書籍・雑誌

2009年1月12日 (月)

しなやかに爽やかに生きる女性のお話ー"ブロードウェイ夢と戦いの日々”を読んで

P1121060_2 この連休中は、高良結香著『ブロードウェイ夢と戦いの日々』(ランダムハウス講談社刊)を読んでいました。著者の高良結香さんは沖縄生まれのシンガーであり、また、アクトレスでもあります。彼女は、幼い頃からバレエに熱中していましたが、高校卒業後、単身アメリカにわたり、大学のダンス科を皮切りにニューヨークのダンススクールにてダンスを学びつつ、様々なオーディションを受けていきます。そして、遂に、“マンマ・ミーア”のオリジナルキャストの一人としてブロードウェイ・デビューを果たします。その後、“フラワー・ドラム・ソング”(ブロードウェイでは主役のリア・サロンガの代役で一日だけですが主役をつとめ、その後のナショナルツアーでは主役をつとめています。)、“太平洋序曲”、“コーラスライン”、“RENT”、“The Yellow Wood”等に出演しています。

そんな高良さんが、幼い頃にダンスに熱中していた頃から“The Yellow Wood”に出演するまでを、特にブロードウェイでの生活を中心に描いたのがこの本です。通常のミュージカルに関する本は、観る側から書かれている本がほとんどですが、この本は演ずる側(しかも功成り名遂げた大女優でなく、まさに今を生きている女優さん)から書かれていて、とても面白く読めました。オーディションの行われ方、俳優さん同士の関係、ユニオンのこと、エージェントとの関係、9.11の頃のブロードウェイやニューヨークのこと、ニューヨークとロサンゼルスのエンターテイメント界の違い、等が描かれています。

それと同時に、一人の女性が、自分の夢を実現すべく、一生懸命に生きていく過程を生き生きと描いたエッセイでもあります。世界一競争の激しい(多分)ニューヨークのショウビジネスの中に入って、少しずつ自分の夢をかなえていく…ダンスに取り組む彼女の姿は真摯そのものでありますが、しかし、そこに悲壮感はありません。時に異国で一人暮らす孤独と戦いながら、でも、あくまで前向きに、積極的に進んでいきます。そんな高良さんの生き方を綴った本書はとても読後感が爽やかです。最後にとても印象に残った部分をご紹介します。少し長くなりますが…

『常に確かめなければいけないのは、自分の心と向き合って、いつも何を大切にしていくかということ。心から愛していることを一生続けていけるということは、とても幸せなことだ。

 What I do for love?

 愛のために。

もちろん犠牲になるものもある。それはしょうがない。『マンマ・ミーア』をアンサンブルで何年も続けていれば家が買えたかもしれない。しかし、今の自分には何もないが、自分が「ハッピーか?」と問われれば、何の疑いもなく「イエス」だ。

今後もそういうチョイスをしていくと思う。ハードルの高いことにどんどん挑戦していけるのは、自分がやっていることを心から愛しているからだ。』(高良結『ブロードウェイ夢と戦いの日々』より)

皆さんもご一読を。

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2008年1月17日 (木)

“進化するミュージカル”を読む

最近“進化するミュージカル”(小山内 伸著、論創社刊)という本を読みました。なかなか面白い本です。“ロンドン・ミュージカルの隆盛”と“ブロードウェイ・ミュージカルの復興”の2部構成となっていて、キャッツ、エヴィータ、オペラ座の怪人、レ・ミゼラブル、ライオンキング、レント、ジキル&ハイド、プロデューサーズ、ヘアスプレー等、19のミュージカルを取り上げて、一つ一つ解説しています。

これまで僕が読んできたミュージカルの本は、ロンドンやニューヨークでの観劇の方法などが中心のハウ・ツーもの、あるいは雑学もの、ストーリーを解説したもの、観劇記に近いものが多いのですが(もちろん、素晴らしい本もたくさんありますが…)、この本の面白いところは、ミュージカルの中で歌われる楽曲の解説に多くの紙数が割かれているところです。たとえば、オペラ座の怪人の項で、ファントムとクリスティーヌがデュエットする“オペラ座の怪人”について「1112小節目が34小節目(78小節目も同じ)の一オクターブ高い同じ旋律になっていて、続くサビ<phantom of opera is there>のフレーズは八音連続して下がる音型だ。“二階”に駆け上がっては、まっしぐらに下降するメロディが、地下世界へ向かう動きをかたどっているようだ。」(44ページ)と解説します。

これだけでなく少し変わった視点からの解説もあり、ミュージカル好きの僕にとってはなかなか興味深い本でありました。

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