たとえ聖書のエピソードを知らなくても、言葉がわからなくても、十分に楽しめるミュージカルでした。最後は、全員総立ちでスタンディング・オベイションで、心地よい興奮を感じながら劇場を出ました。

日本でも、これをどこかの劇団でやってくれないかなぁ…

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2007年9月 1日 (土)

“ウィキッド”の熱狂

014 ロンドン観劇の2日目のマチネは、“ウィキッド”(“Wicked”)を観ました。劇団四季でもやっていますが、ロンドンでも大人気。劇場のボックス・オフィスに並ぶ人々の列も他のミュージカルに比べて断然長く人気のほどがうかがわれます。

エルファバ役のKerry Ellisはこの前はレ・ミゼラブルのファンティーをやっていて、ミス・サイゴンのエレン役もやったことのある女優さん。グリンダ役はDianne Pilkingtonで、この人はキャッツのグリザベラやレ・ミゼラブルのコゼットやファンティーヌ役の経験もある女優さんです。(タブーのオリジナルキャストでもあります。)

016 四季のウィキッドはまだ観ていなかったので、今回が初のウィキッド観劇でした。スケールの大きな曲が多く、ステージも華やか。テンポよく変わるシーンに目が離せないという感じでした。そして何よりも、今売れているミュージカルの勢いを感じさせられました。一曲、一曲、歌が終わる毎に歓声と大きな拍手が続きます。全曲、ショウ・ストッパーといった雰囲気は、レ・ミゼラブルが18年間続いたPalace TheatreからQueen’s Theatreに移るときの最後の舞台のとき以来でした。カーテン・コールは全員総立ちのスタンディング・オベイションでした。

ただ、これだけの熱狂が作品自体の良さから来るものなのか、今一番人気があるが故の勢いから来るものなのか、どちらなのだろうと思いながら劇場をあとにしました。もちろん、面白い、素晴らしいミュージカルであることには間違いがありませんが…

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2007年8月26日 (日)

ロンドンの話はとりあえずお休みして…

昨日の25日、帝劇に今シーズン最後の日本のレミゼを観てきました。この日は、ジャンバルジャンは今井清隆さん、エポニーヌは笹本玲奈さん、ジャベールは今拓哉さん、ファンティーヌはシルビア・グラフさんが喉の調子が悪いためピンチヒッターで渚あきさん、コゼットは富田麻帆さん、マリウスが藤岡正明さん、アンジョルラス東山義久さん、テナルディエ三谷六九さん、マダムテナルディエが阿知波悟美さんというキャストでした。

今日で、エポニーヌは今シーズンの全キャストを観たことになります。ファンということもあるのでしょうが、やはり僕にとっては新妻さんのエポニーヌが一番好きです。2003年の頃の新妻さんのエポニーヌと笹本さんのエポニーヌは本当に良く似ていましたが、段々とお互いの個性が出てきたように思います。決して笹本さんのエポニーヌが悪いというわけではなく、彼女の“On My Own”もなかなか聞かせてくれました。

リトルコゼットの歌のシーンでマイクトラブルがあったりしましたが、これはこれでご愛嬌。昨日もとても感激して帰ってきました。いよいよ帝劇のレ・ミゼラブルは千秋楽。また、当分、このミュージカルを観ることができないのかと思うと、とても、とても寂しい気がします。(僕にとっては、レ・ミゼラブルはとても特別な作品なので…)

ロンドンでのレ・ミゼラブルの観劇については、また後日。

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2007年8月23日 (木)

まずは“メリー・ポピンズ”!

013 久しぶりのロンドンでの観劇は、“メリー・ポピンズ”(“Mary Poppins”)で始まりました。8月14日のマチネです。場所はプリンス・エドワード劇場(“Prince Edward Theatre”)。ここは、ソーホーの真ん中にある劇場で、この作品の前は“マンマ・ミア!”(“Mamma Mia!”)をやっていました。タイトルロールのメリー・ポピンズはScarlett Strallen、バートはGavin Creel、バンクス氏にはAden Gillett、バンクス夫人にはRebecca Thornhillという配役です。夏休みというせいもあるのでしょうが、親子連れのお客さんがとてもたくさんいました。しかし、舞台も俳優たちも本格的です。主役のScarlett Strallenは、この舞台の前にはロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる“ウィンザーの陽気な女房たち”に出演していましたし、“マンマ・ミア!”のオリジナルキャストもつとめています。Gavin Creelはブロードウェイで活躍していますし、Rebecca Thornhillは“雨に唄えば”、“ショウボート”などに出演して、さらに“シカゴ”のロキシー・ハートや“レ・ミゼラブル”のコゼット、ファンティーヌ、ミー・アンド・マイ・ガールのサリーやアスペクツ・オブ・ラブのローズ等を演じたことのある女優さんです。そして子役の二人もずっと出ずっぱりなのですが、大人達と互角の演技。こういう本格的な演技に自然に触れることのできるイギリスの子供は本当に幸せです。舞台は、Scarlettの美しく声量タップリの歌声とダンスの魅力がタップリと表れていました。そして、脇役であり派手さはありませんが、Rebecca Thornhillがとても良い演技をしていました。映画の雰囲気そのままに、歌とタップとをタップリと堪能できる古きよき時代のミュージカルという感じでした。メリー・ポピンズが中を飛ぶシーンもあり、子供たちも大喜びでした。僕は、特に“Supercalifragilisticexpialidocious”のタップダンスのシーンが印象的でした。タップが圧巻でした。

楽しくて、とても洗練されていて、どことなく“マイ・フェア・レディ”と同じ空気を漂わせる作品でした。

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2007年7月15日 (日)

雨の名古屋で“アイーダ”ふたたび

14日、アイーダのマチネを観てきました。名古屋は台風の影響で強い雨が降っていました。キャストは、アイーダが秋夢子さん、アムネリスが佐渡寧子さん、ラダメスは福井晶一さん、メレブが中嶋徹さん、ネヘブカが石倉康子さん、ゾーザー、大塚俊さん、アモナスロ、石原義文さん、ファラオが前田貞一郎さんでした。僕が第一に注目しているのは、何といっても佐渡さんのアムネリスです。“お洒落は私の切り札”もとても明るくて、きれいな、そして楽しいシーンですが、やはり僕が一番好きなのは、“真実をみた”のシーンです。アムネリスが、自分が愛した、そして自分を愛していると信じていた男と自分が信頼していた女が実は愛し合っていたことを知る場面です。アムネリスはその心の衝撃をそっと受け止めながら、知りたくはなかったけれど「愛の運命なら たとえ辛くても もう逃げられない」と歌います。そして、歌いながら侍女によって衣装を白いウェディングドレスに替えられ、さらに白いベールをすっぽりとかぶせられます。この場面は、愛を失ったアムネリスの深い悲しみと、その悲しみの中で、エジプトの王女としての運命を受け入れていこうという静かな決意(あるいは諦観?)が表れているシーンです。佐渡さんのアムネリスは、この悲しみと静かな決意がじわじわと観客席に伝わってきて、思わず涙が出てきてしまいます。

他の俳優さんも段々と勢いがついてきたように思います。ただ、秋さんはセリフにかなり苦労しているようですが、若手の俳優さんのようなので、きっともっと進化していくことと思います。

ところで、このミュージカルには繰り返し歌われる歌がいくつかあります。“お洒落は私の切り札”、“私は知っている”、“迷いつつ”、“儚い喜び”そして“愛の喜び”といったところでしょうか。このリプライズのナンバーのそれぞれ雰囲気が違っていて面白いと思います。たとえば、“お洒落は私の切り札”ですが、最初の歌は本当にオチャラケキャラの王女さま、という感じですが、二度目のときには、実は彼女は心の中に、王女としての地位にいるけれどもその事実に押しつぶされそうな彼女の悩みが表現されて、彼女がただお洒落にうつつをぬかしているのではない、ということが表現されます。(佐渡さんがとても上手くそれを伝えているのは言うまでもありません。)また、“迷いつつ”については、最初はラダメスがアイーダに愛を告白する時に歌われます。ラダメスがあくまでロマンチックに高らかに謳い上げるという感じです。一方、ラストシーン近くで歌われるときには、死を前にした愛し合う二人が「何度生まれ変わっても二人は出会う」と永遠の愛を確かめ合うシーンで、最初の時よりも、ずっとしみじみと深い気持ちを込めて歌われます。(でも、2回目のときにメインで歌うのが、なぜ、ラダメスでなくアイーダなのでしょう?)このような違いを楽しむのもこのミュージカルの楽しみの一つかもしれません。

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2007年7月13日 (金)

島田歌穂さんのエポニーヌと石川禅さんのマリウス

12日に帝劇で“レ・ミゼラブル”を観てきました。今回のお目当ては、20周年記念キャストの島田歌穂さんのエポニーヌに石川禅さんのマリウスです。他のキャストは、ジャン・バルジャンは橋本さとしさん、ジャベールは今拓哉さん、コゼットは菊地美香さん、ファンティーヌはシルビア・グラブさん、ティナルディエ、駒田一さん、マダム・ティナルディエ、田中利花さん、アンジョルラス岸祐二さんです。

島田歌穂さんのエポニーヌと石川禅さんのマリウスを、2003年から日本でレミゼを観始めた僕は今回初めて観たわけですが、やはりすごいですねぇ。表現力と貫禄とどちらもひと味もふた味も違います。新しい-僕にとって-解釈を見せられたように思います。例えば、コゼットの家を見つけ出してこれをマリウスに告げるとき、多くのコゼットは「ねえねえ、見つけたよ!」という感じで、嬉しそうに話しかけて自らマリウスを引っ張って走って案内する感じです。しかし、島田さんのエポニーヌは、この場面、どこか憂鬱そうです。マリウスにせかされる感じで歩いて案内します。コゼットに急速に心が傾いていくマリウスへの気持ちがとてもストレートに素直に表現されていたように思います。また、“On My Own”や“恵みの雨”も強く胸に訴えてきて、特に“恵みの雨”はすばらしく、いつにも増して涙が止まりませんでした。とにかく「私がエポニーヌよ」という自信に満ち溢れた演技のように思いました。(島田さんが娼婦役をやっているときも、他の人よりも妙に貫禄がある娼婦というかピタッと決まっていましたが、これもキャリアの差でしょうか。)

石川さんのマリウスも、「マリウスはこういう人間だったんだ!」と思わせるマリウスでした。相変わらずのきめ細かい演技。エポニーヌが髪を触る時のやさしく、冗談ぽく、話す場面など、とても素敵でした。僕の中ではマリウスはどちらかといえば脇役で、あまり注目しないのですが、今回ほどマリウスを真剣に見たことはありませんでした。

このお二人、10年前の演技はどうだったのでしょう?レ・ミゼラブルの演技だけでなく、卒業後の舞台のキャリアや人生の経験の積み重ねが、今日の素晴らしい表現力につながっているのかな、と思ってもいます。

橋本さとしさんのジャン・バルジャンは、若々しさを感じさせる“青年”バルジャンという感じです。これからの進化が期待できそうです。

それにしても今回の舞台は、島田歌穂さんと石川禅さんを向こうに、現在のキャスト-特に、コゼット役の菊地美香さんとファンティーヌのシルビア・グラブさん-が、五分に組んで火花を散らし、そのために通常以上に充実した舞台だったのではないでしょうか。とりわけ、マリウスとエポニーヌと直接からむことの多い菊地さんはこの二人に果敢にチャレンジしているという感じでとても好感が持てました。今シーズン、5回、レ・ミゼラブルを観ていますが、コゼットは全て菊地さんのコゼットを観ているため、他人事とは思えません。

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2007年7月 8日 (日)

またまたレミゼ

今日もレ・ミゼラブルを観てきました。本日のキャストは…ジャンバルジャン別所哲也さん、エポニーヌは新妻聖子さん、ジャベールは岡幸二郎さん、ファンティーヌ渚あきさん、マリウス泉見洋平さん、アンジョルラス原田優一さん、ティナルディエ徳井優さん、マダム・ティナルディエ田中利花さん、でした。開幕から1ヶ月経って、キャストの皆さんも、大分慣れてきて、演技もこなれてきたように思います。相変わらず、岡さんは素敵です。スターを歌うときも好きですが、自殺のシーンの鬼気迫る岡さんのジャベールはジャベールの王道を歩んでいるようで、すごいと思います。

そしてそして、新妻さんのエポニーヌ!細かいことは言いません。彼女の“On My Own”を聞いて涙を流し、“恵みの雨”で涙を流し、ラストシーンで深い感動を味わいました。彼女は2003年以来、常に進化しているように思います。今回も、“恵みの雨”のマリウスの腕の中に抱かれたエポニーヌの苦痛と満足感と安らぎの入り混じった表情はとても印象的でした。徳井さんのティナルディエもなかなか面白かったです。結婚式のシーンで、お盆を落としてしまったときに、マダム・ティナルディエのスカートの中にもぐって隠れてしまうという演出は面白かったです。

原田優一さんも6月の上旬に観たときよりは、ずっと良くなっていました。声もなかなか良いですし、なかなか良いアンジョルラスになってきたように思います。

さて、本日もF列だったせいか、またまた花束ゲットしました。

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2007年7月 4日 (水)

名古屋でアイーダを観る

001_2 新名古屋ミュージカル劇場で“アイーダ”を観てきました。アイーダは樋口麻美さん、アムネリスが佐渡寧子さん。ラダメス、福井晶一さん、メレブ、中嶋徹さん、ネヘブカ、石倉康子さん、ゾーザー、大塚俊さん、アモナスロ、石原義文さん、ファラオが前田貞一郎さんというキャストでした。僕にとっては、久しぶりの佐渡寧子さんの舞台です。

隣国ヌビアから捕虜にして奴隷として連れてきた気高い心を持つヌビア王女アイーダをその身分を知らずに愛してしまい、自らの身の破滅の危険も顧みずにこの愛を貫き通そうとするエジプトの将軍ラダメス。ラダメスとの愛と祖国、そして自分を王女としてあがめる祖国の人々への愛と責任の狭間にゆれるアイーダ。婚約者であり心から愛しているラダメスの心が自分でなく自分が心を許し信頼するアイーダにあることを知り、悩み悲しむエジプト王女アムネリス。この三人の運命が絡み合い、とても悲しく、しかしどこか清々しい結末まで、僕を惹きつけて離しませんでした。これは、単なる“三角関係”のお話ではなく、「泣いて馬謖を斬る」お話です。広辞苑によれば、「ないてばしょくをきる」とは「規律を保つためには、愛する者をもやむを得ず処分する」という意味だそうですが、アムネリスの行為はこれそのものですし、アイーダもラダメスもこれを理解したからこそ従容として死についたのではないでしょうか?また、この言葉をもう少し広く解釈して、「自分が信じるものや大義のためには、愛するものをも捨てる」とすれば、アイーダの悩みと決意はまさにこれです。自分の信じるもの、または、より公のもののために私情を捨てて、愛をもすてなければならない…この悲しさというか切なさが、このミュージカルのテーマであり、ストーリーの魅力を高めている一因なのではないかと思います。

このミュージカルの魅力のひとつは、何と言ってもエルトン・ジョンとティム・ライスの手による美しく感動的な音楽です。好きな歌を登場順にあげてみると、“お洒落は私の切り札”、“儚い喜び”、“ローブのダンス”、“どうもおかしい”、“迷いつつ”、“神が愛するヌビ

ア”、“どうしたらいい”、“人生の苦しみ”、“星のさだめ”、“真実をみた”…ほとんど全曲になってしまいます。特に好きなのは、“神が愛するヌビア”と“真実をみた”です。前者は、ヌビア王が捕まったという知らせに絶望する奴隷となったヌビアの人々をアイーダが励ますときに歌うとても力強く、感動的な歌です。そして、後者は、ついにアムネリスが、ラダメスの心が自分にないと悟った時に歌う、美しく、そして悲しい歌です。

このミュージカルの魅力を語りだすと、その照明の美しさなど語り尽くせないものがありますが、佐渡さんのファンの僕にとっては、とても新鮮な作品でもあります。これまでの僕の佐渡さんに対するイメージは(多分、アイーダを観たことがない佐渡さんのファンの方は僕と同様と思いますが)、レ・ミゼラブルのコゼットや、異国の丘の宋愛玲、オペラ座の怪人のクリスティーヌというようなどちらかといえば、「お嬢様的」で、ソプラノで歌い上げるような(この点では宋愛玲は少し違うかもしれませんが)イメージを持っていました。ところが、今回のアムネリスは、特に始めの方はどちらかというとオチャラケキャラで-そしてセクシーで-、しかも、エルトン・ジョンのロック調の歌を時にシャウトするという、これまでの僕のイメージをガラリと変えてくれた役柄で、その点はとても新鮮でした。加えて、ファッションショーの際に舞台の中央奥に消える時に、一瞬、客席の方を振り返りますが、その時の表情がとても印象的でした。それに、最初はオチャラケキャラのアムネリスが、愛するラダメスがアイーダを愛していることを知った時に、人間的に一段も二段も成長します。その難しい役柄を佐渡さんは見事に演じていたように思います。“真実をみた”で、その悲しさ、切なさがとてもよく表現されています。また演出も、ラダメスの愛がアイーダにあることを知った悲しさを歌いながら、白いウェディングドレスに変わっていくという演出で、まさにアムネリスの悲しさがここにあるのだ、ということが伝わってくる演出でした。そして、彼女は、まさに「泣いて馬謖を斬る」わけですが、その中にも愛したラダメスに対する究極の優しさを見せます、その一人の女性の、強さと優しさと悲しさを、佐渡さんはとてもよく表現していました。

今回、生まれて初めての遠征をしてアイーダを観ましたが、なんだか、このミュージカル、はまってしまいそうです…

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2007年6月28日 (木)

花束、初ゲット!

27日の夜、“レ・ミゼラブル”を観てきました。今日の主なキャストは以下のとおりです。

ジャンバルジャン:山口祐一郎、ジャベール:岡幸二郎、ファンティーヌ:シルビア・グラブ、コゼット:菊地美香、マリウス:泉見洋平、テナルディエ:駒田一、マダム・テナルディエ:森公美子、アンジョルラス:坂元健児、そして、エポニーヌは新妻聖子さん。

なんといっても、新妻さんのエポニーヌは素晴らしいと思います。先ず、彼女の声には力があります。魂のこもった声とでも言えばよいのでしょうか…彼女の歌う“On My Own”はいつも聞く人の胸にストレートに迫り、そして、心を揺さぶります。フォルテの部分が力強く声量もあるので、ピアニシモの部分がとても活きているように思います。加えて、今回は、マルグリット・アルノーを半年間演じた影響でしょうか、彼女の演技にこれまで以上にリアリティが加わったように思います。“エポニーヌの使い走り”のシーンでアカペラでコゼットと自分の境遇の違いを歌った後の表情や、コゼットに魅かれていくマリウスを見つめる際の表情の変化、ラストシーンで魂となったエポニーヌがコゼットとマリウスを見つめる表情のなんともいえぬ優しさと穏やかさ。これまで以上に演技が深くなっているように思います。

岡さんのジャベールも素敵です。何度も書きますが、本当に姿の美しい役者さんです。その美しさ故に酷薄な感じが良く出ていたように思います。“星よ”も素晴らしいし、自殺のシーンも狂気というか“凄み”を感じられました。久しぶりに、正統派ジャベールを観たように思います。

シルビアさんのファンティーヌも良かった。やはりこの役は、声量もあり歌も上手い女優さんでないとできないのではないでしょうか。久しぶりに、“夢やぶれて”に感動しました。ところで、僕は、この役を劇団四季の佐渡寧子さんでぜひ観てみたいと思っています。彼女の歌の巣晴らしさと美しさはこの役にピッタリだと思うのです。現状では叶わぬ望みですが…

泉見さんのマリウスも好きなマリウスの一人です。コゼットが大好きで大好きで、そしてとても優しいマリウスです。“強奪”のシーンで髪に触るエポニーヌを怒らずに優しくたしなめる数少ないマリウスです。

マダム・テナルディエの森公美子さんはまさにはまり役。この人のマダム・テナルディエも大好きです。下品さと酷薄さとユーモアが程よく調和されています。

坂元さんのアンジョルラスもなかなか良いのですが、今回は、一番初めに岡さんのアンジョルラスを観てしまったのが運のつきです。どうしても、岡さんのアンジョルラスが目の前にチラついてしまいます。

菊地美香さんのコゼットは相変わらずとても可愛いコゼットで好感が持てます。このシーズン、僕が取ったチケットは何故か菊地さんのコゼットの日が多いのです。

今回は、イープラスの貸切公演でした。カーテンコールでは岡さんと山口さんの挨拶があったり、役者さん全員がステージ上でe+の人文字を作ったり、最後のカーテンコールでは山口さんが岡さんの着ていたジャベールの上着を着て出てきたりPhoto_1 と、貸切公演が初めての僕にはとても楽しかったです。そして、今回C列と良い席だったので、カーテンコールの花束をゲットしました。これまた初体験!花の方を掴んでしまったため、少々お花が痛んでいますが…

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2007年6月20日 (水)

日本とイギリスのレ・ミゼラブル

前にも書きましたが、いつのまにかレ・ミゼラブル観劇も53回を重ねることになってしまいました。ロンドンでの2年間の生活でミュージカルにはまってしまい、毎週末にウエストエンドに通っていたせいもあり、そのうち43回はイギリスで観劇しています。イギリスのレ・ミゼラブルも日本のレ・ミゼラブルもどちらもとても深い感動をよぶもので、僕には甲乙をつけられません。しかし、同じ演出でありながら、日本とイギリスでは俳優さんたちの演じ方や観客の反応に少し違いがあるように思います。今日は、その違いについて思いつくままに書いてみようと思います。(僕がロンドンでレ・ミゼラブルを観ていたのは、2003年から2004年にかけてですので、現在は演出が変わっているかもしれません。)

先ずは、第一幕のラストシーン。あの“One Day More”の感動的な場面です。学生たちが、ステージ上で隊列を組んで、あのスケールの大きな歌を歌います。赤い旗がさっと揚がるときには、思わず涙が出てしまいます。さて、この時の学生たちの足さばきですが、日本の場合は一糸乱れぬという感じで全員ピタッと合っていますが、イギリスの場合は一人ひとりの足の動きは同じでも日本のように全員の動きに統一がとれているわけではなく、もう少し自然な感じです。

次に、第二幕、僕の大好きなキャラクターのエポニーヌが“On My Own”(この歌は僕のベスト・ミュージカルナンバーです)を歌う場面。エポニーヌがこの美しいナンバーを切々と歌った(ロンドンで2年間エポニーヌを演じたソフィア・ラガベラス(Sophia Ragavelas)のこの歌は本当に素敵でした。)後、エポニーヌは舞台奥の暗闇に向かって走って姿を消します。この時に、日本のエポニーヌはコートの裾をパッと跳ね上げてから走って消えます。ところが、イギリスでは、裾を跳ね上げることなく普通に走っていきます。

最後に、学生たちが戦いに敗れたバリケードの場面です。戦いが終わり、学生たちが倒れたバリケードがゆっくりと回転して、やがて外側に倒れたアンジョルラスがバリケードに逆さ吊りになってそこにスポットライトが一筋あたります。この演出は日英同じです。しかし、日本ではこのアンジョルラスに対して観客から拍手がわきおこります。しかし、イギリスでは、この場面で拍手が起きることはまずありません。

なぜ、このような違いが生じるのでしょうか?ここからは相当なこじつけというか、僕の独断と偏見になりますが…日本人は、歌舞伎等に見られるように様式美を知らず知らずに重んじているのではないでしょうか。だから、アンジョルラスに対する拍手は、歌舞伎の舞台で見得を切る歌舞伎俳優に対する拍手と同質のものなのではないかと思うのです。様式に対する美しさを重んじるからこそ、エポニーヌが走り去る時にはコートの裾が鮮やかにひるがえった方が美しく感じ、隊列の足さばきもきちんとそろうと気持ちが良いのではないかと思えてなりません。

ところで、僕の大好きなソフィア・ラガベラスさんのエポニーヌは、“強奪(The Robbery)”の場面で「大した本だね あたしも読めるわ」と歌うときに、マリウスから本を取り上げて読むときに、上下さかさまにして読みます。それをマリウスはやさしく取り上げて上下を直します。(この演技は、ちょうど同時期に“マイ・フェア・レディ”で、イライザ役のジョアンナ・ライディング(Joanna Riding)さんもヒギンズ教授の手帳を読むときに同じように手帳を上下さかさまにして、全く読めないことを表現していたので、これはラガベラスさんのオリジナルのアイデアではないのかもしれません。)このときのエポニーヌの仕草がとても可愛く、このシーンが大好きでした。誰か、日本のエポニーヌもこの演出でやってくれないでしょうか…

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2007年6月14日 (木)

昨日もレミゼ!

12日にレ・ミゼラブルを観てきました。今回、2度目の観劇です。ジャン・バルジャンは別所哲也さん、エポニーヌは知念里奈さん、ジャベールは石川禅さん、ファンティーヌは山崎直子さん、コゼットは菊地美香さん、マリウスは小西遼西さん、テナルディエは安崎求さんでテナルディエ婦人が田中利花さんというキャスティングでした。

今回特筆すべきことは、石川禅さんのジャベールではないでしょうか。僕は、石川禅さんは、“ジキル&ハイド”のジョン・アターソン役と“マリーアントワネット”のルイ16世役というどちらかといえば人の好い役柄しか知らなかったので、ジャベールといわれてもあまりピンときませんでした。しかし、いざ始まってみると…まあ、初めに難を言えば、あの太目の体型がちょっと…という感じではありましたが、時間の経過と共にそれも気にならなくなりました。石川禅さんの肌理細やかな演技で、非常に実在感のあるジャベールだったように思います。石川さんはディテイルにこだわる俳優さんなのでしょうか?裁判所の場面、決闘で気を失ってしまう場面等、とてもリアリティがありました。また、Starsも良かったですし、自殺の場面では、鹿賀ジャベールとは一味異なった鬼気迫るものを感じました。

また、菊地美香さんのコゼットは前回に引き続き2回目となったわけですが、とても可愛らしいコゼットで好感が持てました。とても小柄な女優さんですが、声もきれいでコゼットのイメージに合っています。雰囲気が、2004年のWest Endの“レ・ミゼラブル”でコゼットを演じたLydia Griffithsに(彼女の方が若干ぽっちゃりとしていましたが)雰囲気が似ています。

学生たちについては、やはり9日に観た岡幸二郎さんのアンジョルラスの印象がまだ強烈に残っていて、その残像がちらちらしながら観ていました。まあ、これは、相手が岡さんのアンジョルラスですから許してもらえるのではないかと…

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2007年6月10日 (日)

いよいよ開幕!レ・ミゼラブル

9日、“レ・ミゼラブル”を観ました。ジャンバルジャンが別所哲也さん、エポニーヌが坂本真綾さん、ファンティーヌが渚あきさん、コゼットが菊地美香さん、マリウスが藤岡正明さん、マダム・テナルディエが阿知波悟美、そして、20周年記念スペシャルキャストとして、鹿賀丈史さんのジャベール、岡幸二郎さんのアンジョルラス、斉藤晴彦さんのテナルディエといった配役です。僕にとっては、1996年にニューヨークで初めて観て以来、なんと52回目のレミゼ観劇となりました。

僕の日本でのレミゼ観劇は、2003年からですので、スペシャルキャストの皆さんは初めての配役でした。鹿賀さんのジャベールは特徴的で、鹿賀さんしかできないだろうな、というジャベールです。特に自殺のシーンは鬼気迫るものがありました。また、斉藤さんのテナルディエもなんとも言えぬ嫌らしさが良く出ていました。でも、何と言っても素晴らしかったのは、岡さんのアンジョルラス!岡さんのジャベールは既に見ていて、これはこれで素晴らしいのですが、アンジョルラスはまさにはまり役です。まず、姿が美しい。(男の僕が言うのも変ですが)声がアンジョルラスの歌にぴったりと合う。唯一の欠点は、アンジョラスが出てくると、マリウスも含めて他の学生たちがかすんでしまうことです。海外で観たレミゼも含めて岡アンジョルラスは、最高のアンジョルラスであるように思います。

別所さんは日本人キャストの中では好きなジャンバルジャンです。とても自然な演技です。そして、ミュージカルの中で僕が一番好きなキャラクターであるエポニーヌ。今回は坂本真綾さん。CDで聞いてとても柔らかい感じだったので一度観てみたいと思っていました。初めて観ましたが、とても可愛いエポニーヌで良かったです。誰がエポニーヌを演じていても、いつも、エポニーヌの出番ではエポニーヌだけを目で追ってしまいます。

今回、20032004年と演出が少し変わっていました。まず、釈放されたジャンバルジャンが世間に受け入れてもらえないシーンで、農作業の後に旅館の場面が追加されました。もっとも、以前のCD等を聞いていると旅館の場面があるようなので、これは追加というよりも復活したというべきかもしれません。また、ガブローシュがバリケードの外で銃弾を拾い集める時の歌がなにやら数え歌風に…はっきり言って、これはいただけません。早く元に戻るといいのですが…学生たちが皆死んでしまったところにジャベールがジャンバルジャンを探しに来るシーンも簡略になっています。以前は、倒れている学生たちをひっくり返したりして探しましたが今回はもう学生たちはいなくなっていました。

52回観ても、そのたびに新しい発見があり、新たな感動を感じさせてくれるこのレ・ミゼラブル。今回の公演でも何を感じさせてくれるのでしょうか。

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2007年5月20日 (日)

マリー・アントワネット-進化する芝居

今日(520日)、帝国劇場で“マリー・アントワネット”を観てきました。初演以来、4回目の観劇となりました。このミュージカルを昨年の11月に観た時は、はっきり言って、あまり魅力を感じませんでした。なんだか舌足らずな感じで、役者さん達の熱気は伝わってくるのだけれど、何だかそれも空回りという感想を持ちました。しかし、この東京凱旋公演では、がらりと変わって、良くなっていました。どこがどう変わったのか、上手く説明できませんが、ストーリーの展開も自然で、ぐいぐいと胸に迫るものがあります。6ヶ月を経て、役者さん達の中のそれぞれの役柄が深まってきてもいるのだと思います。4月に入ってからも、どんどん良くなってきたように思います。これまで、“レ・ミゼラブル”や“オペラ座の怪人”等、既に完成したものしか観てこなかった僕には、お芝居自身が進化していくということは初めての感覚でした。

このお芝居では、僕は、マルグリットとアニエスとの絡みが一番興味があります。一見、正反対の人生観でありながら、でも、底のところで共通のものが流れているようなこの二人の絡み合いが、僕にとっては最も面白いものでありました。それに、新妻さんのそこに魂が宿ったような力のある歌声と、土居さんの澄んだ美しい歌声の掛け合いも、とてもとても美しかった。いつも思うことですが、新妻聖子さんの歌声は、何を歌ってもただ聞いているだけで、ジンとくるような歌声です。美しいとかというよりも、とても力がある歌声です。

今回、あらためて感じたのは、涼風真世さんです。特に第2幕でマリー・アントワネットが様々な苦難を通じて人間として成長していく姿に感動しました。こちらもどんどん進化を遂げていったのではないかと思います。今日の涼風さんのマリー・アントワネットは、特に裁判のところからは鬼気迫るものがあったように思います。

ところで、今日はファン感謝デーということで、指揮の塩田さんと涼風さんと新妻さんのトークショウがありました。新妻さんファンの僕は、当然残って聞いていましたが、演技上の裏話など(マルグリットが赤い布をマリーアントワネットに投げる時の投げ方とか)が聞けて、なかなか面白かったです。

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2007年5月13日 (日)

マリー・アントワネットを見て考える-キリスト教への理解

現在、帝国劇場で公演中のマリー・アントワネットは、正反対の境遇に生きる二人のM.A.-マリー・アントワネットとマルグリット・アルノーの人生を描いているミュージカルです。しかし、僕は、マルグリット・アルノーと尼僧アニエスとの絡み合いも興味深く見ています。現実の矛盾に対する怒りをエネルギーに革命に突っ走るマルグリットと神を信じて神に救いを求めるアニエス。特に、マルグリットの恩人である娼館のオーナーであるマダム・ラパンが売春を行っていたという理由で鞭打ちの刑に処せられて死んでしまう場面は、二人の生き方の違いがはっきりと出るところです。マルグリットは歌います。「いつも苦しむのは 名もないあたしたち…今聞こえる 心の声が 叫んでる 強くなるのだと …たとえ勝ち目がなくとも でも それでもいい 闘いたい」と。これに対して、アニエスは「神は弱きものこそ 愛してくださるはず たとえ闇に閉ざされようと 孤独じゃないと信じよう 迷わない 諦めない 決して希望は捨てない」と歌うのです。そして、亡くなったマダム・ラパンを前に「神がお救いになった」というアニエスに、マルグリットは「神?神様が何をしてくれたの!王妃が、あの悪魔がおばさんを苦しめ、殺すまで何をしてくれたっていうの!」と激しく言い返します。そして、「復讐は神の手で」と歌うアニエスに、マルグリットは「今始めるの この手で」と歌うのです。マルグリットは、現実に困難にある人間に対して神は沈黙したままではないかと言い、アニエスは、「それでも神は弱き我々を救ってくれる、神に対する希望を捨ててはいけない」と言っているのではないでしょうか。

ここまでは理解できても、特段の信仰を持たない僕には、これからさらに踏み込むことができなくなってしまいます。ミュージカルだけでなく、ヨーロッパの文学でも、音楽でも絵画でも、それを肯定するにしても否定するにしても、キリスト教への信仰というものが根底に流れているものが多く、信仰のない僕は、それらの理解に限界を感じてしまいます。そういえば、レ・ミゼラブルも、英語の歌詞は宗教色の強い言葉がたくさん出てきますね。

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2007年5月 6日 (日)

ふたたび、“オペラ座の怪人”について考えました

“オペラ座の怪人”が大阪で始まりました。

ファントムは、第一幕の最後にラウルとクリスティーヌがお互いの愛を確認するところを見た後にこう歌います。「愛を与えた 音楽を与えた そのお返しがこれだというのか 愛するものに今裏切られて…」と。気持ちはわかりますが、これって…身勝手な思いですよね。確かに、クリスティーヌの態度は煮えきらずに思わせぶりなところはあるけれど、でも、要は、好きだった女性に振られてしまったわけで、よくある話。それなのに「裏切られて」はないだろう、と同じ男としては思ってしまいます。第一幕のファントムは、あまり同感できません。

ところが、第二幕に入ると、ファントムの心理状態にぐいぐいと引き込まれていきます。どちらかというとストーカー的な態度がどんどん強くなるファントムの行動ではありますが、第一幕に比べて、ファントムへの同情、憐れみの気持ちがどんどん高まってきます。これは、どうしてなんでしょう?それは、きっと、自分で破局に向かわざるをえないということを知りつつ、そうせざるをえなかった人間の姿を自分に重ね合わせているのではないかと思います。自分が愛するクリスティーヌにはラウルという恋人がいる。しかし、彼女への想いを絶つことができない。彼女の愛を得ようとすればするほど、泥沼にはまっていってしまう…この苦しみ、この葛藤。このような状況というか心理状態は、多かれ少なかれ誰もが経験していることではないでしょうか。「お前と私は熱い思いを共に お前はもはや私のもの 心を決め運命に従え もはや退けない」という覚悟を示して、クリスティーヌを地下の自分の部屋に連れてくる。しかし、本当の破局はここから始まるのです。それでも、クリスティーヌの心は自分のものにならない。決定的なファントムの敗北はラウルを助けてほしいというクリスティーヌの哀願に対して「許さない 選べ」といってしまった、否、いわざるをえなかった時ではないしょうか。これを言う時にはファントム自身も、もはやクリスティーヌの愛を得ることはできない、という絶望の中にいたのではないでしょうか?それでも言わざるをえなかった、とうとう、言ってしまった、このファントムの悲劇に人は涙するのではないかと思います。きっと誰もが経験していることだから、このファントムの悲劇を共感することができるのだと思います。

このミュージカルの解釈をより深くするために“オペラ座の怪人”前編というべきファントムの前半生を描いた小説“ファントム”(上・下)-スーザン・ケイ著、北條元子訳、扶桑社ミステリー-を読んでいます。僕のお芝居のお師匠さんのSさんが教えてくれた本ですが、翻訳も良く、なかなか面白い本です。

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2007年4月22日 (日)

すべてのいじめに悩む人達といじめに加担している子供たちに観てほしい

今日、劇団四季の“ユタと不思議な仲間たち”を観てきました。正直言って、「お子様向けかな…」と少々馬鹿にしていたのですが、その先入観は大間違いでありました。ストーリーは単純ですが、なかなか感動的な佳作だと思います。

父親を亡くし、母親の実家のある湯の花村に東京から引っ越してきた勇太。勇太は、地元の子供たちにいじめられるが、座敷わらしとの交流を通じて、「生きる」ということを学んでいく、というお話です。Flyingあり、ウエスト・サイド・ストーリー風のダンスありで、なかなか楽しめます。このミュージカルのテーマは、最後の場面で小夜子がいう台詞に全て表現されているのではないかと思います。

「こうやって、静がにしてると、草や木や土までもゆっくり息してで、話しかけてくる。死んだ母ちゃやばっちゃまでそばにいるような気ぃする。そして誰かわがんねけど、神様みてな優しい人、こうやっていっつも見守ってけでたんだね。私は一人ぼっちでながったんだ。こんなに大きな生命と一緒に生ぎでいるんだもの」

“いじめ”の問題はそう単純なものではないと思いますが、しかし、いじめられている子供たちも、いじめている子供たちも、そのご両親や先生たちにも、ぜひこのミュージカルを見てほしいと思います。

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2007年4月16日 (月)

マリー・アントワネット東京凱旋!

昨日、帝劇で“マリーアントワネット”を観てきました。昨年の11月に帝劇で初演を迎えて以来、およそ半年をかけて進化してきたようです。とてもよい作品になってきました。貧困や世の中の矛盾に対する怒りと憎悪に駆り立てられるように革命にのめりこんでいくマルグリット(新妻聖子)と信仰をもとに革命をみつめていく尼僧アニエス(土居裕子)との絡みを縦軸に、そして、王妃マリー・アントワネット(涼風真世)とスエーデンの貴族フェルセン(今拓哉)との結ばれない恋を横軸に展開していく舞台は、今回は観る人を飽きさせません。

この舞台での新妻さんの演技は、他の舞台にも増して切迫感というかピンっと張り詰めたような感覚がこちらにも伝わってきました。革命の日々を突っ走るというようなマルグリットの激しさを意識して演じているのかもしれません(でも、新妻さんは、もう少し肩の力が抜けてくると、一皮むけたもっともっと素敵な女優さんになってくると思うのですが…)。相変わらず歌もうまく、特に“100万のキャンドル”は圧巻でしたし、土居さんの清潔感のある涼やかな声とのデュエットもとても美しく、感動的でした。また、涼風さんのマリー・アントワネットは最後に苦しみと悲しみのあまり髪が白髪になってしまうのですが、この辺りから、人間的に一段別の次元に昇った王妃の姿が良く表れていたように思いました。

このミュージカルには、山口祐一郎、石川禅、鈴木綜馬、今拓哉、山路和弘など芸達者な男優さんがたくさん出ていますが、今回は新妻さんを中心に観てしまったので、彼らのことを書けるほどの集中力を欠いておりました。

ところで、このお芝居の最後に、「マリー・アントワネットとマルグリット・アルノーの父親が実は同じ!?」と暗示させる場面がありますが,「そりぁ、いくらなんでも…」ですよねぇ。

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2007年4月 6日 (金)

もうすぐ“ウィキッド”

劇団四季から“ウィキッド”の座内オーディションの様子と出演候補者が発表されました。佐渡寧子さんもグリンダ役で出演の予定なので楽しみが増します。この間、ウィキッドのブロードウェイ・オリジナルキャストのCDを聞いてみましたが,美しい曲やスケールの大きな曲も多く、早く舞台を観てみたいという気持ちが強まりました。ブロードウェイとウェストエンドで人気を得ている作品ですから、エンタテイメント性の高いミュージカルなのではないかと期待しています。まだ舞台を観た事のない僕は、緑の肌のエルファバと美しくポジテブなグリンダの好対照の二人を軸に展開するストーリーを思い浮かべながらCDを聞いて舞台の様子を想像して楽しんでいます。

それにしても、英語の脚本を自然な日本語にしていくのは大変な作業なのだろうな、と思います。特に、ミュージカルは歌の場面が多いので音の数やリズム等に制約があり、上手く自然な日本語に翻訳するのは至難の業なのでしょうね。特に劇団四季は母音を丁寧に発音するわけですから、英語の歌詞の翻訳は色々と骨の折れることだと思います。(この翻訳のことについては、またいつかあらためて書いてみたいと思います。)四季の俳優さんとスタッフの方々の苦労が偲ばれるというものです。いずれにしても、完成品がどのようになるのか、とても楽しみです。

このブログにもウィキッドのブログパーツを貼り付けてみました。劇団四季の宣伝にご協力!です。ただ、毎日テレビで放映している、日めくりカレンダーがめくれて「ウィキッド開幕まであと○○日」のCMは少し品が無い感じがします。ちょっとやりすぎじゃあないかなぁ…

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2007年3月24日 (土)

CONTACT

先日、劇団四季の“コンタクト”を観てきました。これをミュージカルと呼んでいいのかどうか迷ってしまいます。(もっとも、何がミュージカルか?という問いも難しいものがありますが)ダンスプレイと呼んだほうがふさわしいようなお芝居でした。“Part I SWINGING”、“Part DID YOU MOVE?”、“Part CONTACT”の3部構成です。PartⅠは、フラゴナールのブランコの絵をモチーフにしたダンス。ブランコに乗った貴族のカップルの優雅で、しかし、少々エロチックな振り付けの舞台でした。ただ、最後に召使と思っていた男が実は…というどんでん返しがあるものの、正直なところ僕には少し退屈でした。けれどもPartⅡの半ばから俄然舞台に引き付けられていきます。PartⅡは、横暴な(ギャングのボスを思わせます)夫とブッフェ形式のレストランにやってきた妻が、夫が料理をとるために席を離れた時に、自分の夢想の中で、自分が気に入っているウェイター長と活き活きと踊りまわるが、やがて白昼夢から覚めると現実は…というストーリーです。妻役の団こと葉さんブルーのドレスを着て躍る姿がとても華やかでした。なんといってもこの芝居の魅力はPartⅢではないでしょうか。外見的には成功を極めた広告業界のエリート(加藤敬二)。しかし、実際は深い孤独の中にいて自殺を図る。そんな混乱の中で入ったバー。そのバーで再会した黄色いドレスを着た女となんとかしてダンスを申し込もうとする。その触れ合い(コンタクト)を通じて再生していく…といったストーリー。黄色いドレスを着た女を演じた坂田加奈子さんのダンスが素晴らしい。とてもクールで、ストーリーにもピッタリでした。また、ダンスの名手の加藤敬二さんが踊れない役というのも(結局、最後は素晴らしいダンスを見せてくれますが)ひねりが効いていて面白かったです。

ところで、カウンターを見ると、なんと1,000を超えています!22日に開店して以来、2ヶ月弱の間にたくさんのお客様にご来店いただき、とても嬉しく思います。また、遊びに来ていただけるように、観劇の感想やその他の話題について色々と書いていきますので、ごひいきのほど、よろしくお願いいたします。m(_ _)m

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2007年2月20日 (火)

CHICAGO

18日に日生劇場で“CHICAGO”を観てきました。ある友人が、これを「ピカレスク・ミュージカル」と呼んでいましたが、まさに至言!とってもJazzyで、退廃的で、と同時に洒落ていて、楽しいひと時を堪能しました。Broadway castのツアーでしたので、久しぶりに英語のミュージカルだったのですが、今回は字幕付きだったのでストーリーも完璧に追うことができました。ウエスト・エンドでも何回か観ましたが、このミュージカルは脚本を探して読み込むほどにはのめりこまなかったので、今回「ああ、こういう事だったんだ」というところもあり、そういう意味でも興味深かったのです。ナンバーのほとんどがジャズであるせいか、とてもアメリカ的な雰囲気がしました。ダンスもとても素敵でした。歌や演技では日本の役者さんの中にもアメリカやイギリスのうまい役者さんに負けない方もたくさんいますが、ダンスはやはり長い足と手を持っている方が美しく見えます。これはいかんともし難いところです。

看守ママ・モートン役のキャロル・ウッズ(Carol Woods)はとても存在感がありました。それにフリン弁護士役のケビン・リチャードソン(Kevin Richardson)もかっこ良かった。なかなか男の色気がありました。

それにしても、今年に入ってからなんと8回もお芝居を観てしまいました。完全なチケット貧乏です。シカゴも日生劇場の前を通ったときに当日券があると知り、気がついたら劇場の中に。ほとんど病気です。誰か治して~~ と、ほ、ほ…

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2007年2月15日 (木)

“ファントム”について考えてみました

“ファントム(Phantom)”と聞けば、僕にとっては、先ず頭に浮かぶのが“オペラ座の怪人(Phantom of the Opera)”です。すでに“佐渡さんのクリスティーヌ”でも少し触れましたが、パリのオペラ座の地下に住む怪人の哀しい愛を描いた浪漫的な美しさを持つこのミュージカルは、僕の最も好きなミュージカルの一つです。イギリスのアンドリュー・ロイド・ウェバーの作品で華麗で美しい音楽とマリア・ビヨルソンによる芸術的な舞台装置も大きな魅力の一つです。

ところで、僕は時々思うことがあります。「オペラ座の怪人は本当にいたのだろうか?」と。現実のこの社会に実在したのかどうか、という疑問ではありません。このミュージカルの中に実体として存在したのかどうか、という疑問です。「怪人」とは、広辞苑によれば「あやしい人物」ということになります。何だか漢字をそのまま読んだような感じですが、いずれにしても、「人物」という実態のある存在です。ところが、“phantom”の意味を英和辞典(ジーニアス英和辞典)で調べてみると、「幽霊、お化け、幻覚、幻像、幻影」などの言葉が並びます。また、オックスフォード英英辞典には、「幽霊、亡霊」という言葉の後に「実体又は実質のない姿、人影」という言葉が続きます。いずれにしても、“phantom”には日本語の「怪人」の持つ「実体をもった人」というニュアンスは無いのではないか、と思うのです。例えば、レ・ミゼラブルで革命に敗れた後、傷ついたマリウスが革命に散っていった友を思って歌う“カフェソング”(Empty Chairs at Empty Tables)の歌詞に“Phantom faces at the window, Phantom shadows on the floor”((死んでいった友の)幻が窓を向いている、その幻が床に影をつくっている)という部分があります。ちょうどこの場面に、ステージ後方の薄暗いところに、死んでいった友達が並んでマリウスを見つめています。まさに、このイメージこそ“Phantom”なのではないかと思うのです。

だとすると、“Phantom of the Opera”と“オペラ座の怪人”という言葉の間には実はとても大きな乖離があるのではないでしょうか。僕たちが“オペラ座の怪人”を見るときに怪「人」として受け入れているあの人物は、本当は「人」ではなく、クリスティーヌやマダム・ジリー等の登場人物の心が産み出した「ファントム」なのかもしれません。もっと言えば、あのミュージカルの舞台だけに存在する(演じている役者たちとそれを見る観客たちだけに見える)幻なのかもしれません。

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2007年2月 4日 (日)

佐渡さんのクリスティーヌ

昨日、劇団四季のミュージカル“オペラ座の怪人”を観てきました。東京公演の千秋楽を3月21日に控えて、特に週末のチケットはプラチナチケットと化しています。幸い、1枚チケットを入手することができました。ファントムは村俊英さん、クリスティーヌは佐渡寧子さん、ラウルは鈴木涼太さんでした。

佐渡さんのクリスティーヌはとても表情豊かなクリスティーヌでした。声もとても美しいし。可憐なクリスティーヌが“The Point of No Return”でとても妖艶な女に変わっていきます。ファントムの仮面を取ろうとする仕草も優美です。そして、最後のシーンで、ファントムにラウルの命乞いをし、断られる時の表情の変化には思わず舞台に引き込まれてしまいました。佐渡クリスティーヌは、僕が最も好きなクリスティーヌです。(他のクリスティーヌ女優のフアンの皆さんゴメンナサイ。)

また、村さんのファントムは、最後にクリスティーヌからキスをされるときに、クリスティーヌに触れようとして、でも触れられず、手を震わせます。この手の動きに、ファントムのクリスティーヌへの思いが本当に良く表れているように思います。この点は、高井ファントムに見られないところかもしれません。

それにしても、クリスティーヌは、ファントムに対して、優しいようで、実は残酷ですね。特に、最後に指輪を返さなくてもいいのに。ファントムの傷口に塩をすりこむようなものではないでしょうか…この点、プログラムにある家田荘子さんのご意見に賛成です。

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